第1部 少子化対策の現状(第1章 6)

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第1章 少子化をめぐる現状(6)

6 結婚や子育てに関する意識~「少子化社会対策に関する意識調査」報告書を中心に~【特集】

第4項及び第5項において紹介した各種調査によると、未婚者(18~34歳)の多くは「いずれ結婚するつもり」であり(第1-1-14図)、理想の子供の数は平均2人以上となっているものの(第1-1-21図)、晩婚化が進むとともに、未婚率は上昇し(第1-1-9図)、完結出生児数も近年2を下回っている(第1-1-13図)。結婚や妊娠・出産に対する国民の希望と、実際の結婚・出生行動との間には隔たりがあり、「結婚の希望の実現」と「希望どおりの人数の出産・子育ての実現」の大きく2つの観点から、少子化対策を推進していく必要がある。

少子化社会対策大綱(2015(平成27)年3月閣議決定、以下「大綱」という。)においては、結婚や出産・子供についての一人一人の希望を叶えることを基本的な目標としており、今後に向けた施策の効果的推進を図るためには、取組状況等に関する国民の評価や意識を把握することが重要である。

大綱の施策の進捗状況の点検・評価の参考とし、また現在の状況や政府の施策への認識やニーズを把握するとともに、前項までの調査で示された結婚や出産・子育てについての意識をさらに深掘りするため、インターネットによる意識調査(以下「本調査」という。)を実施した。

本項では、
(1)結婚に関する意識
(2)夫婦の働き方や家事・子育てに関する意識
に分けて、調査結果の一部を紹介する。

「少子化社会対策に関する意識調査」概要

調査目的:大綱の施策の進捗状況の点検・評価の参考とし、また現在の状況や政府の施策への認識やニーズを把握するため
調査方法:インターネットによる意識調査(委託調査)
調査時期:2018(平成30)年12月7日~同年12月18日
調査範囲:全国
調査対象:<1> 20~59歳の男女 11,889人
     <2> 回答者もしくは配偶者が3年以内に妊娠・出産をした20~49歳の男女((1)と重複なし) 2,117人
     <3> 3年以内に結婚をした20~49歳の男女((1)と一部重複。(2)、(3)との間で重複なし) 2,076人
     <4> 未婚(結婚経験のない)20~49歳の男女((1)と一部重複) 2,010人
※ 2015(平成27)年国勢調査の構成比に近似するよう作成したサンプルの割付を目標数として配信を行い、最終的な有効回答数を分析対象とした。

(1)結婚に関する意識

〈結婚に必要な状況〉

結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代の男女(調査対象(1)、(4)のうち3,980人)に、どのような状況になれば結婚すると思うかを聞いたところ(複数回答)、「経済的に余裕ができること」が42.4%と最も高く、続いて「異性と知り合う(出会う)機会があること」が36.1%、「精神的に余裕ができること」が30.6%、「希望の条件を満たす相手にめぐり会うこと」が30.5%となっている。(第1-1-29図)

第1-1-29図 結婚に必要な状況

〈結婚していない理由「適当な相手にめぐり会わない」の具体的内容〉

結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代の男女(調査対象(1)、(4)のうち3,980人)のうち、今結婚していない理由として「適当な相手にめぐり会わない」と回答した者(1,864人)に、その具体的な内容を聞いたところ(単一回答)、「そもそも身近に、自分と同世代の未婚者が少ない(いない)ため、出会いの機会がほとんどない」が42.6%で最も高く、次いで「そもそも人を好きになったり、結婚相手として意識することが(ほとんど)ない」が18.0%、「同世代の未婚者は周囲にいるが、自分が求める条件に見合う相手がいない」が13.5%となっている。(第1-1-30図)

第1-1-30図 「適当な相手にめぐり会わない」の具体的内容

また、具体的な相手を探すため、何か行動を起こしたかを聞いたところ(複数回答)、全体では、約6割が「特に何も行動を起こしていない」と回答した。性年代別では、男性はどの年代でも、女性と比べて「特に何も行動を起こしていない」の割合が高くなっている。また、行動の内容について、具体的な行動を起こしている割合が比較的高い30歳代の女性では「友人・知人に紹介を依頼した」が32.1%、「民間企業・自治体が主催するイベント(婚活パーティー、街コン等)に参加している」が17.9%と、高い割合となっている。(第1-1-31図)

