第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第1節 6)

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第1章 重点課題(第1節 6)

第1節 結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる(6)

6 働き方改革と暮らし方改革

(長時間労働の是正)
長時間労働の是正及び年次有給休暇の取得促進

労働時間対策としては、単に労働時間の短縮を図るだけではなく、労働時間、休日数及び年次有給休暇を与える時季など労働時間等に関する事項について、労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへ改善することが重要である。また、近年、週労働時間60時間以上の雇用者の割合が依然高い水準で推移していること、過労死等に係る労災認定件数が700件台で推移していること、年次有給休暇の取得率が約50%程度の水準で推移していること、育児・介護や自己啓発などの労働者の抱える事情の多様化に一層の配慮が必要となることなどの課題が生じている。これらを踏まえ、2014年9月に厚生労働省に設置した「長時間労働削減推進本部」の下、労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進等の働き方の見直しに向けた企業への働き掛けを行っている。また、都道府県労働局においても、「働き方改革推進本部」を設置し、企業経営者への働き掛けや地域における働き方の見直しに向けた機運の醸成に取り組んでいる。

加えて、2017年3月には「働き方改革実現会議」において「働き方改革実行計画」が決定され、同計画では、「長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因になっている。」として、長時間労働の是正が柱の一つとされた。2018年6月には、同計画を踏まえた働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立し、「労働基準法」(昭和22年法律第49号)が改正され、「罰則付きの時間外労働の上限規制」や、子育て等の事情を抱える働き手のニーズに対応した「フレックスタイム制の見直し」、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」などの内容が順次施行されている。これらが着実に遵守されるよう、全ての労働基準監督署に設置している労働時間相談・支援班や、47都道府県に設置している「働き方改革推進支援センター」による相談・支援を行っている。

また、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進等の労働時間等の設定の改善に向けた労使の自主的な取組を促進するため、「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」の周知・啓発を行うとともに、毎年10月の年次有給休暇取得促進期間に加え、夏季、年末年始、ゴールデンウィーク等の連続休暇を取得しやすい時季に、年次有給休暇取得の集中的な広報の実施、仕事と生活の調和がとれた働き方普及のためのシンポジウムの開催等を行っている。

(多様で柔軟な働き方の実現に向けた取組)
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等に基づく取組の推進

経済界、労働界、地方公共団体の代表者、有識者、関係閣僚により構成される「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」の下に開催された「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」では、関係者及び組織間の連携を図るとともに、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に基づく仕事と生活の調和の推進に向けた取組状況の点検・評価を行っている。また、2009年からは、取組の更なる展開を図るとともに国民一人一人の仕事と生活の調和に対する理解を深めるため、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート」を、年1回取りまとめている。

さらに、仕事と生活の調和を社会全体の取組として推進するため、「カエル!ジャパン(Change!JPN)」をキーワードとした国民参加型のキャンペーンを展開している。具体的には、メールマガジン「『カエル!ジャパン』通信」の配信によって、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業・団体及び自治体等の情報を提供するとともに、内閣府の「仕事と生活の調和」推進サイト1においても情報提供を行っている。


1 http://wwwa.cao.go.jp/wlb/

多様な正社員制度の導入・普及

少子高齢化、大幅な労働力人口減少の中で、貴重な労働力を確保し、労働生産性を高め、経済の成長を持続させるためには、ライフスタイルに応じた多様な働き方の選択肢を確保するとともに、働き・貢献に見合った公正な待遇を実現することが重要である。

勤務地や職務、労働時間を限定した「多様な正社員」制度の普及を図るため、セミナーの開催や、「多様な正社員」制度を導入している企業の事例についての周知を行っている。また、「多様な正社員」制度の一類型である「短時間正社員制度」について、その導入・定着を促進するため、制度導入・運用支援マニュアルを配布するとともに、パート・有期労働ポータルサイト2に掲載し、短時間正社員制度の概要や取組事例等の周知を行っている。


2 https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/

テレワークの推進

ICTを利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であるテレワークは、特に育児や介護、障害等の個々の事情を抱える人にとって仕事と生活の調和の実現に有効な働き方として、社会的な期待や関心も大きいものとなっている。また、ウィズコロナ・ポストコロナの「新たな日常」、「新しい生活様式」に対応した働き方であり、今後とも良質なテレワークの導入・定着を図ることが重要である。

関係府省では、テレワークが様々な働き方を希望する人の就業機会の創出及び地域の活性化等に資するものとして、テレワークの一層の普及拡大に向けた環境整備、普及啓発等を連携して推進している。2017年より、2020年東京オリンピック競技大会の開会式が予定されていた7月24日を「テレワーク・デイ」として、企業等が一斉にテレワークを実施することを呼び掛け、テレワークの国民運動化に取り組んでいる3。2018年には7月23日から27日の期間を「テレワーク・デイズ」と定め、2019年には更に規模を拡大して7月22日から9月6日までの期間を設定して、テレワーク実施の呼び掛けを強化したところ、2019年「テレワーク・デイズ」には、2,887団体、約68万人が参加した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の維持の両立を可能とするため、期間を限定せず、継続したテレワーク推進の呼び掛け、情報提供等の強化を実施している。(第2-1-11図)

