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第2部 第2章 韓国 (7/7)

4.青少年のインターネット環境の課題への対応

(5)各家庭の取組

上述のとおり、青少年を有害物から保護するアプリが彼らのスマートフォンに強制的に搭載され保護者が監視できることと青少年のプライバシー保護の両立は難しい。各家庭における取組も政府規制とプライバシー保護の間で揺れているように見える291


スマートフォン使用者の低年齢化に伴い、ネットいじめの被害者も低年齢化している。京畿道ナミャンジュ市小学校のチェ・ソヨン教師(28歳)は、「最近の小学生は約7割がスマートフォンを持ち、3年生~4年生の利口な子たちは、高学年のネットいじめをまねています」という。同校では、ネットいじめを防ぐために担任教師と生徒がカカオストーリー等のSNSで友人関係を結び定期的に報告するようにしているが、これにも限界がある。友人の範囲を任意設定して投稿の公開範囲を調整できるからだ。教師が生徒と友人関係になっても、生徒が教師を公開対象から外してしまえば、被害事実は容易に摘発できない。

保護者の立場では、子供にスマートフォンを買って与えるかどうか悩ましい。スマートフォンを与えればネット上でいじめを受けないか心配だし、与えないと友人から断絶されそうで心配だからだ。また、授業内容や課題等をスマートフォンにアップすることも多い。2012年にリリースされた教材と授業課題の共有モバイルアプリ「クラスティング」が代表的な例で、小学生の必須アプリと呼ばれる。2016年4月初めの基準加入者数は教師17万人、生徒155万人、保護者38万人に達している。

ソウル市城東区に住むK氏も小学校6年生の子のスマートフォンのため心配が絶えない。子供は「私だけスマートフォンがなくてカカオトーク会話で疎外され、クラスティングにアップされる文もわからないのでもどかしい」と不満を言う。担任教師は、生徒にクラスティングへの参加を勧め、このアプリで写真の共有、課題の提出、アイデア公募等を行う。担任は「スマートフォンのない生徒は、保護者のスマートフォンを借りてクラスティングを使用してください」と言うが、生徒も親もフラストレーションを募らせている。

他方、ネットいじめの摘発のためにカカオトーク等の個人メッセンジャーの会話内容を確認するのは人権侵害だとする議論がある。仁川市S小学校4年生の担任イ・ジヨン教師(27歳)は、2015年にネットいじめの被害の情報提供を受け、自ら学校暴力委員会を開いた。しかし、加害生徒の親の反対のためにカカオトークの会話内容を確保するだけで3か月以上かかった。「ネットいじめだけで学校暴力委員会が開かれることはなく、学校暴力アンケートにもネットいじめの関連項目はほぼ皆無だ」ともいう。2012年に法律が改正され、「学校暴力の予防及び対策に関する法律」にネットいじめが学校内暴力の一種として明示されたが、大半の学校は伝統的な学校内暴力だけに焦点を当てているのが現状だ。

【週刊朝鮮 2016年4月18日号】


ア 親による青少年インターネット利用環境の確認行為

スマート保安官制度292の導入により、保護者が同アプリによって未成年者を有害コンテンツから保護できる一方、アプリによるプライバシー侵害に対する批判も少なくない。19歳未満のユーザーが強姦、殺人、妊娠、自殺、いじめ等のブラックリストに載っている単語を使用すると、アプリの内蔵ソフトウェアが作動し、保護者に警報が届く。また、保護者が彼らのスマートフォンの使用位置、使用時間、使用アプリ、訪問サイトを監視でき、使用中のアプリを削除し、電源を切る等のリモート制御もできる293

2015年9月、カナダ・トロント大学のシチズン・ラボ294がスマート保安官アプリについてセキュリティ上の脆弱性を指摘したことを受け、韓国内で批判が高まり、政府支援に基づくサービス提供が中断され、2016年末にスマート保安官アプリはサービス提供を終了した。ただし、電気通信事業法が、アプリのインストールを強制しているため、移動通信事業者等は同種のアプリを継続して配布している。移動通信事業者が青少年と契約する場合、青少年有害媒体物とわいせつ情報をブロックする手段の提供を事業者に義務付けているためである(電気通信事業法施行令第37条の8295)。

