付録(2 〔別添1〕)
付録2 〔別添1〕施策の具体的内容
I 重点課題
1 結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる
I-1(1)若い世代が将来に展望を持てる雇用環境等の整備
(経済的基盤の安定)
- 若者の雇用の安定
- 25~34歳層の不本意非正規雇用労働者割合が他の年齢層よりも高い状況を踏まえ、わかものハローワーク等における正社員化支援や、公的職業訓練を実施するとともに、キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金の活用促進などにより、引き続き正社員転換等の取組を進める。
- また、好景気においてもなお様々な事情により就職に困難を有する若者が、将来、不本意非正規雇用労働者とならないよう、新卒応援ハローワークやわかものハローワーク等においてきめ細かな支援を引き続き実施し、希望に応じた着実な就職と定着につなげる。
- 非正規雇用対策の推進
- 同一労働同一賃金の実現に向け、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消するなど、非正規雇用労働者の処遇改善に取り組むとともに、正規雇用労働者への転換に向けた取組を推進する。
- 結婚・子育て資金や教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の実施等
- 現在、高齢世代の保有する資産の若い世代への移転を促進し、若い世代を支援することを目的として、父母・祖父母等が子・孫に対し結婚・妊娠・出産・育児や教育に要する費用について一括して拠出した場合に、一定の限度額の範囲内で贈与税を非課税とする措置を講じている。
- 社会状況や適用実態、国や地方公共団体が行うベビーシッター等に関する利用者の負担軽減措置について検証しながら、今後の支援の在り方について、検討を行うこととする。
I-1(2)結婚を希望する者への支援
(地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等)
- 地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等
- 地方公共団体が行う、出会いの機会・場の提供、結婚に関する相談・支援や支援者の養成、ライフプランニング支援、官民が連携した結婚支援の取組などの総合的な結婚支援の取組を支援する。その際、複数の地方公共団体が連携して行う広域的な取組を重点的に支援する。また、ノウハウに乏しい地方公共団体に対しては人的支援も含めた支援を行う。あわせて、婚姻の状況等も踏まえ、地方公共団体が実施する新婚世帯の新生活のスタートアップ支援に係る取組を支援する。加えて、結婚支援に取り組むNPOを始めとする民間団体との連携強化を図る。
- 地方公共団体が行う結婚支援の更なる質の向上を図るため、退職者や高齢者を始めとする多様な担い手の育成方策や、NPOを始めとする民間団体との連携方策について検討し、その成果の横展開を図る。また、地方公共団体の効果的な取組事例の収集を行い、横展開を図る。
I-1(3)男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備
(保育の受け皿整備の一層の加速)
- 「子育て安心プラン」等に基づく保育の受け皿の整備
- 就労希望者の潜在的な保育ニーズに対応し、就労しながら子育てしたい家庭を支えるため、「子育て安心プラン」に基づき、2020年度末までに待機児童解消を図り、女性就業率8割に対応できるよう、約32万人分の保育の受け皿を確保する。
- 2021年度以降の保育の受け皿確保について、必要な者に適切な保育が提供されるよう、第2期市町村子ども・子育て支援事業計画における「量の見込み」の結果等を踏まえ検討するとともに、各地方公共団体の特性に応じたきめ細かな支援を行う。
- 地域の実情に応じた保育の実施
- 地域の実情に応じて保育需要のマッチングを行うため、引き続き、各地方公共団体の居宅から容易に移動することが可能な区域(保育提供区域)ごとに申込者等の計画を作成し公表する等の「見える化」を実施するとともに、保育コンシェルジュや広域的保育所等利用事業(巡回送迎バス)の積極的な活用を促進する。また、待機児童数の約8割は1・2歳となっていることから、0歳から2歳児が入所する小規模保育事業等地域型保育事業、企業が柔軟に運営できる企業主導型保育事業、幼稚園における2歳児の受入れ促進を実施する。
- 人口減少地域等における保育の在り方についての検討を進める。
(保育人材確保のための総合的な対策の推進)
- 保育人材の確保
- 保育の受け皿拡大を支える保育人材の確保のため、業務改善のためのガイドラインの策定、ICTや保育補助者の活用により、保育士の業務負担軽減を図る。あわせて、保育士を目指す方や保育士に復帰しようとする方が増え、保育現場で就業しやすくなるよう、魅力ある職場づくりや保育士の職業の魅力向上とその発信に取り組むとともに、必要な財源の確保や改善努力の見える化と併せた処遇改善などに取り組む。
(放課後児童クラブ・放課後子供教室の整備及び一体的な実施)
- 「新・放課後子ども総合プラン」の実施
- 共働き家庭等の「小1の壁」・「待機児童」を解消するとともに、全ての児童が放課後を安全・安心に過ごし、地域住民等の参画を得て多様な体験・活動を行うことができるよう、「新・放課後子ども総合プラン」1に基づき、放課後児童クラブについて、2023年度末までに約30万人分(約122万人から約152万人分)の受け皿を整備するとともに、全ての小学校区で、放課後児童クラブと放課後子供教室を一体的に又は連携して実施し、うち小学校区内で一体型として1万か所以上で実施することを目指す。また、新たに放課後児童クラブ又は放課後子供教室を整備等する場合には、学校施設を活用することとし、新たに開設する放課後児童クラブの約80%を小学校内で実施することを目指す。さらに、子どもの主体性を尊重し、子どもの健全な育成を図る放課後児童クラブの役割を徹底し、子どもの自主性、社会性等の向上を図る。
(企業等による事業所内保育施設等の設置の促進)
- 企業等による事業所内保育施設等の設置の促進
- 企業等による事業所内保育施設の設置を促進する。
- 企業主導型保育事業について、運営に係る経費及び受け皿整備に伴う整備費の一部を支援する。
- 多様な働き方をしている労働者が、ベビーシッター派遣サービスを利用した場合に、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業により利用料金の一部を支援する。
- 大学等教育機関、病院等において、仕事・学業と子育ての両立ができる環境の整備を促進する。
(高等学校等における妊娠した生徒への配慮)
- 高等学校等における妊娠した生徒への配慮
- 高等学校等の生徒が妊娠した場合には、母体の保護を最優先としつつ、教育上必要な配慮を行うべきものであることについて、周知徹底を図る。
(育児休業や育児短時間勤務などの両立支援制度の定着促進・充実)
- 育児休業や短時間勤務等の両立支援制度の定着
- 育児休業、子育て中の短時間勤務、所定外労働の免除、子の看護休暇等育児・介護休業法2に基づく制度について、有期雇用労働者を含め周知を図るとともに、両立支援制度を利用しやすい職場環境を整えるため、事業主に対する助言や助成等の支援を進める。
- 育児休業からの円滑な復帰の支援
- 育児休業からの円滑な復帰を促進するため、企業への普及啓発及び支援を行う。
- 妊娠、出産、育児等を理由として退職した者が就業可能になったときに復職できる再雇用制度を導入し、希望者を再雇用した事業主に助成金を支給することにより、育児等による離職者の復職支援を図る。
- 育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いの防止
- 育児休業の取得等を理由とする不利益取扱い禁止を定めた育児・介護休業法の周知及び違反した企業への行政指導を徹底する。
- 非正規雇用労働者に対する支援
- 非正規雇用労働者についても産前産後休業・育児休業の対象となることや、2017年1月に施行された改正育児・介護休業法において有期雇用労働者の育児休業の取得要件が緩和されていることの周知徹底を図る。また、改正後の有期雇用労働者の育児休業の取得状況等を踏まえつつ、有期雇用労働者が育児休業を取得しやすくする方策を検討する。
- 育児休業の円滑な取得・復帰に取り組んだ中小企業事業主に対して支給する助成金について、育児休業取得者の代替要員を新たに雇い入れた場合にも助成を行い、当該育児休業取得者が有期雇用労働者である場合にはさらに加算する措置を講じ、活用促進を図る。
- 正規雇用・非正規雇用にかかわらず妊娠・出産前後の継続就業の支援
- 女性が妊娠・出産後も継続して就業できるよう、育児・介護休業法に基づく仕事と子育ての両立のための制度について、周知を図るとともに、企業の制度として定着するよう、指導を徹底する。また、長時間労働の是正、短時間勤務やテレワークなど柔軟な働き方の実現等に取り組む。
1 2018年9月14日公表
2 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)
I-1(4)子育て等により離職した女性の再就職支援、地域活動への参画支援
- 子育て女性等の再就職支援
