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第2部 第2章 韓国 (4/7)

3.青少年のインターネット環境に関する課題

(2)インターネット利用による被害・犯罪

ア ネットいじめの経験と類型

スマートフォンの発達とともに、特定の相手を集団でいじめる、ネットいじめ232と呼ばれるインターネット上の暴力行為が増えている。

2016年8月、仁川の女子高生が、ネットいじめに耐え切れず、アパートから飛び降りた事件を契機に、無視できない学校内暴力の一つとなった。ネットいじめは、時間と空間に関係なく常に被害者を悩ませるだけでなく、アクセスが容易なため、青少年は遊びや文化の一種として受け止めている。被害者と加害者の直接対面がない分、加害者の罪悪感が欠如しがちであり、この種の行為が犯罪につながる可能性も小さくない。サイバー暴力という用語も、ネットいじめと同じ意味で使われている。サイバー言語暴力はこれらの用語より概念としては広く、誹謗中傷等に使う汚い言葉を含み、ネットいじめの手段として使われることも多い。【メディアペン2016年8月24日付】233

(ア)ネットいじめの加害経験と被害経験

表 50 ネットいじめの加害経験と被害経験
調査年 全体 小学生 中学生 高校生 男子生徒 女子生徒
加害経験 2015年 17.5 10.1 20.5 22.0 24.3 11.0
2014年 14.0 8.1 16.9 17.1 19.3 8.6
被害経験 2015年 17.2 14.6 18.5 18.6 19.6 15.0
2014年 19.0 16.3 20.0 20.7 21.1 16.8

出典:KISA調査2015 p.41 (単位:%)


放送通信委員会・韓国インターネット振興院が2015年10月から11月、小学校4年生から高校3年生3,000人と教師・保護者各250人、成人1,500人を対象に実施した「2015年サイバー暴力実態調査」234(以下「KISA調査2015」)によれば、小中高生の17.2%にネットいじめの被害経験があり、17.5%に加害経験があった。ネットいじめの加害経験は、14年比3.5ポイント増加し、被害経験は1.8ポイント減少している。すべての学年・性別において加害経験は増えたが、被害経験は減少した。また、高学年になるほど、女子より男子生徒の被害・加害経験が高い。性別では男子が加害経験24.3%、被害経験19.6%で、女子は加害経験11.0%、被害経験15.0%であった。[表50参照]

(イ)ネットいじめの類型I

KISA調査2015によれば、ネットいじめの加害経験は小学生(10.1%)、中学生(20.5%)、高校生(22.0%)の順に比率が上がり、被害経験は高校生(18.6%)、中学生(18.5%)、小学生(14.6%)の順に高い。また、ネットいじめの加害・被害経験とその類型は表51と表52のとおりである。加害・被害経験ともに最も多いのは言葉の暴力であり、小学生に比べ中高生において約2倍高い。言葉の暴力についで、小学生では名誉毀損・ストーキングが多く、中高生では仲間外れ・名誉毀損・ストーキング・個人情報流出が多い。


表 51 学校種別の加害経験と類型I
小学生 中学生 高校生
2015年 2014年 2015年 2014年 2015年 2014年
加害経験(全体) 10.1 8.1 20.5 16.9 22.0 17.1
言語の暴力 8.2 6.5 19.1 14.6 20.2 16.0
仲間外れ 1.4 2.1 2.5 2.4 3.4 2.4
名誉毀損 1.7 0.4 1.6 2.0 3.5 2.2
ストーキング 1.7 0.4 2.0 1.0 3.0 1.4
個人情報流出 0.9 0.7 2.1 1.8 3.0 2.1
性暴力 0.5 0.1 0.8 0.5 1.8 0.8

出典:KISA調査2015 p.42 (複数回答、単位:%)


表 52 学校種別の被害経験と類型I
小学生 中学生 高校生
2015年 2014年 2015年 2014年 2015年 2014年
加害経験(全体) 14.6 16.3 18.5 20.0 18.6 20.7
言語の暴力 12.4 13.3 16.5 17.5 15.5 17.3
仲間外れ 2.6 2.8 2.1 2.2 1.3 1.9
名誉毀損 3.7 2.8 4.4 5.8 4.1 4.2
ストーキング 2.4 2.1 1.8 2.6 2.8 2.2
個人情報流出 1.0 1.8 1.7 1.7 1.9 2.6
性暴力 0.7 0.5 1.4 1.0 1.2 1.7

