第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第5節 2)

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第1章 重点課題(第5節 2)

第5節 地域の実情に即した取組の強化(2)

2 「地方創生」と連携した取組の推進

「地方創生」と連携した少子化対策の推進

「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2014(平成26)年12月27日閣議決定、2018(平成30)年12月21日改訂)においては、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえることを基本目標に掲げ、(ア)少子化対策における「地域アプローチ」の推進、(イ)若い世代の経済的安定、(ウ)出産・子育て支援、(エ)地域の実情に即した「働き方改革」の推進(仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現等)に取り組むための具体的な施策を記載するとともに、「少子化社会対策大綱」(2015(平成27)年3月20日閣議決定)と連携した総合的な少子化対策を国と地方公共団体が連携して推進する旨を盛り込んでいる。地方公共団体は、国が策定したまち・ひと・しごと創生総合戦略を勘案しながら、地方版まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定・推進することとしており、その際に、他の地方創生のための施策に加え、総合的な少子化対策の展開を図っている。

少子化対策における「地域アプローチ」については、国において、2016(平成28)年2月に、各地域の出生率に関する状況やこれに大きな影響を与えていると考えられる「働き方」等に関する実態を地域別に分析するためのデータをとりまとめた「地域少子化・働き方指標(第2版)」と、指標を活用した分析例や各地域の施策例をとりまとめた「地域少子化対策検討のための手引き―働き方改革を中心に―(第1版)」を公表している(2017年5月に改訂)。同時に、「地域働き方改革支援チーム」を立ち上げており、各地域で開催される、地方公共団体、経済団体、労働団体、労働局等で構成する「地域働き方改革会議」において、地域ごとの少子化・働き方の分析や、働き方改革に向けた取組が円滑に進められるよう、情報提供、助言等の支援を行っている。

2016年度以降、改正「地域再生法」(平成17年法律第24号)に基づく法律補助の交付金として、2016年度当初予算で「地方創生推進交付金」が創設され、引き続き、同交付金を通じて意欲のある地方公共団体による先導的な取組を安定的かつ継続的に支援していく。

トピックス:複数の自治体が連携して取り組む少子化対策

2018(平成30)年6月4日に取りまとめられた「少子化克服戦略会議」の提言1では、「社会全体で子育て応援の機運を盛り上げることが不可欠である。国においては機運醸成の国民運動を展開し、地域においては基礎自治体単位での取組を深化・広域化していくことが有効である」と記されている。

そこで、今後、自治体間での連携を促進していくに当たり、より効果の高い少子化対策を目指し、複数の自治体が連携して取り組んでいる事例を紹介する。

1.市と町が連携して行う取組の例

新潟県新発田市は、1970(昭和45)年に「新発田地域広域市町村圏協議会」を置き、清掃、斎場に関する業務等で近隣の市町村と連携してきた。その後、2016(平成28)年10月には、新発田市・胎内市・聖籠町定住自立圏形成協定を2市1町で締結している。

新発田市は、2012(平成24)年度から2016年度まで結婚支援に関する取組として、ライフデザインセミナー(20~30歳代を対象として、自分自身のライフデザインについて考える機会と場を提供)や、結婚を希望する男女の出会いの機会と場の提供、無料個別相談といった出会う前から理想とする結婚の希望をかなえるまでの一連の支援を行っていたが、この協定の締結を契機として、新発田市と同様に、結婚支援を推進することが必要と考え、かつ「結婚、妊娠・出産、子育ての各段階に応じた切れ目ない取組」を目指している胎内市、聖籠町と連携し、2017(平成29)年度から「新発田市・胎内市・聖籠町定住自立圏婚活支援事業」を開始した。

この事業では、これまで新発田市が単独で行っていたライフデザインセミナーなどのノウハウをもとにして、参加対象者を2市1町に拡大するとともに、2市1町が持ち回りで会場となることにより、市町が単独で事業を行っていたときよりも、主催者である市町にとっては参加対象者の拡大、参加者側にとっては参加機会の拡大につながっている。

これら2市1町では総人口は減少傾向にあるが、婚姻件数は増加傾向にあり、今後、現在行っている結婚支援に関する取組に加え、子育て支援に関する取組においても連携を進めることで、結婚から子育てまでの切れ目ない支援を展開している。

新発田市・胎内市・聖籠町

新発田市・胎内市・聖籠町

ライフデザインセミナー「恋カレッジ」(2018年12月1日、会場:イクネスしばた)