第1-1-31図 具体的な相手を探すための行動

〈結婚相手との出会い方〉

結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代の男女(調査対象(1)、(4)のうち4,093人※婚約中含む)に、結婚相手との理想の出会いの場について聞いたところ(複数回答)、「出会い方には特にこだわらない」と「職場や仕事で」が多くなっている。性年代別でみると、特に20歳代の女性で「職場や仕事で」という回答が多くなっている。(第1-1-32図)

第1-1-32図 結婚相手との理想の出会い方

「出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)によれば、結婚のきっかけとなった出会いとして「職場や仕事で」と回答した人の割合は近年減少が続いているが1、自分が思い描く結婚相手との理想的な出会いの場について、本調査では特に20歳代で、職場や仕事に出会いのきっかけを求める者の割合が高くなっている。

〈結婚相手に求める条件(理想の年収)〉

結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代の男女(調査対象(1)、(4)のうち4,093人※婚約中含む)に、結婚相手の理想の年収を聞いたところ(単一回答)、男性では「300万円未満」「収入は関係ない」が女性と比べて高く、女性では「400万円以上」の割合が男性と比べて高くなっている。(第1-1-33図)

第1-1-33図 結婚相手に求める条件(理想の年収)

実際の男女の年収分布と比較すると、特に女性が結婚相手に求める年収と、男性の実際の年収には開きがあることがわかる(第1-1-34図)。また、特に女性は、自分と同等以上の年収を相手に求める者の割合が高い。

第1-1-34図 結婚相手に求める条件(理想の年収と実際の分布との比較)

このように、結婚の希望の実現に対する障害となっているのは、経済的負担感や出会いの機会減少、結婚相手に求める理想と現実のギャップによりマッチングが難しいことなどが考えられる。また、結婚を希望しながら相手を探すために具体的な行動を起こしていない者も多い。

少子化対策の観点からは、若い世代が結婚生活を見通せるような経済的基盤を整え、ライフ(キャリア)プランニングを支援するとともに、職場内外での様々な活動に参加できる機会を増やすことなどにより、結婚を希望しながら実現できていない、あるいは実現に向けた行動を起こせていない者に対する支援を一層充実することが求められる。

(2)夫婦の働き方や家事・子育てに関する意識

〈結婚後の働き方とその理由〉

結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代の男女(調査対象(1)、(4)のうち4,093人※婚約中含む)に、結婚後の働き方について聞いたところ(単一回答)、60%以上が結婚後「夫婦ともに働こうと思う」と回答した。一方で、男性の3割近く、女性の約2割が「わからない」と回答している。(第1-1-35図)

第1-1-35図 結婚後の夫婦の働き方

上記のように回答した理由を聞いたところ(複数回答)、「経済的に共働きをする必要があるから」が57.8%と最も高い。次いで、「働くことで経済的に自立していられると思うから」が33.6%、「結婚しても社会との繋がりを持ちたいから」が33.4%、「働くことで精神的に自立していられると思うから」が28.1%と続き、これら3つの回答は、特に女性に多くみられ、男女ともに若い世代の経済的基盤の安定や、仕事と家事・育児を両立しやすい環境整備が重要であるといえる。(第1-1-36図)

第1-1-36図 結婚後の働き方についての回答理由

〈家庭での家事・育児の分担〉

20~50歳代の男女(11,889人)に、家庭での家事・育児は、だれの役割だと思うかを聞いたところ(単一回答)、「妻も夫も同様に行う」が44.6%と最も高く、次いで「基本的には妻の役割であり、夫はそれを手伝う程度」が23.4%、「どちらか、できる方がすればよい」が18.7%となっている。(第1-1-37図)

第1-1-37図 家庭での家事・育児の役割

また、現在自らの家事や育児に費やす時間をどのように評価するか聞いたところ(単一回答)、全体では「ちょうどよい」が58.2%と最も高かった。

ただし、子供がいる既婚男女を比較すると、「短い」「短すぎる」は男性の方が高い割合となっている一方、「長い」「長すぎる」は女性の方が高くなっており、性別により違いがみられる。(第1-1-38図)

