第2部 少子化対策の具体的実施状況(第2章 第4節 10)

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第2章 ライフステージの各段階における施策(第4節 10)

第4節 子育て(10)

10 障害のある子供、貧困の状況にある子供、ひとり親家庭等様々な家庭・子供への支援

(貧困の状況にある子供への支援)
子供の貧困対策の推進

子供の貧困対策については、2013年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(平成25年法律第64号)が成立し、これを受け、政府は、「子供の貧困対策に関する大綱」(2014年8月29日閣議決定)等に基づき、様々な施策を実施してきた。これらを踏まえ、2019年6月、議員提出による「子どもの貧困対策の推進に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第41号)が成立した。目的として、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、子供の「将来」だけでなく「現在」の生活等に向けても子供の貧困対策を総合的に推進することが明記されるとともに、基本理念として、子供の最善の利益が優先考慮されること、貧困の背景に様々な社会的要因があること等が明記された。また、市町村が子供の貧困対策についての計画を定めるよう努める旨が規定されるとともに、「子供の貧困対策に関する大綱」の記載事項として子供の貧困対策に関する施策の検証及び評価そのほかの施策の推進体制に関する事項が追加された。

こうした法改正の趣旨や幅広く関係者から意見聴取を行った子供の貧困対策に関する有識者会議における提言等を踏まえ、政府は2019年11月29日に「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定した。当該大綱においては、1親の妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目のない支援体制の構築、2支援が届いていない、又は届きにくい子供・家庭に配慮した対策の推進、3地方公共団体による取組の充実等を分野横断的な基本方針として定めるとともに、教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援等を総合的に推進していくこととしている。

内閣府、文部科学省、厚生労働省、独立行政法人福祉医療機構は、子供の貧困対策が国をあげて推進されるよう、官公民の連携・協働プロジェクトとして「子供の未来応援国民運動」を推進している。

主な事業としては、広報・啓発活動や支援活動を行う団体とその活動をサポートする企業等とのマッチングの推進、草の根で支援を行うNPO等に対する民間資金を活用した「子供の未来応援基金」による支援等があげられる。

広報・啓発活動については、ホームページ1、SNS等を通じて、国民向けに広く情報発信と普及啓発を行っているほか、支援を必要とする団体や支援を希望する企業等が参加するフォーラム2を開催している。また、学習支援、子ども食堂、フードバンクのそれぞれの分野における全国的なネットワークを有する団体が支援の窓口として相談や問合せに対応したり、支援物資等の配分調整等を行ったりする、「子供の未来応援マッチングネットワーク推進協議会」を通じて、支援リソースと支援ニーズのマッチングを推進している。

「子供の未来応援基金」については、企業や個人に子供の貧困に対する理解を求め、協力を呼び掛けてきた結果、約17億1,200万円の寄付が寄せられ、子供たちに寄り添った活動を行う延べ449のNPO等に支援を行った(2021年度末時点)。2021年度には、公募に対して申請のあった515団体から、基金事業審査委員会による審査等を経て133団体を選定し、2022年4月からの活動に支援金を交付することを決定した。

また、内閣府では、「地域子供の未来応援交付金」により、地方公共団体が地域の実情に応じて子供の貧困対策を進めていくため、地方公共団体における子供の貧困対策についての計画の策定、新型コロナウイルス感染症対応も含めた子供たちと支援を結び付ける事業等の取組を支援している。

2021年度は、「地域子供の未来応援交付金」による支援を拡充し、子ども食堂や学習支援といった子供たちと支援を結びつけるつながりの場をNPO等に委託して整備する地方公共団体を緊急的に支援した。さらに、2021年度補正予算において、補助率10分の10の事業を創設し、子供の居場所づくりを実施する地方公共団体への支援を強化している。

子供の貧困対策を総合的に推進するに当たっては、子供の貧困の実態を適切に把握し、実態を踏まえて施策を推進していく必要がある。「子供の貧困対策に関する大綱」(2019年11月29日閣議決定)においては、子供の貧困の実態等を把握するための調査研究や、子供の貧困に関する指標に関する研究等を実施することとされている。内閣府においては、地方公共団体が子供の貧困に関する実態調査を実施する際の参考となるよう、2019年度に子供・親向けアンケート調査の共通調査項目案を作成し、公表した。2020年度には、試行的に、共通調査項目を用いて、全国を対象に子供の貧困に関する実態調査を実施し、2021年度に結果を公表した。また、住民に身近な地方公共団体において、福祉や教育等に関する子供や家庭の情報を活用し、支援が必要な子供等を広く把握するとともに、アウトリーチ型で必要な支援につなげていくためのデータ連携・活用の取組について、調査研究を行った。

また、沖縄県では、深刻な状況にもかかわらず行政の支援が子供に行き届いていないことや、日中にとどまらず夜間も子供の居場所がないことなど、沖縄特有の課題に緊急に対応するため、2016年度より居場所の運営支援や子供の貧困対策支援員の配置を、集中的に実施しており、県内で支援員118人を配置、居場所155か所を開所している(2021年3月時点実績値)。


1 https://www.kodomohinkon.go.jp/

2 2020年度・2021年度はオンラインで開催。

(ひとり親家庭支援)

