第2部 少子化対策の具体的実施状況(第2章 第4節 9)

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第2章 ライフステージの各段階における施策(第4節 9)

第4節 子育て(9)

9 子供が健康で、安全かつ安心に育つ環境の整備

(小児医療の充実)
小児医療の充実

小児医療については、今後の我が国の社会を担う若い生命を守り育て、また、保護者の育児面における安心の確保を図る観点から、地域においていつでも安心して医療サービスを受けられるよう、小児医療に係る医療提供施設相互の連携体制の構築を推進している。特に小児救急医療については、小児初期救急センター、小児救急医療拠点病院、小児救命救急センターの整備等を支援している。

また、休日・夜間における小児の症状等に関する保護者等の不安解消等のため、小児の保護者等に対し小児科医や看護師等が電話で助言等を行う「子ども医療電話相談事業(♯8000事業)」の整備を進めている。2004年度より開始された本事業は、2010年度からは全都道府県で事業展開されている。(第2-2-6図)さらに、2019年度に、各都道府県が小児科医師確保計画を策定し、2020年度から同計画を基に、医療提供体制の見直しや医師派遣等の施策を進めている。小児医療については、近年の累次の診療報酬改定において重点的な評価が行われているところであり、2020年度診療報酬改定においても、小児に対する継続的な診療をより一層推進する観点から、小児かかりつけ診療料の対象となる年齢を拡大するとともに、医療的ケアが必要な小児について、主治医と学校医等との連携を推進する観点から、主治医から学校医等への診療情報提供についての評価を新設したところである。

第2-2-6図 ♯8000事業の実施状況について

小児慢性特定疾病対策等の充実

小児慢性特定疾病対策については、2015年1月から、児童福祉法に基づき、公平かつ安定的な制度(小児慢性特定疾病医療費助成制度)を確立し、都道府県等において医療費助成が実施されている。医療費助成の対象疾病(※)は、2020年までに、同法改正法の施行前に対象としていた514疾病から762疾病に拡大している。

(※)小児慢性特定疾病:以下の〈1〉~〈4〉の要件を全て満たし、厚生労働大臣が定めるもの

〈1〉慢性に経過する疾病であること、〈2〉生命を長期にわたって脅かす疾病であること、〈3〉症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること、〈4〉長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること。

医療費助成の対象となる疾病は、〈1〉悪性新生物、〈2〉慢性腎疾患、〈3〉慢性呼吸器疾患、〈4〉慢性心疾患、〈5〉内分泌疾患、〈6〉膠原病、〈7〉糖尿病、〈8〉先天性代謝異常、〈9〉血液疾患、〈10〉免疫疾患、〈11〉神経・筋疾患、〈12〉慢性消化器疾患、〈13〉染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群、〈14〉皮膚疾患、〈15〉骨系統疾患及び〈16〉脈管系疾患の16疾患群に分類されている。

また、幼少期から慢性的な疾病にかかっているため、学校生活での教育や社会性の涵養に遅れがみられ、自立を阻害されている児童等について、地域による総合的な支援により自立の促進を図る「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」についても2015年1月から児童福祉法に位置付けたところであり、同法に基づき都道府県等において実施されている。

さらに、児童福祉法改正法附則に基づく施行5年後の見直しについて、2019年5月から、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会及び社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の合同委員会等において、検討を行っている。

予防接種の推進

予防接種は、感染症の発生及び流行から国民を守る極めて有効な手段であり、我が国の感染症対策上大きな役割を果たしてきたところである。今後も、予防接種の機会を広く確保するとともに、制度の見直し及び充実を図り、予防接種施策を適切に実施していくことが重要である。

2013年3月の予防接種法改正では、新たにHib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス感染症の三ワクチンが定期接種に位置付けられた。また、「予防接種に関する基本的な計画」(平成26年厚生労働省告示第121号)の策定、副反応疑い報告制度の法定化、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の設置等の取組が進んだ。さらに、先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの数が少ない、いわゆる「ワクチン・ギャップ」の問題の解消に向け、厚生科学審議会等において「広く接種を促進していくことがのぞましい」とされた水痘、高齢者の肺炎球菌感染症については、2014年10月から、B型肝炎については、2016年10月から、ロタウイルス感染症については、2020年10月から定期接種として実施している。

こころの健康づくり

学校において健康課題を抱える子供に対する支援が適切に行われるよう、教員を対象とした参考資料を作成するとともに、養護教諭等を対象とした研修会の実施や、児童生徒の心のケア等を図るため、スクールカウンセラーの活用など学校における教育相談体制の充実に努めている。また、コロナ禍における対応として、各都道府県教育委員会等に対して通知等を発出し、児童生徒の心のケア等に十分に配慮するよう求めている。

さらに、児童思春期におけるこころの健康づくり対策としては、児童思春期におけるこころのケアの専門家の養成研修事業を行っており、精神保健福祉センター、児童相談所等では思春期の児童に係る相談支援を実施している。

