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第2部 第2章 韓国 (6/7)

4.青少年のインターネット環境の課題への対応

(3)行政及び関連機関の取組

ア 女性家族部

女性家族部は2642010年に保健福祉家族部が所管していた家族・青少年業務の移管を受け、女性家族部に再編されてから、青少年事業において中心的な役割を果たしており、以下のスマートフォン依存症関連事業を運営している。傘下の韓国青少年相談福祉開発院265が全国に青少年相談福祉センター(225か所)、学校外青少年266支援センター夢ドゥリム(202か所)を運営している。

(ア)スマートフォン依存症の治療サポート267

青少年スマートフォン依存症の予防と被害の解消のための段階的・体系的対応の強化を通じ、青少年の健全な成長をサポートする。主な対象は、スマートフォン依存症の小中高生である。

毎年学齢転換期268青少年対象のインターネット・スマートフォン利用習慣診断調査

依存症のリスク別青少年相談、癒やし特化プログラム、医療機関との治療連携等

(イ)寄宿型治療プログラムの運営

インターネット治療キャンプ:中高生対象11泊12日寄宿型治療キャンプ(14回実施)

家族治療キャンプ:小学生と親を対象に2泊3日の家族キャンプ(35回実施)等

(ウ)韓国青少年相談福祉開発院

韓国内400以上の青少年相談福祉センターや学校外青少年支援センター夢ドゥリムを統括する。学校外青少年、メディア中毒の青少年等の危機青少年に対する支援と青少年政策研究プログラムの開発、相談福祉専門人材の養成等の事業を行っている。政府の主要な青少年政策事業である青少年統合支援システム(CYS-Net: Community Youth Safety-Net)の開発と普及、地域センター人材の専門性強化のための教育研修の提供等を行う。

青少年相談福祉センターは、CYS-Netのハブ機関として青少年問題を診断・評価し、必要なサービスを提供する。国立青少年インターネット・ドリーム村の支援規模が2018年から大幅に拡大される。17年中にドリーム村の増築工事を完了し、癒やしのキャンプ運営規模を600人レベルに拡大する計画である269

イ 放送通信委員会270

情報通信、放送、放送利用者に関する研究調査・政策立案と実施のための大統領直属機関271として2008年に発足した放送通信委員会は、青少年のインターネット依存問題に対応し、2013年からサイバー安心ゾーン事業を運営している。学校や家庭での青少年のスマートフォン利用形態を管理し、スマートフォン没入等による機能障害を予防する事業で、2017年8月現在632校91,273人の生徒が利用している。[図22参照]


図 22 サイバー安心ゾーンの概念図

出典:https://ss.moiba.or.kr/main/sub1.do?ms=1 (March 2018)


2016年を通じて、サイバー安心ゾーンサービスを利用した青少年のスマートフォン利用時間が41%減少し、1日平均110分が64分に下がった。運営学校の教師と保護者を対象にした利用満足度調査でも保護者(89%)と教師(77%)の双方が肯定的に評価しており、依存症の予防効果が大きいことが確認された。

2017年8月に結ばれた忠清北道教育庁と放送通信委員会及び韓国無線インターネット産業連合会の三者間業務協約272において、同委員会は、忠清北道内の小中高校にサイバー安心ゾーン構築のためのソフトウェアと依存症相談管理プログラムを提供し、忠清北道教育庁は管轄区域の学校にサイバー安心ゾーンサービスの案内と運営学校支援と管理を行う。韓国無線インターネット産業連合会は、運営学校の教育支援と広報、スマートフォン利用形態等の統計情報を提供することになっている。

ウ 韓国情報化振興院273

韓国情報化振興院は政府機関の情報化促進とその関連政策を開発し、情報化社会づくりや情報格差の解消をサポートする、行政安全部274の傘下にある準政府機関である。韓国情報化振興院が運営するスマート・スィム・センター275のサイトはK-スケール276に基づくインターネット中毒の診断調査を提供している。[表62~65参照]

インターネット中毒に関するフォームは青少年だけを対象にし、観察者用と自己診断用のフォームがあり、誰でも簡単に入力して、容易に診断結果と解説を見ることができる。以下、参考までに青少年だけを対象にするインターネット中毒の診断フォームと診断結果の例を紹介する。なお、診断結果はパソコンから簡単に印刷することができる。


