第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第1節 1)

[目次]  [戻る]  [次へ]

第1章 重点課題(第1節 1)

第1節 子育て支援施策の一層の充実(1)

1 子ども・子育て支援新制度の円滑な実施

地域の実情に応じた幼児教育・保育・子育て支援の質・量の充実

「子ども・子育て支援法」(平成24年法律第65号)等に基づく「子ども・子育て支援新制度」(以下「新制度」という。)が2015(平成27)年4月に本格施行された。新制度では、「保護者が子育てについての第一義的責任を有する」という基本的な認識のもとに、幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進することとしている。(第2-1-1図)

第2-1-1図 子ども・子育て支援新制度の概要(2016年4月)

具体的には、〈1〉認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付(「施設型給付」)及び小規模保育等への給付(「地域型保育給付」)の創設、〈2〉認定こども園制度の改善、〈3〉地域の実情に応じた子ども・子育て支援の充実を図ることとしている。実施主体は基礎自治体である市町村であり、地域の実情等に応じて幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援に必要な給付・事業を計画的に実施していくこととしている。

2015年11月に、「待機児童解消加速化プラン」に基づく2017(平成29)年度末までの保育の受け皿整備目標を40万人分から50万人分に上積みしたことを受け、2016(平成28)年通常国会(第190回国会)において、事業所内保育業務を目的とする施設等の設置者に対する助成及び援助を行う事業(企業主導型保育事業)等を創設するとともに、一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げる等の子ども・子育て支援法の改正を行い、同年4月から開始したこの「企業主導型保育事業」により、更なる保育の受け皿整備を進めている。

地域のニーズに対応した多様な子育て支援の充実

・利用者支援

子育て家庭や妊産婦が、教育・保育施設や地域子ども・子育て支援事業、保健・医療・福祉等の関係機関を円滑に利用できるよう、身近な場所での相談や情報提供、助言等の必要な支援を行うとともに、関係機関との連絡調整、連携・協働の体制づくり等を行う「利用者支援事業」を「子ども・子育て支援新制度」施行にあわせて創設した。

同事業は子育て家庭の個別ニーズを把握し、教育・保育施設及び地域子ども・子育て支援事業等の利用に当たっての情報集約・提供、相談、利用支援・援助を行う「利用者支援」及び子育て支援などの関係機関との連絡調整、連携・協働の体制づくりを行い、地域の子育て支援資源の育成、地域課題の発見・共有、地域で必要な社会資源の開発等を行う「地域連携」の主に2つの機能があり、その両方を実施する「基本型」と、主に「利用者支援」のみを実施し、保育所や各種の保育サービスに関する情報提供や利用に向けての支援を行う「特定型」、保健師等の専門職が全ての妊産婦等を対象に「利用者支援」と「地域連携」をともに実施する「母子保健型」の3つの類型を設け、妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対して支援を図っている。2017(平成29)年度においては、基本型611か所、特定型371か所、母子保健型915か所(国庫補助対象分)で実施されている。(第2-1-2図)

第2-1-2図 利用者支援事業

・地域子育て支援拠点

子育て家庭等の負担感・不安感を軽減するため、子育て親子が気軽に集い、交流することができる場の提供や、子育てに関する相談・援助、地域の子育て関連情報の提供、子育て及び子育て支援に関する講習を行う「地域子育て支援拠点事業」を行っている。(2017年度実施か所数:7,259か所(国庫補助対象分))

・一時預かり、幼稚園の預かり保育

就労形態の多様化に対応する一時的な保育や、専業主婦家庭等の緊急時における保育等の一時預かりに対する需要に対応するため、「一時預かり事業」を実施している。(2017年度一般型の実施か所数:9,232か所)

また、幼稚園の通常の教育時間(標準4時間)の前後や長期休業期間中などに、地域の実態や保護者の要請に応じて、希望する人を対象に行われる「預かり保育」を実施する幼稚園に対して支援を行っている。近年の女性の社会進出の拡大、都市化、核家族化などを背景として、多様化する保護者のニーズに伴い、「預かり保育」への要望が増加していることを受け、2008(平成20)年3月には「幼稚園教育要領」を改訂し、教育活動として適切な活動となるようその充実を図った1。さらに、幼稚園における待機児童の受入れ等を促進するため、2018(平成30)年度においては、「子育て安心プラン」に基づき、幼稚園において保育を必要とする2歳児を定期的に預かる仕組みを創設するとともに、2019(平成31、令和元)年度には、これまで実施している預かり保育の長時間化・通年化に係る補助の更なる充実を盛り込むなど、追加的な対策を講じている。

