第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第4節 3)

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第1章 重点課題(第4節 3)

第4節 結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる(3)

3 結婚、妊娠・出産、子供・子育てに関する効果的な情報発信

「子供と家族・若者応援団表彰」等の実施

子供・若者を育成支援する活動及び子育てと子育てを担う家族を支援する活動において顕著な功績のあった企業、団体又は個人に対し、「子供と家族・若者応援団表彰」を実施している。また、子供や若者を育成支援する優れた活動などを広く社会に紹介する「子供と家族・若者応援団活動事例紹介事業」を実施している。2020年度には、「子供と家族・若者応援団表彰」では、内閣総理大臣表彰として3団体を、内閣府特命担当大臣表彰として「子供・若者育成支援部門」で8団体1企業を、「子育て・家族支援部門」で3団体1企業をそれぞれ表彰し、「子供と家族・若者応援団活動事例紹介事業」(チャイルド・ユースサポート章)では、2名4団体の優良な活動について紹介した1。(第2-1-22図)

第2-1-22図 内閣総理大臣表彰【子育て・家族支援部門】受賞者の活動の概要

「子育て・家族支援部門」受賞者

1 https://www8.cao.go.jp/youth/ikusei/katudou/r02/index.html

子供目線のものづくりの推進(キッズデザインの推進)

特定非営利活動法人キッズデザイン協議会と連携し、子供や子供を産み育てやすい生活環境の実現を目指すデザインである「キッズデザイン」の普及・推進に取り組んでいる。

キッズデザイン協議会は、2007年に、子供や子供の産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする表彰制度「キッズデザイン賞」を創設した。受賞作品には「キッズデザインマーク」の使用が認められる。(第2-1-23図)

第2-1-23図 キッズデザインマーク

キッズデザイン賞では、経済産業大臣賞、少子化対策担当大臣賞、消費者担当大臣賞の表彰に加え、2013年の第7回から内閣総理大臣賞、2015年の第9回から男女共同参画担当大臣賞を表彰しており、政府を挙げてキッズデザインを推進している。

2020年の「第14回キッズデザイン賞」では、企業や地方公共団体等から合わせて390点の応募があり、そのうち237点が受賞している。また、受賞作品のうち、「子育てにちょうどいいミシン」(個人・家庭部門)及び「まちのもり本町田」(地域・社会部門)が少子化対策担当大臣賞を受賞している。(第2-1-24図)

第2-1-24図 2020年度少子化対策担当大臣賞「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」

少子化に関する調査研究等

少子化に関する調査研究については、2020年度に「少子化社会に関する国際意識調査」及び「地方自治体における少子化対策の取組状況に関する調査」を実施した。「少子化社会に関する国際意識調査」では、結婚・子育て等に関する我が国及び諸外国の国民意識を調査し、比較分析を行うことで、我が国の特徴を明らかにした。「地方自治体における少子化対策の取組状況に関する調査」では、少子化対策の取組状況とこれに伴う地域の実情・課題を把握した。

トピックス:少子化社会に関する国際意識調査について

少子化は、先進諸国において共通する問題であるが、一定の取組を講じて、出生率が改善した国もみられる。フランスやスウェーデンは、合計特殊出生率(以下、出生率という。)が一時期1.5~1.6台まで低下したが、国民負担を求めながら、経済的支援を含む子育て支援策の充実や仕事と育児の両立支援策など、長期間にわたり継続的かつ総合的な取組を進めてきたことにより、2000年代後半には2.0前後まで回復し、現在も比較的高い出生率を維持している。また、日本同様、長期間出生率が低迷していたドイツでも、男女の家事育児負担の平等化と女性の職場復帰を促したことにより、近年出生率の回復がみられ始めている。