出典:KISA調査2015 p.43 (複数回答、単位:%)


(ウ)ネットいじめの類型II

韓国刑事政策研究院「青少年サイバー暴力のタイプ分析と対応策の研究235」(以下、「KIC調査2015」)によると、男子生徒のサイバー暴行被害率は7.4%で、女子生徒の5.6%より高い。学校種別では、小学生が3.4%で、中・高校生がそれぞれ7.4%、7.9%と高く、インターネット利用時間に応じ被害率も高くなる236

また、ネットいじめの加害者で最も多いのは知人であり、同じクラスや学校の生徒がほとんどだが、小学生に比べ高校生は面識のない人の割合が高い。全体の60%は1人、40%は複数の加害者からで、手段として主にメッセンジャー、モバイルゲーム、SNSが使われている。また、ネットいじめの被害者の34.4%が被害にあった事実を他者に知らせていた。被害を経験した学生は憤りを伴う感情の動揺を多く経験しているほか、不安や自殺・自傷衝動等、精神的ショックを受け、友人づくりが難しく、学校に行きたくないなど、社会的な関係においても被害の影響を受けている237

KIC調査2015によれば、ネットいじめ類型の1つ以上を経験した生徒の被害率は46.6%で、罵詈[ばり](36.6%)、悪い噂流し(20.3%)、イメージブリング(13.7%)、監獄部屋(9.1%)、炎上(8.7%)、仲間外れ(8.2%)、狙撃文(7.2%)、性暴力(6.5%)、ストーキング(6.5%)、集中攻撃(5.3%)、ID盗用(5.1%)、恐喝(4.8%)、個人情報流出(3.7%)、Wi-Fiシャトル(2.7%)、命令(1.3%)の順であった。被害経験者のうち17.6%は1類型のみ、22.3%は2類型以上の被害にあっており、後者の被害が深刻だった。[表53・表54参照]


表 53 ネットいじめの類型II(1)
罵詈 悪い噂流し イメージブリング 監獄部屋 炎上 仲間外れ 狙撃文 その他*
小学生 生徒数 415 239 104 191 117 123 54 332
(%) 30.4 17.5 7.6 14.0 8.6 9.0 4.0 24.3
中学生 生徒数 912 527 358 177 208 201 208 841
(%) 39.7 23.0 15.6 7.7 9.1 8.8 9.1 36.7
高校生 生徒数 623 315 267 116 140 116 123 733
(%) 37.2 18.8 15.9 6.9 8.4 6.9 7.3 43.8
合計 生徒数 1950 1081 729 484 465 440 385 1906
(%) 36.6 20.3 13.7 9.1 8.7 8.2 7.2 35.9

*性暴力、ストーキング、集中攻撃、ID盗用、恐喝、個人情報流出、Wi-Fiシャトル、命令


表 54 ネットいじめの類型II(2)
性暴力 ストーキング 集中攻撃 ID盗用 恐喝 個人情報流出 Wi-Fiシャトル 命令
小学生 生徒数 46 86 58 52 44 18 26 2
(%) 3.4 6.3 4.3 3.8 3.2 1.3 1.9 0.1
中学生 生徒数 170 151 131 108 101 96 54 30
(%) 7.4 6.6 5.7 4.7 4.4 4.2 2.4 1.3
高校生 生徒数 132 108 92 111 109 81 63 37
(%) 7.9 6.5 5.5 6.6 6.5 4.8 3.8 2.2
合計 生徒数 348 345 281 271 254 195 143 69
(%) 6.5 6.5 5.3 5.1 4.8 3.7 2.7 1.3

出典:KIC調査2015(pp.225-234)をもとに作成 (複数回答) 


KIC調査2015は、ネットいじめを行為内容に基づいて細分化している。[表55参照] 


