第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第4節 1)

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第1章 重点課題(第4節 1)

第4節 男女の働き方改革の推進(1)

1 男性の意識・行動改革

(長時間労働の是正)
長時間労働の抑制及び年次有給休暇の取得促進

労働時間対策としては、単に労働時間の短縮を図るだけではなく、労働時間、休日数及び年次有給休暇を与える時季など労働時間等に関する事項について、労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへ改善することが重要である。また、近年、週労働時間60時間以上の雇用者の割合が依然高い水準で推移していること、過労死等に係る労災認定件数が700件台で推移していること、年次有給休暇の取得率が約50%程度の水準で推移していること、育児・介護や自己啓発などの労働者の抱える事情の多様化に一層の配慮が必要となることなどの課題が生じている。これらを踏まえ、2014(平成26)年9月に厚生労働省に設置した「長時間労働削減推進本部」の下、労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進等の働き方の見直しに向けた企業への働きかけを行っている。また、都道府県労働局においても、「働き方改革推進本部」を設置し、企業経営者への働きかけや地域における働き方の見直しに向けた機運の醸成に取り組んでいる。

加えて、2017(平成29)年3月には「働き方改革実現会議」において「働き方改革実行計画」が決定され、同計画では、「長時間労働が仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因や女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっている。」として、長時間労働の是正が柱の一つとされた。2018(平成30)年6月には、同計画を踏まえた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成30年法律第71号、以下「働き方改革関連法」という。)が成立し、「労働基準法」(昭和22年法律第49号)が改正され、「罰則付きの時間外労働の上限規制」や、子育て等の事情を抱える働き手のニーズに対応した「フレックスタイム制の見直し」、「一定日数の年次有給休暇の確実な取得」などの内容が規定された。

働き方改革関連法を踏まえて「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」を2018年10月に改正した(2019(平成31)年4月1日から適用)。ガイドラインに基づき、労働時間等の設定の改善に向けた労使の自主的な取組を促進することにより、仕事と生活の調和を推進している。

労働時間等の設定の改善に取り組む中小企業に対する支援・助成

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を踏まえ、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進など、企業における取組の促進を図っている。具体的には、〈1〉所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度の導入などに積極的に取り組み、成果をあげた中小企業等に対する「時間外労働等改善助成金」の支給、〈2〉都道府県労働局雇用環境・均等部(室)による助言・指導等を行っている。

(人事評価制度の見直しなど経営者・管理職の意識改革)
企業経営者等の意識変革

企業において仕事と生活の調和を推進するためには、経営者及び管理職の意識改革と行動が不可欠である。そのため、経済団体との共催により、経営者及び管理職を対象にセミナーを開催し、ワーク・ライフ・バランスの取組の重要性を啓発するとともに、具体的な取組を進めるためのノウハウや好事例を周知した。

また、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(2007(平成19)年12月「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」策定)において設定されている数値目標を踏まえ、今後、社会全体で取り組むべき方向性や各主体の役割等を検討するため、ワーク・ライフ・バランスに関しての調査研究を実施した。

「イクボス」や「子育て」を尊重する企業文化の醸成

男性が育児をより積極的に楽しみ、かつ、育児休業を取得しやすい社会の実現を目指す「イクメンプロジェクト」の一環として、2013(平成25)年度より男性の仕事と育児の両立を積極的に促進する企業を表彰する「イクメン企業アワード」を実施し、他企業のロールモデルとして普及させることで、仕事と育児を両立できる職場環境の整備を促進している。

また、2014(平成26)年度からは、部下の仕事と育児の両立を支援し、かつ、業務効率を上げるなどの工夫をしている上司「イクボス」を表彰する「イクボスアワード」を実施するなど、人事労務管理や業務改善の好事例の普及を進めている。