加えて、様々な子供の心の問題、被虐待児の心のケアや発達障害に対応するため、都道府県及び指定都市における拠点病院を中核とし、各医療機関や保健福祉機関等と連携した支援体制の構築を図るとともに、災害時の子供の心の支援体制づくりのための「子どもの心の診療ネットワーク事業」を実施している。

(子供の健やかな育ち)
学校の教育環境の整備等

幼稚園については、2017年3月に「幼稚園教育要領」が改訂され、2018年4月から実施されている。幼稚園教育要領では幼稚園教育において育みたい資質・能力(「知識及び技能の基礎」、「思考力、判断力、表現力等の基礎」、「学びに向かう力、人間性等」)を明確化した。また、幼稚園教育要領に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿を「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として明確にし、小学校の教師と共有することにより幼稚園教育と小学校教育の接続について一層の推進を図った。

また、文部科学省では、2019年度において、地方公共団体における幼児教育センターの設置や幼児教育アドバイザーの配置等の、幼児教育の推進体制の充実・活用強化、幼稚園教諭の専門性向上のための幼稚園教諭免許法認定講習等の開設支援を通じた幼稚園教諭二種免許状から一種免許状への免許上進の促進、幼稚園の人材確保のための各地域における先導的な取組の支援と有効な方法の検証・普及、幼児教育の教育課題に対応した指導方法についてより充実するための調査研究等を行った。

保育所については、2015年4月からの「子ども・子育て支援新制度」の施行、0~2歳児を中心とした保育所利用児童数の増加など保育をめぐる状況が大きく変化したこと等を受け、2017年3月に「保育所保育指針」の改定を行った。社会保障審議会児童部会保育専門委員会の「保育所保育指針の改定に関する議論のとりまとめ」(2016年12月)において、改定の方向性として、〈1〉乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実、〈2〉保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ、〈3〉子供の育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し、〈4〉保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性、〈5〉職員の資質・専門性の向上といった内容が示され、これを受けて改定を行ったものである。新たな保育所保育指針は2018年4月から適用されている。

また、保育の質を向上させるため、2020年3月に「保育所における自己評価ガイドライン」を改訂した。さらに、保育を含む福祉サービスの第三者評価事業の普及を図るため、「子ども・子育て支援新制度」において、保育所の受審料を支援する「第三者評価受審加算」を設けている。

幼稚園、保育所両方の性格を有する幼保連携型認定こども園については、教育課程そのほかの教育及び保育の内容に関する事項を定めた「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」(以下「教育・保育要領」という。)を2014年4月に内閣府・文部科学省・厚生労働省で共同告示し、2015年4月から施行された。教育・保育要領の内容を定めるに当たっては、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(平成18年法律第77号。以下「認定こども園法」という。)第10条第2項において、幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性の確保に配慮しなければならないとされている。このため、幼稚園教育要領及び保育所保育指針の改訂等に向けた検討を受け、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂に関する検討会」の審議を踏まえて教育・保育要領を改訂し、2017年3月に共同告示した。

新しい教育・保育要領の基本的な考え方は、〈1〉幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性を確保すること、〈2〉幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項等として「教育と保育が一体的に行われること」、「教育及び保育の内容並びに子育ての支援等に関する全体的な計画の策定」、「多様な生活形態の保護者への配慮」等の記載を充実することの2点である。改訂の内容については、2018年4月から施行されている。

また、認定こども園法等において、教育及び保育並びに子育て支援事業等の状況についての評価が規定されている。評価のうち、第三者評価についての受審を進めていくために、「子ども・子育て支援新制度」において、第三者評価の受審料を支援する「第三者評価受審加算」を設けている。

初等中等教育については、2016年12月の中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」を踏まえ、現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の理解の質の向上を図り、これからの時代に求められる資質・能力を育んでいくことを目指した学習指導要領改訂を行った。新学習指導要領は、小学校では2020年4月から、中学校では2021年4月から全面実施され、高等学校では2022年4月から年次進行で実施されるところであり、その理念の実現に向けた施策を着実に進めている。

教員の養成においても、教職を目指す学生のための学校体験活動(学校における校務や放課後子供教室、土曜学習等の活動の補助)を免許状取得に必要な単位に含むことを可能としており、2019年度の入学生から、全国の大学等で学校現場の実情を踏まえたより実践的な教員養成が行われている。

また、学校の教育環境の根幹である教職員定数については、2017年度においては、学校現場における喫緊の課題のうち、今まで予算の範囲内で加配措置をしてきた、障害に応じた特別の指導(通級による指導)のための教員の定数や、外国人児童生徒等教育のための教員の定数等を2026年度までの10年間で計画的に基礎定数化することとし、2021年度においても着実に実施することとしている。