第1-1-38図 自らの家事・育児に費やす時間の評価

〈自由時間が増えた場合の家事・育児時間の変化〉

同様に、自分や配偶者・パートナーの残業時間が短縮されたり、休暇取得が容易になったりして自由時間が増えた場合、自分の家事・育児時間がどのように変化すると思うかを聞いたところ(単一回答)、子供の有無にかかわらず、男性は「増えると思う」の割合が女性より高く、女性は「変わらない」、「減ると思う」の割合が男性より高くなっている。(第1-1-39図)

第1-1-39図 自由時間が増えた場合の家事・育児時間の変化

上記のように回答した主な理由を聞いたところ(単一回答)、全体では、「時間に余裕ができたら、家事または育児をしたいと思っているから」が最も高く、特に既婚男性では26.9%となっている。また、全体では、次いで「時間に余裕ができたとしても、家事または育児をするかどうかは分からないから」が16.9%と高くなっているが、「時間に余裕ができたとしても、パートナーが家事・育児を負担してくれるかどうか分からないから」、「時間に余裕ができた場合、パートナーが家事または育児を負担してくれると思うから」については、どちらも女性が男性に比べて高い割合となっている。(第1-1-40図)

第1-1-40図 自由時間が増えた場合の家事・育児時間の変化についての回答理由

〈男性の育児休業取得率が低い理由〉

20~50歳代の男女(11,889人)に、なぜ日本の男性の育児休業取得率が低いと思うかを聞いたところ(複数回答)、「周囲が忙しすぎて、休暇を言い出せる雰囲気ではない」が49.4%と最も高く、次いで「育児休業を取得することによって、人員が不足し、職場や取引先に迷惑をかける」、「育児休業を取得することによって、その後のキャリアに悪影響が出るおそれがある」となっている。

また、結婚の状況や子供の有無にかかわらず、女性は男性に比べて「別に男性が取る必要がないと考えている」及び「育児休業を取得することによって、その後のキャリアに悪影響が出るおそれがある」を選択する割合が高くなっている。(第1-1-41図)

第1-1-41図 男性の育児休業取得率が低い理由

〈育児休業取得の意向〉

妊娠中または子供を持つ意向のある男女(調査対象(1)のうち4,412人)に、今後、育児休業を取得したいか否か聞いたところ(単一回答)、「ぜひ取得したい」が40.1%と最も高く、次いで「どちらかと言えば取得したい」が29.7%となっている。

また、女性では、未既婚・子供の有無にかかわらず「ぜひ取得したい」の割合が過半数になっており、男性でも未既婚・子供の有無にかかわらず「ぜひ取得したい」と「どちらかと言えば取得したい」の合計が6割を超えている。(第1-1-42図)

第1-1-42図 育児休業取得の意向

このように、女性のみならず、男性の家事・育児参画への意欲も決して低いわけではないことがうかがわれる。併せて、我が国の6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連時間は先進国中最低の水準にとどまること(第1-1-28図)、夫の休日の家事・育児時間と第2子以降の出生状況との間に正の関連性が示されていること(第1-1-27図)などを踏まえれば、男性が家事・育児により積極的に参画できる職場環境整備は不可欠といえる。

〈子育ての負担を助けてくれる人・場所〉

20~50歳代の既婚者(調査対象(1)のうち6,121人)に、子育てに対して感じる肉体的・精神的負担について周囲で助けてくれる人・場所を聞いたところ(複数回答)、「配偶者(パートナー)」が67.3%、次いで「自分の親または配偶者(パートナー)の親」が54.8%であるのに対し、「自治体が提供する公的保育サービス」は6.8%にとどまっている。

性別・子供の有無別でみると、子供がいない女性(子供がいることを想定して回答)では「配偶者(パートナー)」が男性や他の項目と比べて高くなっているが、子供がいる女性は男性と比べて低くなっている。また、子供の有無にかかわらず女性では「自分の親または配偶者(パートナー)の親」「自分の兄弟姉妹または配偶者(パートナー)の兄弟姉妹」「友人」「子育て仲間」等が男性と比べて高くなっている。(第1-1-43図)