表 62 インターネット中毒に関する観察者診断
No. 設問項目・回答の選択肢
1 インターネットのことでよく家族と言い争う。
□まったくそう思わない □そう思わない □そう思う □非常にそう思う
2 いつもとは違って、インターネット上では言うべきことを言い自信に溢れている。
3 インターネットに嵌ってから、言葉の上でも身体的にも暴力的になった。
4 1日4時間以上じっと動かないでインターネットをする。
5 食事やブレイクなしでトイレにも行かずにインターネットをしている。
6 インターネットを使用するにつれ、周囲の人々の視線や反応に無関心になった。
7 インターネットをしているときにさわられると、怒ったりいらいらする。
8 1日以上、徹夜してインターネットをする。
9 インターネット使用のせいで学校の成績が下がった。
10 インターネット中にさわられても怒ったりいらいらすることはない。
11 徹夜してインターネットをすることはない。
12 インターネット使用のせいで疲れ、授業中に眠ってしまう(眠ったことがあるという)。
13 インターネットをしていないとき、他のことに集中できず、不安げに見える。
14 だんだん、より多くの時間インターネットをするようになった。
15 インターネット使用のせいで約束を守らず、よく嘘をつくようになった。

点数:まったくそう思わない[1点] そう思わない[2点] そう思う[3点] 非常にそう思う[4点] *選択肢は全ての項目について同一なので1番のみ記した。


表 63 観察者による診断結果の例
類型 高リスク群
特性 インターネットにより、日常生活に深刻な障害を示し、禁断症状が現れている。対人関係の多くはサイバー上で行われ、オフラインよりオンラインの出会いを楽に感じている。インターネット接続時間は中高生1日約5時間以上、小学生約2時間以上で、中高生は睡眠時間も6時間前後。通常、自分がインターネット中毒だと感じ、勉学にも困難を感じる。心理的な不安定感や憂鬱を感じることが多く、性格的に衝動性や攻撃性も見られる。現実世界において対人関係で衝突し、孤独を感じることも多い。
備考 インターネット中毒の傾向が顕著であり、関連機関の専門的サポートと支援が求められる。

表 64 インターネット中毒に関する自己診断
no 設問項目、回答の選択肢*
1 インターネット使用のせいで以前より健康が悪くなったと思う。
□まったくそう思わない □そう思わない □そう思う □非常にそう思う
2 オフラインよりもオンラインのほうが私を認めてくれる人が多い
3 インターネットができないと生活が退屈で楽しくない。
4 インターネットをしていてやめると、(すぐに)またしたくなる
5 インターネットを使いすぎたせいで頭痛がする。
6 現実に会う人より、インターネットで会う人のほうがよく理解できる。
7 インターネットができないと落ち着かないで、いらついてくる。
8 インターネットの使用時間を減らそうとしたが、失敗した。
9 インターネットをしていて、計画したことをきちんとできなかったことがある。
10 インターネットができなくても、不安になることはない。
11 インターネットの使用時間を減らさなければと、いつも考えてい。
12 インターネットの使用時間をごまかそうとしたことがある。
13 インターネットをしていないときは、インターネットのことを考えない。
14 私はインターネットをやり過ぎていると、周囲の人に言われる。
15 インターネットのせいで、以前よりお金を使うようになった。

点数:まったくそう思わない[1点] そう思わない[2点] そう思う[3点] 非常にそう思う[4点] *選択肢はすべての項目について同一なので、1番のみ記した。


表 65 自己診断結果の例
類型 潜在リスク群
特性 高リスク群に比べてやや低いレベルだが、日常生活で障害を示し、インターネットの使用時間が増えて執着する状態。勉強ができなくなる症状もあり、心理的な不安定感も見えるが、半分ぐらいの生徒は、自分に何ら問題がないと思っている。中高生は1日約3時間、小学生は約2時間の接続時間だが、多分に計画的でなく自己調節が難しい状態にあり、自信も低下する傾向が見られる。
備考 インターネット過使用の危険性を認識し、自制して計画的に使用するように努めること。インターネット中毒に注意し、学校や関係機関が提供する健全なインターネット活用のガイドラインに従うこと。

2015年に日韓の青少年を対象に実施したソウル大学ポラメ病院精神健康医学科のチームのインターネット利用実態調査277をK-スケールで分析した結果、日本の青少年のインターネット依存の高リスク群の割合は0.5%、潜在リスク群は2.2%であった278。K-スケールを利用した韓国情報化振興院の2015年インターネット実態調査によると、韓国青少年のインターネット依存者(高リスク群)は2.2%、潜在リスク群は11.0%であり、それぞれ日本の約4倍、5倍に相当する。