イ 親によるフィルタリング利用率

ヤン・スビンら296の「青少年のスマートフォン使用に関する保護者仲裁サービスデザインの探究」(2014)297による、親による青少年のスマートフォン使用制限に関する調査結果の要旨を抜粋し引用する。


スマートフォンは、仲介ソフトウェアを介して問題のある使用を中止できる。すでに複数の親―子供間仲介アプリケーションが流通しているが、これらのなかには、女性家族部と放送通信委員会が通信キャリアと合弁で開発したスマート保安官、ソウル市が開発した子供スマート・キーパー等、政府レベルが支援したアプリケーションがある。一般的なソフトウェアには、モモラング、キッズマネージャー、マイキッズフリック、Xキーパー等、約10種類の親―子供間用スマートフォンの使用中止プログラムがある。これらは使用情報の共有と仲介/節制機能を提供する。共有情報は、全使用時間/回数、アプリごとの使用時間/回数、アプリの内容、場所確認等であり、仲介/節制機能には時間ロックの設定、アプリ別のロック、ロック解除要求等の機能がある。

調査結果によると、これらのアプリを使ってみた親は約20%に過ぎず、その中で効果があったと回答した者は26%に過ぎず、明らかに既存のアプリケーションとのアクセスや効用性が低いことがわかった。また、従来の研究では、スマートフォンの導入に伴う親の仲介方法の変化とその困難さを発見できなかった。本研究では、困難点を把握し、特に若年層の問題のあるスマートフォンの使用仲介を家庭内でどのように行うか、スマートフォンの使用を仲介できる適切なデザインの提示を試みる。


ウ 親子間の話し合い、ルール設定等

同じくヤン・スビンらによる上記論文は、親による青少年のスマートフォン使用制限に関し、興味深い調査を行っている。以下、その要旨を抜粋し引用する。


青少年のスマートフォン使用に関する親の関与は、活動の種類、時間帯、総時間、場所、使用内容等についてほとんどが一方的に制限する統制的な方法だった。例えば、勉強する時に禁止、夜11時に押収等である。活動の種類は、寝る前、勉強・宿題をする時、学校・塾に行く時、食事の時、家族と一緒の時等、勉強に関連する活動の時に使用制限することが多い。使用制限する時間は、主に夕方から就寝時間前(夜8時~12時ごろ)であった。子供が帰宅後に自宅で勉強する時間や就寝を妨げることを懸念したものと考えられる。総時間の制限では、ほとんど自由使用させない、帰宅後1時間ほど使用できる、週末に1時間程度使用できる等の方法である。使用自体を制限する例もある。

使用場所を制限する親も多い。子供部屋、学校、塾等ではスマートフォンを押収し、家庭ではリビングのような共用スペースに置いて使用を制限する。ゲーム・映像等を見たら遮断する例もあるが、スマートフォンが本来個人の機器であり、小さな画面のため内容まで制御するのが難しいため、これらの制限方法を取っていると考えられる。使用を制限する主な方法は、指示、押収、ブロック等であり、単に使用禁止を指示する方法が最も多い。また、一定時間スマートフォンに触れられないようにする方法として、一定の条件で子供が親に返却する、共用スペースに置く、いつも親が持っている等の方法が多い。子供の使用を基本的に遮断する方法もあり、専用ソフトウェアによる遠隔コントロール、家庭内のWi-Fi遮断、キャリアが提供するデータ調整等の方法がある。