さらに、2021年度においては、学校における働き方改革を進めるとともに、少人数によるきめ細かな指導体制を構築するため、3,141人の教職員の定数改善(振替2,000人を除く改善は1,141人)が図られる。少人数によるきめ細かな指導体制については、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)を改正し、小学校の学級編制の標準を40人から35人に5年をかけて計画的に引き下げることとし、2021年度においては、小学校2年生で35人学級を実施したところである。また、学校における働き方改革を強力に推進するため、学習指導員(11,000人)やスクール・サポート・スタッフ(9,600人)、中学校における部活動指導員(10,800人)など31,400人の外部人材を活用する「補習等のための指導員等派遣事業」を引き続き実施している。

地域ぐるみで子供の教育に取り組む環境の整備

学校、家庭及び地域住民等がそれぞれの役割と責任を自覚しつつ、未来を担う子供たちを健やかに見守り育むことにより、地域や家庭の教育力の向上を図るため、放課後子供教室や家庭教育支援など、地域住民の参画による教育支援の取組を全国で推進している。

地域と学校の連携・協働については、2017年3月に改正した社会教育法及び「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(昭和31年法律第162号)を踏まえて、幅広い地域住民や企業・団体等の参画により、地域と学校が連携・協働して、地域全体で未来を担う子供たちの成長を支え、地域を創生する「地域学校協働活動」を推進する体制(地域学校協働本部)と、保護者や地域住民等が学校運営に参画する仕組みであるコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を一体的に推進している。

・地域学校協働本部

従来の学校支援地域本部等の地域と学校の連携体制を基盤として、より幅広い層の地域住民、団体等が参画し、緩やかなネットワークを形成することにより地域学校協働活動を推進する体制である地域学校協働本部の整備を推進している(2020年度本部数:10,878本部)。

・放課後子供教室

放課後等に、学校の余裕教室等を活用して、全ての子供を対象として、安全・安心な活動拠点(居場所)を設け、地域住民等の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動等の体験活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する放課後子供教室を実施している(2020年度実施か所数: 18,031教室)。

・コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

保護者や地域住民等から構成される学校運営協議会において、学校運営の基本方針の承認を行うとともに、学校運営への必要な支援についての協議などが行われている(2020年度導入校数:9,788校)。

・家庭教育支援

地域において、保護者が安心して家庭教育を行うことができるよう、文部科学省では、家庭教育に関する支援が届きにくい家庭に配慮しつつ、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チーム等が地域の実情に応じて行う家庭教育支援に関する取組(保護者に対する学習機会や情報の提供、相談対応等)を推進するため、補助事業(地域における家庭教育支援基盤構築事業)等を実施している。また、地域における家庭教育支援の取組の効果的な実施に向けて、教育と福祉の連携に関する地方公共団体向けの委託事業(家庭教育支援推進事業)を実施した。

さらに、食事や睡眠といった子供たちの基本的な生活習慣の定着を図るため、独立行政法人国立青少年教育振興機構においては、文部科学省と連携し、「早寝早起き朝ごはん」国民運動に関する取組を実施している(「早寝早起き朝ごはん」フォーラム事業:5か所、「早寝早起き朝ごはん」推進校事業:10か所)。独立行政法人国立女性教育会館においては、男女共同参画社会形成に役立つリンク集「女性情報ナビゲーション1」により、育児・子育て支援に関する有用なウェブページを紹介している。


1 https://winet.nwec.jp/?page_id=138

いじめ防止対策の推進

いじめは、いじめを受けた子供の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長と人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命や身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであり、どの子供にも、どの学校でも起こり得るものである。

2013年6月に成立した「いじめ防止対策推進法」(平成25年法律第71号)を踏まえ、文部科学省では同年10月、「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)(以下「基本方針」という。)を策定した。以後、「いじめの防止等に関する普及啓発協議会」や、教員を対象とした「いじめの問題に関する指導者養成研修」を開催するなど、同法や基本方針の周知に取り組んでいる。また、2016年に、同法施行後3年が経過したことを受け、同法の施行状況の検証を行い、2017年には、学校におけるいじめへの組織的な対応を徹底させることなどを促すため、基本方針の改定を行うとともに、学校の設置者及び学校における同法、基本方針等に則った適切な調査の実施に資するため、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を策定した。加えて、近年、若年層の多くが、SNSを主なコミュニケーション手段として用いているとともに、SNS上のいじめへの対応も大きな課題となっている状況を受け、文部科学省では、いじめを含む様々な悩みに関する児童生徒の相談に関して、SNS等を活用する利点・課題等について検討を行うため、2017年7月に有識者会議を開催し、2018年3月、「SNS等を活用した相談体制の構築に関する当面の考え方(最終報告)」を取りまとめた。また、2018年から地方公共団体に対し、SNS等を活用した児童生徒向けの相談体制の整備を支援している。さらに、2020年5月、新型コロナウイルス感染症に関連した児童生徒に対する差別や偏見を防止するため、各都道府県教育委員会等に通知を発出し、適切な知識をもとに発達段階に応じた指導を行うことなどを通じて、生徒指導上の配慮等を十分に行うことなどを周知している。