表 55 ネットいじめの区分・小区分
いじめの区分 小区分 具体的な行為
誹謗 直接本人に罵詈 被害者本人に向かって直接、悪口を吐き、悪態をついたり、メッセージを送付したりする
悪い噂流し 被害者本人に対する悪口や悪い噂を他の人々に言いふらす
狙撃文 被害者をいじめる目的で狙撃文をアップし複数の人々が見られるようにする
集中攻撃 サイバー上で被害者を集中攻撃し、袋だたきにする
監獄、ストーキング ストーキング 嫌がる被害者に継続して言葉やメッセージ、画像等を送りつけてストーキングする
監獄部屋 インターネットのグループチャットにおいて被害者を退場できないようにし、嫌がるのに反復して招待する
個人情報関連 ID盗用 IDを盗用し偽の口座を作り、サイバー上であたかもその人のようにふるまう
個人情報流出 被害者の個人情報(名前、年齢、学校、電話番号等)をアップし、身元を暴いて流出させる
恐喝、命令 恐喝 ゲームマネー、ゲームアイテム、サイバーマネー、お金等を被害者から略奪する
Wi-Fiシャトル 被害者にWi-Fiシャトルやホットスポットシャトルを行わせ、その費用を負担させる
命令 スマートフォン等を利用して被害者が嫌がる行動を無理強いし、タバコを買いに行かせ、使い走り等をさせる
性暴力 性暴力 被害者が望まない性的なメッセージや言葉、卑わいな写真、動画等を送りつける
イメージブリング イメージ流布 当事者である被害者が望まない写真や猟奇的な写真、イメージ、動画等を他の人々に伝達する
炎上 炎上 インターネット上でわざと被害者に難癖を付け、相手に悪態をつかせるように仕向け、性格上問題がある人物であるかのように見せる
排除 仲間外れ グループチャット上で被害者を故意に招待しなかったり、そのコメントや言葉をわざと無視したりする

出典:KIC調査2015 pp.199-200


(エ)ネットいじめの目撃経験と対応

ネットいじめの目撃もインターネットを通じて行われるが、2015年に最も目撃経験の比率が高かったのは高校生18.6%である(2014年:中学生21.0%)。[表56参照]


表 56 学校種別の目撃経験
調査年 全体 小学生 中学生 高校生 男子生徒 女子生徒
目撃経験 2015年 13.8 12.0 14.1 18.6 13.9 13.7
2014年 17.5 14.4 21.0 17.2 15.5 19.6

出典:KISA調査2015 p.46 (単位:%)


KISA調査2015によれば、目撃したあとの対応で最も多いのは、被害者に対する慰め、何ら対応なしであり、次いで加害者をいさめる対応であった。ネットいじめを目撃しても、別に大したことでない、どうすべきかわからなかったという傍観者的な態度や自分とは無関係だとする態度をとった者も少なくない。[表57参照]


表 57 目撃したあとの対応
対応の仕方 2015年 2014年
被害者を慰めた 36.3 40.9
何の行動もしなかった 39.2 38.4
加害者に行為をやめ、謝罪するよう求めた 29.5 27.2
相談・申告センター又は警察に通報した 3.9 2.7
友人、先輩・後輩、教師等、周囲に知らせた 13.3 12.4
大したことでないと考えた 19.1 30.3
どうすべきかわからなかった 21.0 23.7
つまらないことだと思った 14.8 18.2
自分のことではないと思った 21.0 18.2
自分も被害者になるかと思った 6.2 8.2
被害者に非があると考えた 5.6 8.1
加害者が誰か知らなかった 6.2 0.0

出典:KISA調査2015 pp.47-48 (単位:%)


図 18 ネットいじめのイメージ図

図 18 ネットいじめのイメージ図

吹き出し:左から順に、オンライン剥製、(写真)合成、いじめ、カカオトーク監獄部屋


【知り合いレイプ、カカオトーク監獄部屋…ネットいじめに傷つく生徒たち】

「顔もスタイルもいい遺伝子の子」という語句の下に顔も見たことのない男たちの怪しく卑わいなコメントが書かれていた。 SNSで見た周囲の友人たちから「あんたなの?」と聞かれ、精神科の治療を受けているほどだ。オンライン動画・写真の削除業者に依頼し、投稿を削除したが、最初に流した者を捕まえることはできなかった。