ひとり親家庭の貧困率は改善傾向にある3が、依然として厳しい状況に置かれていることを踏まえ、「子供の貧困対策に関する大綱」(2019年11月29日閣議決定)及び「母子家庭等及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本方針」(2020年3月23日厚生労働省告示第78号)に基づき、1子育て・生活支援、2就業支援、3養育費確保支援、4経済的支援という四つの柱に沿って、

・支援を必要とするひとり親家庭が行政の相談窓口に確実につながるよう、地方公共団体の相談窓口のワンストップ化の推進

・放課後児童クラブ等の終了後にひとり親家庭の子供の生活習慣の習得・学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくり

・高等職業訓練促進給付金等による就職に有利な資格の取得の促進

・養育費等相談支援センターにおける相談支援や、養育費の取り決めや面会交流に関する支援

・児童扶養手当の支給や、母子父子寡婦福祉資金貸付金の貸付

等、総合的な支援を実施している。

また、ひとり親家庭は、経済的基盤が弱く厳しい状況にある中で、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、特に大きな困難が生じている。このため、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金の支給を実施した。また、ひとり親の安定就労を通じた中長期的な自立支援や住居確保につなげるため、高等職業訓練促進給付金に係る訓練受講期間を柔軟化し、対象資格の範囲を拡大するとともに、自立に向けて意欲的に取り組んでいる低所得のひとり親世帯に対する償還免除付のひとり親家庭住宅支援資金貸付等を行っている。


3 「2019年国民生活基礎調査」によると、ひとり親家庭(大人が一人で子どもがいる現役世帯)の貧困率は48.1%となっており、前回調査時(2016年)の50.8%と比べて2.7ポイント改善している。

子育て・生活支援

ひとり親家庭の親は、子育てと生計の維持を一人で担っており、生活面や経済面で様々な困難を抱えているケースが多いことから、個々の事情に寄り添った、きめ細かな支援を行う必要がある。「母子及び父子並びに寡婦福祉法」(昭和39年法律第129号)において、保育所等の利用調整を行う際のひとり親家庭の子供に対する特別な配慮を地方公共団体に義務付けている。

また、乳幼児又は小学校に就学する児童のいる家庭が就業上の理由で帰宅時間が遅くなる場合などに定期的に家庭生活支援員(ヘルパー)の派遣等を行う「ひとり親家庭等日常生活支援事業」や、ファイナンシャルプランナー等の専門家を活用した家計管理等の講習会の開催、ひとり親家庭の子供の生活習慣の習得・学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくり、地域の民間団体の活用等による出張・訪問相談、同行支援や継続的な見守り支援等を行う「ひとり親家庭等生活向上事業」を実施している。

なお、「子育て援助活動支援事業」(ファミリー・サポート・センター事業)においては、ひとり親家庭等の利用支援を行う地方公共団体に対して補助を実施している。

就業支援

ひとり親家庭の親の就業率は高いが、就業しても収入は低い傾向にある4ことから、より良い収入・雇用条件等で就労することにより、経済的な自立が図られるようにするため、就業支援を行うことが非常に重要である。

個々のひとり親家庭の実情に応じた自立支援プログラムを策定し、就業相談から就業支援講習会、就業情報の提供等の一貫した就業支援サービス等を提供する母子家庭等就業・自立支援センターやひとり親を含む子育て中の女性等に対するきめ細かな就職支援を実施するマザーズハローワーク等との連携のもと、プログラムに基づいたきめ細かな生活支援や就業支援等を実施している。

また、ひとり親家庭の自立の促進を図るため、就職に結び付きやすい教育訓練講座等を受講した際に、受講料の一部を支給する「自立支援教育訓練給付金」や、看護師、保育士等のほか、民間資格も含めて就職に有利となる資格を取得するために、養成機関在学中の生活費の負担を軽減する「高等職業訓練促進給付金」の支給等を実施している。

事業主への支援としては、ひとり親家庭の親を、ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して、賃金の一部に相当する額を助成する「特定求職者雇用開発助成金」等を実施している。


4 母子家庭の81.8%、父子家庭の85.4%が就労している(平成28年度全国ひとり親世帯等調査)。一方、総所得については、「児童のいる世帯」の745.9万円に対し、母子世帯は年間306.0万円に留まる(2019年国民生活基礎調査)。

養育費の確保等

離婚したひとり親家庭等にとって養育費の確保は重要であることから、養育費に関する法的な知識をわかりやすく解説するとともに、養育費及び面会交流に関する合意書のひな形及び記入例などを掲載したパンフレットを作成し、全国の市町村において、離婚届書と同時に配布するなどして、周知・広報に取り組んでいる。また、離婚届書に養育費の分担や面会交流に関する取決めの有無をチェックする欄(公正証書かそれ以外かの区別あり。)を加えた。養育費の履行確保にも資するものとして、第三者から債務者の財産に関する情報を取得する手続を新設するなどした「民事執行法」(昭和54年法律第4号)の改正法による全ての手続が、2021年5月から利用可能となったため、関係機関等への周知をしている。

