第1部 少子化対策の現状(第1章 5)

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第1章 少子化をめぐる現状(5)

5 出産・子育てをめぐる意識等

出産に対する意識

夫婦にたずねた理想的な子供の数(平均理想子供数)は1987年から低下傾向にあり、2015年は2.32人と、過去最低を更新している。また、夫婦が実際に持つつもりの子供の数(平均予定子供数)も、過去最低である2.01人となっている。(第1-1-21図)

第1-1-21図 平均理想子供数と平均予定子供数の推移

予定子供数が理想子供数を下回る夫婦の理想の子供数を持たない理由としては、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(56.3%)が2010年の前回調査(60.4%)からは低下したものの最も多く、30~34歳で8割を超えている。次に多いのが、「高年齢で生むのはいやだから」(39.8%)や「欲しいけれどもできないから」(23.5%)であり、それぞれ前回調査から上昇している。これらを年代別にみると、年代が高くなるほど、その割合が高くなる傾向がみられ、40~49歳ではそれぞれ、約5割、約3割となっている。(第1-1-22図)

女性の出産前後の就業継続割合は上昇

女性の出産前後の就業をめぐる状況をみると、第1子を出産した既婚女性で、第1子の出産前に就業していた女性のうち、出産後に就業を継続した女性の割合は、これまで4割前後で推移してきたが、2010年から2014年に第1子を出産した既婚女性では、53.1%へと大幅に上昇した。また、第1子を出産した既婚女性で、第1子の出産前に就業していた女性のうち、育児休業を利用して就業を継続した女性の割合も上昇してきており、2010年から2014年に第1子を出産した既婚女性では、39.2%となっている。(第1-1-23図)

第1-1-23図 第1子出生年別にみた、第1子出産前後の妻の就業変化

「正規の職員」と「パート・派遣」に分けて就業継続の割合をみると、「正規の職員」は69.1%であるのに対し、「パート・派遣」は25.2%となっている(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2015年))。

また、末子の妊娠判明当時に仕事を辞めた女性にその理由をたずねたところ、正社員では、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」(30.2%)が最も多く、非正社員では、「家事・育児により時間を割くために辞めた」(29.7%)が特に多い。

「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」と回答した人にその理由をたずねると、正社員では、「育児と両立できる働き方ができなさそうだった」(57.7%)が最も多く、「勤務時間があいそうもなかった」(46.2%)、「職場に両立を支援する雰囲気がなかった」(38.5%)が続く。

非正社員では、「会社に産前・産後休業や育児休業の制度がなかった」(44.4%)、「育児と両立できる働き方ができなさそうだった」(33.3%)、「勤務時間があいそうもなかった」(25.9%)が多い。(第1-1-24図)

第1-1-24図 末子妊娠判明当時の仕事を辞めた理由

子育て世代の男性の長時間労働

週60時間以上の長時間労働をしている男性は、どの年齢層においても、2005年以降おおむね減少傾向にある。しかしながら、子育て期にある30歳代、40歳代の男性については、2019年で、それぞれ12.8%、13.0%が週60時間以上就業しており、ほかの年齢層に比べ高い水準となっている。(第1-1-25図)

また、就業時間が週49時間以上の男性就業者の割合をみると、27.3%(2019年)となっており、他国と比較して高い割合となっている。(第1-1-26図)

第1-1-26図 男性就業者の長時間労働の割合(国際比較)

男性の家事・育児時間

夫の休日の家事・育児時間と第2子以降の出生状況をみると、両者には正の関係性がみられる。(第1-1-27図)

第1-1-27図 夫の休日の家事・育児時間別にみた第2子以降の出生の状況

男性が子育てや家事に費やす時間をみると、2016年における我が国の6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連時間は1日当たり83分となっており、2011年調査に比べて16分増えているものの、先進国中最低の水準にとどまっている。(第1-1-28図)

第1-1-28図 6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(1日当たり・国際比較)

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