使用制限について回答者の27.27%は自分の戦略が効果的だとし、41.81%は普通、30.90%は効果がないと答えた。自分の戦略が効果的と答えた回答者に多かったのは、使用できる総時間を定める方法だ。これは一定の時間内において子供の自律性が保障されるためと考えられる。普通・効果がないと答えた方策には、活動による制限、場所・時間帯による制限が等しく使われていた。効果がないとした回答者に多いのは「言葉で言い聞かせる」「たまに訪問履歴を開いて確認する」等、一貫した適用条件でない場合が多く、親子間における明確な条件と方法の確立が効果に影響することが確認された。

多くの親たちは、自分の試みの失敗に対し「全く言うことを聞かない」「約束しても守らない」等と答えた。子供のスマートフォン依存と自制力の不足も、親子間で決めたルールが形骸化する要因だとされた。多くの回答者は子供が「すでに深刻な中毒症だ」「ゲームを始めると、決めた時間内に終了できない」等、スマートフォン依存のためルールの適用が難しいと述べている。「友達と宿題する等、他の勉強との関係で話す必要がある」「友達からくるカカオトーク、バンドメール298を確認しなくちゃ」等と言われ使用を許す等、子供たちの仲間との関係で使用を許すことも明らかになった。「英語の単語検索に必要だから」「担任教師のグループメールを確認しないと」「宿題に必要な資料を検索する」等、勉強や学校生活に必要な情報を受信するのに必要なので、徹底して制限できないという回答者も多い。


(6)関連用語

ア 青少年基本法に定める関連用語

青少年基本法第3条は、青少年の他、青少年育成・活動・福祉・保護・施設・指導・団体等について以下のとおり定義している。


1.「青少年」とは、9歳以上24歳以下の者をいう。ただし、他の法律において青少年に対し異なる適用が必要な場合は、別途定めることができる。

2.「青少年育成」とは、青少年活動を支援し、青少年福祉を増進して勤労青少年を保護するとともに、社会条件と環境を青少年に役立つように改善し、青少年を保護して青少年教育を補完することにより、青少年の均衡ある成長を助けることをいう。

3.「青少年活動」とは、青少年の均衡ある成長に必要な活動及び、これらの活動に基づく研修活動・交流活動・文化活動等、多様な形態の活動をいう。

4.「青少年福祉」とは、青少年が通常の生活を享受できる基本的な条件をつくり、調和した成長・発達ができるように提供される社会的・経済的な支援をいう。

5.「青少年保護」とは、青少年の健全な成長にとって有害な物質・物・場所・行為等、各種の青少年に対する有害環境を規制し、青少年による接触又は接近を制限することをいう。

6.「青少年施設」とは、青少年活動・青少年福祉及び青少年保護のために提供される施設をいう。

7.「青少年指導」は、次の各目を指す。

a.第21条の規定に基づく青少年指導士

b.第22条の規定に基づく青少年相談士

c.青少年施設・青少年団体・青少年の関連機関において青少年育成に必要な業務に携わる者

8.「青少年団体」とは、青少年育成を主目的として設立された法人や大統領令に定める団体をいう。


イ 青少年保護法等に定める関連用語

以下に用いる「ゲーム」「ビデオ」等について正確な理解をするため、青少年保護法等関連法令における定義を確認しておく。日本語に対応する用語又は通用する訳語がないものを含め、本章では以下の用語を以下の法定義に沿って使うものとする。

(ア)ゲーム

ゲーム産業の振興に関する法律第2条第1号は次のとおり定義している。


「ゲーム」とは、コンピュータープログラム等の情報処理技術や機械装置を用いて娯楽に供し、又はこれに付随してレジャー・学習・運動効果等を高めるように設計された映像又は主にその映像を利用するために製作された機器と装置をいう。ただし、次の各目のいずれかに該当するものを除く。

a. 射幸性ゲーム

b. 観光振興法第3条の規定*による観光事業の規律対象となるもの

c. ゲームとゲームでないものが混在しているため、文化体育観光部長官が定めて告示するもの

*第3条第3号c項に、青少年活動振興法第10条第1号e項に定める青少年キャンプ場は除外する、とある。


(イ)ビデオ

映画及びビデオの振興に関する法律第2条第12号は次のとおり定義してい。


「ビデオ」とは、連続した映像がテープ又はディスク等のデジタルメディア又は機器に含まれる著作物で、機械・電気・電子や通信機器によって再生され、視聴できるように製作された物をいう。ただし、次の各目のいずれかに該当するものを除く。

a. ゲーム産業振興に関する法律第2条第1号の規定に基づくゲーム

b. コンピュータープログラムによるもの(映画が収録されていないものに限る)