- マザーズハローワーク等において、子育てをしながら就職を希望する女性等に対して、子供連れで来所しやすい環境を整備するとともに、担当者制によるきめ細かな就職支援、求人情報や地方公共団体等との連携による保育サービス関連情報等の提供など、再就職に向けた支援を行う。
- 公共職業訓練において、託児サービスを付加した訓練等を実施する。
- 女性の幅広い活躍を推進する学び直し支援
- 多様な年代の女性の社会参画を推進するため、関係機関との連携の下、学び直しを通じて女性のキャリアアップ、キャリアチェンジ等を総合的に支援する取組を促進する。
I-1(5)男性の家事・育児参画の促進
- 育児休業など男性の育児参画の促進
男女が共に子育てに参画していく観点から、男性の育児休業の取得促進等について、以下の取組を総合的に推進する。
- 男性の育児休業取得や育児参画を促進するため、母子健康手帳、出産育児一時金・出産手当金といった妊娠から出産までの手続等の機会に育児休業制度等の周知・広報を行う。また、妊婦と父親になる男性が共に妊娠・出産への理解を深め、協力して子育てに取り組めるよう、両親学級や育児参加促進に関する講習会の実施状況についての好事例の収集・横展開などを通じ、両親共に参加しやすい日時設定、子供の誕生や産後の子育てをイメージできるプログラム構成などに配慮しつつ、地方公共団体における両親学級などの開催を促進する。
- 子の出産後8週間以内に育児休業を取得した場合、再取得を可能とする「パパ休暇」、父母が共に育児休業を取得する場合に育児休業取得可能期間を延長する「パパ・ママ育休プラス」などの法律上の制度の周知と定着を推進し、男性の育児休業取得を図る。
- 育児・介護休業法において育児休業等の対象者へ育児休業中の待遇に関する事項等について個別に周知することが事業主の努力義務とされていることの周知等を通じて、男性の育児休業の取得を促進し、男性が出産直後から育児を行うことを促す。
- 配偶者の出産時や出産後に年次有給休暇の取得を希望する男性が取得しやすい環境の整備を進める。企業が労働者に時季に関する意見を聴いて、一定の年次有給休暇の日を指定する仕組みが法整備されたことを踏まえ、企業が当該制度を積極的に活用することにより、労働者が配偶者の出産時や出産後に年次有給休暇を取得できるよう促す。
- 育児休業制度について、柔軟な取得を可能とするための分割取得の拡充を検討するとともに、配偶者の出産直後の時期を中心に、男性の休業を推進するための枠組みについて、取得しやすい手続や休業中の給付などの経済的支援等を組み合わせることを含めて検討する。
- 男性労働者が育児休業や育児目的休暇(育児に関する目的のために利用することができる休暇)を取得しやすい職場環境整備を行い、実際に男性労働者が育児休業等を取得した際の助成金について、周知の徹底など活用を促進することにより、男性の育児休業取得促進に取り組む事業主を支援する。
- 妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知を行うほか、有価証券報告書などの企業公表文書等への育児休業取得率の記載を促すなど、事業主が男性の育児休業取得を促す取組を行うことを促進する仕組みの導入について検討する。
- 男性の育児休業取得など次世代育成支援に積極的な事業主に対するインセンティブについて検討する。
- 2020年の雇用保険法3改正により、子を養育するために休業した労働者の雇用と生活の安定を図るための給付と位置付けられた育児休業給付について、上述の男性の育児休業の取得促進等についての総合的な取組の実施状況も踏まえつつ、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた効果的な制度の在り方を総合的に検討する。
- 男性国家公務員の育児に伴う休暇・休業の取得促進
- 男性職員が育児に参画する時間をきちんと確保し、民間部門も含めた我が国全体の育児休業等の取得率向上にもつなげていく観点から、子供が生まれた全ての男性職員が1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得できることを目指し、職場全体の意識の変革や、取得の勧奨、休暇・休業中の業務運営の確保等に積極的に取り組む。
- 男性の家事・育児に関する啓発普及、意識改革
- 男女が協力して家事・育児を行ったり、男女が共同して社会に参画したりすることの重要性や家庭の大切さについて、若い頃からの教育・啓発を通じて意識形成を図るとともに、生活を営むために必要な衣食住や保育などに関する知識や技術を身に付けられるよう、教育での取組を行う。
- 男性の家事・育児の実態等、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に関する調査研究及び好事例の情報提供を行う。
- イクメンプロジェクトの実施等、今後育児を行う若年層やその上司・同僚等に対して、男性の育児休業に関する啓発資料や育児休業体験談の広報等を行うことにより、男性の育児に関する意識改革を促進する。
3 昭和49年法律第116号
I-1(6)働き方改革と暮らし方改革
(長時間労働の是正)
- 長時間労働の是正及び年次有給休暇の取得促進
- 年次有給休暇の取得促進のため、連続した休暇を取得しやすい時季を捉えた集中的な広報の実施、シンポジウムの開催等により機運の醸成を図る。また、長時間労働の削減のための重点的な監督指導等を実施する。
(多様で柔軟な働き方の実現に向けた取組)
- 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等に基づく取組の推進
- 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」4に基づき、政労使、地方公共団体等が密接に連携しながら、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現に向け、総合的な取組を推進する。
- 多様な正社員制度の導入・普及
- 多様な正社員制度について、セミナーの開催等により、制度を導入する際の留意事項や企業事例の紹介を行い、多様な働き方に対する社会的気運の醸成を図る。
- テレワークの推進
- 子育てと仕事の両立やワーク・ライフ・バランス、労働生産性向上、非常時における業務継続性の確保等の観点から、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」5等に基づき、情報通信技術を活用した、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であるテレワークについて普及促進を図る。
- 転勤等に関する仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進の更なる取組
- 転勤に関する企業のニーズや動向を捉え、企業の転勤に関する雇用管理のポイントを整理した「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」の周知を通じて、労働者の仕事と家庭生活の両立の推進を図る。
- 時間単位の年次有給休暇制度の企業への導入促進
- 時間単位の年次有給休暇制度について、取得日数などの利用の実態を踏まえた有効な活用の在り方について検討するとともに、周知リーフレットの配布、働き方・休み方改善ポータルサイトでの導入事例の掲載等により企業への導入促進を図る。
- 国の率先的取組
- 「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」6及び各府省等が策定した取組計画に基づき、国家公務員に関して、働き方改革、育児・介護等と両立して活躍できるための改革等について、総合的かつ計画的な取組を推進する。
(雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組)
- 非正規雇用対策の推進(再掲)
- 雇用によらない働き方の者に対する支援
- 多様な働き方の一つとして、希望する個人が個人事業主・フリーランスを選択できる環境を整えるため、雇用によらない働き方の保護の在り方について、実態を把握・整理した上で、今後の政策の方針を検討する。
(暮らし方改革)
- 地域活動への多様で柔軟な参加の促進
- 学校・保育所の保護者会(PTA等)や自治会・町内会など、学校・園関連の活動や地域活動について、多様な住民が参加しやすい活動の在り方を提示するとともに、優良事例の横展開を図る。
4 2007年12月18日仕事と生活の調和推進官民トップ会議決定、2016年3月改定
5 2019年6月14日閣議決定
6 2014年10月17日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定
2 多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える
I-2(1)子育てに関する支援(経済的支援、心理的・肉体的負担の軽減等)
(子育てに関する経済的支援・教育費負担の軽減)
- 児童手当の支給・在り方の検討
- 家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として、中学校修了までの児童を対象として児童手当を支給する。