さらに、養育費の確保等について、地方公共団体における法的支援の在り方を調査するため、地方公共団体と連携したモデル事業を実施している。

地方公共団体が設置する母子家庭等就業・自立支援センターに養育費専門相談員を配置し、養育費の取り決めや支払いの履行・強制執行に関する相談・調整や情報提供を行うとともに、国においては養育費等相談支援センターを設置し、母子家庭等就業・自立支援センターで受け付けられた困難事例等への対応や、養育費専門相談員等地域で養育費相談に従事している人を対象とする研修、ホームページ等による情報提供を実施している。

養育費や面会交流の取り決めを促進する観点から、離婚協議の前後から、父母が子供の福祉を念頭に置いて離婚後の生活等を考えるための「親支援講座」の開催や情報提供、養育費の履行確保等に資する取組を行う、「離婚前後親支援モデル事業」を実施している。

2011年6月に「民法」(明治29年法律第89号)が改正され(2012年4月1日施行)、協議離婚で定めるべき「子の監護について必要な事項」の具体例として、養育費の分担と親子の面会交流が明示された。面会交流は子の健やかな成長を確保する上で有意義であるなどの観点から、面会交流の実現を支援していく必要がある。このため、「母子家庭等就業・自立支援事業」のメニューとして、取決めのある面会交流の円滑な実施に向けた支援(相談、日程調整、付添い等)を行う事業を実施し、面会交流に関する相談支援体制の充実を図っている。

また、面会交流に関する支援を行っている民間団体や個人向けの参考指針や、それらの団体・個人の一覧表を作成し公表している。

経済的支援

ひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進に寄与するため、児童扶養手当を支給するほか、ひとり親家庭等の生活や子供の就学に必要な資金等について貸付けを行う「母子父子寡婦福祉資金貸付金」の貸付けを行っている。

「非正規雇用労働者等に対する緊急支援策について」(2021年3月16日新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議取りまとめ)に基づき、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中で、低所得の子育て世帯に対し、その実情を踏まえた生活の支援を行う観点から、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金の支給を実施した。

(児童虐待の防止、社会的養育の充実)
児童福祉法等改正法の着実な施行

・児童虐待の現状と児童虐待防止対策

児童虐待への対応については、「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)及び児童福祉法の累次の改正や民法などの改正により、制度的な充実が図られてきた。一方で、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は一貫して増加し、2020年度には児童虐待防止法制定直前の約18倍に当たる、20万5,044件となっている。子供の生命が奪われるなど重大な児童虐待事件も後を絶たず、児童虐待の防止は社会全体で取り組むべき喫緊の課題である。(第2-2-8図)

第2-2-8図 児童相談所における児童虐待相談対応件数の推移及び虐待の内容別相談件数

前記のように、児童虐待相談対応件数の増加や、2018年3月に東京都目黒区で発生した児童虐待事案等を受けて、2018年6月15日に「児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議」を開催し、安倍内閣総理大臣(当時)から、子供の命を守ることを何より第一に据え、全ての行政機関が、あらゆる手段を尽くすよう、緊急に対策を講じることについて指示があった。

この指示を受け、対応策を検討し、同年7月20日に同関係閣僚会議において、「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」を決定した。同対策においては、転居した場合の児童相談所における引継ぎルールを見直し・徹底すること、「児童相談所強化プラン」を前倒して見直すこと等としているほか、相談窓口の周知、より効果的・効率的な役割分担・情報共有、適切な一時保護、保護された子供の受け皿確保などを講じることとしている。また、母子保健分野においても、児童虐待の発生予防・早期発見のための取組について整理を行い、同月に通知を発出した。

さらに、同対策に基づき、2018年12月18日に、「児童虐待防止対策体制総合強化プラン(新プラン)」を決定し、児童相談所及び市町村の体制強化に向けて、2022年度までに、児童福祉司を約2,000人増加させることや市区町村子ども家庭総合支援拠点を全市町村に設置すること等としている。なお、児童福祉司等の増員については、新プランの計画を1年前倒し、2021年度までに約5,260人の確保を目指すこととした上で、児童虐待に関する相談対応件数が引き続き増加している状況等を踏まえ、2022年1月20日に、2022年度の目標を5,765人とすることを決定した。

また、2019年2月には、同年1月に千葉県野田市で発生した事案を受けて、関係閣僚会議を開催し、通告元の秘匿や関係機関の連携等に関する新ルールを設置することを内容とする「『児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策』の更なる徹底・強化について」を決定した。

さらに同年3月には、関係閣僚会議において「児童虐待防止対策の抜本的強化について」を決定し、同年6月には、体罰禁止の法定化、児童相談所における一時保護等を行う「介入」の担当者と「保護者支援」の担当者の分離、児童相談所における弁護士等の配置促進、DV対策との連携強化を内容とする「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」(令和元年法律第46号)が成立した(一部の規定を除き2020年4月1日に施行。)。(第2-2-9図)

第2-2-9図 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の概要

これらの対策に基づき、財政的な措置が必要なものについては、引き続き地方交付税措置を含め予算編成過程において検討を行うこととしている。

これまでこうした対策を講じてきたところであるが、依然として子供、その保護者、家庭を取り巻く環境は厳しいものとなっている。例えば、子育てを行っている母親のうち約6割が近所に「子供を預かってくれる人はいない」といったように孤立した状況に置かれていることや、各種の地域子ども・子育て支援事業についても支援を必要とする要支援児童等に十分に利用されておらず、子育て世帯の負担軽減等に対する効果が限定的なものとなっている。