内閣府では、少子化の背景にある要因や各国の少子化対策について比較分析し、我が国の特性を把握するために、5年ごとに国際意識調査を実施している。2020年度は、2020年10月から2021年1月にかけて、日本、フランス、ドイツ、スウェーデンの20歳から49歳までの男女を対象に結婚・子育て等の意識に関する調査を行った。あわせて、2020年度調査では、新型コロナウイルス感染症拡大による影響についても調査した。

以下では、恋愛、結婚、妊娠・出産、子育てという個人のライフステージの各段階における意識と、新型コロナウイルス感染症拡大が結婚、出産、育児負担に与えた影響について、国際比較の結果を紹介する。

(1)恋愛
ア 恋愛に対する考え方(図表1)

図表1 恋愛に対する考え方(複数回答)

恋愛に対する考え方(複数回答)

恋愛に対する考え方について聞いたところ、日本では、「恋愛することで人生が豊かになる」(47.9%)が最も高く、次いで「相手からアプローチがあれば考える」(40.4%)、「交際をすると相手との結婚を考える」(37.0%)が続く。

各国の結果を比較すると、各国とも「恋愛することで人生が豊かになる」(フランス:54.0%、ドイツ:62.3%、スウェーデン:87.6%)が最も高いが、特にスウェーデンでは9割弱となっている。

日本について前回2015年度調査の結果と比較すると、「恋愛することに自信がない」(2015年:7.7%→2020年:14.1%)、「恋愛は面倒だと感じる」(12.7%→19.4%)、「相手からアプローチがあれば考える」(34.9%→40.4%)、「恋愛することで人生が豊かになる」(42.8%→47.9%)の各項目でそれぞれ5ポイント以上増加した一方、「恋愛よりも勉強や仕事を優先したい」(19.2%→12.4%)と「交際をすると相手との結婚を考える」(42.7%→37.0%)は5ポイント以上減少した。

イ 交際相手との出会いの機会(図表2)

図表2 交際相手との出会いの機会(複数回答)

交際相手との出会いの機会(複数回答)

交際相手との出会いを求めるとしたら、どのような機会があるとよいと思うかについて聞いたところ、日本では、「友人・知人に紹介を頼む(紹介をうける)」(62.4%)が最も高く、以下、「趣味のサークル、資格取得・スキルアップのための学校で知り合う」(38.8%)、「職場の同僚や先輩・後輩に紹介を頼む(紹介をうける)」(33.6%)が続く。

各国の結果を比較すると、フランスでは「趣味のサークル、資格取得・スキルアップのための学校で知り合う」(30.3%)、ドイツ・スウェーデンでは「友人・知人に紹介を頼む(紹介をうける)」(ドイツ:58.1%、スウェーデン:57.1%)が最も高くなっている。また、欧州3か国では「婚活サイトなどのインターネットサイトやSNS、マッチングアプリを利用する」(フランス:24.3%、ドイツ:34.4%、スウェーデン:53.3%)が高くなっているが、日本では16.9%にとどまっている。

(2)結婚
ア 独身の理由(図表3)

図表3 独身の理由〈独身者〉(上位3項目)

独身の理由〈独身者〉(上位3項目)

独身の理由についてみると、日本では、「適当な相手にまだ巡り会わないから」(50.5%)が最も高く、以下、「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」(38.6%)、「経済的に余裕がないから」(29.8%)、「結婚する必要性を感じないから」(27.9%)、「今は、趣味や娯楽を楽しみたいから」(27.3%)などの順となっている。

各国の結果を比較すると、欧州3か国では「結婚する必要性を感じないから」(フランス:58.9%、ドイツ:49.0%、スウェーデン:60.7%)の割合が最も高くなっている。

日本について前回2015年度調査と比較すると、「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」(29.6%→38.6%)が9.0ポイント増加し、「今は、仕事(又は学業)に打ち込みたいから」(32.0%→19.0%)が13.0ポイント減少している。

(3)妊娠・出産
ア 日本(フランス・ドイツ・スウェーデン)について、子供を生み育てやすい国だと思うか(図表4)