(配偶者の出産直後からの男性の休暇取得の促進)
男性の育児休業の取得促進

仕事と家庭の両立については、男女を問わず推進していくことが求められる。父親が子育ての喜びを実感し、子育ての責任を認識しながら、積極的に子育てに関わるよう促していくことが一層求められている。現在のところ、男性が子育てや家事に十分に関わっていないことが、女性の継続就業を困難にし、少子化の一因ともなっていると考えられる。実際、男性の育児休業取得率については、「少子化社会対策大綱」(2015(平成27)年3月20日閣議決定)において、2020(令和2)年には13%にすることを目標としているが、5.14%(2017(平成29)年)にとどまっている。「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)においては、男性労働者の育児休業取得を促進するため、〈1〉父母がともに育児休業を取得する等の要件を満たす場合、育児休業取得可能期間が延長される制度「パパ・ママ育休プラス」や、〈2〉出産後8週間以内に育児休業を取得した場合、再取得を可能とする制度を設けており、こうした制度の周知・徹底を図っている。また、男性の育児休業や育児目的休暇の取得に向けた職場風土づくりに取り組み、取得者が新たに生じた事業主に対し支給する「両立支援等助成金 (出生時両立支援コース)」により、男性の育児休業等の取得促進に取り組む事業主を支援している。

出産直後からの休暇取得を始めとする男性の子育て目的の休暇の取得促進

「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第120号)に基づき定められた行動計画策定指針においては、男性の子育て目的の休暇の取得促進を図るため、子供が生まれる際や子育てを行う際取得することができる企業独自の休暇制度の創設、子供が生まれる際や子育てを行う際の時間単位付与制度の活用も含めた年次有給休暇や、配偶者の産後8週間以内の期間における育児休業の取得促進を図る等、雇用環境の整備に関する事項を行動計画の内容に盛り込むことが望ましいとしている。

「少子化社会対策大綱」においては、配偶者の出産後2か月以内に半日又は1日以上の休みを取得した男性の割合を2020(令和2)年には80%にすることを目標として、男性が「子供が生まれる日」、「子供を自宅に迎える日」、「出生届を出す日」などに休暇を取得することを促進する「さんきゅうパパプロジェクト」を推進している。(第2-1-14図)

第2-1-14図 さんきゅうパパプロジェクト

具体的には、晩産化や共働き夫婦の増加などによるライフスタイルの変化とともに、出産や子育てが多様化しつつある中で、妊娠・出産・子育てに際して、男性ができることを考えるきっかけとなるよう「ハンドブック『さんきゅうパパ準備BOOK』」を作成し、各種イベント等において地方公共団体、企業・団体の人事部門・管理部門の担当者や、子育て中の父親・母親等に対して配布すること等により理解の促進を図っている1

2016(平成28)年度に実施した男性の配偶者の出産直後の休暇取得に関する実態把握のための調査研究によると、配偶者の出産後2か月以内に半日又は1日以上の休みを取得した男性の割合は55.9%となっている。この結果を踏まえ、同ハンドブックにおいて、「子育てで利用できる休暇制度」の基本知識や男性が配偶者の出産直後に休暇を取得することで企業にもたらすメリット等について解説している。

また、国家公務員の男性職員の育児休業の取得については、「第4次男女共同参画基本計画」(2015(平成27)年12月25日閣議決定)における政府全体の目標(13%)の確実な達成に向けて、男性職員や管理職員等の意識啓発を強化するとともに、「男の産休」(配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇)についても、全ての男性職員が両休暇合計5日以上取得することを目指し、幹部職員自らが取得を促すなど積極的に関与することにより、一層強力に取得促進を図ることとしている。


1 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/sankyu_papa.html

父親の育児に関する意識改革、啓発普及

男性が育児をより積極的に楽しみ、かつ、育児休業を取得しやすい社会の実現を目指す「イクメンプロジェクト」の一環として参加型の公式サイト2の運営やハンドブックの配布等により、育児を積極的に行う男性「イクメン」を広めている。さらに、「イクメン企業アワード」「イクボスアワード」等の表彰、企業の事例集等広報資料の作成・配布等により、企業において男性の仕事と育児の両立支援の取組が進むよう、好事例の普及を図っている。


