第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第1節 5)

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第1章 重点課題(第1節 5)

第1節 結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる(5)

5 男性の家事・育児参画の促進

育児休業など男性の育児参画の促進

仕事と家庭の両立については、男女を問わず推進していくことが求められる。父親が子育ての喜びを実感し、子育ての責任を認識しながら、積極的に子育てに関わるよう促していくことが一層求められている。現在のところ、男性が子育てや家事に十分に関わっていないことが、女性の継続就業を困難にし、少子化の一因ともなっていると考えられる。実際、男性の育児休業取得率については、「少子化社会対策大綱」(2020年5月29日閣議決定)において、2025年には30%にすることを目標としているが、現状、7.48%(2019年)にとどまっている。育児・介護休業法においては、男性労働者の育児休業取得を促進するため、〈1〉父母が共に育児休業を取得する等の要件を満たす場合、育児休業取得可能期間が延長される制度(「パパ・ママ育休プラス」)や、〈2〉出産後8週間以内に育児休業を取得・終了した場合、再取得を可能とする制度を設けており、制度の周知を図っている。また、男性の育児休業や育児目的休暇の取得に向けた職場風土づくりに取り組み、育児休業等の取得者が生じた事業主に対し支給する「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」により、男性の育児休業等の取得促進に取り組む事業主を支援している。

さらに、「少子化社会対策大綱」(2020年5月29日閣議決定)において、「男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する」等の記載が盛り込まれたことを踏まえ、2020年9月以降、労働政策審議会において、男性の育児休業取得促進策等について議論が行われ、2021年1月、同審議会において建議が取りまとめられた。これを受けて、2021年通常国会(第204回国会)に、男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設、育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け、育児休業給付に関する所要の規定の整備等の措置を講ずること等を内容とする「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案」を提出した。

また、健康保険及び厚生年金保険の保険料について、短期の育児休業の取得に対応して、育児休業開始日の属する月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除すること等を盛り込んだ「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」を2021年通常国会(第204国会)に提出した。

「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第120号)に基づき定められた行動計画策定指針においては、男性の子育て目的の休暇の取得促進を図るため、子供が生まれる際や子育てを行う際取得することができる企業独自の休暇制度の創設、子供が生まれる際や子育てを行う際の時間単位付与制度の活用も含めた年次有給休暇や、配偶者の産後8週間以内の期間における育児休業の取得促進を図る等、雇用環境の整備に関する事項を行動計画の内容に盛り込むことが望ましいとしている。

また、「少子化社会対策大綱」(2020年5月29日閣議決定)においては、配偶者の出産後2か月以内に半日又は1日以上の休みを取得した男性の割合を2025年には80%にすることを目標として、男性が「子供が生まれる日」、「子供を自宅に迎える日」、「出生届を出す日」などに休暇を取得することを促進する「さんきゅうパパプロジェクト」を推進している。(第2-1-10図)

第2-1-10図 さんきゅうパパプロジェクト

具体的には、晩産化や共働き夫婦の増加などによるライフスタイルの変化とともに、出産や子育てが多様化しつつある中で、妊娠・出産・子育てに際して、男性ができることを考えるきっかけとなるよう「ハンドブック『さんきゅうパパ準備BOOK』」を作成し、各種イベント等において地方公共団体、企業・団体、子育て中の父親・母親等に対して配布すること等により理解の促進を図っている1

2019年度に実施した男性の子育て目的の休暇取得に関する調査研究によると、配偶者の出産後2か月以内に半日又は1日以上の休みを取得した男性の割合は58.7%となっている。この結果を踏まえ、今後、より積極的に「さんきゅうパパプロジェクト」について周知することとしている。

2020年度では、妊娠・子育て中のインスタグラマーに依頼し、自身の体験を投稿してもらうなど、子育て層を中心に男性が休暇を取得することについて考えてもらう機会を作った。


1 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/sankyu_papa.html

男性国家公務員の育児に伴う休暇・休業の取得促進

男性国家公務員の育児休業取得率については、2019年度の数値で16.4%となり、「第4次男女共同参画基本計画」(2015年12月25日閣議決定)における政府目標(2020年に13%)を上回った。今後、「第5次男女共同参画基本計画」(2020年12月25日閣議決定)における男性の育児休業に関する目標(2025年に30%)の達成を目指すとともに、「男の産休」(配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇)についても、全ての男性職員による両休暇合計5日以上の取得達成に向け、引き続き男性職員や管理職員等への意識啓発、取得促進を強力に推進することとしている。

また、2020年度から、子が生まれた全ての男性職員が1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得できることを目指し、具体的には、管理職員が対象となる男性職員本人の意向に沿った取得計画を作成することや、業務分担の見直しを行いつつ、1か月以上の取得を勧奨する等の取組を行っている(「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関する方針」(2019年12月27日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定))。直近の調査結果(2020年4月から6月までに子が生まれた男性職員に係る取得計画策定状況等についての調査結果)によれば、対象職員の約99%について取得計画が策定され、約85%が1か月以上の休暇・休業を予定している等、取組は着実に浸透しているところ、引き続き男性の育児参画を促進するための環境整備を進めている。