こうした状況を踏まえれば、様々な状況にある子育て世帯を包括的に支援するため、必要な体制強化やサービスの充実を図る必要がある。このため、子供や家庭に包括的な相談支援等を行う「こども家庭センター」の設置や訪問による家事支援など子供や家庭を支える事業の創設を行うこと等を内容とする「児童福祉法等の一部を改正する法律案」を2022年通常国会(第208回国会)に提出した。なお、同法律案においては、上記のほか、一時保護開始時の司法審査の導入や、子ども家庭福祉現場において相談援助業務等を担う者の専門性向上のための実務経験者向けの認定資格の導入、児童に対してわいせつ行為を行った保育士の再登録手続の厳格化等についても必要な改正を行うこととされている。

・新型コロナウイルス感染症流行下での児童虐待防止対策

新型コロナウイルス感染症の影響により、子供の見守りの機会が減少し、児童虐待のリスクが高まっていることから、民間団体等にも協力を求め、様々な地域のネットワークを総動員して、地域の見守り体制を強化することが必要である。そのため、2020年4月に「子どもの見守り強化アクションプラン」を策定し、さらに、子ども食堂等の支援を行う民間団体等が、支援を必要とする子供等の居宅を訪問するなどして、状況の把握や食事の提供等を通じた見守り体制の強化を図っている。

また、児童相談所等に相談しやすい環境整備を進めるため、2021年7月より児童相談所相談専用ダイヤル(0570-783-189)の無料化を行った。

さらに、SNSによる相談に対応することができるよう、2021年度にシステムの設計・開発を行い、利便性の向上を図った。

児童虐待防止に向けた普及啓発

2004年から毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置付け、児童虐待問題に対する社会的関心の喚起を図っている。厚生労働省では、月間中、関係府省庁や地方公共団体、関係団体等と連携した集中的な広報啓発活動を実施している。2021年度は、「189(いちはやく) 「だれか」じゃなくて 「あなた」から」を月間標語として決定し、広報用ポスター、リーフレット等に掲載して配布したほか、「子どもの虐待防止推進全国フォーラムwithふくおか」のオンライン開催(11月7日)、映画「189」とのタイアップ等により、児童虐待は社会全体で解決すべき問題であることを周知・啓発した。(第2-2-10図)加えて、民間団体(認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク)が中心となって実施している「オレンジリボン運動」を後援している。また、文部科学省では、2021年度の月間に合わせて、全国の家庭・学校・地域の関係者、全国の子供たちに向けて、文部科学大臣メッセージを発信するなど、児童虐待の防止に向けた周知・啓発を行った。

第2-2-10図 「児童虐待防止推進月間」啓発用ポスター

児童虐待の未然防止、重篤化防止のための早期対応

・児童虐待による死亡事例等の検証

児童虐待による死亡事例等について、2004年度より、社会保障審議会児童部会の下に設置されている「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」において、児童虐待による死亡事例等について、分析・検証し、事例から明らかになった問題点・課題に対する具体的な対応策を提言として取りまとめており、2021年8月には、「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第17次報告)」を取りまとめた。

第17次報告においては、心中以外の虐待死(56例・57人)では、0歳児死亡が最も多く(49.1%)、うち月齢0か月が39.3%を占めた。妊娠期・周産期における問題として「予期しない妊娠/計画していない妊娠」、「妊婦健診未受診」が高い割合を占めること等が特徴としてみられた。

・学校等における取組

文部科学省では、2012年3月に、児童虐待の速やかな通告を一層推進するための留意事項を、都道府県等を通じて学校教育関係者に通知するなど、児童虐待防止法の規定による早期発見努力義務及び通告義務等について機会を捉えて周知徹底を図っているほか、関係機関との連携強化のための情報共有や児童虐待防止に係る研修の実施などの積極的な対応等についても周知している。

また、2009年に教職員の対応スキルの向上を図るための研修教材を作成・配布するとともに、養護教諭の児童虐待への対応の充実を図る一助とするため、公益財団法人日本学校保健会補助事業において、「子供たちを児童虐待から守るために─養護教諭のための児童虐待対応マニュアル─」を作成し、2014年3月に配布している。

さらに、2019年1月の千葉県野田市の事案を受け、同年2月には、文部科学副大臣を主査とする省内タスクフォースを設置し、再発防止策を検討するとともに、児童虐待事案に係る情報の管理及び関係機関間の連携に関する新たなルールを各都道府県教育委員会等に通知した。加えて、同年5月には、学校・教育委員会等が児童虐待の対応に当たって留意すべき事項をまとめた「学校・教育委員会等向け虐待対応の手引き」を作成・公表している(2020年6月一部改訂)。

加えて、地域における児童虐待の未然防止・早期発見の取組に資するよう、地域で活動する家庭教育支援や地域学校協働活動等の関係者に向けて、児童虐待への対応に関して留意すべき事項等をまとめた「児童虐待への対応のポイント」(2019年8月策定、2021年3月一部改訂)を周知している。