- 児童手当について、多子世帯や子供の年齢に応じた給付の拡充・重点化が必要との指摘も含め、財源確保の具体的な方策と併せて、子供の数や所得水準に応じた効果的な給付の在り方を検討する。
- 幼児教育・保育の無償化の着実な実施
- 2019年10月から実施されている、3歳から5歳までの子供及び0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子供についての幼稚園、保育所、認定こども園等の費用の無償化を着実に実施する。
- 高校生等への修学支援
- 2020年度から実施する私立高等学校授業料の実質無償化を着実に進め、高等学校等就学支援金、高校生等奨学給付金等により、高等学校段階の教育費負担の軽減を図る。
- 高等教育の修学支援
- 真に経済的支援が必要な子供たちが経済的な理由によって大学等への進学を断念することがないよう、2020年4月から授業料等の減免措置と給付型奨学金の拡充を併せて行う高等教育の修学支援新制度を着実に実施するとともに、中間所得層におけるアクセスの機会均等について注視・検討する。
- 高等教育の修学支援新制度について、少子化対策として実施していることに鑑み、その成果や実施状況を踏まえ、多子世帯に更に配慮した制度の充実を検討する。
- 国民健康保険料の負担軽減を行う地方公共団体への支援
- 子供の数に応じた国民健康保険料の負担軽減を行う地方公共団体への支援を着実に実施する。
(子ども・子育て支援新制度の着実な実施)
- 地域の実情に応じた子ども・子育て支援の充実
- 「子ども・子育て支援新制度」を着実に実施し、実施主体である市町村が住民のニーズを把握した上で、地域の実情に応じて子ども・子育て支援の充実を図る。また、その更なる「質の向上」を図るため、消費税分以外も含め、適切に財源を確保していく。
(保護者の就業形態や就業の有無等にかかわらない多様な保育・子育て支援の拡充)
- 保護者の就業形態や就業の有無等にかかわらない多様な保育・子育て支援の拡充
- 認定こども園については、地域子育て支援拠点事業の活用等により、子育て親子の交流の場の提供や子育て等に関する相談・援助など、地域における子育て支援を充実する。
- 利用者支援事業については、子育て家庭や妊産婦が、教育・保育施設や地域子ども・子育て支援事業、保健・医療・福祉等の関係機関を円滑に利用できるよう、身近な場所での相談や情報提供、助言等必要な支援を行う利用者支援事業を促進し、関係機関との連絡調整、連携・協働の体制づくりや機能強化の推進を図る。特に、待機児童の解消を図るため、保育コンシェルジュを活用し、保育所等の利用について、入所申し込み時期以前から説明を行い、保護者の状況や意向を把握し、利用可能な保育所等の情報提供、ニーズに応じた適切な保育の提供、入所に至らなかった場合においても継続した支援を行う「寄り添う支援」を実施する。
- 地域子育て支援拠点事業については、子育て家庭等の育児不安に対する相談・援助や、親子が気軽に集うことのできる場を提供するなどの地域の子育て支援拠点の設置を促進するとともに、支援の質の向上や地域の実情に応じた多様な支援の推進を図る。
- 一時預かり事業については、保育所や幼稚園といった教育・保育施設で実施される取組に対する着実な支援に加え、在宅の子育て家庭の育児疲れによるレスパイトのため、また、孤立した子育てが虐待につながることがないよう、地域子育て支援拠点などいつでも気兼ねなく集まり交流できる場での一時預かりを促進する。また、保護者のニーズが異なることによる利用児童数の変動や、突然の利用キャンセル等により不安定な運営となっていることから、需給調整の在り方等の検討を進める。
- ファミリー・サポート・センター事業については、子供の預かり等の援助を受けることを希望する者と援助を行うことを希望する者との連絡・調整等を促進することにより、地域における育児に係る相互援助活動を推進する。
- 病児保育については、病気になった子供の保護者が希望に応じて就労できるようにするための非常に重要な事業であるが、感染症の流行時期などの季節変動や突然の利用キャンセル等により不安定な運営となっていることから、調査研究等を踏まえ、需給調整の在り方等の検討を進める。
- 延長保育、夜間保育など、子育て家庭における様々なニーズに対応した多様な保育等の充実を図る。
I-2(2)多子世帯、多胎児を育てる家庭に対する支援
(多子世帯に配慮した子育て、保育、教育、住居など様々な面での負担の軽減策の推進)
- 児童手当の支給・在り方の検討(再掲)
- 高等教育の修学支援(再掲)
- 多子世帯又は第3子以降を対象とする保育所等の優先利用
- 多子世帯又は第3子以降であることを保育所等の優先利用の事由の一つとして位置付けることについて、地方公共団体に対する配慮の働きかけを行う。
- 住宅政策における多子世帯への配慮・優遇措置
- 公営住宅における多子世帯の優先入居等について、地方公共団体に対する働きかけを行う。
- 子育て支援パスポート事業の普及・促進
- 地方公共団体が、地域の企業・店舗の協賛を得ながら、子育て家庭に対する各種割引・優待サービスや乳幼児連れの外出支援・応援サービス等を提供する子育て支援パスポート事業について、一層の普及・促進を図る。あわせて、多子世帯への支援が図られるよう必要な取組を行う。
(多胎児を育てる家庭に対する支援)
- 多胎妊産婦等に対する支援
- 育児等の負担が大きく孤立しやすい多胎妊産婦等を支援するため、多胎児の育児経験者家族との交流会の開催や相談支援の実施に加え、多胎妊婦や多胎家庭のもとへ育児等サポーターを派遣し、産前や産後における日常の育児に関する介助等や、相談支援を行う。
I-2(3)妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援
- 妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援
- 安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後を支援するため、成育基本法7を踏まえ、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援体制の充実に取り組む。
- 特に、妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対して総合的相談支援を提供するワンストップ拠点(子育て世代包括支援センター)の整備を図る。また、2019年に成立した母子保健法改正法8を踏まえ、出産後の母子に対して、心身のケア等を行う産後ケア事業について、2024年度末までの全国展開を目指す。このほか、産前・産後サポート事業の実施を図る。
- また、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の実施を図るとともに、保護者の養育を支援することが特に必要な家庭に対しては、養育支援訪問事業等の適切なサービスの提供を行うなど、切れ目のない支援体制を推進する。
- 予期せぬ妊娠等に悩む若年妊婦等への支援
- 予期せぬ妊娠等により、不安を抱える若年妊婦等を支援するため、女性健康支援センターや若年妊婦等への支援に積極的なNPO等によるアウトリーチや、SNSを活用した相談支援等を実施するほか、当該妊婦等を次の支援につなげるまでの緊急一時的な居場所の確保等に係る支援を行う。また、乳児院や母子生活支援施設、産科医療機関等にコーディネーターや看護師を配置すること等により、特定妊婦等への支援体制の強化を図るほか、特別養子縁組や里親委託の選択肢があることの周知等を図る。
7 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律(平成30年法律第104号)
8 令和元年法律第69号
I-2(4)子育ての担い手の多様化と世代間での助け合い
(地域住民の参画促進による子育ての担い手の多様化)
- 地域共生社会の実現に向けた取組の推進
- 子育て世帯の孤立など地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築等を通じて、意欲のある地域住民が子育てに関わるなど、すべての人々が役割を持ち、支え合いながら、活躍できる地域共生社会の実現を目指す。
- 「子育て支援員」の養成
- 地域の子育て支援等の仕事に関心を持ち、これらの各事業等に従事することを希望する者を「子育て支援員」として養成し、地域の実情やニーズに応じて様々な子育て支援の担い手となる人材の確保を図る。
- 地域の退職者や高齢者等の人材活用・世代間交流
- 退職者や高齢者等が地域における子育ての担い手として活躍し、世代間交流にも資するよう、地域の子育て経験者や元教員等、多様な人材の参画により、地域全体で子供たちの健やかな成長を支える取組や、シルバー人材センターにおいて行われる乳幼児の世話や保育施設への送迎などの育児支援、就学児童に対する放課後・土日における学習・生活指導、掃除や食事の支度などの家事援助等の取組を支援する。
(家族における世代間での助け合い)
- 三世代同居・近居しやすい環境づくり
- 家族において世代間で助け合いながら子や孫を育てることができるよう、三世代同居に対応した優良な住宅の整備・リフォームに対して支援を行うとともに、UR賃貸住宅において子育て世帯とそれを支援する親族世帯との近居を促進することにより、三世代同居・近居しやすい環境づくりを推進する。
3 地域の実情に応じたきめ細かな取組を進める
