第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第1節 2)

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第1章 重点課題(第1節 2)

第1節 結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる(2)

2 結婚を希望する者への支援

(地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等)
地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等

「地域少子化対策重点推進交付金」1では、地方公共団体が行う総合的な結婚支援の取組を支援しており、2020年度においては、結婚支援センター等におけるマッチングシステムの構築・高度化など、地域における様々な結婚支援の取組を支援した。また、「地域少子化対策重点推進交付金」のメニューの一つとして実施している「結婚新生活支援事業」では、一定の所得以下の新婚世帯に対し、結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコスト(新居の家賃、引越費用等)を支援する地方公共団体を支援しており、2020年度は291地方公共団体を支援した。(第2-1-1図)

第2-1-1図 地域少子化対策重点推進交付金

2021年度は、「少子化社会対策大綱」(2020年5月29日閣議決定)に盛り込まれた取組を重点的に支援するため、地方公共団体間の連携を伴う広域的な結婚支援、AIを始めとするマッチングシステムの高度化等を重点的に支援する(補助率を2分の1から3分の2に嵩上げ)とともに、オンラインによる結婚支援・子育て相談など、コロナ禍での新たな取組を推進することとしている。

また、「結婚新生活支援事業」について、近年の婚姻の状況、コロナ禍における経済的打撃や将来不安が結婚に及ぼす影響等を考慮し、年齢・年収要件の緩和を行うこととしている(年齢要件を34歳以下から39歳以下に、世帯年収要件を約480万円未満相当から約540万円未満相当に、それぞれ緩和)。あわせて、都道府県が主導して管内市区町村における本事業の面的拡大を図る優れた取組については、上述の緩和に加え、補助上限額を引き上げる(30万円から29歳以下は60万円に引上げ)とともに、補助率を嵩上げする(2分の1から3分の2に嵩上げ)こととしている。

また、地方公共団体において結婚支援に取り組む担当者及び結婚を希望する独身男女に出会いの機会を提供する結婚支援者を対象に、結婚支援の更なる充実に向け、情報の共有や機運の醸成を図るため、「結婚応援に関する全国連携会議」を開催した(2021年2月)。同会議では、「『恋愛学』から考える少子化問題の実情と解決策」及び「データから読み解く現代の結婚像」についての講演並びに宮崎県都城市のオンライン婚活セミナー・イベントの実施状況の紹介等を行った。


1 「地域少子化対策強化交付金」として2013年度補正予算において創設され、2015年度補正予算から「地域少子化対策重点推進交付金」に名称変更

トピックス:結婚新生活支援事業の充実について

少子化の主な原因は、未婚化・晩婚化と、有配偶出生率の低下であり、特に未婚化・晩婚化(若い世代での未婚率の上昇や、初婚年齢の上昇)の影響が大きいと言われている。

若い世代の結婚の意志については、「いずれ結婚するつもり」と答える者の割合は男女ともに9割程度で推移しているものの、「結婚資金が足りない」ことを理由に結婚に踏み切れない者が男性において3割弱、女性において2割弱いることから1、結婚に伴う経済的負担の軽減を図り、若い世代の結婚の希望をかなえることが重要である。

2020年5月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」(2020年5月29日閣議決定)において、結婚を希望する者への支援が重点課題の一つとされたことから、内閣府において、2021年度以降の結婚支援の充実に向けた検討を進めてきたところである。

1.事業概要

「結婚新生活支援事業」(以下「本事業」という)は、新婚世帯に対し、結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコスト(新居の家賃、引越費用等)を補助する地方公共団体を対象に、国が地方公共団体による補助額の一部を支援する事業である。2016年度から事業を開始し、2020年度は291地方公共団体が本事業を実施した。

2.2021年度の対象要件等に係る拡充内容

近年の婚姻の状況、コロナ禍における経済的打撃や将来不安が結婚に及ぼす影響等を考慮し、2021年度において、年齢・年収要件の緩和(年齢要件を34歳以下から39歳以下に、世帯年収要件を約480万円未満相当から約540万円未満相当に、それぞれ緩和)を行うとともに、都道府県が主導し、地方公共団体間の連携の促進により本事業を実施する地方公共団体の割合を面的に拡大する取組を、モデル事業として重点的に支援することとした(都道府県主導型市町村連携コース)。都道府県主導型市町村連携コースにおいては、補助上限額を現行の30万円から29歳以下を対象に60万円に引き上げるとともに、地方公共団体への補助率を2分の1から3分の2に引き上げる。

(2020年度、2021年までの補助対象要件)

なお、都道府県主導型市町村連携コースの実施にあたっては以下の要件がある。

<1>都道府県が中心となり、本事業を実施する地方公共団体を面的に拡大する計画を提案、内閣府において審査・採択。

<2>事業拡大方策及び今後の地域の取組推進に係る連携方策等を議論するための協議会等を設置。

<3>総合的な結婚支援の観点から、都道府県においては、結婚支援に関する取組2を実施すること。

<4>新生活の円滑なスタートアップを支援するため、受給者に対し、地方公共団体が実施する家事育児参画促進講座など、結婚、妊娠・出産、子育てに温かい社会づくり・機運の醸成に資する取組(セミナー等)への参加等を義務付け。