このほか、児童生徒の相談を受けることができるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用等、教育相談体制の整備を支援している。

社会的養育が必要な子供への支援

社会的養育は、かつては親のない、親に育てられない子供を中心とした施策であったが、現在では、虐待を受けた子供や何らかの障害のある子供への支援を行う施策へと役割が変化しており、一人一人の子供をきめ細やかに支援していけるような社会的資源として、その役割・機能の変化が求められている。

こうした中、厚生労働省はこれまで、里親等への委託の推進、施設運営の質の向上、親子関係の再構築の支援、自立支援の充実、子供の権利擁護などを進めてきた。さらに2016年5月には、全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化等を図るため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、子育て世代包括支援センターの法定化、市町村及び児童相談所の体制強化、里親委託の推進等を内容とする「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第63号)が成立した。

この改正において、国及び地方公共団体は、児童が家庭において健やかに養育されるよう保護者を支援することを原則とした上で、家庭における養育が困難又は適当でない場合には、まずは「家庭における養育環境と同様の養育環境」で継続的に養育されるよう、それが適当でない場合には、「できる限り良好な家庭的環境」において養育されるよう、必要な措置を講じなければならないこととされた。また、都道府県(児童相談所)の業務として里親の開拓から児童の自立支援までの一貫した里親支援が位置付けられた。これらを踏まえ、前述の計画を全面的に見直し、2020年度を始期とする新たな「都道府県社会的養育推進計画」を策定している。

各都道府県等の里親等委託推進に向けた取組を支援するため、2021年度より、「里親委託・施設地域分散化等加速化プラン」に取り組むこととし、里親等委託率の目標達成に向けて意欲的に取り組む地方公共団体に対して里親養育包括支援(フォスタリング)事業の補助率の2分の1から3分の2への引き上げなどを実施している。加えて、各都道府県等の養子縁組民間あっせん機関に対する助成に向けた取組を支援するため、「養子縁組民間あっせん機関助成事業」により、1子どもの出自を知る権利に関する支援など養子縁組民間あっせん機関が行う先駆的な取組への支援を拡充、2養親希望者の手数料負担軽減額の拡充を実施している。

施設退所児童等の自立支援策の推進

社会的養護の下で育った子供は、施設等を退所し自立するに当たって、保護者等から支援を受けられない場合が多く、その結果様々な困難に突き当たることが多い。このような子供たちの個々の状況に応じて必要な支援を実施し、将来の自立に結び付けることが重要である。

里親等への委託や、児童養護施設等への施設入所措置を受けていた者で年齢到達等により措置を解除された者のうち、自立のための支援を継続して行うことが適当な場合には、原則22歳の年度末まで、個々の状況に応じて引き続き必要な支援を行う。また、施設等に入所している者及び退所した者について、退所後の地域生活及び自立を支援したり、対象者同士が集まり、意見交換や情報交換・情報発信を行えるような場を提供したりする「社会的養護自立支援事業」、施設等を退所する子供等が、親がいないなどの事情により身元保証人を得られないため、就職やアパート等の賃借に影響を及ぼすことがないように、施設長等が身元保証人となる場合の補助を行う「身元保証人確保対策事業」や、安定した生活基盤を築くための家賃相当額や生活費の貸付けを行う「児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業」など、児童養護施設等を退所した児童等の着実な自立を支援するための取組を実施している。

加えて、20歳到達後から22歳の年度末までの間、大学等に就学している自立援助ホーム入居者に対して引き続き支援を行う「就学者自立生活援助事業」を実施している。

被措置児童等虐待の防止

施設等に措置された被措置児童等への虐待があった場合には、被措置児童等を保護し、適切な養育環境を確保することが必要である。

このため、2009年に施行された児童福祉法等の一部を改正する法律では、被措置児童等虐待の防止に関する事項を盛り込み、被措置児童等の権利擁護を図るための仕組みを整備した。また、同年、「被措置児童等虐待対応ガイドライン」を作成し、都道府県の関係部局の連携体制や通告等があった場合の具体的対応等の体制をあらかじめ定めること、都道府県児童福祉審議会の体制を整備することや、関係施設の協議会等との連携・協議を強化し、被措置児童等への周知や子供の権利についての学習機会の確保を図ること等について、都道府県等に対し具体的に示した。

また、入所児童に対するケアの充実を図るため、「児童養護施設等の職員の資質向上のための研修等事業」や「基幹的職員研修」などを実施している。

社会的養育関係施設における地域支援機能の充実

小規模かつ地域分散化された生活単位の養育体制を充実させる(子供:職員=6:4から最大6:6)とともに、継続的な服薬管理や健康管理が必要な児童等の支援を行う職員の配置の推進等を行う「乳児院等多機能化推進事業」において、特定妊婦等を受け入れた場合の生活費や居場所づくりに係る支援を拡充するなど、施設等の高機能化及び多機能化・機能転換、小規模かつ地域分散化を推進している。

また、施設運営の質を向上させるため、施設種別ごとの運営指針を策定するとともに、2012年度には、社会的養護関係施設における第三者評価及び施設長研修を義務付けた。2017年度には、社会的養護関係施設での第三者評価が効果的に行えるよう、評価基準の見直しを行ったほか、民間の児童養護施設職員等の人材確保と処遇改善を図るため、2%の処遇改善を行うとともに、虐待や障害等のある子供への夜間を含む業務内容を評価した処遇改善に加え、職務分野別のリーダー的業務内容や支援部門を統括する業務内容を評価した処遇改善を実施している。