学校内暴力の態様が進化している。一見、周辺の暴力沙汰は減っているが、ネットいじめが広がっている。被害者がカカオトークグループから脱出しても執拗に招待し、罵倒し続けるカカオトーク監獄部屋、グループ・チャットルームで特定の生徒に悪口や誹謗を送るいじめ等、わかっていても被害を避けられないオンライン学校内暴力だけではない。本人が知らないうちにSNS写真が流用され合成されてセクハラの対象になる被害者もいる。海外サーバーなので、外国人も性的コメントを書き連ねる。海外にサーバーを置く業者を通じて行われるため、韓国の取り締まり網をあれこれ避けているようだ。警察関係者も「海外業者と思われるので国内法に基づいてわいせつ物の削除を強制しにくい」とする。オンライン剥製(掲示物を消せないようにする行為)を受けた青少年たちは仕方なく民間の動画・画像削除業者に足を運ぶ。
【毎日経済ニュース 2017年3月21日付238

(オ)学校内暴力の変化とネットいじめの進化

学校内における仲間外れや恐喝、暴力行為等の目に見える形の学校内暴力が影を潜めつつあるかに見える一方、知り合いレイプ、監獄部屋、オンライン剥製、Wi-Fiシャトル、狙撃文等の名称で呼ばれる陰湿で残忍な形のネットいじめが進行している。


新学期を迎えたが、A高校のK(18歳女子)は、学校に行くのが怖い。学年が変わり、新しい友人もできたが、知らないうちに誰かが陰口をたたいているようで不安に襲われる。事の発端は昨年末だった。親しい友人が送ってきた投稿記事に載っていた自身の顔と成人の裸体を合成した1枚の写真を目にしたとたん、顔から火が出るほど恥ずかしい思いがした。Kのカカオトークプロフィール写真を無断で借用した何者かの仕業だった。「知り合いレイプ」と題された写真は、Tumblr、Twitter 等の海外にサーバーを置くSNSを通じて無差別に流され瞬時に広がった。
【週刊朝鮮 2016年4月18日号239


図 19 サイバー上のやり取り例

図 19 サイバー上のやり取り例


小学校4年生のSは、カカオトークの着信音が聞こえただけで心臓が崩れ落ちるような感覚を覚える。「おまえなんか死んじまえ*」「目の前をうろつくんじゃない、現れたらビンタ一発だぞ*」240等、2015年4月から同じ学校の同級生たちがひどい脅迫と罵詈メッセージを送り始めた。携帯電話を切り消音モードにしても防ぎようがない。昼夜、平日週末も関係なく罵詈が飛んでくるたびに不安になる。ストレスが極限に達したSは学校に行くのが恐くなり、不登校になった。うつ病と自殺衝動を訴えている。

小学校4年生のAにも悪夢のような記憶がある。2015年3月に転校し、新しい友達と早く親しくなろうとして、カカオトークのグループチャッティングルームの招待に応じた。これが禍害の始まりだった。チャッティングルームでいわゆる番長に目をつけられたAは「お姉さまと呼べ」「後ろに6年生の姉貴がいるんだよ、ふざけんじゃねえ」と複数の生徒から脅しを受けた。

いじめに味をしめた生徒たちはAにカカオトークのイモティコン241やギフティコン242を強制的に送らせ、無線インターネットサービスエリアを終日オンにさせるホットスポット機能を付けさせて、Aのデータを奪って使うWi-Fiシャトルを強要した。Aは巨額のデータ料金を負担しなければならなかったが、モバイルだけの苦痛のためか、両親も教師も気付かず、いじめが8か月も続いた。耐えかねたAが学校内暴力アンケートに「死にたい」と書いた後に学校暴力委員会が開かれ、ようやく、いじめから逃れられた。

モバイルとSNS技術の発達に伴い、ネットいじめの手法も巧妙に進化している。加害者は、カカオトークのグループトークルームの拒否できない招待システムを悪用し、監獄部屋を作る。悪口から逃れようとして退会してもどうしようもない。加害者は、ペナルティを避けるために通常SNS上で被害者の名前を取り上げない。カカオトークプロフィールに被害者のイニシャルだけを載せ、グループのメンバー全員が被害者だとわかるようにすればいいからだ。誰もが被害者だとわかる相手に狙撃文を投稿し、数人が同時に嘲笑や罵詈を送り付けることもある。証拠を残さないため、一定時間経つと自動的にメッセージが削除される機能が付いたポンメッセージも活用する。匿名でチャットできるオープンチャット機能も加害者がわからないまま脅迫できる。恫喝して現場で集金するのは今や旧方式になった。カカオページ等の強化された決済機能とギフティコン、絵文字等を活用したオンライン集金ができるからだ。【週刊朝鮮 2016年4月18日号】