エ 韓国インターネット振興院

2009年に設立された公共非営利機関である。グローバルリーダーを志向するインターネット情報保護の振興機関として、産業振興、情報保護、未来への牽引、革新経営を通じたインターネットによる全国民の幸福と国の発展をビジョンに掲げている。一般企業等を対象に個人情報保護の侵害防止と実態点検強化、法制度の改善と紛争調整業務、個人情報保護の基準づくりと普及、個人情報教育・広報と自主規制の支援等を通じた個人情報保護の環境形成のため、以下の事業279を実施している。


1. 個人情報関連法/制度、政策、教育、技術サポート、苦情窓口等を案内する個人情報保護の総合ポータル運営

2. 住民登録番号処理の依拠法令・自治法規一斉整備等の個人情報保護法関連法制度の改善と政策推進

3. 政府3.0推進のための個人情報保護基準、公共機関の個人情報収集と利用ガイドライン作成と普及

4. 公共機関の個人情報管理の実態点検、個人情報流出の申告受付と被害拡散を防ぐ技術サポート

5. 個人情報侵害の危険因子の分析と改善点導出のための個人情報の影響評価制運営

6. 個人情報漏えいの早期警報システムの運用による公共部門等のホームページを対象に個人情報の露出を検索、零細事業者の個人情報漏えいを削除する技術サポートとトレーニング・広報

7. 個人情報に関する紛争を調整するための個人情報紛争調整委員会運営

8. 個人情報侵害関連の苦情・事件受付、個人情報流出の通知手続き・届出案内、企業・公共機関の諮問、政策広報等のサービスを提供する個人情報侵害申告センターを運営

9. 情報主体の住民登録番号利用状況を確認し、利用のウェブサイトの会員脱退申請及び処理等のサービスを提供する社会保障番号クリーンセンターを運営

10.個人情報の安全性確保の措置基準の改正等の個人情報保護技術サポートセンター運営

11.個人情報保護の診断指標による管理レベル診断を通じた公共機関の個人情報保護レベル向上

12.情報主体の個人情報保護教育普及と民間・公共分野の個人情報保護能力を強化

13.EU適正性評価制度等、グローバル個人情報保護認証登録等の個人情報の安全な国外移転の環境づくり推進

14.個人情報を取り扱う機関・企業を対象とする個人情報保護認証制度の運営を通じ、事前情報保護活動を強化


オ 韓国青少年政策研究院280

青少年の人格形成と可能性の啓発、青少年のデジタル・グローバル能力の強化、青少年の人権と社会参加のための社会環境の改善、疎外された階層の青少年に対する福祉・支援等の政策開発に必要となる基礎研究と資料の蓄積を通じて、国家発展のための活力創造に寄与する目的で設立された機関である。

ソウル市立青少年活動振興センター281

1995年5月の教育計画において人間性中心の体験活動が強調され、99年4月に韓国青少年連盟がソウル特別市から委託を受け、ソウル特別市立青少年資源ボランティアセンターを設立した。2007年、現在の名称に変更し、ボランティア活動のプログラム開発、国・地方自治体の政策及び認証システム構築、青少年活動の総合案内等、多様な活動を連携・普及・支援する事業を運営するソウル市の青少年に特化した施設である。

韓国青少年連盟は学校教育との補完を通じて未来世代を育成する目的で1981年に設立された18都市8千余りの学校が参加する韓国最大の青少年社会教育機関(会員数35万名余り)である。ソウル市はまた、インターネット中毒予防相談センター282を運営している。

(4)事業者・団体等の取組

韓国では、多くの企業・団体がそのウェブサイトに約款、個人情報保護方針と並んで、青少年保護管理責任者と管理担当者の氏名・所属・職位・メールアドレス等を含む青少年保護政策を掲載している(内容はいずれも同じ、有害情報に対する青少年の接近制限と管理措置、有害情報から青少年を保護するための業務遂行、有害情報による被害相談と苦情処理、青少年保護の責任者・担当者の4項目にわたる)。以下に、代表的なIT関連企業の事業例を紹介する。

