第2部 少子化対策の具体的実施状況(第2章 第2節 1)

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第2章 きめ細かな少子化対策の推進(第2節 1)

第2節 社会全体で行動することによる少子化対策の推進(1)

1 結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会づくり

(マタニティマーク、ベビーカーマークの普及啓発)
マタニティマークの普及啓発

マタニティマークは、妊産婦に対する気遣いなど、妊産婦にやさしい環境づくりに関して広く国民の関心を喚起するために、21世紀における母子保健分野での国民運動計画である「健やか親子21」推進検討会において募集し、2006(平成18)年に発表された。普及啓発を推進するため、ホームページなど様々な機会を通して広く周知するとともに、交通機関、職場や飲食店などに対し、取組への協力の依頼を行っている。(第2-2-13図)

第2-2-13図 マタニティマーク

マタニティマークの普及に取り組む市区町村も着実に増加しており、マタニティマーク入り妊産婦個人用グッズを配付している市区町村数は、2014(平成26)年度には1,706か所(98.0%)となっている。

また、マタニティマークの正しい意味の周知啓発として、マタニティマークファクトブックを作成(2017(平成29)年)し、メディアと連携した啓発を実施した。

ベビーカーマークの普及啓発

ベビーカー使用者が安心して利用できる場所や設備を明示するために、「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」で2014(平成26)年にベビーカーマークを決定(第2-2-14図)、駅や車両、各種建築物等のエレベーターなどで、ベビーカーマークの掲出を行い、ベビーカーの安全な使用のための周知のほか、ベビーカー使用者やその周囲の人にお互いに配慮してもらえるよう、キャンペーンなどにより継続的に働きかけている。

第2-2-14図 ベビーカーマーク

(好事例の顕彰と情報発信)
「子供と家族・若者応援団表彰」の実施

子供・若者を育成支援する活動及び子育てと子育てを担う家族を支援する活動において顕著な功績のあった企業、団体又は個人に対し、「子供と家族・若者応援団表彰」を実施している。また、子供や若者を育成支援する優れた活動などを広く社会に紹介する「子供と家族・若者応援団活動事例紹介事業」を実施している。2018(平成30)年度には、「子供と家族・若者応援団表彰」では、内閣総理大臣表彰として4団体を、内閣府特命担当大臣表彰として「子供・若者育成支援部門」で2名8団体を、「子育て・家族支援部門」で5団体1企業をそれぞれ表彰し、「子供と家族・若者応援団活動事例紹介事業」(チャイルド・ユースサポート章)では、1名14団体の優良な活動について紹介した1。(第2-2-15図)

第2-2-15図 内閣総理大臣表彰【子育て・家族支援部門】受賞者の活動の概要

「子育て・家族支援部門」受賞者

1 https://www8.cao.go.jp/youth/ikusei/support/h30/index.html
https://www8.cao.go.jp/youth/ikusei/support/example/h30/index.html

子供目線のものづくりの推進(キッズデザインの推進)

子供の安全・安心と健やかな成長発達につながる社会環境の創出を目指したデザインである「キッズデザイン」の開発・普及を推進している。2007(平成19)年度に、キッズデザインに優れた製品や取組等を表彰する「キッズデザイン賞」が創設され、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会において運営がなされている。

第12回目に当たる2018(平成30)年には、企業、地方公共団体、研究機関などから合わせて468点の応募があり、そのうち252点が受賞した。受賞作品には「キッズデザインマーク」の使用が認められる。(第2-2-16図)経済産業大臣賞、少子化対策担当大臣賞、消費者担当大臣賞に加えて、2013(平成25)年の第7回より最優秀賞として「内閣総理大臣賞」を創設した。また、2015(平成27)年の第9回に、男女共同参画担当大臣賞を新設し、政府を挙げて推進している。

第2-2-16図 キッズデザインマーク

2018年度は、「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」から少子化対策担当大臣賞として「ベビーカレンダーアプリ」(個人・家庭部門)及び「ベリーベアー深川冬木」(地域・社会部門)を表彰している。(第2-2-17図)

第2-2-17図 2018年度少子化対策担当大臣賞「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」

(妊娠中の方や子供連れに優しい施設や外出しやすい環境整備)
駅や小売店等を活用した子供との外出を応援するサービス等の提供、公共交通機関での子供連れ家族への配慮などの環境整備

公共交通事業者等が行う子育てを応援する取組事例を広く共有し、関係者のさらなる取組の強化を図ることを目的として、2018(平成30)年11月に「子育てにやさしい移動に関する協議会」を設置した。

また、鉄道車両のベビーカー・車椅子優先スペースについて、「公共交通移動等円滑化基準」を改正し、4両編成以上には1列車2か所以上に設置することを義務付けするとともに、「バリアフリー整備ガイドライン」を改訂し、通勤型列車においては、1車両1か所以上に設置することを標準とした。さらに、鉄道駅などの旅客施設におけるエレベーターについて、利用の状況に応じた複数化・大型化を義務付けするとともに、妊産婦、ベビーカー使用者、高齢者、障害者等の「優先マーク」の掲出を標準とした。

