第1部 少子化対策の現状(第2章)

[目次]  [戻る]  [次へ]

第2章 少子化対策の取組

【特集】新たな少子化社会対策大綱の策定 ~新しい令和の時代にふさわしい少子化対策へ~

(深刻さを増す少子化)

・2019年の出生数は90万人を割り込み、「86万ショック」とも呼ぶべき状況。合計特殊出生率も1.36と前年から0.06低下した。危機的な少子化の進展が浮き彫りになる中、深刻さを増す少子化の問題は、社会経済に多大な影響を及ぼし、新型コロナウイルス感染症を乗り越えた先にも存在し続ける国民共通の困難である。この困難に真正面から立ち向かい、子供や家族が大事にされる社会への転換が急務である。

(新たな大綱における主な施策)

・少子化の背景には、核家族化の進展など家族を取り巻く環境の多様化や、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っている。

・こうした少子化の問題に取り組むための基本方針として、2020年5月29日に新たな少子化社会対策大綱を閣議決定した。新たな大綱では、基本的な目標として「希望出生率1.8」の実現を掲げ、そのための具体的な道筋として、結婚支援、妊娠・出産への支援、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、地域・社会による子育て支援、多子世帯への支援を含む経済的支援など、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に大胆に取り組むこととしており、具体的に、以下の施策などを盛り込んでいる。

<1>結婚支援

…地方公共団体が行う総合的な結婚支援の一層の取組を支援

<2>妊娠・出産への支援

…不妊治療の費用助成を行うとともに、適応症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討し、支援を拡充

<3>男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備

…男性の育休取得促進策を講じた上で、育児休業給付について、その充実を含め、効果的な制度の在り方を総合的に検討

<4>地域・社会による子育て支援

…保護者の就業の有無等にかかわらず多様なニーズに応じて、全ての子育て家庭が、それぞれが必要とする支援にアクセスでき、安全かつ安心して子供を育てられる環境を整備

<5>多子世帯への支援を含む経済的支援

…児童手当について、財源確保の具体的な方策と併せて、子供の数や所得水準に応じた効果的な給付の在り方を検討

・さらに、新型コロナウイルス感染症は、安心して子供を生み育てられる環境整備の重要性を改めて浮き彫りにしており、非常時の対応にも留意しながら、事態の収束後に見込まれる社会経済や国民生活の変容も見通しつつ、取組を進めることとしている。

・新たな大綱に基づく施策の具体化に速やかに取り組み、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組んでいく。

少子化社会対策大綱のポイント
[目次]  [戻る]  [次へ]