イ 性的搾取

女性家族部所管で韓国青少年政策研究院が担当する「青少年の有害環境との接触に関する総合実態調査243」によると、青少年有害媒体244(成人用の出版物)に触れた経験は、一般集団青少年(小中高生)は2011年(41.1%)を境に2014年以降減少に転じた。危機青少年(少年院・保護監察所・青少年休息所245に入所している青少年)は2014年をピークに減少に転じている。なお、図中の特殊集団青少年とは、学校に通わなくなった「学校外青少年」246のことである。[図20参照]


図 20 青少年による青少年有害媒体の利用経験率

図 20 青少年による青少年有害媒体の利用経験率

出典:女性家族部「青少年の有害環境との接触に関する総合実態調査」(2012年、2014年)

女性家族部「青少年のメディア利用と有害環境の実態調査」(2016年)(単位:%)


他方、スマートフォンを利用した児童・青少年に対する性犯罪、恐喝等の犯罪が増加している。後述のモムケム詐欺247にとどまらず、児童性犯罪の増加が顕著である。関連記事を以下に引用する。


【5年間の児童性犯罪5,100件、1日3件、児童わいせつ物検挙数も2年ぶりに73%増248

韓国国会行政安全委員会所属、共に民主党のイ・ジェジョン議員が分析した警察庁資料によれば、2013年~17年7月の13歳未満児童に対する性犯罪は5,104件に達した。この期間に児童対象性犯罪は年1,000件余り、2017年7月までに619件発生し、強姦・強制わいせつが4,804件(94.1%)と大半を占めた。これは性犯罪全体における強姦・強制わいせつの割合(74%)より高い。セクスティング249・モムケム・フィッシング250等の通信媒体を利用した性犯罪210件(4.1%)、盗撮79件(1.5%)、女子トイレ侵入等の公共施設への侵入11件(0.2%)であった。児童ポルノ制作と配布が増え、2014年に693件だった児童ポルノ検挙件数が、2015年には1,198件となり、72.9%増加した。起訴人数も同時期に717人が927人となり200人以上増えた。イ議員は「児童を対象とする性犯罪が1日平均3件以上起こっていることは非常に深刻な問題だ」とし、「警察が徹底的に捜査し、学校・地域社会等を含む社会全体における間違った性意識に対する警戒と覚醒が必要だ」と述べた。
【ヨンハプニュース2017年9月1日付】


性暴力犯罪の処罰等に関する特例法第13条(通信媒体)及び同法第7条(未成年者対象)にはそれぞれ次のような罰則規定を置いている。


第13条(通信媒体を利用した淫乱行為)

自他の性的欲求を誘発し、満足させる目的で電話、郵便、コンピューター等の通信媒体を通じて、性的羞恥心や嫌悪感を起こさせる言葉、音響、文章、絵、映像又は物を相手方に送達した者は、2年以下の懲役又は500万ウォン以下の罰金に処する。

第7条(13歳未満の未成年者に対する強姦、強制わいせつ等)

  • 113歳未満の者に対し刑法第297条(強姦)の罪を犯した者は、無期懲役又は10年以上の懲役に処する。
  • 213歳未満の者に対する暴行や脅迫に係る次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、7年以上の有期懲役に処する。
  •   1. 口腔・肛門等の身体内部(性器は除く)に性器を入れる行為
  •   2. 性器・肛門に指等の身体(性器は除く)の一部又は道具を入れる行為
  • 313歳未満の者に対して刑法第298条(強制わいせつ)の罪を犯した者は、5年以上の有期懲役又は3千万ウォン以上5千万ウォン以下の罰金に処する。
  • 413歳未満の者に対し刑法第299条(準強姦、準強制わいせつ)の罪を犯した者は、第1項から第3項までの例に基づいて処罰する。
  • 5偽計又は威力により13歳未満の者を姦淫し、わいせつ行為をした者は、第1項から第3項までの例に基づいて処罰する。

