第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第5節 1)

[目次]  [戻る]  [次へ]

第1章 重点課題(第5節 1)

第5節 科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する(1)

1 結婚支援・子育て分野におけるICTやAI等の科学技術の成果の活用促進

結婚支援におけるAI等の適切な活用

「地域少子化対策重点推進交付金」では、結婚の希望を叶える取組の一つとして、地方公共団体によるAIやビッグデータを活用した結婚支援の取組を支援してきた。都道府県レベルでは、2020年12月1日時点で19の県において、AI 等を活用したマッチングシステムを導入しており、お見合いに至る割合が上昇するなど、従来のシステムに比べて高い効果を挙げている。

さらに、「少子化社会対策大綱」(2020年5月29日閣議決定)において、結婚支援におけるAI等の適切な活用が盛り込まれたことを踏まえ、2021年度において、地方公共団体が行う、AIを始めとするマッチングシステムの高度化や、マッチングシステムと相談員による支援を組み合わせた結婚支援等について、補助率等を2分の1から3分の2に引き上げて重点的に支援することとしている。

地域におけるAI・IoT等の活用の推進

総務省では、ICTを活用した地域における先進事例の横展開であって、地域の課題解決等に貢献するシステムの導入について補助金を交付する「地域IoT実装・共同利用推進事業」を実施してきたところである。本事業においては、保育行政における業務の効率化にAIを活用するシステムについても補助対象としており、2020年度はAIによる保育所入所選考マッチング(保育所等の入所申込情報を読み取り、入所希望順位や兄弟の条件などを踏まえた振り分け作業を行うもの。)を導入する地方公共団体11団体に対して補助金を交付した。

子育てワンストップサービスの推進

「子育て」に関連する手続は多数存在するが、来庁を前提とする対面手続や、オンライン化されていない書面手続が多く、子育てや仕事に忙しい子育て世代における手続に係る負担(時間、費用等)が大きい。

こうした状況を改善するために、2017年度に、マイナポータルを活用して地方公共団体における子育てに関するサービス検索及びオンライン申請ができる子育てワンストップサービスを開始した。

引き続き、窓口に出向かずとも子育てに関する官民の様々なサービスの申請がオンラインで完結し、また、必要な情報をプッシュ型通知により受けることができる仕組みにより、子育て世代における利便性向上や手続に係る負担の軽減を実現する。

内閣官房及び関係府省は、マイナポータルを活用して子育てに関するサービス検索及びオンライン申請ができる子育てワンストップサービスについて、更なる導入自治体数の増加を目的として、2021年度以降順次、各手続のオンライン申請に係る標準様式を作成し、マイナポータルへの事前登録を予定している。これにより、地方公共団体のオンライン申請様式の作成・登録に係る負担を軽減する。また、マイナポータルにおいて、保育所入所申請に必要な就労証明書のデジタル化対応や障害児施策へのワンストップサービスの拡充等を行い、子育てワンストップサービスの利用を促進する。

子育てノンストップサービスの推進

民間アプリ会社等と連携した子育て手続のデジタル化を推進し、子育て世帯の負担軽減や地方公共団体の業務効率化を実現する「子育てノンストップサービス」について、2020年3月に公表したロードマップに基づき、定期の予防接種等を対象に2023年度からの全国展開に向けて取り組むとともに、保育や乳幼児健診などその他の手続についても検討を進め、妊娠期から就学前まで切れ目なく最適なタイミングでサポートする環境の実現を図る。

ICTを活用した子育て支援サービス(Baby tech)の普及促進

ICTを活用した子育て支援サービス(Baby tech(ベビーテック))の普及促進等を通じて、子育て家庭が家事・育児の負担を軽減する商品やサービスを積極的に活用できる環境をつくることが必要である。子育てにテクノロジーをいかすことで、家事・育児の効率化が進めば、子供と向き合う時間が増え、ゆとりある子育てにつながることが期待される。

複数の企業において、非接触型のベビーセンサー、子育て仲間とつながるアプリ、母子手帳のアプリ化、保育施設における幼児用センサーや自動撮影機能などの製品等が開発・販売されている。

内閣府では、2019年度に開催した「子育て応援コンソーシアム」においてベビーテックの製品の発表の場を設けたほか、2020年度では、「家族の日」「家族の週間」の特設ホームページにおいて賛同企業となったベビーテック関連企業の紹介を行った。

[目次]  [戻る]  [次へ]