ライフデザインセミナー「恋カレッジ」(2018年12月1日、会場:イクネスしばた)


1 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/kokufuku/index.html

2 「新発田市・胎内市・聖籠町 定住自立圏共生ビジョン」(平成30年3月改定)http://www.city.shibata.lg.jp/machidukuri/seisaku/teiju/1006429.html

2.県と県が連携して行う取組の例

次に県レベルで連携している取組を紹介する。鳥取県西部と島根県東部では生活圏が同じであり一体感が強いという特徴があることから、両県庁の若手職員により、効果の高い連携策について従前から検討されており、2016(平成28)年には結婚支援の在り方について様々な提案がなされた。

婚姻件数、婚姻率が減少傾向のなか、島根県では、2007(平成19)年度から縁結びボランティア「はぴこ」(島根はっぴぃこーでぃねーたー)が相談者と面談して、お見合い相手を紹介する活動を行っていたが、2016年度時点で「はぴこ」230人に対し、「はぴこ」に相談したいと希望する登録者が1,700人を超え、対応が不十分な相談者も増えたことから、「はぴこ」活動と併せ、個々の会員が直接相手を検索するコンピューターマッチングシステム(以下「システム」という。)の導入が必要とされていた。

一方、鳥取県では、2015(平成27)年度に「えんトリー(とっとり出会いサポートセンター)」を設置し、システムを核とした結婚支援を行っていたが、婚姻件数増加に向け更なる会員増加が課題となっていた。

これらの課題を解消するため、両県の若手職員からの提案を踏まえ、2017(平成29)年度には、両県のテレビ局及びラジオ局のネットワークが同一であることをいかして、メディアによる広報や、SNSを活用したユーザー参加型企画により、結婚支援の機運醸成のためのキャンペーンを両県で連携して行い、両県内に効率的にPRすることで機運醸成を図った。

2018(平成30)年12月には、島根県が新たに導入したシステム「しまコ」と鳥取県のシステム「えんトリー」を連携させ、県境を越えたマッチングを希望する会員(以下「希望会員」という。)は、両県の会員から相手を探すことを可能とした。2019(平成31)年3月末で両県の希望会員は591人となり、これにより両県とも会員が増加し、出会いの機会が拡大しており、今後は成婚数の増加も期待されている。

(参考)鳥取県「えんトリー」会員(2015年12月から運用開始):748人(2018年3月末)→938人(2019年3月末、島根県希望会員201人を含む)。島根県「しまコ」会員(2018年10月から運用開始):2019年3月末629人(鳥取県希望会員390人を含む)。

とっとり出会いサポートセンター(タブレットを使ってシステムにアクセスするようになっている)

とっとり出会いサポートセンター(タブレットを使ってシステムにアクセスするようになっている)

3.県と市が連携して行う取組の例

神奈川県と横浜市は2012(平成24)年11月以降、子育て支援パスポート事業(地方公共団体が主体となって、協賛する企業・店舗において、授乳やおむつ交換のスペース提供や、商品代や飲食代等の割引等のサービスが得られる事業)で連携しており、どちらかの登録証を持っていれば、双方の協力施設でサービスを受けることができる。

子育て支援パスポートとして、神奈川県が発行する登録証(名称「かながわ子育て応援パスポート」)は、県内在住の妊娠中の方や小学生以下の子供がいる世帯が利用できる。横浜市が発行する登録証(名称「ハマハグカード」)は、妊娠中の方や小学生以下の子供がいる世帯となっており、市内に在住、在勤、在学していない世帯でも申請すれば利用できる。

2018(平成30)年度、神奈川県では、ハマハグ(横浜市子育て家庭応援事業)の協賛店舗を、神奈川県のウェブサイトからも検索しやすくする改良を行い、同パスポートの利用者の利便性を高めることに努めている。

協賛店で、スマートフォンにインストールされた子育て支援パスポートを提示

協賛店で、スマートフォンにインストールされた子育て支援パスポートを提示

本トピックスで紹介した3事例は、いずれも地域少子化対策重点推進交付金を活用して実施されているものである。

内閣府では、同交付金(2018年度補正予算)において、「自治体間連携を伴う新たな取組に対する支援」を重点課題事業の一つとして位置付けており、多くの地域で行われる自治体間連携を支援し、自治体が行う少子化施策の一層の推進を支援していく予定である。

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