(障害のある子供等への支援)
障害のある子供の保育等

障害のある子供への支援に関して、障害者に関する最も基本的な法律である「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)には、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、その年齢や特性等を踏まえた十分な教育を受けられるようにすることや、障害のある子供が可能な限りその身近な場所において療育等の支援を受けられるようにすることなどが規定されている。

また、政府は、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者基本法に基づく「障害者基本計画」に沿った施策の総合的かつ計画的な推進を図っているが、2018年度からの5年間を対象とする「障害者基本計画(第4次)」(2018年3月30日閣議決定)の中では、障害のある成人とは異なる支援を行う必要性があることやインクルーシブ教育システムの推進など、障害のある子供に対する支援の充実について盛り込まれている。

さらに、共生社会の実現に向けて、障害者差別の解消の推進を目的とした「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号)が2013年6月に成立し、2016年4月から施行された(2021年に一部改正)。同法に基づく政府の施策の基本的な方向を示す「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(2015年2月24日閣議決定)には、障害のある子供には、家庭や学校を始めとする社会のあらゆる機会を活用し、子供の頃から年齢を問わず障害に関する知識・理解を深め、障害の有無にかかわらず共に助け合い・学び合う精神を涵養する旨などが盛り込まれている。

障害のある子供に対し、その障害を早期に把握し、早期からその発達に応じた必要な支援を行うことは、その後の自立や社会参加に大きな効果があると考えられるとともに、障害のある子供を支える家族に対する支援という側面からも大きな意義があることから、中央教育審議会答申(2021年1月26日)等においても、乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目のない支援を受けられるような支援体制の整備を行うことの重要性が提言されている。障害のある子供については、保育所での受入れを促進するため、1974年度より、「障害児保育事業」において保育所に保育士を加配する事業を実施してきたが、事業開始より相当の年数が経過し、保育所における障害のある子供の受入れが全国的に広く実施されるようになったため、2003年度より一般財源化し、2007年度から、地方交付税の算定対象を特別児童扶養手当の対象児童から軽度の障害児に広げるなどの拡充をしている(2020年度実施か所数:1万9,965か所、対象児童7万9,260人)。

このほか、障害のある子供を受け入れるに当たり、バリアフリーのための改修等を行う事業や、障害児保育を担当する保育士の資質向上を図るための研修を実施している。

また、公立幼稚園においても、地方財政措置による「特別支援教育支援員」の配置にかかる経費を拡充するなど、障害のある子供の受入れ体制の整備促進を図っているところである。私立幼稚園においても、特別な支援が必要な幼児を受け入れる幼稚園に対し、都道府県が助成を行っている場合、当該経費の一部を補助している。さらに、障害のある子供に対して、児童福祉法に基づき、日常生活における基本動作の指導や、集団生活への適応のための支援を行う児童発達支援等を実施している。また、保育所等訪問支援の実施により、障害の有無にかかわらず、保育所等の育ちの場で全ての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進を図っている。このほか、従来から引き続き、家族の休息などを図る観点から障害のある子供等を一時的に預かって見守る日中一時支援等を実施している。

関係機関の連携の強化による支援の実施

障害のある子供やその家族を支えるため、乳幼児期を含めたライフステージに応じた切れ目のない支援を行うことができる地域の支援体制の確立を図ることが必要である。

また、障害のある子供には、その時々に応じて、保健、医療、福祉、教育及び労働など様々な関係者が支援を行うことが必要であり、協議会の活用(子ども部会の設置)等により関係機関や関係者の連携システムを構築していく必要がある。

2015年度より、障害福祉サービス等において、児童発達支援センター等の専門的療育を実施する事業所と保育所、小学校、就業時における企業等との連携を報酬上評価すること等により関係機関の連携の強化を図っているところである。

2016年6月に成立した「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成28年法律第65号)により、児童福祉法第56条の6第2項が新設され、医療的ケアが必要な障害児が適切な支援を受けられるよう、地方公共団体において、保健、医療、福祉等の連携促進を図ることが努力義務とされたところである。あわせて、障害児支援の提供体制の計画的な構築を図るため、地方公共団体において、「障害児福祉計画」を策定することが義務付けられた。

2017年7月には「児童発達支援ガイドライン」を策定し、関係機関と連携を図り、円滑な児童発達支援の利用と、適切な移行を図ることとした。

2018年度の障害福祉サービス等報酬改定において、関係機関との連携を促進する観点から、障害児通所支援事業所が小学校等と連絡調整を行った際の報酬上の評価を拡充した。また、2021年度の障害福祉サービス等報酬改定において、障害児入所施設における地域移行に向けた支援として、家庭や地域と連携して支援を行うソーシャルワーカーを専任配置した際の報酬上の評価を創設した。