また、教育再生実行会議の第一次提言及びいじめ防止対策推進法を踏まえ、いじめの未然防止、早期発見・早期対応や教育相談体制の整備及びインターネットを通じて行われるいじめへの対応を充実させるため、「いじめ対策・不登校支援等総合推進事業」を実施し、いじめの防止等のための対策を推進している。

退職した警察官等から成るスクールサポーターの学校への訪問活動等により、いじめ事案の早期把握に努めるとともに、把握したいじめ事案の重大性及び緊急性、被害を受けた児童生徒及びその保護者の意向、学校等の対応状況等を踏まえ、学校等と緊密に連携しながら、的確な対応を推進している。2020年4月現在、44都道府県で約860人のスクールサポーターが配置されている。

「食育」等の普及・促進及び多様な体験活動の推進
  • 食育の普及・促進

2005年6月に制定された「食育基本法」(平成17年法律第63号、同年7月施行)において、子供たちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものと位置付けている。

同法では、食育推進会議(会長:農林水産大臣)が「食育推進基本計画」(以下「基本計画」という。)を作成することとされており、2016年度から2020年度の5年間を計画期間とする「第3次食育推進基本計画」(2016年3月18日食育推進会議決定)に基づき食育の推進に関する各種施策が行われてきた。2021年3月31日には、食育推進会議において、2021年度からおおむね 5年間を計画期間とする「第4次食育推進基本計画」が決定された。同計画においては、 国民の健康や食を取り巻く環境の変化、社会のデジタル化など、食育をめぐる状況を踏まえ、〈1〉生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進、〈2〉持続可能な食を支える食育の推進、〈3〉「新たな日常」 やデジタル化に対応した食育の推進の三つに重点をおいた取組を行うことが定められている。持続可能な世界の実現を目指すため、経済、社会、環境の諸課題に統合的に取り組むSDGs への関心が世界的に高まる中、食育の取組においても、SDGs の考え方を踏まえて推進することが必要だとしている。

(国民運動としての食育の推進)

食育基本法の趣旨から、子供たちに対する食育が重要であるとの認識の下、基本計画に基づき、家庭、学校、保育所、地域等において、国民的広がりを持つ運動として食育を推進している。基本計画では、食育推進運動を重点的かつ効果的に実施し、食育の国民への浸透を図るため、毎年6月を「食育月間」と定めており、農林水産省では、毎年度「食育月間」実施要綱を策定して全国的な推進を図っている。「食育月間」における全国規模の中核的行事として食育推進全国大会を開催しているが、2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により中止となった。「食育月間」では、農林水産省「消費者の部屋」において食育関連の展示を実施するとともに、食育を推進する取組として実施している第4回食育活動表彰の受賞団体の活動動画を作成し、農林水産省ホームページで紹介した。

また、2021年2月には新たな日常やデジタル化に対応した食育推進に向けた取組として、「新しい時代の食育を考える」をテーマとした「食育推進フォーラム2021」を開催した。

(家庭における食育の推進)

子供や若い世代の食生活の状況として、朝食の欠食率は小学生に比べ中学生になると高くなる傾向があり、成人後は20歳代、30歳代の若い世代の欠食率が高い。

文部科学省では、朝食摂取を含め、子供の基本的な生活習慣の形成を図っていくため、「早寝早起き朝ごはん」国民運動を関係機関と連携して推進している。

また、2015年度からスタートした「健やか親子21(第2次)」において、子供の生活習慣の形成という観点から、朝食を欠食する子供の割合を減らす取組、家族と一緒に食べる「共食」の回数を増やす取組などを推進している。今後は、成育基本法の趣旨も踏まえ、引き続き、関係する取組を推進していく。

(学校、保育所等における食育の推進)

学校における食育を推進するためには指導体制の整備が必要である。2005年4月に制度化された栄養教諭は、教育に関する資質と栄養に関する専門性を生かして、学校における食育推進の要として、食に関する指導と献立作成や衛生管理などの学校給食の管理を一体的に展開することにより、教育上の高い相乗効果をもたらしている。2020年5月1日現在で、全国の公立小中学校等において6,652人の栄養教諭が配置されている。また、文部科学省においては、食育教材や教職員向けの「食に関する指導の手引」等を作成し、ホームページで公開するとともに、モデル事業を展開するなど、学校における食育の推進に努めている。