子育てバリアフリーの推進

・ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進

「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号。以下「バリアフリー法」という。)に基づき、施設等(旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等)の新設等の際の「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の施設等に対する適合努力義務を定めるとともに、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」(2006(平成18)年国家公安委員会・総務省・国土交通省告示第1号。2011(平成23)年改正)において、2020(令和2)年度末までの整備目標を定めている。

「交通政策基本法」(平成25年法律第92号)に基づく「交通政策基本計画」(2015(平成27)年2月閣議決定)においても、バリアフリーをより一層身近なものにすることを目標の1つとして掲げており、これを踏まえながらバリアフリー化の更なる推進を図っている。

また、市町村が作成する基本構想に基づき、重点整備地区において重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進するとともに、バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め協力を求める「心のバリアフリー」を推進するため、高齢者、障害者等の介助体験や疑似体験を行う「バリアフリー教室」等を開催しているほか、バリアフリー施策のスパイラルアップ(段階的・継続的な発展)を図っている。

こうした中、バリアフリー法を取り巻く環境の変化を踏まえ、また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、共生社会の実現を目指し、全国において更にバリアフリー化を進めるため、2018(平成30)年通常国会(第196回国会)においてバリアフリー法が改正され、公共交通事業者等がハード・ソフト面での計画の作成・取組状況の報告・公表を行う制度や、市町村がバリアフリー方針を定めるマスタープラン制度の創設等が規定された。

今後も妊婦や子供連れ等誰もがスムーズに移動でき、暮らしやすい街づくりを促進していくため、幅広い取組を実施していくこととしている。

・建築物におけるバリアフリー化の推進

不特定多数の者等が利用する建築物について、一定規模以上の新築・増改築・用途変更をしようとする際に建築主に基準への適合義務を課すことにより、建築物のバリアフリー化を推進している。なお、誘導的基準に適合する建築計画については所管行政庁が認定をすることができ、これにより認定を受けた一定の建築物について、助成制度等の支援措置を講じることにより、整備の促進を図っている。2017(平成29)年度までに5,880件の建築物について認定がなされている。

また、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」により、乳幼児用のいす・ベッドを設けた便所や授乳・おむつ替えのためのスペース等乳幼児連れの利用者に配慮した設計の考え方や優良な設計事例等について、建築主や設計者等に周知することでバリアフリー化を促進している。

・公共交通機関のバリアフリー化の推進

公共交通事業者等に対して、旅客施設の新設・大規模な改良及び車両等の新規導入の際に移動等円滑化基準に適合させることを義務付け、既存施設については同基準への適合努力義務が課されているとともに、その職員に対し、バリアフリー化を図るために必要な教育訓練を行うよう努力義務を定めている。さらに、鉄道駅等旅客ターミナル、旅客船のバリアフリー化やノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシーの導入等に対する支援措置を実施している。

また、公共交通機関のバリアフリー化の一環として、ベビーカーを使用しやすい環境づくりに努めている。

・都市公園及び河川空間等のバリアフリー化の推進

公園管理者等に対して、園路及び広場、駐車場、便所等の特定公園施設の新設、増設又は改築を行う際に移動等円滑化基準に適合させることを義務付ける等により、都市公園におけるより一層のバリアフリー化を推進している。また、「社会資本整備総合交付金」等により、妊婦、子供及び子供連れの人にも配慮しつつ、全ての人々の健康運動や遊びの場、休息、交流の場等となる都市公園の整備を推進している。

また、水辺空間において、治水上及び河川利用上の安全・安心に係る河川管理施設の整備により、良好な水辺空間の形成を推進している。さらに、妊婦、子供及び子供連れの人が日常生活の中で海辺に近づき、身近に自然と触れ合えるようにするため、バリアフリーに配慮した海岸保全施設の整備を行っている。

・自然公園等のユニバーサルデザイン化の推進

国立公園等においては、主要な利用施設であるビジターセンター、園路、公衆トイレ等についてユニバーサルデザイン化を推進するなど、乳幼児連れ利用者等にも配慮した自然とのふれあいの場を提供している。

道路交通環境の整備

妊婦、子供及び子供連れの人などが安全にかつ安心して通行することができるよう、都道府県公安委員会と道路管理者が連携して、ビッグデータを活用した潜在的な危険箇所の分析を踏まえた最高速度30キロメートル毎時の区域規制や通行禁止等の交通規制及び信号機等の交通安全施設、歩道、路肩のカラー舗装、ハンプや狭さくの整備等、ハード・ソフトの両面から必要な対策を推進し、生活道路における速度抑制や通過交通の抑制・排除を図るとともに、外周幹線道路の交通を円滑化するための交差点改良やエリア進入部におけるハンプや狭さくの設置等によるエリア内への通過車両の抑制対策を実施している。

また、2012(平成24)年度に実施した通学路の緊急合同点検の結果を踏まえ、学校、教育委員会、道路管理者、警察等関係機関が連携して、通学路の交通安全対策を実施するとともに、地域における定期的な合同点検の実施や対策の改善・充実等による継続的な取組を支援するなど、通学路における交通安全の確保に向けた取組を推進している。