また、2021年度には各都道府県において地域の実情に応じて難聴児の早期発見・早期療育を総合的に推進するための計画を作成するに当たり、指針となるものとして、「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針」を作成し、都道府県における保健、医療、福祉、教育の連携体制の整備を促進している。聴覚障害の早期発見・早期療育が図られるよう、2017年度から、新生児聴覚検査に係る協議会の設置や、研修会の実施、普及啓発等により、都道府県における推進体制を整備している。

さらに、地方公共団体が特別な支援を必要とする子供が就学前から学齢期、社会参加までの切れ目のない支援を受けられる体制の整備等を行う際に要する経費の一部を補助している。

医療的ケアが必要な子供への支援の充実

2017年度から、「医療的ケア児保育支援モデル事業」を創設し、保育所等において医療的ケア児の受入れを可能とするための体制を整備することで、医療的ケア児の地域生活支援の向上を図っており、2021年度から一般事業化している。

2018年度の障害福祉サービス等報酬改定においては、障害児通所支援事業所における、一定の基準を満たす医療的ケア児を受け入れるための看護職員の加配を評価する仕組みや、医療機関等の看護職員が事業所を長時間訪問した場合の評価の仕組みを設け、2021年度の同改定において、医療的ケア児を受け入れた事業所を基本報酬で評価するなど、医療的ケア児への支援の充実を図った。

また、2019年度から、医療的ケア児や重症心身障害児の地域における受入れが促進されるよう、地方公共団体の体制の整備を行い、医療的ケア児等の地域生活支援の向上を図ることを目的とする「医療的ケア児等総合支援事業」を実施しており、2022年度当初予算では、医療的ケア児支援センターの設置を推進するため、「医療的ケア児等コーディネーター」の配置を拡充するなど、医療的ケア児等の相談体制の充実を図っている。

2021年9月には、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、保育及び教育の拡充に係る施策その他必要な施策並びに医療的ケア児支援センターの指定等について定めた「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(令和3年法律第81号)が施行された。このことを踏まえ、2021年度補正予算において、医療的ケア児支援センターを運営する上で必要な備品購入費等について補助を行うことにより開設促進を図った。

学校における医療的ケアについては、2013年度から、地方公共団体等が医療的ケアを行う看護職員を学校に配置する際の経費を一部補助するとともに、学校において医療的ケア児の療養上の世話又は診療の補助に従事する医療的ケア看護職員について、その名称や職務内容を学校教育法施行規則第65条の2において規定(学校教育法施行規則の一部を改正する省令(令和3年文部科学省令第37号。同年8月23日公布・施行))するなど、各学校において関係者が一丸となって医療的ケアに対応できるよう、医療的ケアの環境整備の充実を図るための取組を推進している。

加えて、2020年度診療報酬改定において、医療的ケア児の主治医から学校医等への診療情報提供についての評価を新設するとともに、訪問看護ステーションから学校や保育所へ情報提供した場合の評価についても対象の拡大を行った。

発達障害のある子供への支援の充実

発達障害児への支援については、2016年通常国会(第190回国会)において「発達障害者支援法」(平成16年法律第167号)の一部が改正されたことを踏まえ、発達障害者の乳幼児期から高齢期までの各ライフステージに対応する一貫した切れ目ない支援の推進を図るため、保健、医療、福祉、教育及び労働等の制度横断的な関連施策の推進に取り組んでいる。具体的には、都道府県・指定都市に、保健、医療、福祉、教育、労働に関する機関が参加する「発達障害者支援地域協議会」を設置し、地域における発達障害児の支援体制に関する課題について情報を共有する等、関係機関の連携の緊密化を図ることとしている。

また、発達障害児者やその家族が地域で安心して暮らしていけるよう、2018年度に「発達障害児者及び家族等支援事業」を創設し、発達障害児の保護者に対するペアレントトレーニングや、発達障害者同士のピアサポートのほか、2020年度からは青年期の発達障害者等の居場所を作り、社会から孤立しない仕組み作りを行うための支援等を実施している。(第2-2-11図)

第2-2-11図 発達障害児者及び家族等支援事業

そのほか、発達障害等に関する知識を有する専門員が、市町村の保育所、放課後児童クラブ等の子供やその親が集まる施設・場を巡回し、施設のスタッフや親に対して、発達障害の早期発見・早期対応のための助言等の支援を行っており、2020年度からは、発達の気になる子供などに対し、切れ目ない支援を継続的に実施するための戸別訪問等も実施するなど、地域における発達障害児に対する支援体制の充実を図っている。

「気づき」の段階からの支援

乳幼児健診や子育て家庭の利用する様々な施設・事業において、特別な支援が必要となる可能性のある子供を早期に発見し、適切な専門機関につなぐこと等により、「気づき」の段階からの支援の充実を図っている。

特別支援教育の推進

障害のある子供については、その能力や可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加するために必要な力を培うことができるよう、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある「多様な学びの場」において一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援が行われている。

また、障害のある子供に適切な指導や必要な支援を行うためには、特別支援教育にかかわる教師の専門性の向上や、各学校における支援体制の整備を一層充実していくことが重要な課題である。