児童福祉施設における食事は、入所する子供の健やかな発育・発達及び健康の維持・増進の基盤であるとともに、望ましい食習慣及び生活習慣の形成を図るなど、その果たす役割は極めて大きい。そこで、適切な栄養管理方法や食事提供における留意点、食を通した自立支援など食育の推進についてまとめた「児童福祉施設における食事の提供ガイド」(2010年3月)を参考に、子供の健やかな発育・発達を支援する観点も踏まえ、児童福祉施設における食事提供を充実させている。

なお、保育所における食育の推進については、2017年3月に告示された、新たな「保育所保育指針」(2017年厚生労働省告示第117号。2018年4月1日施行)に位置付けられている。

(地域における食生活の改善等のための取組の推進)

健全な食生活の実現に当たり、一人一人が自ら食育に関する取組を実践できるよう、「食育ガイド」や「食事バランスガイド」、ごはんを中心に多様な副食を組み合わせ栄養バランスに優れた「日本型食生活」等について、関係機関や関係団体等を通じて普及啓発に努めるとともに、農林漁業体験を通じて食や農林水産業への理解を深める教育ファームなどの食育活動を支援した。さらに、学校給食における地場産物の活用など、地域の特性をいかした取組を促進している。

また、「子供の貧困対策に関する大綱」(2019年11月29日閣議決定)に基づき、子供の食事・栄養状態の確保、食育に関する支援やひとり親家庭の子供に対し、放課後児童クラブ等の終了後に生活習慣の習得・学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりを行っている。

  • 消費者教育・金融教育等の普及・促進

消費者が被害に遭わないようにし、自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動できる消費者であるため、また、消費者の日々の意思決定や行動が、総体として経済社会の発展や持続可能な社会を形成する上で大きな役割を果たすことを認識し、社会の一員として行動する消費者であるためには、消費者教育(消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育)が重要である。そのような消費者教育を総合的かつ一体的に推進するために、2012年12月に「消費者教育の推進に関する法律」(平成24年法律第61号)が施行され、消費者庁に審議会として消費者教育推進会議(同法第19条)が設置された。また、2018年3月には、同法に基づく「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(2013年6月28日閣議決定)について、社会情勢等の変化を踏まえ、重点的に取り組む喫緊の課題を「当面の重点事項」として提示する等の変更がなされた。2019年10月に始動した第4期消費者教育推進会議では、消費者教育推進会議委員で構成する分科会を開催し、個別の課題について機動的に議論し具体的な提言等を行っており、2019年12月には、「全世代における体系的な消費者教育に向けた連携に関する分科会」を立ち上げ、地方公共団体のコーディネート機能強化に向け、消費者教育推進計画のPDCAサイクルの確立に向けた方策等について議論を行い、2020年10月に国における今後の課題等を取りまとめた。また、2020年11月より、「社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会」を開催し、基本方針別紙において「当面の重点事項」として掲げた、「高度情報通信ネットワーク社会の発展に対応した消費者教育の推進」に関し、新型コロナウイルス感染症拡大による社会のデジタル化の加速化等も踏まえ、その実現に向けた議論を行っている。また、新型コロナウイルス感染症に関連し、第28回消費者教育推進会議においては「緊急時における消費者行動について」を議題として取り上げ、2021年1月に一連の調査・議論の結果の取りまとめ・公表を行った。

文部科学省では、学習指導要領に基づき、契約の重要性、消費者の権利と責任、消費者問題、生涯を見通した生活における経済の管理や計画などについて、小・中・高等学校の社会科、家庭科等の関係する各教科等において消費者教育が行われている。

また、文部科学省の消費者教育に関する取組の成果を広く還元するとともに、多様な主体の連携と協働を促進する場である「消費者教育フェスタ」において、成年年齢引下げの施行に向けて、18歳までに自らが主体的に判断し、責任を持って行動ができる能力を育むため、有識者による基調講演やパネルディスカッション、実践者による事例報告などを実施した。今後も、消費者教育の推進に関する法律や「消費者基本計画」(2020年3月31日閣議決定)、学習指導要領などを踏まえ、学校・家庭・地域・職域における消費者教育を推進することとしている。

また、金融経済教育については、金融リテラシーの向上を通じて、国民一人一人が経済的に自立し、より良い暮らしを実現していくことを可能とする観点から、各種の取組を進めている。金融経済分野に関する記述がより充実した新学習指導要領が、中学校では2021年4月から、高等学校では2022年4月から順次実施されることを踏まえて、金融庁・財務局職員による出張授業(オンライン授業を含む)の実施や教員向け研修会への講師派遣を行うほか、高校生及び教員向けの授業動画や若年層向けの金融経済に関する解説動画のオンライン配信など、ICTの活用により幅広い層に対して金融経済教育を推進している。加えて、「高齢社会対策大綱」(2018年2月16日閣議決定)に基づき、勤労世代が職場を通じて資産形成を学べる機会を確保するための働き掛けを関係省庁、地方公共団体及び民間企業等に実施している。

