第1部 少子化対策の現状(第1章)

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第1章 少子化をめぐる現状

・総人口は、2018(平成30)年で1億2,644万人。

・年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、高齢者人口(65歳以上)は、それぞれ1,542万人、7,545万人、3,558万人となっており、総人口に占める割合は、それぞれ12.2%、59.7%、28.1%。

・2017(平成29)年の出生数は、94万6,065人となり、前年に続いて100万人を割り込んだ。

・合計特殊出生率をみると、近年は微増傾向が続いているが、2017年は1.43と前年より0.01ポイント低下。

・諸外国(フランス、スウェーデン、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア)の合計特殊出生率の推移をみると、1970(昭和45)年から1980(昭和55)年頃にかけて、全体として低下傾向となったが、1990(平成2)年頃からは、合計特殊出生率が回復する国もみられる。

・アジアの国や地域について、シンガポール、韓国、香港及び台湾の合計特殊出生率の推移をみると、1970年の時点では、いずれの国や地域も我が国の水準を上回っていたが、その後低下傾向となり、現在では人口置換水準を下回る水準。

・2017(平成29)年の全国の合計特殊出生率は1.43であるが、47都道府県別の状況をみると、これを上回るのは35県。合計特殊出生率が最も高いのは沖縄県(1.94)、次は宮崎県(1.73)。最も低いのは東京都(1.21)、次は北海道(1.29)。

【特集1】結婚や子育てに関する意識~「少子化社会対策に関する意識調査」報告書を中心に~

(1)結婚に関する意識

【結婚に必要な状況等について調査】

  • 結婚の希望の実現に対する障害となっているのは、経済的負担感や出会いの機会減少、結婚相手に求める理想と現実のギャップによりマッチングが難しいことなどが考えられる。また、結婚を希望しながら相手を探すために具体的な行動を起こしていない者も多い。
  • 若い世代が結婚生活を見通せるような経済的基盤を整え、ライフ(キャリア)プランニングを支援するとともに、職場内外での様々な活動に参加できる機会を増やすことなどにより、結婚を希望しながら実現できていない、あるいは実現に向けた行動を起こせていない者に対する支援の一層の充実が求められる。
<1>どのような状況になれば結婚すると思うか

「経済的に余裕ができること」が42.4%と最も高く、続いて「異性と知り合う(出会う)機会があること」が36.1%。

<2>結婚を希望している者で「適当な相手にめぐり会わない」と回答した者のその具体的な内容

「そもそも身近に、自分と同世代の未婚者が少ない(いない)ため、出会いの機会がほとんどない」が42.6%。

<3>「適当な相手にめぐり会わない」と回答した者に対し、具体的な相手を探すために起こした行動

全体では、約6割が「特に何も行動を起こしていない」。特に男性はどの年代でも、女性と比べてその割合が高い。

<4>結婚相手との理想の出会いの場

「出会い方には特にこだわらない」と「職場や仕事で」が多く、特に20歳代女性で「職場や仕事で」が多い。

<5>結婚相手の理想の年収

男性は「300万円未満」「収入は関係ない」が女性と比べ高く、女性は「400万円以上」の割合が男性と比べ高い。実際の男女の年収分布と比較すると、特に女性が結婚相手に求める年収と男性の実際の年収には開きがある。

(2)夫婦の働き方や家事・子育てに関する意識

【結婚後の働き方の希望や夫婦間での家事・育児の分担、政府の子育て支援等について調査】

  • 男性の家事・育児参画への意欲は決して低いわけではない。我が国の6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連時間は先進国中最低の水準にとどまること、夫の休日の家事・育児時間と第2子以降の出生状況との間に正の関連性が示されていることなどを踏まえれば、男性が家事・育児により積極的に参画できる職場環境整備は不可欠。
  • 行政による支援の充実に加え、子育て中の親が孤立することなく、多様な担い手に支えられていると実感できる温かい社会の実現に向け、結婚、妊娠、子供・子育てを大切にするという意識が社会全体で共有されることが重要。
<1>結婚後の働き方

60%以上が結婚後「夫婦ともに働こうと思う」。その理由は「経済的に共働きをする必要があるから」が57.8%と最も高い。

<2>家庭での家事・育児はだれの役割だと思うか

「妻も夫も同様に行う」が44.6%と最も高く、次いで「基本的には妻の役割であり、夫はそれを手伝う程度」が23.4%、「どちらか、できる方がすればよい」が18.7%。

<3>自らの家事や育児に費やす時間について

全体では「ちょうどよい」が58.2%と最も高い。子供がいる既婚男女を比較すると、「短い」「短すぎる」は男性、「長い」「長すぎる」は女性の方が高い。自由時間が増えた場合、子供の有無にかかわらず、男性は「増えると思う」が女性に比べ高く、女性は「変わらない」「減ると思う」が男性に比べ高い。

<4>なぜ日本の男性の育児休業取得率が低いと思うか

「周囲が忙しすぎて、休暇を言い出せる雰囲気ではない」が49.4%。女性は男性に比べ「別に男性が取る必要がないと考えている」「育児休業を取得することによって、その後のキャリアに悪影響が出るおそれがある」等の割合が高い。

<5>妊娠中または子供を持つ意向のある者の育児休業取得の意向

「ぜひ取得したい」「どちらかと言えば取得したい」が合わせて約7割。

<6>子育てに対して感じる肉体的・精神的負担について周囲で助けてくれる人・場所

「配偶者(パートナー)」が67.3%、次いで「自分の親または配偶者(パートナー)の親」が54.8%。「自治体が提供する公的保育サービス」は6.8%にとどまる。

<7>政府や自治体の現在の少子化対策(結婚・妊娠・出産・子育て支援等)に関する取組への評価

「質・量ともに十分ではない」が61.7%。内容は「待機児童の解消(未就学児・就学児)」「教育費負担の軽減」「結婚の経済的負担の軽減」の順で割合が高い。

<8>日本の社会が結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会の実現に向かっているか

全体では、45.2%が向かっている(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)と回答。

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