そのため、文部科学省では、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」(2021年1月26日中央教育審議会)や「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告」(2021年1月)を踏まえ、2021年には、障害のある子供の学びの場の適切な選択に資するよう、「障害のある子供の教育支援の手引」の改訂・周知を行ったほか、特別支援学校の教育環境を改善する観点から、特別支援学校を設置するために必要な最低限の基準である「特別支援学校設置基準」の公布(2021年9月24日)、特別支援教育を担う教師の専門性向上を図るべく「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議」における教師の専門性向上に関する議論を行っている。このほか、障害のある子供の学校における日常生活上・学習活動上のサポートを行う「特別支援教育支援員」の配置促進、学校において医療的ケア体制の充実を図るための看護職員配置の促進等、外部人材も積極的に活用しながら特別支援教育の推進を図っている。また、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所においても、国の政策課題等に対応した研究や研修等を行っている。

(若年無業者、ひきこもり等の子供・若者への支援)
地域のネットワークを通じた子供・若者への支援

「子ども・若者育成支援推進法」(平成21年法律第71号)及び「子供・若者育成支援推進大綱」(2021年4月6日子ども・若者育成支援推進本部決定)を踏まえ、ひきこもり等の困難な状態にある子供・若者を、地域における様々な機関がネットワークを形成して支援する「子ども・若者支援地域協議会」並びに子供・若者の育成支援に関する相談にワンストップで応じる「子ども・若者総合相談センター」の地方公共団体における設置加速及び機能向上を図るため、アドバイザーの派遣や研修・会合の開催、好事例の提供等を実施した。2022年1月1日現在、子ども・若者支援地域協議会が134の地方公共団体に、子ども・若者総合相談センターが109の地方公共団体に、それぞれ設置されている。

また、困難な状態にある子供・若者の支援に当たる専門人材の養成及び資質向上を図るため、アウトリーチ(訪問支援)や相談業務に関する研修を実施した。

(遺児への支援)
遺児への支援

2014年度に東日本大震災被災地の子供と家族に対する健康・生活支援のために創設した「被災した子どもの健康・生活対策等総合支援事業」は、2015年度には復興庁所管の「被災者健康・生活支援総合交付金」内の事業となり、2016年度には「被災者支援総合交付金」内の事業として引き続き計上し、2020年度も児童精神科医等が巡回相談により子供の心のケア等を行う「親を亡くした子ども等への相談・援助事業」を実施した。

交通事故遺児支援については、自動車事故による交通遺児等の健全な育成を図るため、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)において、中学校卒業までの遺児等を対象に、育成資金の無利子貸付を行うとともに、公益財団法人交通遺児等育成基金においては、満16歳未満の遺児を加入対象に、育成給付金の支給を満19歳に達するまで行っている。

自死遺児支援については、2006年10月に施行された「自殺対策基本法」(平成18年法律第85号)を踏まえ、自殺又は自殺未遂者の親族等に及ぼす深刻な心理的影響が緩和されるよう、当該親族等に対する適切な支援を行うため、遺族のための自助グループ等の地域における活動を支援するなど、地方公共団体との連携の下、自死遺族支援施策の中で関連施策の推進に取り組んでいる。具体的には、地域自殺対策緊急強化基金を活用して、地方公共団体において、自死遺児支援のためのつどいの開催等の取組を実施している。

(定住外国人の子供に対する就学支援)
定住外国人の子供に対する就学支援

外国人については、保護者が希望する場合には、その子供を公立の義務教育諸学校に無償で就学させることができる。2021年5月現在、我が国の公立の小学校、中学校、高等学校などに在籍する外国人児童生徒の数は11万4,853人である。また、日本語指導が必要な外国人児童生徒の数は、2021年5月現在で4万7,627人であり、前回調査の2018年度と比べて6,872人(約16.9%)増加しており、多数在籍している(2021年度「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(速報)より)。他方、同年に文部科学省が実施した「外国人の子供の就学状況等調査」では、約1万人の外国人の子供が不就学の状況にある可能性が明らかになった。

このような状況を踏まえ、文部科学省では、「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」(2020年6月23日閣議決定)に基づき、外国人の子供の就学促進等について地方公共団体が講ずべき事項を取りまとめた「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」を策定し、同年7月に通知するとともに、就学に課題を抱える外国人の子供を対象とした、公立学校や外国人学校等への就学に必要な支援を学校外において実施する地方公共団体を補助する事業を実施している。

また、学校における指導体制の整備充実のため、 2026年度までに日本語指導が必要な児童生徒18人に対して1人の教員が基礎定数として措置されるよう、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の規定に基づいた着実な改善を図るとともに、外国人児童生徒等の受入れから卒業後の進路までの一貫した指導・支援体制の構築を図るため、各地方公共団体が行う公立学校への受入促進、日本語と教科の統合指導・生活指導等を含めた総合的・多面的な指導、保護者を含めた支援体制の整備等に関する取組を支援する事業を実施している。

2014年には、日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」を編成し、個別の日本語指導を教育課程に位置付けて実施できるよう制度改正を行った。

その他、教育委員会へのアドバイスや教員研修の充実のため、「外国人児童生徒等教育アドバイザー」の派遣や、独立行政法人教職員支援機構による、外国人児童生徒教育に携わる教員や校長・教頭などの管理職及び指導主事を対象とした、学校全体での外国人児童生徒の受入れ体制の整備、関係機関との連携、日本語指導の方法等を主な内容とした指導者養成研修を実施している。

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