図表4 子供を生み育てやすい国だと思うか(単一回答)

子供を生み育てやすい国だと思うか(単一回答)

自国が子供を生み育てやすい国だと思うか聞いたところ、日本では、「全くそう思わない」(13.9%)と「どちらかといえばそう思わない」(47.2%)を合計した『そう思わない(計)』が61.1%と多数を占める。

各国の結果を比較すると、「とてもそう思う」の割合はスウェーデンが80.4%と非常に高く、次いでドイツ(26.5%)、フランス(25.5%)が2割台半ばで並び、日本(4.4%)との差が大きい。「とてもそう思う」と「どちらかと言えばそう思う」を合計した『そう思う(計)』の割合は、スウェーデンが97.1%、フランスが82.0%、ドイツが77.0%の順であり、日本(38.3%)を大きく上回る。

イ 子供を生み育てやすい国だと思う理由(図表5)

図表5 子供を生み育てやすい国だと思う理由〈子供を生み育てやすい国だと思うと回答した回答者〉(複数回答)

子供を生み育てやすい国だと思う理由〈子供を生み育てやすい国だと思うと回答した回答者〉(複数回答)

自国が子供を生み育てやすい国だと思うと回答した人に、その理由を聞いたところ、日本では、「地域の治安がいいから」が52.0%と最も高く、「妊娠から出産後までの母体医療・小児医療が充実しているから」が46.1%で続く。

各国の結果を比較すると、フランス、ドイツでは、「妊娠から出産後までの母体医療・小児医療が充実しているから」(フランス:56.0%、ドイツ58.3%)と「各種の保育サービスが充実しているから」(フランス:54.4%、ドイツ:58.4%)の割合が並んで最も高い。スウェーデンでは、「教育費の支援、軽減があるから」(84.1%)と「育児休業中の所得保障が充実しているから」(83.6%)が8割台で最も高い。また、上位項目ではないが「子供を生み育てることに社会全体がやさしく理解があるから」(54.5%)と「地域で子育てを助けてもらえるから」(40.9%)がスウェーデンでは他の3か国よりも高い。

日本について前回2015年度調査の結果と比較すると、「各種の保育サービスが充実しているから」(27.1%→37.9%)と「教育費の支援、軽減があるから」(28.8%→39.0%)と回答した人の割合がそれぞれ10ポイント程度増加している。一方、「親との同居、近居により親の支援があるから」(28.5%→17.9%)は10.6ポイント、「地域で子育てを助けてもらえるから」(13.7%→5.5%)は8.2ポイント、「妊娠から出産後までの母体医療・小児医療が充実しているから」(52.1%→46.1%)は6.0ポイント減少した。

(4)子育て
ア 小学校入学前の子供の育児における夫・妻の役割について(図表6)

図表6 小学校入学前の子供の育児における夫・妻の役割について(単一回答)

小学校入学前の子供の育児における夫・妻の役割について(単一回答)

小学校入学前の子供の育児における夫・妻の役割についての考えを聞いたところ、日本では、「主に妻が行うが、夫も手伝う」(49.9%)が約半数を占めており、「妻も夫も同じように行う」(40.5%)が続く。

各国の結果を比較すると、欧州3か国では「妻も夫も同じように行う」(フランス:60.9%、ドイツ:62.7%、スウェーデン:94.5%)と回答した人の割合が6割を超えており、スウェーデンで9割台と特に高くなっている。

日本について過去の結果と比較すると、「妻も夫も同じように行う」(40.5%)が前回2015年度調査の33.2%より7.3ポイント増加している。

イ 育児の中で、妻よりも夫の方が主に行ってほしいこと(図表7)

図表7 育児の中で、妻よりも夫の方が主に行ってほしいこと〈子供が1人以上の回答者〉(複数回答)

育児の中で、妻よりも夫の方が主に行ってほしいこと〈子供が1人以上の回答者〉(複数回答)