ア ネイバーグリーン・インターネット283

韓国で検索エンジン市場の70%を占めるネイバーは、ネイバーグリーンインターネットを運営し、以下のサービスを提供している。


1わいせつ及び違法な投稿根絶:淫乱・不法な画像・動画を根絶するため24時間監視、わいせつ・不法記事に対する迅速な措置のための緊急レポートセンター運営

2有害な投稿ブロック:インターネットの内容評価を参考に有害と判断した投稿をブロック、年齢制限機能を使って、未成年者に有害なスレッドの表示を極少化

3著作権保護:著作権保護センターの運営、DBとの連携を通じて、著作権のあるコンテンツの自動ブラインド処理

4個人情報保護:ネイバーの個人情報管理プライバシーセンター運営、個人情報に関する様々な知識を伝える個人情報のブログ運営、個人情報漏えいに対する迅速措置のため緊急レポートセンターの運営


イ ダウム・コミュニケーションズ284

有害情報から青少年を保護し、安全なインターネット利用を支援するため、情報通信網利用促進と情報保護等に関する法律に基づいて以下の青少年保護策を適用している。


1青少年保護のための目標と基本原則:青少年の精神的・身体的な有害環境からの保護、有益な環境づくりに努め、インターネットの安全利用サービスを提供するための方針を明示している。

2青少年保護装置:青少年が有害情報に晒されないように、青少年有害媒体物に認証マークを設定して適用し、有害情報が公開されないようにするための予防措置を講じている。

3有害情報による被害相談や苦情処理:有害情報による被害相談や苦情処理のための専門人材を配して救済措置の遅延や処理不全による被害が広がらないように努め、独自の処理が困難な場合は被害特性に適合する関連機関を案内する。

4青少年有害情報へのアクセス制限と管理措置:違法又は青少年有害禁則語を通常検索を含む各種サービスに拡大適用し、成人認証マークが設定されたサービスの利用範囲を制限し、体系的に管理している。

5青少年を有害情報から保護するための教育:青少年保護者と各サービス担当者に、青少年保護の各種関連法令及び制裁の基準、有害情報を発見した時の措置、違反処理の報告手続き等を教育している。

6全利用者の意識向上を通じた青少年保護:サービス利用規約等を通じて不健全な行為をした場合の利用制限や、民事・刑事上の責任を負う旨告知し、新型の有害情報が発生した場合の通知やメールを介し迅速に伝播することで、青少年と全体の利用者を保護している。各種情報の健全化教育やキャンペーン等を通じてネチケット意識を高める。

7青少年保護責任者・担当者の指定:青少年保護責任者及び青少年保護担当者を指定し、青少年有害情報のブロックと管理、青少年有害情報からの青少年保護方針を策定する等、保護業務を行っている。


ウ グーグルコリア

グーグルコリアは、ウェブ検索を規制しない方針に基づき、女性家族部が指定した青少年有害媒体物のURLや消費者が申告した有害物以外のすべてを公開している。一方、子供を保護するために親が行う子供のスマートフォン管理を支援するため、次のような取組を行っている。

(ア)スマートフォン管理アプリFamily Link

2017年にグーグルは児童のスマートフォン管理アプリを発表した。満13歳未満の児童もアカウントを作れるが、親が同アプリを使った管理権限を持つ。[図23参照]


図 23 Google Family Link Korea

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.apps.kids.familylink&hl=ko&rdid=com.google.android.apps.kids.familylink (March 2018)


以下にグーグル社のウェブサイトでのファミリーリンクに関する説明を抜粋285する。


GoogleのFamily Linkアプリを使用すると、子供(13歳未満)がAndroid端末を使用するとき両親が継続してニュースを受け取ることができます。Family Linkを介し、親アカウントと同じ子供アカウントを作成してGoogleサービスにアクセスし、デジタル機器の使用ルールを設定することもできます。

  • 使用できるアプリの管理:子供がGoogle Playストアからダウンロードするアプリを承認・ブロックします。
  • 使用時間の監視:活動報告で子供が好きなアプリを使用する時間を確認し、使用時間の制限を設定します。
  • 就寝時刻の設定:就寝時や休憩時間に子供の機器をリモートでロックしま。
  • Family Linkを使用するには、子供用のAndroid端末が必要です。互換性のある機器リストを参照してください。
  • Family Linkを使用すると、子供の購入やダウンロードを管理できますが、アプリの更新(権限拡大を含む)、以前に承認されたアプリや家族コンテンツライブラリの共有アプリをインストールするときは承認が不要です。親は、子供がインストールしたアプリとその権限を確認する必要があります。
  • 子供の機器のアプリを慎重に検討し、子供が使用していないようにするアプリを使用停止する必要があります。プリインストールされたアプリには無効にできないものがあります。
  • バックグラウンドで実行される音楽プレーヤーやメッセージアプリ等は活動報告では追跡できません。