(ウ)青少年有害物や場所

青少年保護法第2条は、「青少年有害媒体物」「青少年有害薬物」「青少年有害物」「青少年有害営業所」「青少年の出入りと雇用が禁止される営業所」「青少年の雇用が禁止される営業所」を次のとおり定義している。


1.「青少年」とは、満19歳未満の者をいう。ただし、満19歳になる年の1月1日を迎えた者は除く。

2.「媒体物」とは、次の各目のいずれかに該当するものをいう。

a. 映画及びビデオの振興に関する法律に基づく映画及びビデオ

b. ゲーム産業振興に関する法律に基づくゲーム

c. 音楽産業振興に関する法に基づくアルバム、音楽ファイル、音楽映像、音楽ビデオファイル

d. 公演法に基づく公演(国楽の公演は除く)

e. 電気通信事業法に基づく電気通信を通じた符号・文言・音響・映像による情報

f. 放送法に基づく放送番組(報道番組を除く)

g. 新聞等の振興に関する法律に基づく日刊一般紙(主に政治・経済・社会に関する報道・論評・世論を伝える新聞を除く)、日刊専門紙(経済・産業・科学・宗教分野を除く)、週刊一般紙(政治・経済分野を除く)、週刊専門紙(経済・産業・科学・時事・宗教分野を除く)、インターネット新聞(主に時事・論評・世論を伝える記事を除く)とインターネット・ニュースサービス

h. 雑誌等の定期刊行物の振興に関する法律に基づく雑誌(政治・経済・社会・時事・産業・科学・宗教分野は除く)、情報出版物、電子出版物及びその他の出版物

i. 出版文化産業振興法に基づく出版物、電子出版物、外国の刊行物(g.とh.に該当する媒体物は除く)

j. 屋外広告物等の管理と屋外広告産業振興に関する法律に基づく屋外広告物とa.からi.までの媒体物に収録・掲載・表示されるか、その他の方法で挿入される商業的広告宣伝物

k.その他、青少年の精神的・身体的健康を害する恐れがあるとして、大統領令に定める媒体物

3.「青少年有害媒体物」とは、次の各目のいずれかに該当するものをいう。

a. 第7条第1項本文及び第11条の規定により青少年保護委員会が青少年有害と判断し、確認した後、女性家族部長官が告示した媒体物

b. 第7条第1項ただし書及び第11条の規定により各審議機関が青少年有害と審議し、確認した後、女性家族部長官が告示した媒体物

4.「青少年有害薬物等」とは青少年有害と認められる次のa.の薬物(以下「青少年有害薬物」という。)及び青少年有害と認められる次のb.の物(以下「青少年有害物」という。)をいう。

a. 青少年有害薬物

1)酒税法に基づく酒類

2)タバコ事業法に基づくタバコ

3)麻薬類管理に関する法律に基づく麻薬類

4)化学物質管理法に基づく幻覚物質

5)その他、中枢神経に作用し、習慣性、中毒性、耐性等を誘発して、人体に有害な作用を及ぼす薬物等、青少年の使用を制限しないと青少年の心身を深く損傷する恐れがある薬物として、大統領令に定める基準に基づいて関係機関の意見を聞き、第36条の規定による青少年保護委員会(以下「青少年保護委員会」という。)が決定し、女性家族部長官が告示した物

b. 青少年有害物

1)青少年にわいせつ行為を助長する性具等、青少年の使用を制限しないと青少年の心身を深く損傷する恐れがある性関連の物として、青少年保護委員会が大統領令に定める基準に基づいて決定し、女性家族部長官が告示した物

