第1部 少子化対策の現状(第1章 3)

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第1章 少子化をめぐる現状(3)

3 婚姻・出産の状況

低下傾向が続く婚姻件数、婚姻率

婚姻件数は、第1次ベビーブーム世代が25歳前後の年齢を迎えた1970(昭和45)年から1974(昭和49)年にかけて年間100万組を超え、婚姻率(人口千人当たりの婚姻件数)もおおむね10.0以上であった。その後は、婚姻件数、婚姻率ともに低下傾向となり、1978(昭和53)年以降2010(平成22)年までは、おおよそ年間70万組台で増減を繰り返しながら推移してきたが、2011(平成23)年以降、年間60万組台で推移しており、2016(平成28)年は、62万531組(対前年比14,625組減)と、過去最低となった。婚姻率も5.0と過去最低となり、1970年代前半と比べると半分の水準となっている。(第1-1-8図)

未婚率を年齢(5歳階級)別にみると、2015(平成27)年は、例えば、30~34歳では、男性はおよそ2人に1人(47.1%)、女性はおよそ3人に1人(34.6%)が未婚であり、35~39歳では、男性はおよそ3人に1人(35.0%)、女性はおよそ4人に1人(23.9%)が未婚となっている。長期的にみると未婚率は上昇傾向が続いているが、男性の30~34歳、35~39歳、女性の30~34歳においては、前回調査(2010(平成22)年国勢調査)からおおむね横ばいとなっている。(第1-1-9図)

未婚化の進行

さらに、50歳時の未婚割合1をみると、1970(昭和45)年は、男性1.7%、女性3.3%であった。その後、男性は一貫して上昇する一方、女性は1990(平成2)年まで横ばいであったが、以降上昇を続け、前回調査(2010(平成22)年国勢調査)では男性20.1%、女性10.6%、2015(平成27)年は男性23.4%、女性14.1%と、それぞれ上昇している。2015年の国勢調査の結果に基づいて出された推計は、これまでの未婚化、晩婚化の流れが変わらなければ、今後も50歳時の未婚割合の上昇が続くことを予測している23。(第1-1-10図)

第1-1-10図 50歳時の未婚割合の推移と将来推計


1 45~49歳の未婚率と50~54歳の未婚率の平均。50歳時の未婚割合は生涯未婚率とも呼ばれる。

2 出生率の低下要因は、我が国では婚外出生が依然少ないため、結婚行動の変化(未婚化)と夫婦の出産行動の変化(有配偶出生率の低下)にほぼ分解され、前者の引き下げ効果は、後者の効果に比べてはるかに大きいとの指摘がある(岩澤美帆・金子隆一・佐藤龍三郎(2016)「ポスト人口転換期の出生動向」、佐藤龍三郎・金子隆一編著「ポスト人口転換期の日本」原書房、人口学ライブラリー17を参照)。

3 具体的には、1950年代後半から1970年代前半にかけての合計特殊出生率に相当する数値2.01から2012(平成24)年の1.38までの変化量は、約90%が初婚行動の変化、約10%が夫婦の出生行動の変化で説明できるとされている(2012年の数値の考え方を含め、岩澤美帆(2015)「少子化をもたらした未婚化および夫婦の変化」、高橋重郷・大淵寛編著「人口減少と少子化対策」原書房、人口学ライブラリー16、岩澤美帆・金子隆一・佐藤龍三郎(2016)「ポスト人口転換期の出生動向」、佐藤隆三郎・金子隆一編著「ポスト人口転換期の日本」原書房、人口学ライブラリー17を参照)。

晩婚化、晩産化の進行は鈍化

平均初婚年齢は、長期的にみると夫、妻ともに上昇を続け、晩婚化が進行している。2016(平成28)年で、夫が31.1歳、妻が29.4歳となっており、1985(昭和60)年と比較すると、夫は2.9歳、妻は3.9歳上昇している。前年(2015(平成27)年)との比較では、男女とも横ばいとなっている。

また、出生時の母親の平均年齢を出生順位別にみると、2016年においては、第1子が30.7歳、第2子が32.6歳、第3子が33.6歳と上昇傾向が続いており、1985年と比較すると第1子では4.0歳、第2子では3.5歳、第3子では2.2歳それぞれ上昇している。

さらに、第1子と第2子、第2子と第3子における母親の平均出生時年齢の差を比較すると、1985年にそれぞれ2.4歳、2.3歳であったものが、2016年にはそれぞれ1.9歳、1歳と出生の間隔が短くなっている。(第1-1-11図)

第1-1-11図 平均初婚年齢と出生順位別母の平均年齢の年次推移

年齢(5歳階級)別初婚率について、1990(平成2)年から10年ごと及び直近の2016年の推移をみると、夫は25~29歳で1990年の68.01‰が2016年の48.02‰となるなど下降幅が大きく、35~39歳で1990年の8.25‰が2016年の13.38‰となるなど35歳以上で上昇しているが、その上昇幅は小さい。他方、妻は20~24歳で1990年の54.40‰が2016年の25.55‰となるなど下降幅が大きいが、30~34歳で1990年の12.73‰が2016年の28.07‰となるなど30歳以上で上昇しており、夫に比べてその上昇幅が大きい。(第1-1-12図)

完結出生児数は過去最低の1.94

夫婦の完結出生児数(結婚持続期間が15~19年の初婚どうしの夫婦の平均出生子供数)を見ると、1970年代から2002(平成14)年まで2.2人前後で安定的に推移していたが、2005(平成17)年から減少傾向となり、2015(平成27)年には1.94と、過去最低となっている。(第1-1-13図)

第1-1-13図 完結出生児数の推移

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