ウ 個人情報の漏えい・窃盗等

2011年に個人情報保護法と同法施行令・施行規則が制定された。その背景に個人情報の流出危険性の増大と大規模化・高度化があった。放送通信委員会によると、2012年の個人情報の申告相談件数は166,801件(前年比26.7%増)、13年は177,736件(前年比6.6%増)まで増加した後、14年から減少に転じ16年には98,210件となった。3年間でほぼ半減したことになる。全省庁合同で行われた「個人情報保護の正常化対策」(2014年7月)の施行後、個人情報侵害件数が減少傾向に転じたのである。住民登録番号等、他人の情報の毀損・侵害・窃盗の侵害申告は、2012年139,724件(全体の83.8%)、16年48,557件(全体の49.4%)でほぼ3分の1に減じた。[表58参照]


表 58 個人情報侵害の申告・相談件数
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
個人情報の不正収集 3,507 2,634 3,923 2,442 2,568
個人情報の不正利用を提供 2,196 1,988 2,242 3,585 3,141
住民登録番号等、他人の情報盗用 139,724 129,103 83,126 77,598 48,557
会員退会又は訂正要求拒絶 717 674 792 957 855
法の適用不可侵害事例 12,915 35,284 57,705 60,480 38,239
その他 7,742 8,053 11,112 7,089 4,850
合計 166,801 177,736 158,900 152,151 98,210

出典:放送通信委員会(韓国インターネット振興院個人情報侵害申告センター受付資料)251


前述のKISA調査2015 [表51・52参照] によれば、小中高生の個人情報流出の被害経験率は横ばいか減少しており、表58に見られる傾向に類似しているが、加害経験率はいずれの学校種においても前年比で増加している。

ここでは、KISA個人情報侵害申告センター252のプライバシーに関するページに掲載された青少年のためのFAQにより、個人情報の流出とID窃盗等の現状の一端を把握することにしたい。回答者はいずれも同センターの個人情報紛争調整委員会である。


Q1:学校の宿題のためにインターネット学習指導サイトに登録したが、役に立たないので退会しようとしたのに、何度連絡しても退会できない。

A1:インターネットを利用した会員加入の難点は、退会手続が難しい場合があることです。韓国の法律ではサイトに会員登録をした人はいつでも退会し、個人情報の消去を要求できます。退会できないときは、指定の手順で正しく退会手続したか確認してください。適正に退会要請したのにできない場合は、そのサイトの個人情報管理責任者に連絡してください。それでもだめな場合は、個人情報紛争調整委員会に連絡してください。

Q2:両親の許可を得ずにオンラインゲームに参加した翌月、高額料金の請求が届いた。

A2:満14歳未満の人が自分の名前、住民登録番号、住所等の個人情報を入力し、オンラインゲーム等のサイトに会員加入するには、ご両親の同意と許可が必要です。事前にご両親に会員登録について伝え、サイト指定の方法で許可を得てください。ご両親の同意なしにオンラインゲームに参加し、高い料金請求が届いた場合、そのサイトに連絡して返金してもらえることもあります。返金を拒否された場合は、個人情報紛争調整委員会に連絡し相談してください。なお、ご両親が子供の会員登録と料金請求について事前に知っていた場合や、故意にご両親に知らせずに会員登録した場合は返金されません。

Q3: チャットの相手がサイバーキャッシュの限度額を引き上げてくれると言うのでユーザー名・パスワードを教えたが、限度額は上がらないまま請求書だけ届いた。

A3:子供向けにサイバーキャッシュを引き上げたり、ゲームアイテムを育てると称してユーザー名とパスワードを聞き出したりすることがあります。電子メールやメッセージを送り、自らサイト管理者と称して、パスワードを聞き出す手法もあります。ユーザー名とパスワードを要求する人の多くは他人のパスワードを取得し、サイバーキャッシュやゲームアイテムを自分のものとして使います。他人に自分のパスワードを教えてしまった場合は、すぐにパスワードを変更し、そのサイトの個人情報管理責任者に連絡しください。すでに被害が発生している場合は、個人情報紛争調整委員会に連絡してください。