  • 地域や学校における体験活動の推進

少子化の進展、地域社会の教育力の低下や家庭環境の多様化に伴う家庭教育の困難さなどの様々な問題が指摘される中、特に、子供たちの精神的な自立の遅れや社会性の不足が顕著になっていることから、次世代を担う子供たちが、規範意識や社会性、他人を思いやる心などを身に付け、豊かな人間性を育むことができるよう、発達の段階などに応じた様々な体験活動の機会を充実させることが求められている。

文部科学省では、放課後等に、学校の余裕教室等を活用して、全ての子供を対象として、安心・安全な活動拠点(居場所)を設け、地域住民の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動等の体験活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する放課後子供教室などの地域学校協働活動を推進している。

また、次代を担う青少年の育成を図るため、家庭や企業などへ体験活動に対する理解を求めていくための普及啓発を推進するとともに、青少年の体験活動の推進に関する調査や「青少年の体験活動推進企業表彰」を開催して企業が社会貢献活動の一環として行う青少年の体験活動の表彰と実践事例の普及等に取り組んでいる。加えて、青少年が自己肯定感を育むために有効な体験活動について、地方公共団体等と連携し効果的な実施モデルの検証を行っている。さらに、独立行政法人国立青少年教育振興機構において、全国28か所にある国立青少年教育施設における青少年の体験活動の機会と場の提供や指導者の養成、民間団体が実施する体験活動等に対する「子どもゆめ基金事業」による助成などを通して、青少年の体験活動を推進している。

学校教育において児童生徒の健全育成を目的として、自然体験や農山漁村体験などの様々な体験活動が行われており、それらの取組を支援している。

  • 文化・芸術活動の推進

子供たちが本物の実演芸術や伝統文化、生活文化等に触れ、日頃味わえない感動や刺激を直接体験することにより、豊かな感性と創造性を育むとともに、我が国の文化を継承、発展させる環境の充実を図るため、子供たちが、小学校・中学校等において、文化芸術団体や芸術家による実演芸術公演を鑑賞し、ワークショップ等を体験することを通じて、子供たちの豊かな感性や発想力を育む取組を推進している。そのほか、「全国高等学校総合文化祭」を、2020年度は7月31日から10月31日まで高知県で「WEB SOUBUN」としてインターネットを活用して開催した。

  • 自然とのふれあいの推進

優れた自然の風景地である国立公園等において、子供たちに自然や環境の大切さを学んでもらえるよう、自然保護官(レンジャー)やパークボランティアの指導・協力の下、自然体験や自然環境の保全活動などを行う機会を提供している。また、日本全国の国立公園等のライブ画像を配信する「インターネット自然研究所」や「自然大好きクラブ」などのウェブサイトにより、様々な自然とのふれあいの場や自然体験イベント等に関する情報を幅広く提供している。

  • 農林漁業体験や都市と農山漁村との交流体験の推進

子供の農山漁村での宿泊による農林漁業体験や自然体験活動等を行う「子ども農山漁村交流プロジェクト」を通じ、都市農村交流の取組を推進している。また、国有林野では、優れた自然景観を有し、森林浴や自然観察、野外スポーツ等に適した森林を「レクリエーションの森」として設定(2020年4月1日現在、620か所)し、広く国民へ提供するなどの取組を行っている。また、この中でも特に優れた景観を有するなど、地域の観光資源として潜在能力の高い箇所を「日本美(にっぽんうつく)しの森お薦め国有林」として選定(93か所)し、ホームページ2等で各地域の特徴や体験できるアクティビティの紹介等を随時行っている。(第2-2-7図)

第2-2-7図 「レクリエーションの森」のロゴマーク


2 https://https://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kokumin_mori/katuyo/reku/rekumori/index.html


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  • 子供の遊び場の確保の推進

子供が身近な自然に安心してふれることができ、安全で自由に遊べる場所を地域に確保することは、子供の健全な育成のために重要である。子供の遊び場としての役割が求められる都市公園については、各種運動施設や遊戯施設等を有し、手軽にスポーツやレクリエーションを楽しむことができる公園などの整備を推進している。

また、地方公共団体が下水再生水の活用等により、親水性のある水辺空間の整備を行う際、「社会資本整備総合交付金」等による財政支援を実施している。河川空間については、身近な水辺等における環境学習・自然体験活動を推進するため市民団体や教育関係者、河川管理者等が一体となった取組体制の整備とともに、水辺の安全利用のための情報提供や学習プログラムの紹介など、水辺での活動を総合的に支援する仕組みを構築し、必要に応じ、水辺に近づきやすい河岸整備等(「水辺の楽校プロジェクト」:2019年度末288か所登録)を始めとする「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」(2019年度末305か所登録)を実施している。