I-3(1)結婚、子育てに関する地方公共団体の取組に対する支援
- 地域の実情に応じた子ども・子育て支援の充実(再掲)
- 結婚、子育てに関する地方公共団体の取組に対する支援
- 地方公共団体が行う、地域の課題・実情に応じた結婚に対する取組、乳幼児とのふれあい体験、ライフプランセミナー、父親の家事・育児参画促進など結婚、妊娠・出産、子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組を支援し、優良事例の横展開を推進する。
I-3(2)地方創生と連携した取組の推進
- 地方創生と連携した少子化対策の推進
- 地域や企業など社会全体として、男女ともに結婚、子育て、仕事をしやすい環境整備が行われるよう、まち・ひと・しごと創生本部等と子ども・子育て本部が一体となって、地域の実情に応じた実効性のある少子化対策を総合的に推進する。具体的には、結婚・出産・子育ての支援、仕事と子育ての両立に係る国全体の制度等の活用を促進することに加え、各地方公共団体における結婚の希望をかなえる取組、子育てのサポート体制、男女の働き方などの地域の実情に応じた少子化対策の取組を推進する。その際、地方創生と少子化対策の関係部局が一体的に施策の企画・立案、実行を進めるよう、地方公共団体に対して促していく。
- 「地域アプローチ」による少子化対策の推進
- 子育てのサポート体制、男女の働き方、まちのにぎわいなどの要素による地域特性の見える化等を通じて、分野横断的に少子化対策を検討するための「少子化対策地域評価ツール」の活用を促進し、地域コミュニティによる支え合い、職住育近接のまちづくりなど、地方公共団体の具体的な取組を推進する。
- 子育て世代に魅力あるまちづくり
- 安心して子育てができ、多世代にとって魅力的で暮らしやすいまちをつくる「コミュニティマネジメント」の活動を推進するため、先進的な取組を行っている地方公共団体、住民団体、民間事業者等の事例分析等を通じて、活動の担い手の育成や活動の拠点となる場づくりの支援のモデルを整理し、事例集、ガイドライン等を通じて普及する。
- 地域の潜在的な人材の活躍に資するよう、現在職に就いていない女性・高齢者等の掘り起こし、企業の職場環境改善や業務プロセスの見直し支援、マッチングなどの一連の取組を官民連携プラットフォームの下で行う都道府県の女性・高齢者等新規就業支援事業を促進するとともに、職住育近接に資するサテライトオフィス、コワーキングスペース等の整備など当該事業に関連した市町村等の関係機関の取組を促進する。
- 地域再生法9に基づく地域住宅団地再生事業の活用等により空き家のシェアオフィス等への転用等を促進し、職住育が近接した多世代共生型のまちづくりを推進する。
- 女性や若者等の移住・定着の推進
- 若い世代を中心に地方移住への関心が高まってきている傾向を的確に捉え、地方移住の動きを後押しすることが必要である。このため、地域における社会的課題の解決に資する起業と移住への支援を行う地方公共団体の取組について地方創生推進交付金を活用して支援する。あわせて、移住希望者と地方の中小企業等とのマッチングや、当該中小企業等への就業に伴う移住への支援を行う地方公共団体の取組についても支援する。
9 平成17年法律第24号
4 結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる
I-4(1)結婚を希望する人を応援し、子育て世帯をやさしく包み込む社会的機運の醸成
- 多様な主体の連携による子育てにやさしい社会的機運の醸成
- 社会を構成する多様な主体がそれぞれの立場で子育てを応援していく姿勢を持ち、社会全体で子育て応援の機運醸成を図るため、官民合同で、子育てにやさしい社会的機運の醸成に向けた国民運動を展開する。
- 子育て支援パスポート事業の普及・促進(再掲)
- 「家族の日」「家族の週間」等を通じた理解促進
- 多様な家庭や家族の形態があることを踏まえつつ、「家族の日」(11月第3日曜日)や「家族の週間」(家族の日の前後1週間)において、多様な主体と連携し、様々な啓発活動を展開し、家族や地域の大切さ等について理解の促進を図る。
- マタニティマーク、ベビーカーマークの普及啓発
- 社会全体で妊産婦に対する優しい環境づくりを推進する「マタニティマーク」の普及を図る。
- ベビーカー使用者が安心して利用できる場所や設備を明示するために、駅や車両などでベビーカーマークの掲出を行い、ベビーカーの安全な使用のための周知のほか、ベビーカー使用者やその周囲の人にお互いに配慮してもらえるよう、キャンペーンなどにより継続的に働きかける。
I-4(2)妊娠中の方や子供連れに優しい施設や外出しやすい環境の整備
- 公共交通機関での子供連れ家族への配慮などの環境整備
- 2018年11月に設置した「子育てにやさしい移動に関する協議会」において、公共交通や道路など国土交通分野における子育て応援に関する先進的な取組を広く共有、横展開を行う。
- 子育てバリアフリーの推進
- ユニバーサル・デザインの考え方を踏まえ、都市公園や公共性の高い建築物、公共交通機関における旅客施設や車両等において、段差の解消や、妊婦や子育て世帯に優しいトイレの整備等のバリアフリー化を推進する。
- バリアフリー法10を改正し、国や事業者等による公共交通機関の優先席・エレベーター等に関する広報啓発の実施など、妊産婦等の移動等円滑化に関する国民の理解を深め協力を求める「心のバリアフリー」に係る施策を強化する。
- 道路交通環境の整備
- 歩行空間のバリアフリー化及び通学路等における安全・安心な歩行空間の確保、安全で快適な自転車利用環境の創出を図るとともに、市街地等の生活道路における歩行者等の安全な通行を確保するため、区域(ゾーン)を設定して、最高速度30キロメートル毎時の区域規制や路側帯の設置・拡幅、物理的デバイス設置等の対策を効果的に組み合わせ、速度抑制や通過交通の抑制・排除を図る。
- 全国の高速道路のサービスエリア及び国が整備した「道の駅」において、24時間利用可能なベビーコーナーの設置、屋根付きの優先駐車スペースの確保を図る。
10 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)
I-4(3)結婚、妊娠・出産、子供・子育てに関する効果的な情報発信
- 「子供と家族・若者応援団表彰」の実施
- 子育てと子育てを担う家族を支援する活動に取り組み、顕著な功績のあった企業、団体又は個人を表彰することにより、社会の多様な主体が子育てを支援する機運を高めるとともに、表彰事例を発信することにより、子育て・家族支援の活動への取組を促進する。
- 子供目線のものづくりの推進(キッズデザインの推進)
- 「キッズデザイン賞」による表彰や情報発信を通じ、子供たちの感性や創造性を豊かにし、親が安全に楽しく安心して子育てできる社会環境を整えていく取組である「キッズデザイン」を推進する。
- 少子化に関する調査研究等
- 少子化に関する調査研究等を通じて、少子化の状況、施策の実施状況等を把握・分析し、その結果を公表・情報発信することにより、政策的対応に向けた検討を行う。
5 科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する
I-5(1)結婚支援・子育て分野におけるICTやAI等の科学技術の成果の活用促進
- 結婚支援におけるAI等の適切な活用
- 結婚は個人の自由な意思決定に基づくものである点に十分留意しつつ、地方公共団体が行う、AIを始めとするマッチングシステムの高度化やマッチングシステムと相談員による相談を組み合わせた結婚の希望をかなえる取組を支援する。
- 地域におけるAI・IoT等の活用の推進
- 行政内部や保育現場における業務の効率化、子育て関連手続にかかる子育て世帯の負担軽減を図るため、地域におけるAIやIoTなどの革新的技術の活用を推進することとし、地方公共団体に対する計画策定支援、初期投資に対する補助などを総合的に実施する。
- 子育てワンストップサービスの推進
- マイナポータルを活用して子育てに関するサービス検索及びオンライン申請ができる子育てワンストップサービスについて、地方公共団体における導入を促進する。また、マイナポータルにおいて、保育所入所申請に必要な就労証明書のデジタル化対応や障害児施策へのワンストップサービスの拡充等により、子育てワンストップサービスの利用を促進する。
- 子育てノンストップサービスの推進
- 子育てに係る手続負担の軽減や利便性向上のため、予防接種や児童手当など、妊娠から就学前までの官民の様々なサービスが最適なタイミングで案内され、ボタン一つで申請できるサービスの実現に向け、具体的なサービス提供を2020年度に一部地方公共団体において開始し、2023年度からの全国展開を目指す。
- ICTを活用した子育て支援サービス(Baby tech)の普及促進
- ICTを活用した子育て支援サービス(Baby tech)の普及促進等を通じて、子育て家庭が家事・育児の負担を軽減する商品やサービスを積極的に活用できる環境づくりを推進する。
II ライフステージの各段階における施策
1 結婚前
II-1(1)ライフプランニング支援
(ライフプランニング支援)
- ライフプランニング支援の充実