2)青少年にわいせつ・暴悪性・残忍・射幸性等を助長する玩具類等、青少年の使用を制限しないと青少年の心身を深く損傷する恐れがある物として、青少年保護委員会が大統領令に定める基準に基づいて決定し、女性家族部長官が告示したもの

3)青少年有害薬物と類似した形態の製品で、青少年の使用を制限しないと青少年が有害薬物を利用する習慣を大いに助長する恐れがあるとして、青少年保護委員会が大統領令に定める基準に基づいて決定し、女性家族部長官が告示したもの

5.「青少年有害営業所」とは、青少年の出入りと雇用が青少年有害と認められるa.の営業所(以下「青少年出入雇用禁止営業所」という。)及び青少年の出入りはできるが、雇用が青少年有害と認められるb.の店(以下「青少年雇用禁止営業所」という。)をいう。なお、営業所の区分は、他の法令に基づいて要求される許可、認可、登録、申告等の如何にかかわらず、それが営業するときの実際に行われる営業行為を基準とする。

a. 青少年出入雇用禁止営業所

1)ゲーム産業振興に関する法律に基づく一般ゲーム提供業、複合流通ゲーム提供業のうち大統領令に定めるもの

2)射幸行為等の規制及び処罰特例法による射幸行為の営業

3)食品衛生法による食品接客業のうち大統領令に定めるもの

4)映画及びビデオの振興に関する法律第2条第16号に基づくビデオの鑑賞室業及び閲覧制限ビデオの小劇場業や複合映像の提供業

5)音楽産業振興に関する法律に基づく歌唱練習場業のうち大統領令に定めるもの

6)体育施設の設置・利用に関する法律に基づく舞踏学院業と舞踏場業

7)電気通信設備を備え、不特定の人々の音声会話やビデオ会話の媒介を主な目的とする営業。ただし、電気通信事業法等、他の法律に基づいて通信を媒介する営業を除く

8)不特定の人々との身体的接触や陰部露出等の性的行為を行い、又は類似する行為を行う恐れがあるサービスを提供する営業所として青少年保護委員会が決定し、女性家族部長官が告示したもの

9)青少年有害媒体物と青少年有害薬物等を製作・生産・流通する営業等、青少年の出入りと雇用が青少年有害と認められる営業所として、青少年保護委員会が大統領令に定める基準に基づいて決定し、女性家族部長官が告示したもの

10)韓国馬事会法第6条第2項の規定に基づく場外発売所(競馬の開催日の)

11)競輪及び更正法第9条第2項の規定に基づく場外発売所(競輪・競艇の開催日のみ)

b. 青少年雇用禁止営業所

1)ゲーム産業振興に関する法律に基づく青少年ゲーム提供業、インターネット、コンピューターゲーム施設の提供業

2)公衆衛生管理法に基づく宿泊業、浴場業、理容業のうち大統領令に定めるもの

3)食品衛生法に基づく食品接客業のうち大統領令に定めるもの

4)映画及びビデオの振興に関する法律に基づくビデオの小劇場業

5)化学物質管理法に基づく有害化学物質の営業所。ただし、有害化学物質の使用と直接関係ない営業として大統領令が定める営業所を除く。

6)会費等を受領し、漫画を有料で貸し出す漫画貸与業

7)青少年有害媒体物と青少年有害薬物等を製作・生産・流通する営業等、青少年の雇用が青少年有害と認められる営業として、青少年保護委員会が大統領令に定める基準に基づいて決定し、女性家族部長官が告示したもの

6.「流通」とは、媒体物又は薬物等を販売・貸与・配布・放送・公演・上映・展示・陳列及び広告し、視聴又は利用を提供する行為と、これらの目的のために媒体物又は薬物等を印刷・複製又は輸入する行為をいう。

