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第2部 第2章 韓国 (1/7)

1.調査概要

(1)韓国における青少年のインターネット環境の現状

中高生のほぼ全員がインターネット・メッセンジャーを利用しており、モバイルゲームの利用率も青少年と若年層において特に高い。インターネット・ショッピングの利用も増え続けている。

このような状況において青少年におけるスマートフォン(インターネット)依存症の潜在リスク群が増え、ICT219能力の発達にも悪影響を及ぼしつつある。また、有害サイトへのアクセスやネットいじめが生徒の友人や家族、学校教育関係者に気づかれないまま進行している。

2016年夏の1人の女子高生の自殺が契機となって、青少年をめぐる深刻なインターネット状況が顕在化した。

ネットいじめにとどまらず、インターネットを利用した犯罪の手口も巧妙化し、青少年が被害者となる事例も増えている。本章では、ネットいじめの形態を詳細に伝え、ネットいじめとインターネットを利用した犯罪の様相を可能な限り具体的に伝えた。行政機関や関連機関は調査等を通じて実態を掌握し、関連施設を増設する等、対応を実施している。また、民間事業者・各種団体も行政主導の法制度に沿って対応している。各家庭にあっても、保護者による子供に対するインターネット使用規制等を行っている。他方、行政規制や親による遠隔操作等について、子供のプライバシー侵害や表現の自由等の観点から問題視する声もある。

(2)本報告書の構成

「2.青少年のインターネット環境に関する実態」では、各種データをもとに現在のインターネット環境を概観する。接続機器の種類、利用されるインターネットサービスの種類、利用頻度等の統計データから現状を明らかにする。

「3.青少年のインターネット環境に関する課題」では、現在のインターネット環境によって生じた諸問題と課題を取り上げる。ネットいじめの様々な類型、性的搾取や個人情報の漏えい・窃盗等の犯罪を示す。また、近年話題になっている犯罪の事例等の関連情報も盛り込む。

「4.青少年のインターネット環境の課題への対応」では、以上のような環境と問題を踏まえたうえで、課題への対応を整理する。関連法令・行政機関・法制度といった法的な枠組みを概観し、1行政機関、2事業者、3各種団体、及び4各家庭におけるそれぞれの具体的な取組を示す。

(3)「青少年」の定義

本章では「青少年」の定義を青少年保護法にならって「満19歳未満」とし[表46参照]、韓国における青少年に関わるインターネット環境の実態と課題を明らかにし、課題に対する取組を報告する220


表 46 関連法令における青少年等の用語の定義
法令 用語 満年齢 関連省庁
青少年基本法 青少年 9歳以上24歳以下 女性家族部
青少年保護法 青少年 19歳未満 女性家族部
児童福祉法 児童 18歳未満 保健福祉部
勤労基準法 労働年少者 15歳以上18歳未満 雇用労働部
少年法 少年 19歳未満 法務部
刑法 刑事未成年者 14歳未満 法務部
民法 未成年者 19歳未満 法務部

出典:韓国国家法令情報センター所載の各法令をもとに作成


なお、本章で韓国の法令や関連記事を引用する際は日本語訳を載せるが、訳文は仮訳であり、あくまでも参考資料として示すものである。

(4)韓国の政府組織

図10に韓国政府組織と行政機関の概要を示した。本章第4節で詳述する放送通信委員会は大統領直属機関であり、別途設立された放送通信審議委員会は独立機構である。


図 10 韓国の政府組織221



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