- 若い世代が、結婚、妊娠・出産、子育て、仕事を含めた将来のライフデザインを希望を持って描き、様々なライフイベントに柔軟に対応できるとともに、男女が互いを尊重しつつ、性に関する正しい理解の下、適切に行動できるよう、必要な知識や情報を学び、将来のライフイベントについて考える機会を、学校、家庭、地域、企業等の様々な場で提供する。このため、ライフプランニング・キャリア形成のための教材の効果的な活用に向けた検討を行うとともに、乳幼児とのふれあい体験や男性の家事・育児参画の促進などの観点も踏まえつつ、ライフプランニング・キャリア形成を推進するための方策について検討する。
- 学校教育段階からの妊娠・出産等に関する医学的・科学的に正しい知識の教育
- 個人が将来のライフデザインを描き、妊娠・出産等についての希望を実現できるように、学校教育段階において、専門家の意見を参考にしながら、妊娠・出産等に関する医学的・科学的に正しい知識を適切な教材に盛り込み、外部講師として専門家の活用を推進するとともに、教職員の研修などを行う。
- 学校教育に加えて、家庭や地域での教育、婚姻届提出時や成人式などの機会を活用した、教育課程修了後の社会人等に対する情報提供が行われるよう取組を進める。
- 性に関する科学的な知識の普及
- 思春期の人工妊娠中絶やHIV感染症を含む性感染症問題に対応するため、学校や保健所等において、健康教育や電話相談等を行うなど性に関する科学的な知識の普及を図る。
- 妊娠や家庭・家族の役割に関する教育・啓発普及
- 妊娠や不妊、家庭・家族の役割について早くから情報提供が行われるように啓発普及を図る。特に、妊娠や家庭・家族の役割については、発達の段階に応じた適切な教育の推進を図る。
- ライフイベントを踏まえたキャリア教育の推進
- 社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア発達を促すキャリア教育について、ライフイベントを踏まえたキャリア教育を含め、幼児期の教育から高等教育まで、発達の段階に応じて体系的に推進する。
- 学校・家庭・地域における取組の推進
- 学校・家庭・地域において、生命を尊ぶことや男女が協力して家庭を築くことの重要性や、保育体験や乳幼児とのふれあい体験を含め、子育てに対する理解を広める取組を推進する。
II-1(2)若い世代のライフイベントを応援する環境の整備
(若い世代のライフイベントを応援する環境の整備)
- 若い世代の結婚・出産・育児を妨げない労働環境の整備
- 自らのキャリアが途切れることを懸念して結婚・出産を躊躇することがないようにするために、結婚・出産・育児を経た後も自らの能力と経験に基づき復職や再就職が可能となるよう、新規学卒後の初職就職時、復職や再就職の準備段階及び育児と両立しながら勤務している際のキャリア形成支援等に取り組む。
(多様なロールモデルの提示)
- ロールモデルの提示
- ライフステージの中で、就労する・しない、子供を持ちながら働き続ける、あるいは、地域で活躍を続けるなど様々なロールモデルの提示を推進する。
(経営者・管理職の意識行動改革)
- 企業経営者等の意識変革
- 企業とそこで働く者が、協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ働き方の改革に自主的に取り組めるよう、企業経営者等の意識変革を図るための働きかけや周知啓発、研修等を行う。
- イクボスや子育てを尊重するような企業文化の醸成
- 子育てを行う従業員、残業を減らして労働生産性を上げる従業員や部下の仕事と家庭の両立を支援する上司(イクボス)等を大切にする企業文化の醸成に向けた取組を行う。
(企業の両立支援の取組の「見える化」)
- 一般事業主行動計画(次世代育成支援対策推進法)の策定・公表の促進等
- 企業における次世代育成支援に関する取組が推進されるよう、中小企業を含め、次世代育成支援対策推進法11に基づく一般事業主行動計画の策定を促進する。
- 一般事業主行動計画の公表を促進するなどにより、企業の取組の「見える化」を進める。
- 次世代育成支援対策推進法に基づく認定制度及び次世代認定マーク(くるみんマーク及びプラチナくるみんマーク)の広報・周知に努めるとともに、認定企業の取組状況の公表を促しつつ、好事例を幅広く発信する。
(企業等による事業所内保育施設等の設置の促進)(再掲)
- 企業等による事業所内保育施設等の設置の促進(再掲)
(企業の少子化対策の取組に対するインセンティブ付与)
- 入札手続等におけるインセンティブの付与
11 平成15年法律第120号
12 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)
13 2016年3月22日すべての女性が輝く社会づくり本部決定
2 結婚
II-2(1)経済的基盤の安定
- 若者の雇用の安定(再掲)
- 非正規雇用対策の推進(再掲)
- 結婚・子育て資金や教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の実施等(再掲)
II-2(2)地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援 等
- 地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等(再掲)
- 結婚支援におけるAI等の適切な活用(再掲)
II-2(3)ライフプランを支える働き方改革
(長時間労働の是正)(再掲)
- 長時間労働の是正及び年次有給休暇の取得促進(再掲)
(多様で柔軟な働き方の実現に向けた取組)(再掲)
- 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等に基づく取組の推進(再掲)
- 多様な正社員制度の導入・普及(再掲)
- テレワークの推進(再掲)
- 転勤等に関する仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進の更なる取組(再掲)
- 時間単位の年次有給休暇制度の企業への導入促進(再掲)
- 国の率先的取組(再掲)
(雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組)(再掲)
- 非正規雇用対策の推進(再掲)
- 雇用によらない働き方の者に対する支援(再掲)
3 妊娠・出産
II-3(1)妊娠前からの支援
(妊娠・出産等に関する医学的・科学的な知識の提供等)
- 女性健康支援センターにおける相談指導
- 女性健康支援センターにおいて、妊娠・出産等の各ライフステージに応じた身体的・精神的な悩みについて、医師、保健師又は助産師等による相談指導を行う。
(不妊治療等への支援)
- 不妊専門相談センターの整備
- 男女を問わず、不妊治療や不育症治療に関する情報提供や相談体制を強化するため、不妊や不育症に関する医学的な相談や心の悩みの相談等を行う不妊専門相談センターの整備を図る。
- 不妊治療に係る経済的負担の軽減等
- 不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額の医療費がかかる不妊治療(体外受精、顕微授精)に要する費用に対する助成を行うとともに、適応症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討し、支援を拡充する。そのため、まずは2020年度に調査研究等を通じて不妊治療に関する実態把握を行うとともに、効果的な治療に対する医療保険の適用の在り方を含め、不妊治療の経済的負担の軽減を図る方策等についての検討のための調査研究を行う。あわせて、不妊治療における安全管理のための体制の確保が図られるようにする。
- 不妊治療の治療水準の向上につなげるため、不妊症の治療方法等に関する研究開発に取り組む。また、年齢が高くなると妊娠・出産に至る可能性が低くなること、不妊の原因は男女どちらにもあり得ること、不妊治療を行っても子供を授かることができない場合があること等を適切に情報提供する。
- 不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備
- 不妊治療について職場での理解を深めるとともに、仕事と不妊治療の両立に資する制度等の導入に取り組む事業主を支援し、仕事と不妊治療が両立できる職場環境整備を推進する。
- 国家公務員についても、人事院とも連携し、引き続き民間の状況を注視しつつ、不妊治療を受けやすい職場環境の醸成等を図っていく。
II-3(2)妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援
(妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援)(再掲)
- 妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援(再掲)
- 予期せぬ妊娠等に悩む若年妊婦等への支援(再掲)
(妊娠・出産に関する相談支援の充実)
- 相談支援体制の整備(妊娠・出産、人工妊娠中絶等)
- 生涯を通じた女性の健康支援や児童の健やかな発達の視点から、妊娠・出産やその後の子育て、人工妊娠中絶等の悩みを抱える者に対して、訪問指導等の母子保健事業を活用した相談支援のほか、女性健康支援センター、児童相談所等での相談援助体制の整備を図る。
II-3(3)安全かつ安心して妊娠・出産できる環境の整備
(妊娠・出産に関する経済的負担の軽減)
- 妊婦健診や出産・産前産後休業期間中に係る経済的負担の軽減
