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参考資料 韓国

(3)韓国:青少年有害媒体物に関する審議機関

ア 青少年保護委員会309

青少年保護委員会は、青少年を有害環境から保護するために青少年保護法第27 条に基づいて設置された女性家族部所管の行政委員会である。1997年7月に発足し、2005年4月に文化観光部青少年局と統合して青少年委員会に改編され、06年3月に国家青少年委員会に改称された。08年2月に保健福祉家族部傘下の青少年保護委員会に改編され、10年3月に保健福祉家族部が保健福祉部に改編され、女性家族部に移管した。

青少年保護委員会は、行政機関として直接青少年に働きかける活動は少なく、次のような事項を審議・決定することを主な職務とする(青少年保護法第36 条)。


•青少年有害媒体物、青少年有害薬物、青少年有害物等、青少年有害店舗等の審議及び決定等に関する事項

•青少年有害定期刊行物等の発行・輸入者に対する課徴金賦課に関する事項

•女性家族部長官が青少年保護のために必要であると認め、審議を要求した事項

•その他法律で青少年保護委員会が審議・決定するように定めた事項


イ 映像物等級委員会310

映像物等級委員会は、映像物の倫理性及び公共性を確保して青少年を保護するための等級委員会である。1966年1月に芸術文化倫理委員会として設立され、86年1月に公演倫理委員会に、97年10月に韓国公演芸術振興協議会に改称され、99年6月に現在の名称に変更された。次のような事項を審議・決定することを職務とする(映画及びビデオの振興に関する法律第72条)。


•映像物等の等級分類及び内容情報、青少年有害性確認の関連事項

•映像物等の制作・流通又は視聴提供の実態調査及び管理の関連事項

•映像物等級委員会規定の制定・改定及び廃止の関連事項

•映像物等の等級分類の客観性確保のための調査、研究、国際協力、教育広報の関連事項

•その他この法律又は他の法令により映像物等級委員会の業務又は権限として規定される委託関連事項


ウ 放送通信審議委員会311

放送通信審議委員会は放送内容の公共性及び公正性を保障し、情報通信における健全な文化を創出し、情報通信の正しい利用環境を造成することを目的とする独立機関である。2008 年2月のイ・ミョンバク政権成立時に、従来の放送委員会と情報通信部の下に通信サービス政策・規制を総括する放送通信委員会が大統領直属機構として設立され、別途に放送通信審議委員会が設置された。放送通信審議委員会の職務内容は次のとおりである(放送通信委員会設置運営に関する法律312第21条)。


•放送法第32 条に規定された事項の審議

•放送法第100 条に基づく制裁措置等の審議・議決

•情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律第44条の7に規定された事項の審議

•電気通信回線により一般に公開されて流通している情報のうち、健全な通信倫理の涵養のために必要な事項であり、大統領令が定める情報の審議及び是正の要求

•電気通信回線を利用して流通する情報の健全化に関する事項

•審議委員会の事業計画、予算及び決算に関する事項

•審議委員会規則の制定、改定及び廃止に関する事項

•他の法令によって審議委員会の審議事項と定められた事項

(例)名誉毀損紛争の調停・利用者への情報提供請求の審査(情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律第44 条の6及び10)、青少年有害媒体物の決定(青少年保護法第8条)、選挙放送審議委員会の構成及び運営(公職選挙法第8条の2)


青少年のインターネット依存問題に関連して、以下の事業が実施運営されている。

(ア)青少年情報利用セーフティネット Green i-Net313

青少年が有害情報に晒されることを防ぎ、より安全な環境でインターネットを存分に活用できるよう健全なインターネット環境を提供する。


1 放送通信審議委員会の評価データを使用し、青少年によるわいせつ物、暴力、ギャンブルサイトへのアクセスを制御し、有害インターネット情報に晒されることを予防するセーフティネットの役割を果たす。また、青少年がコンピューターを使用する時、ゲームができる時間を制限する機能等、より安全かつ効率的に活用できるように支援する。

2 教育科学技術部、放送通信審議委員会、ボランティア団体及び保護者が協働して作る青少年インターネット・セーフティネットである。ホームページを通じて青少年の有害情報申告とサービス改善提案をするシステムを常時運営し、随時オンライン調査を実施している。関係者の積極的な参加によって健全なインターネット環境を作ろうとするものである。