(地域の安全の向上)
災害時の乳幼児等の支援

地方公共団体において、「令和2年度総合防災訓練大綱」(2020年5月29日中央防災会議決定)に基づき、乳幼児、妊産婦等を含む要配慮者の参加を得ながら防災訓練を実施している。また、2013年6月の「災害対策基本法」(昭和36年法律第223号)改正において避難所における生活環境の整備等に関する努力義務規定が設けられ、その取組を進める上で参考となるよう主に市町村向けに避難所運営に当たって被災した乳幼児、妊産婦等の要配慮者の支援に関して留意すべき点等も盛り込んだ「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」等を内閣府が策定・公表し、その内容の周知に努めている。

子供の事故防止

子供の死因の上位を占めている不慮の事故を防止するため、消費者庁では「子どもを事故から守る!プロジェクト」を推進している。具体的には、保護者などに向けた注意喚起を行うとともに、子供の不慮の事故を防ぐための注意点や豆知識などをまとめ、メール配信サービス「子ども安全メールfrom消費者庁」、「消費者庁 子どもを事故から守る!公式ツイッター」で定期的に配信するなど、子供の事故防止に関する啓発を行っている。また、2016年度には、「子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議」を設置3し、2017年度より、関係府省庁が連携して集中的な広報活動を実施する「子どもの事故防止週間」を定めている(2020年度:7月20日~26日)。

・遊び場の安全対策の推進

都市公園における遊具については、安全確保に関する基本的な考え方を示した「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」を2014年6月に改訂し、各施設管理者への周知徹底を図っている。また、「社会資本整備総合交付金」等により、子供の遊び場となる都市公園における公園施設の改築等の安全・安心対策に対する支援を実施している。

・建築物等の安全対策の推進

建築物や昇降機等における子供の事故を防止し安全を守るためには、建築物等に要求される性能水準を維持し、常時適法な状態に保つことが必要である。このため、多数の者が利用する特定の特殊建築物等について、建築物等の所有者等による維持保全計画の作成、定期報告制度等を通じ、適切な維持保全及び必要な改修を促進している。

また、類似の事故防止のため、ホームページにより事故情報の提供を行うとともに、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会及び同審議会昇降機等事故調査部会において、建築物等に係る事故情報について継続的に分析・検討を行い、建築物等の事故防止を図っている。


3 10府省庁(内閣府、警察庁、消費者庁、総務省消防庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、海上保安庁)で構成。

予防のための子どもの死亡検証(Child Death Review)の体制整備

子供の死亡時に、複数の機関や専門家(医療機関、警察、消防、行政関係者等)が子供の既往歴や家族背景、死に至る直接の経緯、解剖結果等に関する様々な情報を基に死因調査を行うことにより、効果的な予防対策を導き出し予防可能な子供の死亡を減らすことを目的としたChild Death Review(CDR)について、「予防のための子どもの死亡検証体制整備モデル事業」の実施等を通じ、その体制を整備する。

幼稚園・保育所等における事故の発生・再発防止

2015年6月から「特定教育・保育施設等における事故情報データベース」4の運用を開始した。同年12月21日の「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会最終取りまとめ」を踏まえ、2016年度より開催している「教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議」において、特定教育・保育施設等における事故報告の傾向分析や再発防止の提言等を取りまとめた「特定教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議年次報告」を2018年から毎年公表し、事故に関する注意喚起を行う等、重大事故の再発防止に係る取組を進めている。

また、2016年3月31日付で公表された「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」について、改めて周知啓発資料等により周知徹底を行うとともに、各種会議、研修会等により地方公共団体、施設・事業者等に対し、特に重大事故が発生しやすい睡眠中、プール活動・水遊び中、食事中の場面に関する注意事項の周知徹底を図る等、安心かつ安全な保育を実施するよう事故防止の取組を推進している。


4 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/index.html#database

交通安全教育等の推進

家庭及び関係機関・団体等との連携・協力を図りながら、幼児や小・中・高校生に対し、正しい横断の仕方など安全に道路を通行するために必要な技能や知識を習得させるため、子供の発達段階や通行の態様に応じた交通安全教育を推進している。

また、保護者を対象とした交通安全講習会等を開催し、チャイルドシートの正しい使用の徹底、幼児二人同乗用自転車について、転倒等の具体的な危険性の周知や安全利用に係る広報啓発活動の推進、児童又は幼児が自転車に乗車する際のヘルメットの着用及び幼児を自転車に乗せる場合におけるシートベルトの着用促進などを図っている。

学校においては交通安全に関し、学習指導要領等に基づき、体育科・保健体育科や特別活動はもとより、各教科等の特質に応じ、教育活動全体を通じて計画的かつ組織的な指導に努めている。

犯罪等の被害の防止

警察においては、「登下校防犯プラン」(2018年6月22日登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議決定)等を踏まえ、登下校時間帯等における警察官による警戒・パトロールの重点的な実施を図るとともに、スクールサポーターや防犯ボランティア等の関係団体と連携した見守り活動を推進しているほか、「子ども110番の家・車」等への支援、不審者情報等の迅速かつ確実な共有及び提供、学校等と連携した被害防止教育等を推進している。