- 市町村による妊婦等に対する早期の妊娠届出の勧奨とともに、妊婦健診の公費負担、出産育児一時金及び産前産後休業期間中の出産手当金、社会保険料免除などにより、妊婦等の健康管理の充実及び経済的負担の軽減を図る。
- 妊娠・出産についての希望を持つことができる環境をつくり、その実現を後押しするため、妊娠・出産に関する経済的支援の在り方について、地方公共団体における取組も含め、総合的に検討する。
- 産科医療補償制度の整備
- 全ての分娩機関の産科医療補償制度への加入により、分娩に関する紛争の防止・早期解決を図るとともに、原因分析による将来の同種事例の防止に役立つ情報の提供などにより、産科医療の質の向上を図る。
(周産期医療の確保・充実等)
- 出産環境の確保
- 医学部入学定員の増加や医師の派遣等を行う事業等を通じて産科医の確保を図り、また、産科医の処遇改善に取り組む医療機関の支援等を通じて、安心して子供を産み育てることができる体制を充実させる。
- 助産師の活用
- 限られた医療資源の下で、地域において安心・安全な出産ができる体制を確保するため、産科医と助産師との適切な役割分担・連携のもとで、助産師がその専門性を活かせる助産師外来や院内助産の開設を促進する。また、就業助産師の偏在解消、助産実践能力の強化、助産学生等の実習施設確保を図るため、助産師出向への支援を行う。
- 周産期医療体制の整備・救急搬送受入体制の確保
- リスクの高い妊産婦や新生児等に高度な医療が適切に提供されるよう、地域における周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センター及びそれを支える地域周産期母子医療センター等の整備(新生児集中治療室(NICU)、母体・胎児集中治療室(MFICU)の整備)や、小児科医・産科医の地域偏在の是正に関する施策等を通じて周産期医療に携わる医師・助産師等を確保し、地域の分娩施設と連携しながら救急搬送受入体制の確保を図る。
(健康な体づくり、母子感染予防対策)
- 母子保健・母子感染予防対策の推進
- 母子保健の国民運動計画である「健やか親子21(第2次)」においては、思春期の女性や妊産婦の健康等に関する指標及び目標を定めており、これに基づき、思春期の女性や妊産婦の健康管理の支援を行う。また、母子感染予防対策として、妊婦健康診査における抗体検査等の実施、母子感染予防のための保健指導等の支援体制の整備を進める。
(マタニティハラスメントの防止等)
- マタニティハラスメント等の防止
- 妊娠・出産、育児休業等の取得などを理由とする解雇その他の不利益な取扱いやこれらに関するハラスメントの防止に向けて、事業主に対する説明会の開催等により制度の周知を図り、企業への指導を徹底するとともに、労働者からの相談に対し迅速かつ丁寧な対応を行う。
- 女性労働者の妊娠中及び出産後の母性健康管理の推進
- 中小企業を含め、企業における妊娠中及び出産後の母性健康管理の整備を進めるため、医師等の指導事項を的確に伝達するための母性健康管理指導事項連絡カードの活用促進のための見直しや、母性健康管理に関する制度の効果的な周知・啓発等を行い、妊娠中及び出産後の女性労働者に対する適切な母性健康管理の推進を図る。
4 子育て
II-4(1)子ども・子育て支援
(子ども・子育て支援新制度の着実な実施)(再掲)
- 地域の実情に応じた子ども・子育て支援の充実(再掲)
(保護者の就業形態や就業の有無等にかかわらない多様な保育・子育て支援の拡充)(再掲)
- 保護者の就業形態や就業の有無等にかかわらない多様な保育・子育て支援の拡充(再掲)
II-4(2)子育てに関する経済的支援・教育費負担の軽減
- 児童手当の支給・在り方の検討(再掲)
- 幼児教育・保育の無償化の着実な実施(再掲)
- 高校生等への修学支援(再掲)
- 高等教育の修学支援(再掲)
- 国民健康保険料の負担軽減を行う地方公共団体への支援(再掲)
II-4(3)仕事と子育てを両立するための働き方改革
(長時間労働の是正)(再掲)
- 長時間労働の是正及び年次有給休暇の取得促進(再掲)
(多様で柔軟な働き方の実現に向けた取組)(再掲)
- 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等に基づく取組の推進(再掲)
- 多様な正社員制度の導入・普及(再掲)
- テレワークの推進(再掲)
- 転勤等に関する仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進の更なる取組(再掲)
- 時間単位の年次有給休暇制度の企業への導入促進(再掲)
- 国の率先的取組(再掲)
(雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組)(再掲)
- 非正規雇用対策の推進(再掲)
- 雇用によらない働き方の者に対する支援(再掲)
II-4(4)男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、女性活躍の推進
(保育の受け皿整備の一層の加速)(再掲)
- 「子育て安心プラン」等に基づく保育の受け皿の整備(再掲)
- 地域の実情に応じた保育の実施(再掲)
(保育人材確保のための総合的な対策の推進)(再掲)
- 保育人材の確保(再掲)
(放課後児童クラブ・放課後子供教室の整備及び一体的な実施)(再掲)
- 「新・放課後子ども総合プラン」の実施(再掲)
(企業等による事業所内保育施設等の設置の促進)(再掲)
- 企業等による事業所内保育施設等の設置の促進(再掲)
(高等学校等における妊娠した生徒への配慮)(再掲)
- 高等学校等における妊娠した生徒への配慮(再掲)
(育児休業や育児短時間勤務などの両立支援制度の定着促進・充実)(再掲)
- 育児休業や短時間勤務等の両立支援制度の定着(再掲)
- 育児休業からの円滑な復帰の支援(再掲)
- 育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いの防止(再掲)
- 非正規雇用労働者に対する支援(再掲)
- 正規雇用・非正規雇用にかかわらず妊娠・出産前後の継続就業の支援(再掲)
(子育て等により離職した女性の再就職支援、地域活動への参画支援)(再掲)
- 子育て女性等の再就職支援(再掲)
- 女性の幅広い活躍を推進する学び直し支援(再掲)
(女性の活躍の推進)
- 女性の職業生活における活躍の推進
- 2019年度に改正された女性活躍推進法に基づき、働く場面で活躍したいという希望を持つ全ての女性が、その希望に応じて、仕事と家庭を両立し、個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指す。一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大や情報公表の強化等を内容とする改正女性活躍推進法の着実かつ円滑な施行及びそれに向けた周知を図るとともに、行動計画の策定・届出が努力義務となっている中小企業に対して行動計画策定の支援等を行うことにより、中小企業を含む全国の企業の女性活躍に向けた取組を一層推進する。
- 農業経営体等における女性が働きやすい環境づくりの推進
- 農業経営において、福利厚生面の充実にもつながる法人化を進めるとともに、労働時間の管理、休日・休憩の確保、家族経営協定の締結による就業条件の整備、男女別トイレの整備、農作業安全対策の推進、女性農業者の託児や農作業代替を地域で一体的にサポートするネットワークの構築支援等を通じ、子育て期の女性でも働きやすい環境づくりを推進する。
- 地域における女性の活躍の推進
- 地域における女性の活躍を迅速かつ重点的に推進するため、地方公共団体が行う多様な主体の連携体制の構築等による地域の実情に応じた取組を支援するとともに、先進的取組の事業成果を広く共有することにより、モデル的な取組の他地域への横展開を図る。
II-4(5)男性の家事・育児参画の促進
- 育児休業など男性の育児参画の促進(再掲)
- 男性国家公務員の育児に伴う休暇・休業の取得促進(再掲)
- 男性の家事・育児に関する啓発普及、意識改革(再掲)
II-4(6)子育ての担い手の多様化と世代間での助け合い
(地域住民の参画促進による子育ての担い手の多様化)(再掲)
- 地域共生社会の実現に向けた取組の推進(再掲)
- 「子育て支援員」の養成(再掲)
- 地域の退職者や高齢者等の人材活用・世代間交流(再掲)
(家族における世代間での助け合い)(再掲)
- 三世代同居・近居しやすい環境づくり(再掲)
II-4(7)多子世帯、多胎児を育てる家庭に対する支援
(多子世帯に配慮した子育て、保育、教育、住居など様々な面での負担の軽減策の推進)(再掲)
- 児童手当の支給・在り方の検討(再掲)
- 高等教育の修学支援(再掲)
- 多子世帯又は第3子以降を対象とする保育所等の優先利用(再掲)
- 住宅政策における多子世帯への配慮・優遇措置(再掲)
- 子育て支援パスポート事業の普及・促進(再掲)
(多胎児を育てる家庭に対する支援)(再掲)
- 多胎妊産婦等に対する支援(再掲)
II-4(8)住宅支援、子育てに寄り添い子供の豊かな成長を支えるまちづくり
- 融資、税制を通じた住宅の取得等の支援
- 子育て世帯が、子育てに適した住宅を取得し、又は子供の成長に応じ、増改築や改修をしやすくできるよう、融資や税制等を活用し、子育てに適したゆとりある住宅の確保を図る。