第1-1-43図 子育ての負担を助けてくれる人・場所

このように、子育ての負担について周囲で助けてくれる人・場所については、配偶者(パートナー)やどちらかの親など身内が多数を占めているが、身内の支援を受けられない環境にある子育て世帯も多いと考えられることから、行政や民間の保育サービスの充実も含め、子育てを地域で複層的に支えていく体制を構築することが重要である。

〈政府の子育て支援の取組への評価〉

20~50歳代の男女(11,889人)に対し、政府や自治体の現在の少子化対策(結婚・妊娠・出産・子育て支援等)は質・量ともに十分だと思うか聞いたところ(単一回答)、全体では「質・量ともに十分ではない」が61.7%と最も高く、次いで「わからない」が23.1%となっている。「質・量ともに十分ではない」と回答した割合は、男女ともに、既婚子供あり、既婚子供なし、未婚の順で高かった。(第1-1-44図)

第1-1-44図 政府の子育て支援の取組への評価

上記のうち、「質・量ともに十分ではない」もしくは「質は十分ではないが、量が十分」と回答した者(7,950人)に対し、質が十分ではないと思うものを、「質・量ともに十分ではない」もしくは「質は十分だが、量は十分ではない」と回答した者(8,058人)に対し、量が十分ではないと思うものを聞いたところ(複数回答)、いずれも、全体では、「待機児童の解消(未就学児・就学児)」、「教育費負担の軽減」、「結婚の経済的負担の軽減」の順で割合が高くなっている。(第1-1-45図)

第1-1-45図 質・量が十分でないと思う取組

このように、質・量双方において、特に「待機児童の解消」と「教育費負担の軽減」に関する施策の充実が求められていることがわかる。前者については、「子育て安心プラン」(2017(平成29)年6月2日公表)を踏まえた取組が進められており、後者については、2019(令和元)年10月1日から幼児教育・保育の無償化が実施されることから、こうした取組による効果が期待される。

また、上記質問について「わからない」以外を回答した者(9,139人)に対し、その理由を聞いたところ(複数回答)、「国・自治体の取組・支援が不足しているから」が56.3%と最も高く、次いで「政府や自治体のやっていることの効果がよくわからないから」が45.5%、「結婚・子育てに関するネガティブな話題を見聞きすることが多いから」が33.5%となっている。(第1-1-46図)

第1-1-46図 政府の子育て支援の取組への評価についての回答理由

国・自治体は、結婚、妊娠・出産、子供・子育て各段階の切れ目ない支援を一層充実することに加え、取組の内容について、きめ細かい情報提供に努める必要がある。

国・自治体の取組・支援について、20~50歳代の男女(11,889人)に対し、経済的な事柄に特化して、どのようなことがあれば、皆が安心して希望どおり子供を持てるようになると思うかを聞いたところ(複数回答)、「幼稚園・保育所などの費用の補助」が54.3%と最も高かった。(第1-1-47図)

第1-1-47図 安心して希望どおりの子供を持つための条件

なお、2019(平成31)年3月に内閣府が実施したインターネットによる意識調査において、全国の15~89歳の男女(5,000人)に対し、日本の社会が、結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会の実現に向かっているかを聞いたところ(単一回答)、全体では、45.2%が向かっている(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)と回答した2。(第1-1-48図)

第1-1-48図 結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会の実現に向かっているか

行政による支援の充実に加え、子育て中の親が孤立することなく、多様な担い手に支えられていると実感できる温かい社会の実現に向け、結婚、妊娠、子供・子育てを大切にするという意識が社会全体で共有されることが重要である。


1 夫婦が出会ったきっかけの構成をみると、「職場や仕事で」は第10回調査(1992年)の35.0%をピークに減少が続いており、第15回調査(2015年)では28.2%となっている。

2 本調査においては、同じ質問に対する同様の回答は全体の29.7%にとどまっている。ただし、調査対象がそれぞれ異なる(本調査の調査対象:20~59歳の未婚及び既婚の男女11,889人)ため、一概に本調査と結果を比較することは困難である。

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