第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第1節 1)

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第1章 重点課題(第1節 1)

第1節 結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる(1)

1 若い世代が将来に展望を持てる雇用環境等の整備

(経済的基盤の安定)
若者の雇用の安定

24歳以下の若者の完全失業率は、2021年には4.6%(前年同率)、25~34歳については3.8%(前年比0.1ポイント減)となっている1。他方、フリーター数は、2021年平均で137万人(前年差1万人増)となっている2

・新卒者・既卒者の就職支援

厚生労働省では「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号。以下「若者雇用促進法」という。)に基づき、〈1〉新卒者の募集を行う企業による職場情報の提供、〈2〉若者の雇用管理が優良な中小企業を認定する「ユースエール認定制度」等の取組を促進するとともに、「職業安定法」(昭和22年法律第141号)に基づき、ハローワークにおいて一定の労働関係法令違反を繰り返す事業所等の求人を受け付けない求人不受理を実施している。

新卒者・既卒者の就職支援については、全国56か所の新卒応援ハローワーク等において、就職支援ナビゲーターによる担当者制のきめ細かな就職支援を実施するとともに、大学等との連携による学校への出張相談などを行っている。

また、卒業後3年以内の既卒者の就職を促進するため、若者雇用促進法に基づく「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第406号)において、学校等の新規卒業予定者の募集を行う場合は、学校等の卒業者が卒業後少なくとも3年間は応募できるものとすること等を定め、その周知に取り組んでいる。

・就職経路の複線化に対応した多様な就職システムの整備

フリーターの正社員就職の推進のため、全国のハローワークでのきめ細かな職業相談・職業紹介、職業訓練の情報提供・相談などを実施している。また、支援拠点として、「わかものハローワーク」(2022年4月1日現在、全国22か所)、「わかもの支援コーナー」「わかもの支援窓口」を設置し、就職支援ナビゲーターによる担当者制の就職支援等を実施している。

また、希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識などを習得することができる公的職業訓練、非正規雇用労働者の正社員転換や待遇改善など企業内でのキャリアアップの促進に関する取組を実施した事業主を支援するキャリアアップ助成金制度や、雇用する労働者に対し職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等に要した経費等の一部を助成する「人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)制度」も実施している。

さらに、2015年10月から、ジョブ・カードを「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」のツールとして活用し、個人のキャリアアップや、多様な人材の円滑な就職などを促進しており、2021年3月末現在、ジョブ・カード作成者数は約277万人に達している。

そのほか様々な要因により働くことに悩みを抱えている若者の職業的自立を支援するため、2006年度から、地方公共団体との協働により地域の若者支援機関から構成されるネットワークを構築し、支援拠点となる地域若者サポートステーション(以下「サポステ」という。)を全国に設置(177か所(2022年4月1日現在))している。サポステでは若者の置かれた状況に応じたキャリアコンサルタントなどによる専門的な相談や各種プログラムの実施など、多様な就労支援メニューを提供している。2020年度からは、就職氷河期世代支援の一環として、全てのサポステにおいて、40歳代の無業者に対する相談体制を整備するとともに、これらの無業者の把握、サポステへの誘導の手法の一環として、福祉機関等へのアウトリーチを積極的に実施している。

・若年者に対する技能啓発の推進

公共職業能力開発施設、認定職業訓練施設及び工業高校等において技能を習得中の若者(原則20歳以下)であって、企業等に就職していない者を対象に、技能競技を通じ、これら若年者に目標を付与し、技能を向上させることにより就業促進を図り、併せて若年技能者の裾野の拡大、技能尊重気運の醸成を図ることを目的として「若年者ものづくり競技大会」を実施している。2021年8月に愛媛県で開催された「第16回若年者ものづくり競技大会」では、全15職種の競技に全国から330名の選手が参加した。

また、工業高校や職業訓練校等で技能を学ぶ学生や訓練生等を主な対象に、若年技能者の人材育成を目的として3級技能検定を実施しているが、更なる受検機会の拡大を図るため、受検ニーズの高い職種について年2回の試験を実施するなど、若年者の技能離れの防止や若年技能者の職場への定着化に努めるとともに、2017年度から、「ものづくり分野」の技能検定の2級又は3級の実技試験を受検する35歳未満の者に対して、受検手数料を最大9,000円減額する措置を実施している。


1 総務省「労働力調査(基本集計)」

2 総務省「労働力調査(詳細集計)」

非正規雇用対策の推進

非正規雇用労働者の数は近年おおむね増加傾向にあり、雇用者の約4割を占める状況にあるが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、2020年以降は対前年比で減少しており、2021年は、2,064万人となっている。

