第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第2節 3)

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第1章 重点課題(第2節 3)

第2節 多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える(3)

3 妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援

妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援

安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後を支援するため、2019年12月に施行された「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(平成30年法律第104号。以下「成育基本法」という。)の趣旨を踏まえつつ、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援体制の充実に取り組んでいる。

特に、妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対して総合的相談支援を提供するワンストップ拠点(子育て世代包括支援センター(第2-1-15図))の整備を行っている。

第2-1-15図 子育て世代包括支援センターによる包括的な支援体制の構築

また、2019年12月に成立した「母子保健法の一部を改正する法律」(令和元年法律第69号)において、出産後の母子に対して、心身のケア等を行う「産後ケア事業」が市町村の努力義務として法的に位置付けられた。

同事業については、2020年度時点で1,158市町村が実施しているが、「少子化社会対策大綱」(2020年5月29日閣議決定)に基づき、2024年度末までに全国展開を目指している。

乳児家庭の孤立化防止や養育上の諸問題への支援を図るため、乳児がいる全ての家庭を訪問し、子育て支援に関する情報提供や養育環境等の把握、育児に関する不安や悩みの相談等の援助を行う「乳児家庭全戸訪問事業」(2019年4月現在、1,739市区町村(99.9%)で実施)や、養育支援が特に必要な家庭を訪問し、養育に関する相談、指導、助言等により養育能力を向上させるための支援を行う「養育支援訪問事業」(2019年4月現在、1,529市区町村(87.8%)で実施)の推進などにより、子育て家庭に対する切れ目のない支援を行っている。

特に、「養育支援訪問事業」では、出産後の養育について出産前から支援を行うことが特に必要と認められる妊婦も対象としており、早期からの支援を行っている。

新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で、妊産婦の方々は、妊娠・出産や産後の育児等に不安を抱えて日々を過ごしている。このため、2021年度補正予算により、不安を抱える妊産婦に対する電話・訪問による支援や、分娩前の新型コロナウイルス感染症検査費用の補助、電話やオンラインによる相談支援・保健指導等の実施、里帰り出産が困難な妊産婦に対する育児等支援サービスの提供など、妊産婦に寄り添った支援を総合的に行っている。あわせて、集団健康診査の受診を控える傾向にある幼児健康診査について、個別健康診査への切替えに対する支援等を行っている。

予期せぬ妊娠等に悩む若年妊婦等への支援

予期せぬ妊娠等により、身体的、精神的な悩みや不安を抱える若年妊婦等を支援するため、女性健康支援センターや若年妊婦等への支援に積極的なNPO等によるアウトリーチ、SNSを活用した相談支援、産婦人科等への同行支援等を実施するほか、当該妊婦等を次の支援につなげるまでの緊急一時的な居場所の確保等に係る支援を行う。また、「乳児院等多機能化推進事業」により、乳児院等における保護者等への支援のため、施設に育児指導を行う者を配置し、育児指導機能の充実を図るとともに、乳児院や母子生活支援施設、産科医療機関等にコーディネーターや看護師を配置し、特定妊婦等を受け入れた場合の生活費や居場所づくりに係る支援を含め、妊娠期から出産後までの継続した支援を提供するなど特定妊婦等への支援体制を強化している。さらに、若年妊婦等にとって、里親委託や特別養子縁組といった選択肢があることも踏まえ、里親制度等の普及啓発を図るため、「里親制度等及び特別養子縁組制度等広報啓発事業」により、SNS等の様々な広告媒体を活用した広報啓発を実施している。

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