第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第1節 2)
第1章 重点課題(第1節 2)
第1節 結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる(2)
2 結婚を希望する者への支援
(地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等)
地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等
内閣府は、「地域少子化対策重点推進交付金」 により、地方公共団体が行う総合的な結婚支援の取組を支援しており、特に2021年度においては、AIを始めとするマッチングシステムの高度化等を新たな重点課題として支援(補助率を2分の1から3分の2にかさ上げ)した。また、一定の所得以下の新婚世帯に対し、結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコスト(新居の家賃、引越費用等)を支援する「結婚新生活支援事業」について、2021年度から年齢要件を34歳以下から39歳以下に、世帯年収要件を約480万円未満相当から約540万円未満相当にそれぞれ緩和するとともに、都道府県が主導して管内市町村における本事業の面的拡大を図る優れた取組については、補助上限額の引き上げと補助率のかさ上げを行った。その結果、2021年度の実施自治体数は538団体となり、2020年度の291団体を大きく上回った。(第2-1-1図)
2022年度は、地方公共団体間の連携を伴う広域的な結婚支援や、AIを始めとするマッチングシステムの高度化等に加え、後述する「結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム」を活用した取組を重点課題として支援(補助率を2分の1から3分の2にかさ上げ)するとともに、「結婚新生活支援事業」の対象経費にリフォーム費用を追加することとしている。
また、地方公共団体において結婚支援に取り組む担当者及び結婚を希望する独身男女に出会いの機会を提供する結婚支援者を対象に、結婚支援の更なる充実に向け、情報の共有や機運の醸成を図るため、「結婚応援に関する全国連携会議」を開催した(2022年2月)。
加えて、2022年度は、結婚支援を行うボランティア等が効果的な活動を進めていく上で必要となる知識・能力やその育成方策等を明確化し、地域の結婚支援の更なる質の向上を図るため、先進事例に精通した有識者の協力を得て「結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム」を策定した。
トピックス:地域の結婚支援人材育成の支援
2020年の出生数(確定数)が84万835人と過去最低となる厳しい状況の下、地方公共団体が行う結婚支援の重要性が増しており、地方公共団体が運営する結婚支援センターやマッチングシステムと共に、ボランティア等が果たすべき役割は極めて大きい。地域で生活する退職者や高齢者を始めとする多様な担い手を結婚支援人材として育成することで、その地域の実情に即した効果的な結婚支援が期待できる。
そのため、内閣府では、結婚支援を行うボランティア等が効果的な活動を進めていく上で必要となる知識、能力やその育成方策等を明確化し、地域の結婚支援の更なる質の向上を図るため、先進事例に精通した有識者の協力を得て「結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム」を策定した。
1 「結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム」の概要
本モデルプログラムは、結婚支援ボランティア等の育成における指針・目安として、地域の実情に応じて活用されることを想定している。ボランティア等が身に付けるべき知見を網羅的に記載しているほか、研修・育成の在り方、伝えるポイント等についても細かく解説しており、地方公共団体がボランティア等の育成研修を効果的・効率的に実施できるよう工夫されている。
本モデルプログラムは7章から構成されており、各章の内容は下記のとおり。
(1)わが国及び各地域における少子化の現状
(2)未婚者の恋愛・結婚状況
(3)婚活・結婚支援サービス業界の現状
(4)結婚支援ボランティアの活動内容
(5)結婚支援業務に関する知識・技能
(6)結婚支援業務に関するトラブルその他
(7)結婚支援業務に関わるための法的知識等
2 NPO法人全国地域結婚支援センター代表 板本洋子氏による「結婚応援に関する全国連携会議」での講演内容
内閣府では、例年、結婚支援の更なる充実に向け、地方公共団体において結婚支援に取り組む担当者及びNPOを始めとする民間団体の結婚支援者を対象に、「結婚応援に関する全国連携会議」を開催し、有識者による講演及び地方公共団体による事例紹介等を行っている。
2021年度は、本会議において、NPO法人全国地域結婚支援センター代表の板本洋子氏が、「令和3年度結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム開発調査」企画委員会委員長として、本モデルプログラム策定にあたり実施した調査結果の概要を報告するとともに、結婚支援の現場に携わる関係者に対して、有識者として基調講演を行った。以下に講演内容の一部を紹介する。
「結婚支援ボランティアの在り方と期待 ~結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム開発調査結果から~」と題した講演では、調査結果を結婚支援の現場の視点で読み解き、30代になると、男性が希望する同年代の独身者は少なくなっていることなど、結婚難の背景にある様々なミスマッチや要因について言及した。その上で、それぞれの独身者にとって、希望する相手の条件のうち、結婚への壁となっているものは何かということを理解し、壁を乗り越えていかなければ結婚には結びつかないということや、固定的な考え方や世間の常識に左右されず、男女が協力して助け合って生きる多様なモデルケースを示し、社会には多様な選択肢があるという「気づき」に導くことで、結婚への壁を低くすることができるのではないかと提案した。
また、結婚支援を「結婚相手を探すこと」という狭い視点で捉えるのではなく、リアルな交流体験の提供、視野を広げ結婚について考える機会の提供といった、結婚支援の副次的効果も視野に入れながら、結婚しやすい社会への意識をもって活動してほしいと述べた。