2 https://ikumen-project.mhlw.go.jp/

男性の家事・育児の促進

2018(平成30)年6月「女性活躍加速のための重点方針2018」(すべての女性が輝く社会づくり本部決定)が取りまとめられ、前年の重点方針2017に引き続き、男性の暮らし方・意識の変革として、男性の家事・育児等への参画についての国民全体の機運の醸成を行うこととされた。これを踏まえ、2018年度も前年度に引き続き、子育て世代の男性の家事・育児等の中で、料理への参画促進を目的とした「“おとう飯”始めよう」キャンペーンを実施した。このキャンペーンでは、簡単で手間を掛けず、多少見た目が悪くても美味しい料理を“おとう飯”と称し、イベントの開催や、祝日や季節に応じた料理機会の提案、全国各地の特産品や伝統料理をテーマとした、全国のおとう飯レシピを公開するなど、男性の料理参加を促進する取組を行っている。

学校教育においては、男女相互の理解と協力、男女が社会の対等な構成員であること、男女が協力して、家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性などについて、中学校の特別活動や高等学校の公民科、家庭科など関係する教科等を中心に学校教育全体を通じて指導が行われている。

家庭や地域における取組としては、夫婦が協力して家事・育児を実施する大切さについて保護者が理解を深められるよう、2018年度は補助事業(地域における家庭教育支援基盤構築事業)を引き続き実施し、企業等への出前講座や父親向けの家庭教育に関する講座の実施など、地域が主体的に実施する家庭教育に関する取組を支援した。

トピックス:さんきゅうパパプロジェクト

「少子化社会対策大綱」(2015(平成27)年3月20日閣議決定)においては、配偶者の出産後2か月以内に半日又は1日以上の休みを取得した男性の割合を2020(令和2)年には80%にすることを目標としている。

「さんきゅうパパプロジェクト」では、実際に配偶者の出産後2か月以内に半日又は1日以上の休暇を取得した男性を「さんきゅうパパ」と呼び、具体的に「男性が「子供が生まれる日」、「子供を自宅に迎える日」、「出生届を出す日」などに休暇を取得することを促進する」こととしており、この「さんきゅうパパ」となる男性が増えるよう、「ハンドブック『さんきゅうパパ準備BOOK』」を作成し、様々な機会に配布することにより、理解の促進を図っている。

特に、2018(平成30)年10月14日、神奈川県横浜市パシフィコ横浜で行われた民間イベント「たまひよファミリーパーク横浜」では、内閣府がブースを出展し、父親・母親やこれから父親・母親となる人を対象に、ハンドブックや啓発物品の配布、「出産後2か月以内の休暇取得時期」、「妊娠・出産を機に話し合ったこと」等を回答するアンケート調査を行うとともに、「さんきゅうパパ」が増加するよう、配偶者の出産後に休みを取得することへの理解を促した。アンケートについては、壁のパネルにシールを貼って回答する形式とし、途中経過を回答者が見ることができ、アンケート項目に関して夫婦で話し合う等の姿もみられ、2,000人を超えるブースへの来場者の関心の高さがうかがわれた。

配布したハンドブック「さんきゅうパパ準備BOOK」では、父親や父親となる男性に対し、休暇を取得するために必要なことを「制度の理解」及び「仕事の効率化」である旨を示す一方で、「子育てで使える休暇」の基本知識を解説し、配偶者の妊娠初期から出産後までの期間に父親ができることを記載し、また、企業・団体に対し、産後休暇取得のために求められる点や休暇取得が企業にとってもプラスの効果となることを解説する等、より具体的な内容を記載している。

「たまひよファミリーパーク横浜」行列のできる内閣府ブースの様子

「たまひよファミリーパーク横浜」行列のできる内閣府ブースの様子

会場のアンケートボード

会場のアンケートボード

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