- 良質なファミリー向け賃貸住宅の供給促進
- 地域優良賃貸住宅制度や民間供給支援型賃貸住宅制度等により、子育て世帯等を対象とした優良な賃貸住宅の供給を支援する。
- 新たな住宅セーフティネット制度の推進
- 改正住宅セーフティネット法14に基づき、民間賃貸住宅等の空き室や空き家を活用した、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録を促進するとともに、住宅の改修や入居者負担の軽減等への支援を行う。また、居住支援協議会や居住支援法人が行う相談・情報提供等に対する支援を行う。
- 公的賃貸住宅ストックの有効活用等による居住の安定の確保
- 公的賃貸住宅において、事業主体による子育て世帯等に対する当選倍率優遇等の対応を推進する。
- 公的賃貸住宅と子育て支援施設との一体的整備等の推進
- 公的賃貸住宅・団地の建替え等に際し、子育て支援施設等との合築・併設を推進する。また、住宅団地等における子育て支援施設等の整備を推進するとともに、子育て世帯等の居住の安定確保に資する先導的取組に係る提案を募集し、その実現・普及を支援する。
- 街なか居住等の推進
- 職住近接で子育てしやすい都心居住、街なか居住を実現するため、住宅の供給や良好な住宅市街地などの環境整備を行う。
- 子育てフレンドリーで安全な都市の実現
- 子育てしやすい都市づくりを推進するため、職場に近接して子育て支援施設を導入する事業等や子育てしやすい住宅ストックへのリフォームに対して支援を実施する。
- 金融支援を通じた子育て支援施設を含む優良な民間都市開発事業の推進
- (一財)民間都市開発推進機構が実施する金融支援(出資等)により、子育て支援施設を含む優良な民間都市開発事業を推進する。
- 小中学校の余裕教室、幼稚園等の活用による地域の子育ての拠点づくり
- 小中学校の余裕教室、幼稚園等を活用し、地域における子育て支援や親子交流等の機能を担う場の設置を促進する。
14 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成19年法律第112号)
II-4(9)子供が健康で、安全かつ安心に育つ環境の整備
(小児医療の充実)
- 小児医療の充実
- 子供が地域において、休日・夜間を含めいつでも安心して医療サービスを受けられるよう、小児初期救急センターや小児救急医療拠点病院、小児救命救急センター等の整備とともに、休日・夜間における小児の症状等に関する保護者等の相談に対し小児科医・看護師等が電話で助言を行う「子ども医療電話相談事業(♯8000事業)」の整備を支援することなどにより、小児医療の充実を図る。
- 小児慢性特定疾病対策等の充実
- 予防接種の推進
- 定期の予防接種を円滑に受けられるような環境の確保に努め、伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延の予防を図る。
- こころの健康づくり
- 児童思春期における心の問題に対応できる専門家を養成するための研修を行うなどにより、精神保健福祉センター、児童相談所などにおける専門相談の体制を強化する。また、児童生徒の心身の健康や教育に関する相談体制の充実を図る。
(子供の健やかな育ち)
- 学校の教育環境の整備等
- 幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであるため、更なる質の向上に取り組むなど、その振興を図る。
- 「生きる力」をより一層はぐくむことを目指すとともに、学校の教育環境の整備を推進する。
- 地域ぐるみで子供の教育に取り組む環境の整備
- 地域全体で子供たちの成長を支える地域学校協働活動とコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の一体的な推進による地域と学校の連携・協働を進め、地域ぐるみで子供たちを健やかにはぐくむ体制を構築する。
- 地域において、子供たちの健やかな育ちを支え、保護者が安心して家庭教育を行うことができるよう、子育ての悩みや不安を抱えながらも、自ら学びや相談の場などにアクセスすることが困難な家庭等に配慮しつつ、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チーム等による保護者に対する学習機会や情報の提供、相談対応等、地域の実情に応じた家庭教育支援の取組を推進する。
- いじめ防止対策の推進
- 「食育」等の普及・促進及び多様な体験活動の推進
- 子供の健やかな育ちのため、食育、消費者教育・金融教育等の普及・促進を行うとともに、地域や学校における体験活動、文化・芸術活動、自然とのふれあい、農林漁業体験や都市と農山漁村との交流体験、子供の遊び場の確保(公園、水辺、森林)等を推進する。
(地域の安全の向上)
- 災害時の乳幼児等の支援
- 地方公共団体において、乳幼児、妊産婦等の要配慮者に十分配慮した防災知識の普及、訓練の実施、物資の備蓄等を行うとともに、指定避難所における施設・設備の整備に努め、災害から子供を守るための関係機関の連携の強化を図ることを促進する。
- 子供の事故防止
- 家庭内における子供の事故防止について、母子保健事業等の機会を活用し保護者に周知・指導を行うほか、建築物、公園等の施設や製品などに関する子供の事故情報の収集・調査や情報提供により、事故の未然・再発防止及び安全性の向上を図る。
- 子供の事故防止について、国自らの取組を加速化・重点化するとともに、家庭、学校、サークル、消費者団体、事業者、地方公共団体等の取組を促進する「子どもを事故から守る!プロジェクト」を展開する。
- 予防のための子どもの死亡検証(Child Death Review)の体制整備
- 子供が死亡した時に、複数の機関や専門家(医療機関、警察、消防、行政関係者等)が、子供の既往歴や家族背景、死に至る直接の経緯等に関する様々な情報を基に死因調査を行うことにより、効果的な予防対策を導き出し予防可能な子供の死亡を減らすことを目的としたChild Death Reviewについて、予防のための子どもの死亡検証体制整備モデル事業を実施する。
- 幼稚園・保育所等における事故の発生・再発防止
- 政府において開催する有識者会議において、地方公共団体による死亡事例等の重大事故に関する検証報告等を踏まえ、事故の再発防止策について検討するほか、「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」19の周知など、関係省庁や地方公共団体が連携して、幼稚園・保育所等における事故の発生・再発防止のための取組を進める。
- 交通安全教育等の推進
- 子供の発達段階に応じた交通安全教育を推進するとともに、チャイルドシートの正しい使用の徹底や、幼児二人同乗用自転車の安全利用の普及などを図る。
- 犯罪等の被害の防止
- 学校、家庭やPTA等の団体、地域住民、関係各機関等が連携し、地域ぐるみで子供の安全を守る環境の整備を推進する。通学路や通学時間帯に重点を置いた警察官によるパトロールを強化するとともに、退職した警察官等からなるスクールサポーターを学校へ派遣し、児童の安全確保に関する助言を行うなど、学校と連携して学校や通学路における子供の安全確保を推進する。また、防犯ボランティア等によるパトロール活動や「子供110番の家」の活動に対する支援を行う。さらに、子供が被害に遭った事案等の発生に関する情報について、教育委員会、小学校、中学校等との情報共有及び地域住民への情報発信を推進する。
- 学校と関係機関が連携して計画的・組織的に学校安全を推進するセーフティプロモーションスクールの考え方を参考に学校安全体制を構築するとともに、子供自らが安全な行動をとれるようにするための安全教育の取組を推進する。また、小学校等における防犯教室の開催等、子供に対する被害防止教育を推進する。
- インターネットに起因する子供の犯罪被害等を防止するため、関係機関・団体等と連携し、フィルタリング等の利用を促進するほか、入学説明会等の機会を捉えた保護者に対する啓発活動や子供に対する情報モラル教育等の取組を推進する。
- 都道府県警察本部に設置された「子供女性安全対策班」等により、性犯罪等の前兆とみられる声掛け、つきまとい等の段階で行為者を特定し、検挙又は指導・警告等の措置を講ずる活動を推進し、子供を被害者とする性犯罪等の未然防止を図る。
- 子供の健康に影響を与える環境要因の解明
- 子供の成長・発達に影響を及ぼす環境要因(環境中の化学物質の曝露、生活環境等)を解明し、子供が健やかに育つ環境の実現を目指すため、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を実施する。
15 昭和22年法律第164号
16 昭和40年法律第141号
17 平成25年法律第71号
18 2013年10月11日文部科学大臣決定
19 2016年3月31日内閣府・文部科学省・厚生労働省公表
II-4(10)障害のある子供、貧困の状況にある子供、ひとり親家庭等様々な家庭・子供への支援
(貧困の状況にある子供への支援)
- 子供の貧困対策の推進
- 現在から将来にわたって全ての子供たちが前向きな気持ちで夢や希望を持つことのできる社会の構築を目指し、「子供の貧困対策に関する大綱」20に基づき、教育の支援、妊娠・出産期からの相談・支援、保護者の就労支援や困窮家庭の家計改善支援など、子供の貧困対策を総合的に推進する。