第2-1-11図 「テレワーク・デイズ」概要

また、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省のテレワーク関係4省は、2005年に設立した産学官からなる「テレワーク推進フォーラム」において、テレワークの円滑な導入や効率的な運用に資する普及活動を展開しているほか、2016年からはテレワーク関係府省連絡会議を開催し連携を強めている。「テレワーク推進フォーラム」では、11月を「テレワーク月間」と定め、当該期間において、テレワークの普及促進に向けた広報等を集中的に実施しており、2020年の同月間においても、周知ポスターやチラシによるPRのほか、テレワーク関連イベントの開催等を行った。

このような中で、政府が自ら率先してテレワークを導入する観点から、国家公務員については、2020年度までに、必要な者が必要な時にテレワーク勤務を本格的に活用できるよう、リモートアクセス機能の全府省での導入を実現するため、計画的な環境整備を行うこととしており、本目標に基づき、23府省庁等全てがテレワークの実施規程を整備した上で、制度面・システム面双方での更なる環境の充実に努めた。その結果、2019年度の国家公務員のテレワーク実績(本省分)は、実施者数が26,285人となり、対前年度比で約2.7倍、職員総数に占める実施割合は47.4%となっている。また、2025年度までに、テレワークを活用することで、「新しい日常」に対応し、いかなる環境下においても必要な公務サービスを提供できる体制を整備することを目指し、2021年3月に「国家公務員テレワーク・ロードマップ」を改定した。同ロードマップに基づき、各府省においてテレワーク推進計画を策定し、計画的なテレワーク環境整備を推進している。

企業等に雇用される労働者が行ういわゆる雇用型テレワークについては、「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」での議論を踏まえ、ウィズコロナ・ポストコロナの「新たな日常」、「新しい生活様式」に対応した働き方として、適切な労務管理下における良質なテレワークの導入・実施を進めていくことができるよう、テレワークガイドラインを2021年3月に改定し(「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」)、周知を図っている。

そのほか、テレワーク導入を検討する企業等に対する専門家による無料相談、中小企業支援団体と連携した地域におけるテレワークサポート体制の整備、テレワークによる働き方の実態やテレワーク人口の定量的な把握等を行った。また、テレワーク相談センターでの相談対応やコンサルティングの実施、国家戦略特別区域制度を活用し、東京都と連携して設置した「東京テレワーク推進センター」による導入支援、事業主を対象としたセミナー等の開催、テレワークに先駆的に取り組む企業等に対する表彰の実施、テレワーク導入経費に係る支援等により、適正な労務管理下における良質な雇用型テレワークの普及を図った。

請負等により自宅等で働くいわゆる自営型テレワークについては、クラウドソーシングの普及に伴うトラブルなどの実態を把握した上で2018年2月に改定した「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」の周知セミナーの開催など、周知徹底を図っている。あわせて、自営型テレワークに関する総合支援サイト「ホームワーカーズウェブ」において、自営型テレワーカーや発注者等に対し、有益な情報を提供している。


3 2020年3月30日に、東京オリンピック競技大会の開会式は2021年7月23日に開催されることが決定した。
https://tokyo2020.org/ja/news/news-20200330-04-ja

転勤等に関する仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進の更なる取組

転勤に関する企業のニーズや動向を捉え、企業の転勤に関する雇用管理のポイントを整理した「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」の周知を図っている。

時間単位の年次有給休暇制度の企業への導入促進

多様で柔軟な働き方の実現に資する時間単位の年次有給休暇制度について、周知リーフレットの配布や働き方・休み方改善ポータルサイトによる情報発信等を通じて、制度の活用や企業の取組事例を周知するなど、企業への時間単位の年次有給休暇制度の導入促進を図っている。

なお、「規制改革実施計画」(2019年6月21日閣議決定)において、取得日数など利用の実態を調査する等の現状把握を行った上で、年休の時間単位取得の有効な活用の在り方について検討するとされていることを踏まえ、現状把握を行っている。

国の率先的取組

国家公務員については、2021年1月、全府省の事務次官級で構成する「女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会」において、「ワークライフバランスの推進のための働き方改革」及び「女性の活躍推進のための改革」の二つの改革を柱とする「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(2014年10月17日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定)の一部改正を行った。府省は、改正後の同指針を踏まえ、2025年度末までを視野に入れた取組等を盛り込んだ取組計画を策定し、これに基づいて総合的かつ計画的な取組を進めている。

(雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組)
非正規雇用対策の推進(再掲)

第1章 第1節 1 若い世代が将来に展望を持てる雇用環境等の整備 (経済的基盤の安定)非正規雇用対策の推進を参照のこと。

雇用によらない働き方の者に対する支援

多様な働き方や高齢者雇用の拡大などの観点からも、フリーランスを安心して選択できる環境を整えるため、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(昭和22年法律第54号)、「下請代金支払遅延等防止法」(昭和31年法律第120号)、労働関係法令の適用関係を明らかにするとともにこれらの法令に基づく問題行為を明確化するため、実効性及び一覧性のあるガイドラインを、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省連名で2021年3月に策定した。

また、フリーランスと発注者等との契約等のトラブルについて、関係省庁と連携して相談できる窓口(フリーランス・トラブル110番)を2020年11月に整備するとともに、労働者災害補償保険の活用を図るため、特別加入制度について、2021年4月より一部対象の拡大を行うこととした。

(暮らし方改革)
地域活動への多様で柔軟な参加の促進

自治会等の女性の会長が取り組んだ好事例を内閣府のホームページ4で発信している。


4 https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/chiiki/pdf/jirei_h30.pdf

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