また、都道府県警察の本部に設置された「子供女性安全対策班」の活動を始めとする性犯罪等の前兆とみられる声掛け、つきまとい等の段階で行為者を特定し、検挙又は指導・警告措置を講ずる先制・予防的活動を推進しているほか、子供を対象とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役し、出所した者について、法務省から情報提供を受け、対象者を訪問して所在確認を行い、必要があれば同意を得て面談を行うなど、再犯防止に向けた活動を推進している。

文部科学省においては、「登下校防犯プラン」を踏まえ、教育委員会・学校・警察・道路管理者・自治体・地域住民等が連携して防犯の観点から通学路の緊急合同点検の実施を依頼するとともに、通学路等で子供たちを見守る体制を強化するため、スクールガード・リーダーの配置やスクールガードの養成、見守り活動の支援など、学校安全ボランティア等を効果的に活用する仕組みを整備することにより、地域社会全体で、子供の安全を見守る体制の充実を図るなど、登下校時における安全確保対策の強化を推進している。

また、学校における防犯教室の講師となる教職員を対象とした都道府県等教育委員会が実施する講習会への支援など、子供が犯罪被害に遭わないための取組を推進している。

・インターネットに係る有害環境から子供を守るための取組の推進

関係省庁では、インターネットに起因する子供の犯罪被害等を防止するため、関係機関・団体等と連携し、携帯電話事業者に対する保護者へのフィルタリング等の説明強化に関する要請のほか、青少年が初めて自分のスマートフォン等を手にする春の卒業・進学・新入学の時期に重点を置いた保護者に対する啓発活動等、保護者・青少年のインターネット・リテラシーを高めるための取組等を推進している。また、SNSの利用に起因する犯罪から子供を守るため、SNS事業者が参加する「一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構」(2020年4月設立)の活動支援をするなどしている。

さらに、文部科学省では、インターネット上のマナーや家庭でのルール作りの重要性を保護者等に対して周知するための学習・参加型のシンポジウムの開催や児童生徒向けの普及啓発資料の作成・配布等を実施している。

・子供、若年層に対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進

子供、若年層に対する性的な暴力の根絶に向け、「第5次男女共同参画基本計画」(2020年12月25日閣議決定)に基づき、子供、若年層に対する教育・啓発の強化、保護及び支援の体制整備を推進している。また、同計画及び「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」(2020年6月11日性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議決定)に基づき、入学・進学時期である毎年4月を「若年層の性暴力被害予防月間」とし、必要な取組を集中的に実施している。

・「安全・安心まちづくり」の推進

警察においては、関係省庁・関係団体等と連携し、防犯に配慮した犯罪の発生しにくい公園、道路、駐輪場等の公共施設等の整備・管理の普及を促進し、併せて、住宅についても防犯に配慮した住宅や防犯性能の高い建物部品の開発・普及を促進するなど犯罪防止に配慮した環境設計を行うことにより、犯罪被害に遭いにくい「安全・安心まちづくり」を推進している。また、子供に対する犯罪の発生が懸念される学校周辺、通学路、公園、地下道、空き家等における危険箇所の把握・改善等の取組を支援するとともに、防犯灯や防犯カメラの整備を促進するなど、子供が犯罪被害に遭いにくいまちづくりを推進している。

子供の健康に影響を与える環境要因の解明

環境省では、環境中の化学物質等が子供の健康に与える影響を解明するため、2010年度から、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を行っている。同調査は、全国の10万組の親子の協力を得て、血液や尿、母乳などの分析を行うとともに、生まれてきた子供の健康状態を追跡する大規模な疫学調査である。

同調査を実施することで、子供の発育や発達に影響を与える化学物質等の環境要因が明らかになることから、子供特有のばく露や子供の脆弱性を考慮した適正な環境リスク評価・リスク管理を行うことが可能となる。さらには、安全・安心な子育て環境の実現・少子化対策にも資するものである。

同調査は、調査開始から2014年3月までの3年間で約10万人の妊婦の参加登録を終え、その後は妊婦から生まれた子供の追跡調査(質問票調査)を継続して実施している。また、2014年度からは、詳細調査(全国調査10万人の中から抽出された5千人程度を対象として実施する調査)を開始し、環境試料採取、医師による健康調査、精神発達調査及び生体試料採取を継続して実施している。

2021年3月時点で、同調査の全国データを用いた学術論文が158掲載されエコチル調査のホームページ5で掲載されるとともに、今後さらなる調査成果の増加が見込まれる。これらの調査成果をわかりやすく国民に伝え、化学物質のリスクについて向き合うことが可能な機会を広げるための取組として、「地域の子育て世代との対話事業」を実施している。


5 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)ホームページ
http://www.env.go.jp/chemi/ceh/


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