(ひとり親家庭支援)
- 子育て・生活支援
- ファイナンシャルプランナー等の専門家を活用した家計管理等の講習会の実施、家庭生活支援員の派遣による家事援助や未就学児の保育等サービスの提供等による生活支援を推進する。
- ひとり親家庭の子供の基本的な生活習慣や学習習慣の定着に向けて、放課後児童クラブ等の終了後に生活習慣の習得・学習支援、食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりを推進する。
- 就業支援
- 母子家庭等就業・自立支援センター等においてきめ細かな就業支援を実施する。また、トライアル雇用助成金等の各種雇用関係助成金の活用を推進する。
- 就職に有利になる資格の取得や主体的な能力開発の取組を促進し、生活の安定を図るため、ひとり親家庭の保護者に対する高等職業訓練促進給付金等や自立支援教育訓練給付金により、ひとり親家庭の生活の安定に資する就業に向けた資格取得を促進する。
- 公共職業訓練において、母子家庭の母及び父子家庭の父の特性に応じた訓練コースや託児サービスを付加した訓練等を実施する。
- 養育費の確保等
- 債務名義を有する債権者等が強制執行の申立てをする準備として債務者の財産に関する情報を得やすくするため、民事執行法21の改正により、現行の財産開示手続をより利用しやすく実効的なものにするとともに、債務者の有する不動産、給与債権、預貯金債権等に関する情報を債務者以外の第三者から取得する手続を新設することとしたため、関係機関等にこれらの制度を周知する。また、資力の乏しい者でもこれらの手続を円滑に利用できるようにするため、法律相談援助や弁護士費用等の立替えを行う日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助について、関係機関等への周知に努める。
- 母子家庭等就業・自立支援センターや養育費相談支援センター等において、養育費に関する相談支援を行う。
- 市区町村において離婚届の用紙と同時に交付しているパンフレット(「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」)等を通じて、父母の離婚時における養育費及び面会交流の取決めの重要性等の周知を図る。
- 経済的支援
- 児童扶養手当を支給するとともに、母子父子寡婦福祉資金貸付金の貸付けにより経済的な支援を実施する。
(児童虐待の防止、社会的養育の充実)
- 児童福祉法等改正法の着実な施行
- 2019年に成立した児童福祉法等改正法22に基づき、体罰等によらない子育ての推進、児童相談所の体制強化及び婦人相談所等関係機関間の連携強化等を着実に進めていくとともに、検討規定に基づく必要な検討を進める。
- 児童虐待防止に向けた普及啓発
- 児童虐待を発見した人や子育てに悩みを抱える人が適切に通告・相談できるよう、児童相談所虐待対応ダイヤル(189)等を広く国民に周知するとともに、児童虐待防止推進月間等での啓発活動により、社会全体として児童虐待を防止する機運を高める。
- 児童虐待の未然防止、重篤化防止のための早期対応
- 市町村における「子ども家庭総合支援拠点」、「要保護児童対策地域協議会」の機能強化を図るとともに、児童相談所・市町村において相談、支援を行う児童福祉司等の確保や専門性の向上、警察、母子保健担当部署等の関係機関との連携や民間団体との協働、育児支援が必要な家庭への訪問支援、SNSを活用した相談窓口の設置などにより、虐待通告や子育ての悩み相談、子供からの相談に対して確実に対応できる体制の強化を図る。また、保育所や幼稚園、小・中学校等の関係機関との連携等により、児童虐待への早期対応体制の充実を図る。
- 社会的養育が必要な子供への支援
- 社会的養育が必要な子供に対して、家庭と同様の環境である里親やファミリーホームで養育されるよう支援する。このため、2016年の児童福祉法改正において法定化された「家庭養育優先の原則」の理念に基づき、里親の開拓や里親養育への支援、特別養子縁組への支援等を進める。
- 施設退所児童等の自立支援策の推進
- 児童養護施設に入所していた子供等に対して、必要に応じて18歳到達後も原則22歳の年度末までの間、引き続き里親家庭や施設等に居住して必要な支援を提供する。
- 社会的養護自立支援事業の各都道府県での積極的な実施の促進、自立支援資金貸付事業の継続実施、施設における自立支援体制の強化等、子供の自立に向けた施設内及び施設退所後の継続的・包括的な支援体制を構築する。
- 被虐待児等の増加を踏まえ、障害児施設における社会的養育機能の強化を図る。
- 被措置児童等虐待の防止
- 児童養護施設等に入所する児童の権利擁護の強化や、基幹的職員(スーパーバイザー)の養成研修などケアの質の確保のための取組の推進などにより、被措置児童等虐待の防止の徹底を図る。
- 社会的養育関係施設における地域支援機能の充実
- 児童養護施設や乳児院において、在宅支援機能や里親支援機能等の多機能化・機能転換が図られるよう支援する。
(障害のある子供等への支援)
- 障害のある子供の保育等
- 障害のある子供ができるだけ身近な地域で、障害の特性に応じた療育などが受けられるよう支援するとともに、子供の育ちに必要な集団的な養育のため、保育所や幼稚園等における障害のある子供の受入体制の整備促進を図る。
- 関係機関の連携の強化による支援の実施
- 障害のある子供とその家族を支えていくために、乳児期、就学前、学齢期、青年期などライフステージに応じた切れ目のない支援を行うとともに、保健・医療・福祉・保育・教育・労働など様々な関係者が連携して支援を行えるよう、地域の支援体制の確立を図る。
- 医療的ケアが必要な子供への支援の充実
- 人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある子供が保健、医療、障害福祉、保育、教育等の支援を円滑に受けることができるようにするなど、各関連分野が共通の理解に基づき協働する包括的な支援体制の構築を図る。
- 発達障害のある子供への支援の充実
- より効果的なスクリーニングツールの導入等による発達障害が疑われる子供の早期発見、発達障害の特性に合った対応を親が行えるようにするための有効な支援策の開発・普及、診断を行える専門的な医療機関の確保、相談支援体制の充実などにより、地域における支援体制の充実を図る。
- 「気づき」の段階からの支援
- 乳幼児健診や子育て家庭の利用する様々な施設・事業において、特別な支援が必要となる可能性のある子供を早期に発見し、適切な専門機関につなぐこと等により、「気づき」の段階からの支援の充実を図る。
- 特別支援教育の推進
- 教育基本法23や、インクルーシブ教育システムの構築という障害者権利条約の理念等を踏まえ、発達障害を含む障害のある子供一人一人のニーズに応じた一貫した支援を行うために、医療的ケア児への支援を含め、関係機関等の連携により学校現場における特別支援教育の体制整備を進めるとともに、教員の特別支援教育にかかわる専門性の向上等により、特別支援教育の推進を図る。
(ニート、ひきこもり等の子供・若者への支援)
- 地域のネットワークを通じた子供・若者への支援
- ニートやひきこもり等の子供・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするため、「子ども・若者支援地域協議会」の設置促進等に取り組み、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用など地域における様々な機関によるネットワークの形成を促し、困難を有する子供・若者への支援の効果的かつ円滑な実施を図る。
(遺児への支援)
- 遺児への支援
- 様々な事情により遺児となった子供に対し、適切な心のケアや生活支援、修学支援等が行われるよう、必要な取組を行う。
(定住外国人の子供に対する就学支援)
- 定住外国人の子供に対する就学支援
- 公立学校等への受入促進・日本語指導の体制整備など、日本語指導が必要な外国人児童生徒等のための支援の充実を図る。また、不就学の外国人の子供の就学促進のための取組に対する支援を推進する。
20 2019年11月29日閣議決定
21 昭和54年法律第4号
22 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律(令和元年法律第46号)
23 平成18年法律第120号
II-4(11)社会全体で子育てを応援する機運の醸成
(子育て世帯をやさしく包み込む社会的機運の醸成)
- 多様な主体の連携による子育てにやさしい社会的機運の醸成(再掲)
- 子育て支援パスポート事業の普及・促進(再掲)
- 「家族の日」「家族の週間」等を通じた理解促進(再掲)
- マタニティマーク、ベビーカーマークの普及啓発(再掲)
(妊娠中の方や子供連れに優しい施設や外出しやすい環境の整備)(再掲)
- 公共交通機関での子供連れ家族への配慮などの環境整備(再掲)
- 子育てバリアフリーの推進(再掲)
- 道路交通環境の整備(再掲)
II-4(12)子育て分野におけるICTやAI等の適切な活用
- 地域におけるAI・IoT等の活用の推進(再掲)
- 子育てワンストップサービスの推進(再掲)
- 子育てノンストップサービスの推進(再掲)
- ICTを活用した子育て支援サービス(Baby tech)の普及促進(再掲)