第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第2節 2)

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第1章 重点課題(第2節 2)

第2節 結婚・出産の希望が実現できる環境の整備(2)

2 結婚に対する取組支援

(地方公共団体、商工会議所等による結婚支援の充実に向けた国の支援)
全国的な機運の醸成

地方公共団体において結婚支援に取り組む担当者、及び結婚を希望する独身男女に出会いの機会を提供する結婚支援者を対象に、結婚支援の更なる充実に向け、情報の共有や機運の醸成を図るため、「結婚応援に関する全国連携会議」を開催した(2019(平成31)年2月)。同会議では、「結婚の意思決定にかんするプロセスとタイミング」と題して、若者の結婚に踏み切るタイミングについての基調講演や、農業従事者に向けた行政とJA、企業が連携した結婚応援の取組や企業職員向け結婚応援事例の紹介等を行った。

結婚応援に関する全国連携会議の様子

また、各地域における結婚応援の機運の醸成を図ることを目的に、各地方公共団体主催の様々なフォーラム等が開催され、2018(平成30)年度は13件の結婚応援のためのフォーラムやイベント等が開催された。(第2-1-11図)

第2-1-11図 「結婚応援のためのフォーラム」開催状況一覧

地域少子化対策重点推進交付金の活用

2013(平成25)年度補正予算で創設された「地域少子化対策強化交付金」(2015(平成27)年度補正予算より「地域少子化対策重点推進交付金」に名称変更)では、結婚支援センター等におけるマッチングシステムの構築・高度化や、結婚応援のためのフォーラムの開催など、地方公共団体が行う結婚支援の取組を支援している。

2018(平成30)年度においては、「ニッポン一億総活躍プラン」(2016(平成28)年6月2日閣議決定)の推進のため、地域における総合的な結婚支援に係る取組を支援した。また、ワーク・ライフ・バランス等の推進に資する多様な交流の機会の提供など、地方公共団体と連携した企業・団体・学校等の自主的な参加による取組等を引き続き支援した。

結婚新生活支援事業費補助金の活用

2015(平成27)年度補正予算で創設された「結婚新生活支援事業費補助金」では、一定の所得以下の新婚世帯に対し、結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコスト(新居の家賃、引越費用等)を支援する地方公共団体を支援している。(2018(平成30)年度は260自治体を支援。)なお、2017(平成29)年度当初予算からは、「地域少子化対策重点推進交付金」のメニュー(結婚新生活支援事業)として措置されている。(第2-1-12図)

第2-1-12図 地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)

トピックス:AIを活用した結婚・子育て支援

近年、地方公共団体における結婚、子育て支援にAIを活用した取組が増加している。ここでは、システムと人的資源を有機的に組み合わせ、AIを有効に活用している取組事例を2つ紹介する。

愛媛県 AI及びシステムを活用した効果的・効率的な結婚支援

愛媛県では、2008(平成20)年度から「えひめ結婚支援センター」を開設し、企業等や結婚支援ボランティアと連携して、結婚を希望する独身者に出会いの機会を提供してきた。2011(平成23)年度には、イベントに加え、マッチングシステムを活用したお見合い事業「愛結び」を開始した。

えひめ結婚支援センターが設立される以前は、引合せやフォローアップが従来型のボランティアによる属人的なネットワークや経験に基づいて行われており、会員情報やノウハウの共有・蓄積が行われていないという課題があった。

そのため、えひめ結婚支援センターでは、会員情報をデータベース化し、全会員の中から効率的に相手を検索することを可能としたほか、それまで電話やメールにより実施していた、引合せまでの申込みや承諾、お見合いボランティアによる引合せ後の交際フォローについて、システムを介して行うこととした。システムの導入により、情報の一元化と人的資源の重点配分を行うことができるようになり、お見合いボランティアによる引合せから交際、成婚までのフォローを、利用者個人のニーズに沿った形で、より丁寧に行っている。

また、2014(平成26)年度には、カップリングに至るまでのデータ等の事例を分析し、AIによるリコメンド機能を追加した。具体的には、利用者Aがある異性Bを選択した場合、同じBを選択したAを含む同性グループは、他にBを含む異性グループを選択しており、その異性グループは好みの異性グループとしてAが属する同性グループを選択している、といったように、選ぶ側と選ばれる側の双方の好みのグループを割り出す機能を搭載している。また、カップリングがうまくいかない利用者は、システムで相手検索を実施する際、条件を変えずに検索を繰り返しているということが分かったため、蓄積されたデータに基づき、AIが相手の提案を行うことで、利用者に気づきを与えることも目的としている。AIによるリコメンド機能を利用しない者の引合せ率は13%であるが、利用した者の引合せ率は29%となっており、より効果的・効率的な結婚支援に結びついている。

AIによるリコメンド機能の概要

AIによるリコメンド機能の概要

渋谷区 AIを用いた子育て世帯への情報発信

渋谷区では、2018(平成30)年4月より、LINE公式アカウントで利用者からの問合せに対し、自動で回答を行うAI自動応答サービスを実施している。

区では、2017(平成29)年2月から、LINE株式会社との協定に基づき、子育て世代にリーチ力の高いLINEに公式アカウントを設け、セグメント配信(対象者ごとに必要な情報を選別して送信する方法)を開始している。郵送等の情報発信に加え、LINEで各種の情報を事前に送信することで、予防接種等の時期の忘れ防止につながることを期待している。これらの取組により、利用者の登録が増加し、利用価値が高まっていたことから、さらなる利便性向上のため、AI自動応答サービスの追加が検討された。2017年4月から、庁内ワーキンググループを立ち上げ、子育てに関するQ&Aを300件作成し、AIにセットアップするなど、AI自動応答サービスの実施に向けて準備を行い、同年8月から2018年3月まで一般利用者に向けた実証試験を行った。試験の結果、一定のニーズが見込まれ、AIとして実用化できるレベルであったことから、同年4月より正式に運用を開始した。

ターゲットを子育て世代に特化し、配信する情報も対象を意識した内容に絞っていることから、子育て世代の登録が中心となっており、正確なニーズの把握が可能となっている。特に、AI自動応答開始後は、24時間気軽にトークで話しかける利用者も増加したため、ユーザーのニーズがより把握できるようになった。また、行政からのお知らせだけでなく、子育て世代向けのイベント情報等も発信していることから、利用者からは「区役所に電話をかけなくても、子供を連れていけるイベントや予防接種スケジュールを教えてもらえるので助かる」といった意見が寄せられており、講座やイベントを実施する際、LINEでの情報発信後参加者が即時に集まるなど、集客にも貢献している。

現在は、妊娠期から就学前の子供を育てている人が主に利用しているため、配信する情報もそれらの利用者に向けた内容が多数を占めている。区では、2019(平成31、令和元)年度以降、18歳までの子供を持つ世代をターゲットに入れた取組(渋谷区子育てネウボラ)を新たに展開するため、LINEアカウントに関しても同様に対象範囲を拡大し、さらなるサービスの充実を図る予定である。また、子育てに関する悩みや相談事が幅広く寄せられるようになったため、AIによる回答のバリエーションを増やすとともに、AIでは対応しきれない個々の具体的な問合せに対しても、今後LINEで対応できないか検討を行うなど、AIによる自動応答と担当者による個別の対応を組み合わせることで、子育て世代に対する情報発信の強化に努めることとしている。

AIによる自動応答サービス

AIによる自動応答サービス

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