男性の家事・育児に関する啓発普及、意識改革

2020年7月、「女性活躍加速のための重点方針2020」(すべての女性が輝く社会づくり本部決定)が取りまとめられ、前年の重点方針2019に引き続き、男性の暮らし方・意識の変革として、男性の家事・育児等への参画についての国民全体の機運の醸成を行うこととされた。これを踏まえ、2020年度も引き続き、子育て世代の男性の家事・育児等の中で、料理への参画促進を目的とした「“おとう飯”始めよう」キャンペーンを実施した。このキャンペーンでは、簡単で手間を掛けず、多少見た目が悪くても美味しい料理を“おとう飯”と称し、イベントの開催及び関連した地方公共団体イベントへの支援や、季節や全国各地の特産品・伝統料理をテーマとした、全国のおとう飯レシピの公開、男性の料理参加を促す語録の発信や、より訴求効果の高い動画を用い、男性の料理参加を促進する取組を行っている。

学校教育においては、男女相互の理解と協力、男女が社会の対等な構成員であること、男女が協力して、家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性などについて、中学校の特別活動や高等学校の公民科、家庭科など関係する教科等を中心に学校教育全体を通じて指導が行われている。

家庭や地域における取組としては、男女が協力して家事・育児を実施する大切さについて保護者が理解を深められるよう、文部科学省では、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チーム等が地域の実情に応じて行う家庭教育支援に関する取組(男性の育児をテーマにした講座や企業等へ出向いて行う講座の実施などを含む)を推進するため、当該取組に対する補助事業(地域における家庭教育支援基盤構築事業)等を実施している。

また、2019年に、「育児や介護による生活の変化が働き方へ与える影響についての意識・実態調査」を実施したほか、メールマガジン「『カエル!ジャパン』通信」を月2回配信し、男性の家事・育児への参画を促進する企業の好事例の提供や自治体のイベント案内等を行っている。

男性が育児をより積極的に楽しみ、かつ、育児休業を取得しやすい社会の実現を目指す「イクメンプロジェクト」の一環として、参加型の公式サイト2の運営や男性の育児休業取得に関する情報を記載したハンドブックの配布等により「イクメン」を広めている。さらに、「イクメン企業アワード」「イクボスアワード」の表彰、企業・労働者向け動画の公開を行うことで、企業において男性の仕事と育児の両立支援の取組が進むよう、好事例の普及を図っている。


2 https://ikumen-project.mhlw.go.jp/

トピックス:新しい生活様式での父親の育児参画

1.新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化

新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの人が家族との過ごし方や子育てなどへの意識や行動を変化させている。2020年12月24日に公表された調査結果3によると、18歳未満の子を持つ親のうち、新型コロナウイルス感染症拡大前と比較し、家族と過ごす時間が「大いに増加・増加・やや増加」した人は4割超、家事・育児時間が「大幅に増加・増加・やや増加」した男性は2割超であった。在宅時間が増えることは、家事・育児に関する夫婦の役割分担の変化を促す場合もあるといえる。こうした状況を、父親の育児参画促進の契機と捉え、機運醸成を図る取組にいかした三重県の事例を紹介する。

2.コロナ禍での「パパの育児フォトコンテスト」

三重県では少子化対策の一環として、「みえの育児男子プロジェクト」と銘打ち、男性の育児参画の推進に取り組んでいる。このプロジェクトの一つ、「ファザー・オブ・ザ・イヤーin みえ」では、県民に男性の育児参画に関心を持ってもらうことを目的に、2014年から、子育てする男性や仕事と育児の両立を応援する上司等の写真やエピソードを募集している。

第7回となる2020年は、パパの育児フォトコンテストとして、「『新しい生活様式』での子育ての工夫や子どもとの過ごし方」、「ステイホーム中のベストショット」など、コロナ禍で厳しい状況にある時だからこそ、子どもとの触れ合いの様子など前向きになれる写真や動画を募集し、共有することで、男性の育児参画に関する機運醸成を図った。

コンテストには、写真・動画を合わせて1,350件の応募があり、22点の受賞作品は県ウェブサイトで公開4されているほか、県内各地の商業施設等でも展示され、多くの人に共有された。受賞作品では、家の中で手作りの夏祭りを楽しむ様子や、父親と子どもが日々の手洗いを楽しみながら行う様子などがみられた。受賞者からは「家族と過ごす時間の大切さについて考える機会が増えた」、「2人で協力して、これからも育児を楽しんでいきたい」といった感想が寄せられた。

3.「男性育児参画の質」向上の取組

三重県では次のステップとして、男性育児参画の質に対する取組も始めている。親になる前のプレパパが男性育児参画のノウハウを学ぶ機会を充実させるためのモデル的な取組の一つとして、「みえのイクボス同盟」加盟企業等と連携し、各企業のプレパパ等を対象とした「パートナーと一緒に取り組む育児」オンラインワークショップを開催した。このワークショップで得られた知見を基に、男性育児参画の視点でのプレパパ教室を展開し、質の向上をめざすこととしている。

第7回「ファザー・オブ・ザ・イヤーinみえ」ベストショット賞

3 内閣府「第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」2020年12月24日公表
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/index.html

4 第7回「ファザー・オブ・ザ・イヤーinみえ」受賞作品 2020年11月公表
https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0323600128.htm

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