エ 非営利社団法人オープンネット

オープンネット(Open Net)は2013年に設立された韓国の非営利社団法人であり、インターネットの自由、オープンシステム、共有政策を導入する活動を展開している286。オープンネットは、若者のプライバシーと親の教育権の侵害を継続的に指摘し、16年8月にはスマートフォンの監視について憲法訴願を請求している。以下は同団体のサイトに掲載された記事である(2017年11月27日付)287


社団法人オープンネットは、カナダのトロント大学シチズンラボ288と共に、KT289及びLGU+のスマートフォン監視アプリである <kt子供フォン安心> <lgu+290子供フォン守り> に関して、セキュリティ監査報告を発表した。韓国の青少年スマートフォン監視アプリに関する第4回目となる今回の報告書では、先の3回の報告と同じく、監視アプリがセキュリティに極めて脆弱であることを突き止めた。

2015年4月16日施行の改正電気通信事業法第32条の7及び同法施行令第37条の8は、移動通信事業者が青少年と電気通信サービス提供に関する契約を締結する場合、有害情報の遮断手段を提供することを強制している。別名「青少年スマートフォン監視法」と呼ばれるこれらの法令によれば、移動通信事業者は、青少年のスマートフォンに有害媒体物ブロックアプリをインストールする必要があり、インストール後は、アプリが削除されないよう継続的に監視する必要がある。親の同意も必要とせず、監視アプリのインストールを強制する方法は世界的に類例がない。

オープンネット、シチズンラボ、ドイツのセキュリティ監査専門会社<キュア53(Cure53)>が共同で作成した今回の報告書は、韓国の主要通信キャリアであるKTとLGU+の監視アプリ、<kt子供フォン安心 >と <lgu+子供フォン守り >を調査対象としている。両者のアプリはすべて<プランティネット >という、親向けのサービス専門会社が開発したもので、コードがほぼ同じであり、両者の利用者の個人情報が保存されたサーバーに不正アクセスできる致命的なセキュリティの欠陥があった。


記事によると、この結果について研究チームは、利用者保護について企業側が従来以上に積極的に責任を持って取り組むべきことを示している、とし、4回にわたるセキュリティ監査報告を通じて、 <スマート保安官 > 、 <サイバー安心ジョン > 、 <スマート安心ドリーム > 、 <オーレ子供フォン安心 > 及び <lgu+子供フォン守り > といった5つの青少年スマートフォン監視アプリを分析した結果、すべてのアプリで致命的なセキュリティ上の問題を発見したとのことである。また、監視アプリの設計上、セキュリティやプライバシーへの考慮がされていないことがわかり、単に開発者や販売者のみならず韓国の監視アプリ業界全体に構造的なセキュリティ上の問題があることを報告している。

さらに、記事では次のように状況を報告している。


青少年をオンライン上に氾濫する有害媒体物とポルノから保護することについて議論の余地はないが、国が青少年を含む社会的な脆弱者集団に特定の保護措置を強制するときは、その保護措置が本当に必要かどうか徹底した安全性の検証が必要である。オープンネットがTwitterやFacebook等のSNSユーザーを対象に行ったアンケート調査によれば、青少年スマートフォン監視アプリについて多くの親と子が否定的に考えていることがわかった。回答者は青少年の管理アプリが青少年の自主性や親の選択を侵害するものとみなし、有害情報遮断効果も大きくないと答えた。これらアプリを強制する「青少年スマートフォン監視法」は廃止されるべきだという意見が多数を占めた。

2016年12月、韓国政府は親の拒否権を認める電気通信事業法の改正案を提出した。ただし、この改正案には青少年をセキュリティ上の脅威にさらす監視アプリ自体の危険性は全く反映されていない。監視アプリを法人に強制する青少年スマートフォン監視法を廃止し、親子間の対話と理解、十分な情報に基づいて利用者が自律的に監視アプリをインストールできるようにするのが望ましい。



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