第1部 少子化対策の現状(第2章 第2節 3-1)

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第2章 少子化対策の取組(第2節 3-1)

第2節 人づくり革命【特集】(3-1)

3-1 幼児教育の無償化

幼児教育・保育の役割

20代や30代の若い世代が理想の子供数を持たない理由は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最大の理由であり、教育費への支援を求める声が多い。子育てと仕事の両立や、子育てや教育にかかる費用の負担が重いことが、子育て世代への大きな負担となり、我が国の少子化問題の一因ともなっている。(第1-2-7図)このため、保育の受け皿拡大を図りつつ、幼児教育の無償化をはじめとする負担軽減措置を講じることは、重要な少子化対策の一つである。

第1-2-7図 子育てに積極的になる要素

また、幼児期は、能力開発、身体育成、人格の形成、情操と道徳心の涵養にとって極めて大切な時期であり、この時期における家族・保護者の果たす第一義的な役割とともに、幼児教育・保育の役割は重要である。幼児教育・保育は、知識、IQなどの認知能力だけではなく、根気強さ、注意深さ、意欲などの非認知能力の育成においても重要な役割を果たしている。加えて、人工知能などの技術革新が進み、新しい産業や雇用が生まれ、社会においてコミュニケーション能力や問題解決能力の重要性が高まっている中、こうした能力を身につけるためにも、幼児期の教育が特に重要であり、幼児教育・保育の質の向上も不可欠である。

さらに、幼児教育が、将来の所得の向上や生活保護受給率の低下等の効果をもたらすことを示す世界レベルの著名な研究結果もあり、諸外国においても、3歳~5歳児の幼児教育について、所得制限を設けずに無償化が進められているところである。(第1-2-8図)

第1-2-8図 幼児教育の効果

政府においては、2014(平成26)年度以降、幼児教育無償化の段階的推進に取り組んできたところであり、幼稚園、保育所、認定こども園において、生活保護世帯の全ての子供の無償化を実現するとともに、第3子以降の保育料の無償化の範囲を拡大してきた。そして、2017(平成29)年度には、住民税非課税世帯では、第3子以降に加えて、第2子も無償とするなど、無償化の範囲を拡大してきた1


具体的内容

子育て世帯を応援し、社会保障を全世代型へ抜本的に変えるため、幼児教育の無償化を一気に加速する。広く国民が利用している3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化する。なお、「子ども・子育て支援新制度」の対象とならない幼稚園については、公平性の観点から、同制度における利用者負担額を上限として無償化する。

幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等については、専門家の声も反映する検討の場を設け、現場及び関係者の声に丁寧に耳を傾けつつ、保育の必要性及び公平性の観点から、2018(平成30)年夏までに結論を出す。

0歳~2歳児が9割を占める待機児童について、3歳~5歳児を含めその解消が当面の最優先課題である。待機児童を解消するため、「子育て安心プラン」2を前倒しし、2020(平成32)年度末までに32万人分の保育の受け皿整備を着実に進め、一日も早く待機児童が解消されるよう、引き続き現状を的確に把握しつつ取組を進めていく。こうした取組と併せて、0歳~2歳児についても、当面、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めることとし、現在は、住民税非課税世帯の第2子以降が無償とされているところ、この範囲を全ての子供に拡大する。

なお、0歳~1歳児は、ワークライフバランスを確保するため、短時間勤務など多様な働き方に向けた環境整備、企業による職場復帰の確保など男性を含め育児休業を取りやすくする取組、育児休業明けの保育の円滑な確保、病児保育の普及等を進めるなど、引き続き、国民の様々な声や制度上のボトルネックを的確に認識し、重層的に取り組んでいく。

政府においては、2018年1月に、人づくり革命担当大臣の下に「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会」を開催することとし、同検討会は、5月に報告書を取りまとめた。この報告書を踏まえ、政府は、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等の検討を行っている。

幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会構成員

(座長)増田 寛也
東京大学公共政策大学院客員教授
林 文子
横浜市長
樋口 美雄
独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長
無藤 隆
白梅学園大学大学院子ども学研究科特任教授

(※肩書は2018年4月時点)

また、就学前の障害児の発達支援(いわゆる障害児通園施設)についても、併せて無償化を進めていく。さらに、人工呼吸器等の管理が必要な医療的ケア児に対して、現在、看護師の配置・派遣によって受入れを支援するモデル事業を進めている。こうした事業を一層拡充するとともに、医療行為の提供の在り方について議論を深め、改善を図る。海外の日本人学校幼稚部についても実態把握を進める。

引き続き、少子化対策及び乳幼児期の成育の観点から、0歳~2歳児保育の更なる支援について、また、諸外国における義務教育年齢の引下げや幼児教育無償化の例等を幅広く研究しつつ、幼児教育の在り方について、安定財源の確保と併せて、検討する。


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