第2部 少子化対策の具体的実施状況(第1章 第2節 4)
第1章 重点課題(第2節 4)
第2節 多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える(4)
4 子育ての担い手の多様化と世代間での助け合い
(地域住民の参画促進による子育ての担い手の多様化)
地域共生社会の実現に向けた取組の推進
少子高齢・人口減少、地域社会の脆弱化等、社会構造の変化の中で、人々が様々な生活課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域住民等が支え合い、一人一人の暮らしと生きがい、地域を共に創っていくことのできる「地域共生社会」の実現が求められている。こうした考え方を具体化するため、2021年4月に施行された地域共生社会の実現のための「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第52号)に基づき、市町村において、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を整備するため、対象者の属性を問わない相談支援、多様な参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に行う重層的支援体制整備事業の推進を図ることとしている。
「子育て支援員」の養成
「子ども・子育て支援新制度」の施行に伴い、小規模保育など地域のニーズに応じた幅広い子育て支援分野において、子供が健やかに成長できる環境や体制が確保されるよう、支援の担い手となる人材を確保することが必要である。
このため、2015年度より、都道府県・市町村等において、地域で子育て支援の仕事に関心を持ち、子育て支援分野の各事業等に従事することを希望する者等に対し、必要となる知識や技能等を修得するための全国共通の「子育て支援員研修事業」を地域の実情に応じて実施している。
地域の退職者や高齢者等の人材活用・世代間交流
高齢者に就業機会・社会参加の場を提供するシルバー人材センターにおいて、乳幼児の世話や保育施設への送迎などの育児支援、就学児童に対する放課後・土日における学習・生活指導等の支援を実施しており、経験豊かな高齢者が地域における子育ての担い手として活躍している。
また、母親クラブや子育てサークルなど、地域住民の自主的な参加により活動している地域組織においては、登下校時の子供の見守り活動や公園の日常管理、親子やお年寄との交流機会の提供、子供と共に食の大切さを学ぶ文化活動などを行い、子供を地域全体で支え、見守り、育てる活動を積極的に展開している。
(家族における世代間での助け合い)
三世代同居・近居しやすい環境づくり
「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策-成長と分配の好循環に向けて-」(2015年11月26日一億総活躍国民会議取りまとめ)において、「家族の支え合いにより子育てしやすい環境を整備するため、三世代同居・近居の環境を整備する。」とされ、三世代同居など複数世帯の同居に対応した住宅の整備及びリフォーム工事への補助、リフォーム工事を行った場合の所得税の税額控除の取組を行っている。
UR賃貸住宅においては、一定の要件を満たす子育て世帯等や子育て世帯等との近居を希望する支援世帯に対して、新築賃貸住宅の募集(抽選)時における当選倍率の優遇や、既存賃貸住宅の募集(先着順)時において、子育て世帯等と支援する親族の世帯がUR賃貸住宅に近居する場合、新たに入居する世帯の家賃を5年間5%割引する取組を行っている。また、2021年度の補正予算において、子育て世帯とこれを支援する親世帯等が近居する場合に、UR 賃貸住宅に新たに入居する子育て世帯(世帯所得合計が25.9万円/月以下)に対して、入居から5年間、家賃の20%を減額する取組を行っている。