・ファミリー・サポート・センター

乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦などを会員として、送迎や放課後の預かりなどの相互援助活動を行う「ファミリー・サポート・センター」の設置促進を行っている。(2017年度実施か所数:863か所)

また、2009(平成21)年度からは、病児・病後児の預かり、早朝・夜間等の緊急時の預かりなどの事業(病児・緊急対応強化事業)を行っている。(2017年度実施か所数:151か所)

なお、2017年度末現在、「ファミリー・サポート・センター事業」における会員数は、援助を受けたい会員が57万人、援助を行いたい会員が13万人(その両方を希望する会員は4万人)である。


1 2016(平成28)年6月現在、「預かり保育」を実施している幼稚園の割合は、約85%。

多様な保育サービスの提供

多様な保育ニーズに対応するため、延長保育、夜間保育、病児保育等についても、引き続き推進を図っている。「子ども・子育て支援新制度」(以下「新制度」という。)の施行に伴い、延長保育、病児保育については、「地域子ども・子育て支援事業」に位置付けられた。また、家庭的保育及び事業所内保育については、新たに市町村の認可事業(地域型保育事業)として地域型保育給付の対象となるとともに、夜間保育については、施設型給付により対応している。

・延長保育

保護者の就労形態の多様化等に伴う延長保育の需要に対応するため、11時間の開所時間を超えて保育を実施する事業であり、当該事業を実施している民間保育所等に対して必要な補助を行っている。(2017(平成29)年度実施か所数:2万6,936か所(うち公立7,361か所、民間1万9,575か所))

・夜間保育

おおむね午後10時頃まで開所する夜間保育所に対して必要な補助を行っている。

(2018(平成30)年度実施か所数:81か所)

・病児保育

保護者が就労している場合等において、子供が病気の際や病気の回復期に、自宅での保育が困難な場合がある。こうした保育需要に対応するため、病院・保育所等において病気の児童を一時的に保育するほか、保育中に体調不良となった児童への緊急対応並びに病気の児童の自宅に訪問し一時的に保育する等により、安心して子育てができる環境を整備し、もって児童の福祉の向上を図ることを目的とする「病児保育事業」を実施している。(2017年度実施か所数:2,886か所)

また、2016(平成28)年度からは、事業主拠出金の引き上げによる財源により、〈1〉事業を開始する際のイニシャルコストを軽減すべく、従来の運営費に加え、新たに病児保育事業を実施するために必要となる施設整備等に係る費用の補助、〈2〉病児保育事業所において、看護師等を雇用し、保育所等において保育中に体調が悪くなった体調不良児を、専用施設等に送迎し、一時的に保育するための費用の補助を行っている。

なお、2018年度には、事業の安定的な実施を図るため運営費の補助の仕組みを見直した。

・地域型保育事業

保育需要の増加に対応するため、新制度の施行にあわせて、6人以上19人以下の子供を保育する「小規模保育」、5人以下の子供を保育する「家庭的保育」、従業員の子供のほか地域の子供を保育する「事業所内保育」など4つの事業を「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)に位置付け、市町村の認可事業とした。(2018年4月1日現在:5,814件(うち「小規模保育事業」4,298件、「家庭的保育事業」940件、「事業所内保育事業」541件、「居宅訪問型保育事業」:35件))(第2-1-3図)

第2-1-3図 地域型保育事業

・事業所内保育等

2015(平成27)年度に新設された「事業所内保育事業」は、市町村の認可事業(地域型保育事業)であり、地域型保育給付の対象となっているところである。(2018年4月1日現在:541件)

また、2016年度からは、多様な就労形態に対応する保育サービスの拡大を行うため、「子ども・子育て支援法」(平成24年法律第65号)の改正によって新設された「仕事・子育て両立支援事業」において「企業主導型保育事業」を実施し、企業が主導して設置する保育施設について、その整備・運営に係る費用の一部を助成している。同事業では、設置場所を企業の敷地内に限定していないことから、例えば、中小企業等が共同で設置・利用するもの、自企業の事業所内ではなく、利用する従業員や地域の子供の利便性を考慮し、駅近接地に設置するものなど、従業員や各企業のニーズに沿った創意工夫の下、事業が展開されている。(2018年3月31日現在の助成件数:2,597施設、定員5万9,703人分)

仕事・子育て両立支援事業においては、上記に加え、2016年度から「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」として、多様な働き方をしている労働者等がベビーシッター派遣サービスを就労のために利用した場合に、その利用料金の一部を助成している。

[目次]  [戻る]  [次へ]