Q4:インターネットのチャットサイトに会員加入するため住民登録番号を入力したら、すでに登録されていると言われた。

A4:インターネットのサイトに会員加入するには、ほとんどの場合、住民登録番号を入力する必要があります。成人と子供を区別し、会員加入者の本人確認を行うためでもあります。これを悪用し、他人の住民登録番号を盗用し会員登録する犯罪者がいます。最近、社会保障番号ジェネレーターという違法プログラムで作成した番号で会員登録する例もあります。すでに登録された番号と表示された場合、あなたの番号は盗用されています。そのサイトの個人情報管理責任者に連絡し、会員情報を削除してもらってください。


エ 青少年を犯罪に引き込むモムケム詐欺

表51~表55に示した類型のうち、イメージブリング・性暴力・恐喝・個人情報流出等に関わるモムケム253という詐欺がある。従来、成人男性相手に恐喝を行っていたが、青少年を巻き込み、支払能力のない被害者をその詐欺の手先として使うようになった。

 悲劇の始まりはスマートフォンの会話アプリケーションです。アプリ上で下品な冗談を交わしていた男性に女性が「ビデオチャットしない?」と提案をします。ビデオチャットプログラムのスカイプをインストールし、相手を見ながら、さらに刺激的な会話をしていると、突然、女性が「あれ、音が聞こえない。動作エラーみたい。このプログラムにしようかしら」と言いながら、未知のインストールファイルを送信します。このファイルが男性のスマートフォンにインストールされるやいなや、この男性の知人の連絡先がすべて女性の手に渡ります。卑わいな会話をし、果ては自慰行為の姿態までリモート撮影された男性は、後で「100万ウォン入金しないと、あなたの知人にこの映像をばらまく」と脅迫されることになります。こんな愚かしい罠に誰がかかるのかと思われるでしょうが、モムケムで検索すると「モムケム詐欺に引っかかりました…」と、わらにもすがる思いの男性たちの投稿が延々と掲載されています。【東亜日報2014年8月1日付254


図 21 モムケム詐欺のイメージ図

図 21 モムケム詐欺のイメージ図


【好奇心でクリックし、モムケム奴隷にされる少年たち】

高校生Aは、最近ランダムチャットアプリを介して出会ったB嬢から密かに提案を受けた。自己紹介に住所、名前、写真を堂々とアップしてあったので疑うことなく応じたAは、映像にも女性が登場し「音が聞こえないからアプリをインストールして」という要求を快く受け入れたが、3分のビデオ通話が終了するとすぐに悪夢が始まった。Bは、アプリを通して奪取したAの携帯電話の連絡先リストを送って「通話中にあんたの裸を撮影した。お金で合意するか、知人たちに映像を流すか」と脅迫した。「高校生だからお金がない」というAに向かってBは「毎日ランダムチャットアプリに入って、女性のふりして客引きしろ」と指示した。Aは耐えきれずに警察署に届け出たが、映像が流されるかもしれないという不安に苛まれている。

青少年に接近して裸の映像を撮影させた後、動画流出を口実に脅迫して犯罪に動員する「モムケム奴隷」の被害が増えている。成人男性の携帯電話にマルウェアをインストールして電話番号簿を入手し、裸の映像流出で脅して金品を強要する従来のモムケムフィッシングと異なり、青少年対象のモムケム奴隷は彼らを犯行の手先として活用しようとする。好奇心に駆られてクリックした青少年たちは、家族や学校に映像が広がるという恐怖心から犯罪の泥沼に落ち込む。

2015年8月以後の警察庁の関連集計によれば、2015年に102件に過ぎなかったモムケムフィッシング事件の件数は、16年に1,193件に急増した。犯罪手口が巧妙になり、検挙件数は事件の件数には及ばない。被害事実が知られるのを恐れて申告しないケースが多いため、実際の発生件数はさらに多いと推定される。デジタル情報を削除する専門業者のイ氏は、「最近ランダムチャットアプリでモムケムフィッシングに動員される青少年が急増し…類似ケースだけで1週間に5件受けた」という。

関係当局は、現行法上チャットアプリ自体を規制し、運用者を処罰する法的根拠がないランダムチャットアプリの取り締まりにお手上げ状態だ。十代女性人権センター等、255の市民団体がチャットアプリ運営者を児童・青少年の性保護に関する法律違反等の嫌疑で告発したが、10月30日、ソウル中央地検は無嫌疑不起訴処分を下した。市民団体は「性犯罪助長アプリに免罪符を与えた」と批判し検察の決定に抗告するとしている。
【韓国日報2017年11月13日付255



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