<5>事業実施期間中は適宜課題の抽出等を行うとともに、内閣府としてフォローアップを実施。

2021年度は、上記の要件を満たしたものの中から、都道府県主導型市町村連携コースにおいて142地方公共団体を採択している。一般コースも併せると539地方公共団体が結婚新生活支援事業を実施することとなり、取組がこれまでになく大きく広がっている。

3.結婚新生活支援事業に関するアンケート

2018年度及び2019年度、結婚新生活支援事業を実施した地方公共団体において、補助金を申請した方を対象に、窓口アンケートを実施した。

「本事業について、どのタイミングで知りましたか」という設問に対して、「婚姻届提出前」と回答した方の割合は、2018年度は45.4%だった一方、2019年度は49.3%となり、約4ポイント上昇した。

また、2019年度のアンケートでは、本事業を婚姻届提出前に知ったと回答した方のうち、「本事業が結婚へのきっかけの1つになったと思う」と回答した方の割合は、56.2%だった。さらに、97.4%の方が「本事業が結婚新生活に伴う経済的不安の軽減に役立った」と回答し、80.7%の方が「本事業により自分たちの結婚が地域に応援されていると感じる」と回答した。

〈「本事業について、どのタイミングで知りましたか」という設問に対する回答結果〉

〈「本事業について、どのタイミングで知りましたか」という設問に対する回答結果〉

本事業に対しては、これまでも、補助対象要件の緩和や補助上限額の引上げ等、内容の拡充を望む声が多く寄せられてきたところである。また、本事業を、結婚支援としてだけではなく、移住・定住促進にもつながるものとして実施しているという地方公共団体もある。

今回の拡充により、本事業の実施が面的に広がり、より一層活用されることに加え、都道府県を中心とした地方公共団体間の連携による結婚支援等の充実が図られることで、より多くの若い世代の結婚の後押しにつながることが期待される。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、経済的な不安を抱えている新婚世帯の方々に安心していただけるよう、本事業及び今回の拡充がその一助となることが望まれる。


1 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(独身者調査)」(2015年)

2 結婚支援に関する取組例:結婚支援センターの設置・運営、出会いの機会・場の提供、結婚支援ボランティアの育成等(単費によるものを含む)

トピックス:結婚応援に関する全国連携会議

内閣府では、例年、地方公共団体において結婚支援に取り組む担当者及びNPOを始めとする民間団体の結婚支援者を対象に、結婚支援の更なる充実に向け、情報の共有や機運の醸成を図るため、「結婚応援に関する全国連携会議」を開催している。

2020年度は、2021年2月2日に会議の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発出されていたことから、オンライン配信による開催となった。

本会議では、有識者による講演及び地方公共団体による事例紹介並びにこれに対する質疑応答を行った。下記において内容の一部を紹介する。

〇早稲田大学国際教養学部教授 森川友義 氏による基調講演「『恋愛学』から考える少子化問題の実情と解決策」

森川氏は、早稲田大学において「恋愛学」の講座を持つ恋愛学者であり、恋愛学の著作も多数執筆している。

講演では、「恋愛学」の立場から、若者の恋愛・結婚の問題点として恋愛・結婚しない男女の増加が少子化問題の最大の要因であると述べた。恋愛・結婚しない男女の増加の理由として、結婚の価値が低下していること、男性の年収が減少していること、女性高学歴者の「ベースライン思考」による高望みなどについて言及し、恋愛・結婚を促す解決策として、オンライン婚活の活用や政府の少子化対策、特に未婚男女への投資などについて提案した。

〇宮崎県都城市 総合政策課による事例紹介「オンライン婚活セミナー・イベントの実施状況について」

宮崎県都城市は、「婚活サポート事業」を実施しているが、新型コロナウイルス感染症の流行下の対応として、セミナー・イベントをオンラインで開催するとともに、企業・団体等とも連携しながら、セミナー・イベントの運営方法も含めた検討を行っている。

事例紹介では、2020年度のオンラインによるセミナー・イベントの実施を通じて見えてきた、オンライン開催に係る課題等が紹介された。

〇国立情報学研究所情報学プリンシプル研究系教授 宇野毅明 氏による特別講演「データから読み解く現代の結婚像」

宇野氏は、AIの研究者として、ビッグデータを活用したAIマッチングシステム導入の先駆けである愛媛県の結婚支援システム(「愛結び」)に携わっている。

講演では、「愛結び」のお勧めの設計の考え方について言及し、自分と似た行動をする人をお勧めすることで成約率が上がった事例とともに、通常のITサービスでのお勧め機能と婚活サービスの違いを説明した。さらに、少子化に関するデータや若者像の特徴をあげた上で、婚活支援戦略について言及した。

森川氏による基調講演の模様
宇野氏による特別講演の模様
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