子供のいる方に、家庭の中で、小学校入学前の育児において、男性には妻と同程度あるいは自身の方が主として行いたい(行いたかった)こと、女性には自身と同程度あるいは夫の方が主として行ってほしい(行ってほしかった)ことは何か聞いたところ、日本では、「散歩など、屋外へ遊びに連れて行く」(52.8%)が最も高く、「家の中で、話や遊び相手をする」(51.9%)、「入浴させる」(47.3%)が続く。

各国の結果を比較すると、欧州3か国ではほぼ全ての項目で日本より高い割合となっている。フランスでは「日常生活上のしつけ」(77.0%)、ドイツでは「家の中で、話や遊び相手をする」(79.2%)、スウェーデンでは「寝かしつける」(73.8%)がそれぞれ最も高い。

日本について前回2015年度調査の結果と比較すると、「食事の世話をする」(16.3%→38.3%)、「保育所・幼稚園(日中預けている場所)の送り迎え」(19.9%→38.7%)、「寝かしつける」(27.5%→45.9%)、「おむつを取り換える」(21.9%→39.8%)がそれぞれ20ポイント前後増加している。

(5)新型コロナウイルス感染症拡大が結婚・子育て等の意識に与えた影響
ア 結婚(同棲)に対する意識の変化(図表8)

図表8 結婚(同棲)に対する意識の変化〈現在、結婚も同棲もしていない回答者〉 (単一回答)

結婚(同棲)に対する意識の変化〈現在、結婚も同棲もしていない回答者〉 (単一回答)

現在結婚も同棲もしていない人に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、結婚(同棲)に対する意識に変化はあったか聞いたところ、日本では、「特に変わらない」の割合が74.2%で最も多いが、結婚(同棲)したいという気持ちが『強くなった(計)』と回答した人は10.2%であり、『弱くなった(計)』と回答した人の割合(5.1%)よりも高い。

各国の結果を比較すると、結婚(同棲)したいという気持ちが『強くなった(計)』はドイツ(24.6%)とスウェーデン(24.5%)で約4分の1と高く、日本(10.2%)とフランス(9.2%)が1割前後となっている。4か国とも「特に変わらない」が多数を占め、『弱くなった(計)』よりも『強くなった(計)』の方が高いが、フランスでは『弱くなった(計)』と『強くなった(計)』が拮抗している。

イ 子供を持つことに対する意識の変化(図表9)

図表9 子供を持つことに対する意識の変化(単一回答)

子供を持つことに対する意識の変化(単一回答)

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、子供を持つことに対する意識の変化はあったか聞いたところ、日本では、「特に変わらない」の割合が85.9%で大多数を占め、子供を持ちたいという気持ちが『強くなった(計)』と回答した人は3.5%にとどまる。子供を持ちたいという気持ちが『弱くなった(計)』と回答した人の割合は10.0%で、『強くなった(計)』と回答した人の割合よりも高い。

各国の結果を比較すると、『強くなった(計)』はドイツ(15.4%)で最も高く、次いでフランス(8.0%)、スウェーデン(7.7%)、日本(3.5%)の順である。4か国とも「特に変わらない」が大多数を占め、ドイツとスウェーデンでは、『弱くなった(計)』よりも『強くなった(計)』の方がやや高いが、日本とフランスでは『弱くなった(計)』の方が高い。

ウ 家事や育児の負担に対する意識の変化(図表10)

図表10 家事や育児の負担に対する意識の変化(単一回答)

家事や育児の負担に対する意識の変化(単一回答)

家事や育児の負担については、日本では「非常に増えた」(9.9%)と「やや増えた」(18.0%)を合計した27.9%が家事や育児の負担が『増えた(計)』としているが、大多数の69.6%は「変わらない」と回答している。

各国の結果を比較すると、家事や育児の負担が『増えた(計)』という回答はドイツ(29.4%)で日本と同程度であり、次いでフランス(23.1%)、スウェーデン(19.2%)の順である。

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