7.「青少年暴力虐待」とは、暴力や虐待を介して青少年に身体的精神的被害を生じさせる行為をいう。

8.「青少年有害環境」とは、青少年有害媒体物、青少年有害薬物等、青少年有害営業所・青少年暴力虐待をいう。


ウ その他関連法令等に定める用語

本章1(1)で青少年及びインターネット関連等の用語を確認したが、関連法令において定義を異にする用語もある。また、日本で一般に使われる用語と異なるものも少なくない。

(ア)青少年・児童・未成年等の用語

青少年基本法は青少年を満9歳以上24歳以下と定義している。他方、青少年保護法は満19歳未満と定義し、満19歳になる年の1月1日を迎えた者は除くとしている299。2つの法令を含む関連法令における青少年・未成年者等の定義は表46(本章1参照)のとおりである。

(イ)ネットいじめという用語

ネットいじめの定義について、チョン・ハルラ2013は次のように述べている300。時々刻々変化するインターネット技術の発展と、インターネットに容易に接続できる様々なスマート機器の登場、これらによる新しいインターネット機能障害の発生等もあり、ネットいじめを明確に定義することは決して容易ではない。

学界では「相手に精神的、心理的な被害を引き起こす可能性があるサイバースペース上の罵詈、批難、脅迫、流言飛語、いじめや嫌がらせ等の行為」として概念化し(ギム・ギョンウン、ユン・ヒェミ2012)、政府等の公共機関では「情報通信網を通じて、符号・文献・音響・画像又は映像を用いて他人の私生活を侵害し、名誉毀損等の権利を侵害する行為」と説明することがある(放送通信審議委員会2008)。

法律的に類似した概念「ネットいじめ」は、「インターネット、携帯電話等の情報通信機器を用いて、特定の生徒を対象に、生徒が継続して、繰り返し心理的攻撃を加え、特定の生徒に関する個人情報や虚偽の事実を流し、相手に痛みを感じさせる一切の行為」と定義されている(学校内暴力の予防及び対策に関する法律)。

これらを整理すると、ネットいじめとは、コンピューター等の情報通信機器を活用して、サイバースペース上で他人に対し、主に文字、画像、音声等で敵対的な表現と態度を意図的に繰り返し行い、相手に精神的、物質的な被害を与える犯罪行為として要約できる。

(ウ)学校内暴力とサイバーいじめ

学校内暴力の予防及び対策に関する法律第2条は「サイバーいじめ」「学校内暴力」等につき、次のように定義している。


1.「学校内暴力」とは、生徒を対象として学校内外で発生した傷害、暴行、監禁、脅迫、略取及び誘引、名誉毀損及び侮辱、恐喝、強要及び強制的な使い走りや性暴力、いじめ、サイバーいじめ、情報通信網を利用した淫乱及び暴力情報等による、身体及び精神又は物的損害を伴う行為をいう。

1の2.「いじめ」とは、学校内外で2人以上の生徒が特定の人や特定集団の生徒を対象に、継続又は繰り返し物理的・心理的な攻撃を加え、相手に痛みを感じさせる一切の行為をいう。

1の3.「ネットいじめ」とは、インターネット、携帯電話等の情報通信機器を利用し、生徒が特定の生徒を対象に継続して又は繰り返し心理的な攻撃を加え、特定の生徒に関する個人情報や虚偽の事実を流して相手に痛みを感じさせる一切の行為をいう。

2.「学校」とは、初・中等教育法第2条に定める小学校・中学校・高等学校・特殊学校・各種学校について、同法第61条の規定に基づいて運営する学校をいう。

3.「加害生徒」とは、加害者のなかで学校内暴力を行使し、その行為に加担した生徒をいう。

4.「被害生徒」とは、学校内暴力により被害を受けた生徒をいう。

5.「障害生徒」とは、身体的・精神的・知的障害等のため「障害者等に対する特殊教育法」第15条に規定する特殊教育を必要とする生徒をいう。



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