新型コロナウイルス感染症の影響が、非正規雇用労働者に大きく生じていること等も踏まえ、特に非正規雇用労働者等の円滑な就労のため、ハローワークにおいて、求職者のニーズに合った積極的な求人の開拓や、専門担当者による就労・定着に向けた丁寧なマッチング支援を実施している。また、求職者支援制度の世帯収入要件等の緩和、訓練対象者の拡大や、就労経験のない職業に就くことを希望する離職者を一定期間試行雇用する事業主に対する賃金助成制度の実施、紹介予定派遣を活用した研修・就労支援事業の実施、紹介予定派遣を通じた正社員化に取り組む派遣元事業主への助成対象の拡充等に取り組んだ。

また、非正規雇用の労働者は、正規雇用の労働者と比較して、〈1〉賃金が低い、〈2〉能力開発機会が乏しい、〈3〉福利厚生等が不十分といった課題があり、正社員を希望する人の正社員転換や非正規雇用を選択する人の待遇改善を推進することが重要である。このためキャリアアップ助成金により、企業内での正社員転換や待遇改善に取り組む事業主を支援している。

また、正社員転換を進めるとともに、正規雇用・非正規雇用にかかわらず、どのような働き方を選択しても公正な待遇が受けられるようにし、労働者が自分のライフスタイルに合わせて多様な働き方を選択できるようにすることが重要である。2018年6月に成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成30年法律第71号)によって改正された「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成5年法律第76号。以下「パートタイム・有期雇用労働法」という。)及び「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の1不合理な待遇差を解消するための規定の整備、2労働者に対する待遇に関する説明義務の強化、3行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)が整備され、2021年4月1日に全面施行された。

さらに、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(平成30年厚生労働省告示第430号。いわゆる「同一労働同一賃金ガイドライン」。)では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差が不合理なものでないのか、原則となる考え方及び具体例を示した。

また、法の履行確保のため、事業主が何から着手すべきかを解説する「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」等を策定し、周知を行っている。

加えて、企業における非正規雇用労働者の待遇改善等を支援するため、2018年度より47都道府県に「働き方改革推進支援センター」を設置し、労務管理の専門家等による個別相談支援やセミナー等を実施している。

このほか、派遣労働者、有期雇用労働者、パートタイム労働者といった非正規雇用の態様ごとに、以下のとおり必要な施策を講じている。

派遣労働者については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律」(平成27年法律第73号)により設けられた期間制限ルールや、派遣元事業主に対する雇用安定措置、派遣労働者のキャリア形成を図る教育訓練等の義務付けについて、派遣労働者、派遣元事業主、派遣先の対象者別にリーフレットにより周知を実施している。

有期雇用労働者については、「労働契約法」(平成19年法律第128号)に基づく「無期転換ルール」(有期労働契約が、更新等により通算5年を超えた場合に、労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み。)について、その円滑な導入が図られるよう、先行導入した企業の好事例、支援策等をまとめたポータルサイト3やSNS等を活用した情報発信、「無期転換ルール」の導入手順等をまとめたハンドブックの配布、オンライン等でのセミナー開催など、あらゆる機会を活用して「無期転換ルール」の周知・啓発及び導入支援を行った。さらに、「無期転換ルール」の適用を意図的に避ける目的での雇止め等を把握した場合には、啓発指導を行っている。

パートタイム労働者・有期雇用労働者については、パートタイム・有期雇用労働法に基づき、事業主への行政指導や専門家による相談・援助等を実施している。


3 https://muki.mhlw.go.jp/

結婚・子育て資金や教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の実施等

将来の経済的不安が若年層に結婚・出産を躊躇させる大きな要因の一つとなっていることを踏まえ、両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・子育てを支援することを目的として、祖父母等から孫等に対して結婚・子育て資金の一括贈与を行った場合について、贈与税を非課税とする制度が2015年4月から実施されている。本制度は、2021年度税制改正において、受贈者となる孫等の年齢を「20~50歳」から「18~50歳」に引き下げる等の措置の拡充を行うとともに、贈与者死亡時の残高に係る相続税額への2割加算を適用する見直しを行った上で、その適用期限を2023年3月31日までに延長することとされた。

また、金融資産の世代間移転を促進し、子育て世代を支援することを目的として、祖父母等から孫等に対して教育資金の一括贈与を行った場合についても、贈与税を非課税とする制度が2013年4月から実施されている。本制度も、2021年度税制改正において、贈与者死亡時の残高に係る相続税額への2割加算の適用等、所要の見直しを行った上で、その適用期限を2023年3月31日までに延長することとされた。

このほか、2021年度税制改正において、地方公共団体等がベビーシッター等の子育て支援サービスに係る利用料の補助を行う場合、この給付が所得税法上雑所得として計上され、所得税・個人住民税の課税対象となっていたところ、これを非課税とすること、「産後ケア事業」として行われる資産の譲渡等について、社会福祉事業に類するものとして消費税を非課税とすることとされた。

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