さらに、過去10年間で自転車が関係する事故件数はおおむね半減しているが、自転車対歩行者の事故件数は約1割の減少にとどまっている状況であることなどから、国土交通省と警察庁は、車道通行を基本とした安全な自転車通行空間を早期に確保するため、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」(2016(平成28)年7月一部改定)の周知を図っている。また、2018(平成30)年6月に閣議決定した自転車活用推進計画に基づき、自転車の交通ルール遵守の効果的な啓発や、歩行者・自転車・自動車の適切な分離等、安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた取組を推進している。

このほか、バリアフリー法に基づき、都道府県公安委員会では、音響式信号機、歩行者感応信号機等のバリアフリー対応型信号機等の整備を推進するとともに、道路管理者では、駅、官公庁施設、病院等を結ぶ道路や駅前広場等において、高齢者・障害者をはじめとする誰もが安心して通行できるよう、幅の広い歩道の整備や、歩道の段差・傾斜・勾配の改善、無電柱化、エレベーター等の付いた立体横断施設の設置等による歩行空間のバリアフリー化に努めている。

また、全国の高速道路のサービスエリア及び国が整備した「道の駅」において、おおむね3年以内に、24時間利用可能なベビーコーナーの設置、屋根付きの優先駐車スペースの確保等を完了させるなど、高速道路のサービスエリアや「道の駅」における子育て応援の取組を推進している。

(子供連れにお得なサービスの充実)
子育て支援パスポート事業の全国展開

地域ぐるみで子育てを応援しようとする社会的機運の醸成のため、地方公共団体が主体となり、企業や店舗の協賛を得ながら乳幼児連れの外出支援や子育て家庭に対する各種割引等のサービスを提供する「子育て支援パスポート事業」等の取組が行われている。

2016(平成28)年4月に、41道府県で始まった全国共通展開(サービスの相互利用)については、同年10月には5都府県が参加し、46都道府県となり、2017(平成29)年4月には全ての都道府県が参加し、相互利用が可能となっている。

内閣府では、各都道府県のパスポートの図柄が一目で分かるよう、リーフレット「子育て支援パスポート事業全国共通展開自治体パスポート一覧」を作成し、各都道府県に配布して周知するとともに、さらなる協賛企業・店舗の拡大、サービス内容の充実等を図っている。(第2-2-18図)

第2-2-18図 子育て支援パスポート事業全国共通展開自治体パスポート一覧

トピックス:子育て応援コンソーシアム

1.子育て応援コンソーシアム発足の経緯・目的

「子育て応援コンソーシアム」は、「少子化克服戦略会議提言」(平成30年6月4日少子化克服戦略会議決定)を踏まえ、子育てにやさしい社会的機運の醸成に向けた国民運動の基盤として、内閣府特命担当大臣(少子化対策)をヘッドに、各分野の業界団体を構成員として2018(平成30)年7月に発足したものである。

コンソーシアムは、これまでに3回開催され、子育てに密着する各業界の企業・団体の参加の下、子育てに配慮した取組の展開、分野を超えた連携やそれらに関する情報交換等を行っている。

2.子育て応援コンソーシアムの成果

コンソーシアム第1回会合では、「公共交通関係」、「小売業関係」及び「メディア・広告関係」の企業・団体の出席の下、「業界トップによる子育て応援コメント」や内閣府特命担当大臣(少子化対策)による「子育て世帯応援宣言」のほか、事例紹介や意見交換等を行った。

2018年9月4日の第2回会合においては、「サービスエリア・道の駅」、「旅行・観光業関係」及び「金融・保険業関係」の企業・団体が参集し、事例紹介や意見交換等を行った。

続く2019(平成31)年1月16日の第3回会合では、対象分野を農林水産関係全般に広げ、出席企業・団体による事例紹介と「子供食堂・フードバンク支援」、「子育てしやすい職場づくり」、「地域支援(子育て広場、子育て相談、見守り活動)」、「食(農・魚)育等」、「環境教育(グリツリ2含む)」の5分野で意見交換を行った。また、大臣からは「一歩踏み込んだ3つのお願い」として、<1>フードバンクや子供食堂の全国的な団体が参画する「マッチングネットワーク推進協議会」の積極的な活用、<2>他業界との協働による子育て支援の充実、<3>女性農林漁業者の声を反映する場の設置、を提案した。

このコンソーシアムを活用し、より多くの分野で、子育て世帯にやさしいサービスや機能の充実への取組が進むことが期待される。

子育て応援コンソーシアム第1回会合大臣・各企業・団体トップによる「子育て世帯応援宣言」

子育て応援コンソーシアム第1回会合大臣・各企業・団体トップによる「子育て世帯応援宣言」

子育て応援コンソーシアム第3回会合今後に向けての決意を述べる宮腰大臣

子育て応援コンソーシアム第3回会合今後に向けての決意を述べる宮腰大臣


2 グリーン・ツーリズム:農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動(http://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/kyose_tairyu/k_gt/)

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