(イ)インターネット被害救済センター314

インターネット等の情報通信網を介して流通している情報のうち、名誉毀損、侮辱、肖像権侵害等、他人の権利を侵害する悪質なスレッド、コメント等による弊害が深刻化している。その被害を最小限に抑え迅速に救済するため、放送通信審議委員会はインターネット被害救済センターを運営している。被害救済制度の概要は以下のとおりである。


1. 権利侵害情報の審議:情報通信網を介して流通している情報のうち、名誉毀損、侮辱、又は肖像権侵害等、他人の権利(人格権)を侵害する情報の審議及び是正要求

2. 名誉毀損紛争調整:情報通信網を介して流通されている情報のうち、他人の権利を侵害する情報に関連する紛争の調整

3. 利用者情報提供請求:情報通信網を介して流通している情報のうち、他人の権利を侵害する情報を投稿した者に対して民事・刑事上の訴えを提起するために、情報通信サービス提供者が保有している利用者情報の請求

4. 権利侵害相談:法律相談等の支援が必要な人のためのサイバー権利侵害の相談を受付


エ 刊行物倫理委員会315

刊行物倫理委員会は、有害刊行物から青少年を保護し、主に刊行物の審議及び関連調査・研究を行う文化体育観光部傘下の特殊法人であり、その他公共機関に指定されている。1970年1月に韓国図書出版倫理委員会、韓国雑誌倫理委員会、韓国児童漫画倫理委員会を統合して韓国図書雑誌倫理委員会が発足、76年6月に韓国図書雑誌週刊新聞倫理委員会に改編された。89年9月に社団法人韓国刊行物倫理委員会に改編され、97年7月に青少年保護法第45条に基づいて法定機構である韓国刊行物倫理委員会として発足した。2012年9月施行の出版文化事業振興法第16条に基づき、デジタル環境と出版市場環境の変化に対応し、出版文化産業の振興を目的に財団法人韓国出版文化産業振興院が設立され、刊行物倫理委員会を廃止し、同振興院傘下に刊行物倫理委員会を置いた。職務内容は次のとおりである(出版文化産業振興法第18条)。


•小説、漫画、写真集及び画報集とその他大統領令で定める刊行物等の有害性審議

•有害刊行物の審議

•定期刊行物の有害性審議

•他の法令で規定した事項


オ ゲーム管理委員会316

ゲームの倫理性と公共性を確保し、射幸心の誘発・助長を防ぎ、青少年を保護して不法ゲームの流通を防ぐため2013年末に設立された公共機関である。ゲーム産業振興に関する法律に基づいて先端技術基盤の事後管理、等級分類の科学的標準化、ゲームのセーフティネット構築のための政策立案、民間等級分類制度の安定化を掲げている。

(ア)Good Gamer School317

各年齢層に合った正しいゲーム利用方法を提示し、健全なゲーム文化の基盤づくりに貢献する。依拠する法令はゲーム産業振興に関する法律第12条(ゲーム文化の基盤づくり)等であり、学校教育に導入された事業として注目される。

(イ)スマートメディア・クリーン学校の指定と運営

2015年4月、韓国政府はインターネット依存の危険に対応するため、2015年インターネット依存予防と解消の推進計画を策定した。

幼・青少年・成人等の対象ごとに差別化された依存予防教育を提供するが、15年は特にストーリーテリング方式の幼児用の教具を新規に開発し普及を図った。また、スマートフォンの使用過多を防ぐスマートメディア・クリーン学校14校を指定・運営し、教師、専門カウンセラー1,000人を対象に「ゲームリテラシー教育」を実施したほか、教師に対するゲーム没入予防指導・コミュニケーション能力の向上を図っている318

(ウ)スマートフォン依存症に関する相談

インターネット依存に関する相談記録の標準マニュアルを作成して普及させ、相談機関を通じたSNSゲーム等に関する相談プログラムも運営している。鬱病等の併存症を有する若者の場合、相談や病院治療と連携してサポートする。また、インターネット依存相談サービスへのアクセスを増やすため、民間の相談施設40か所を指定している。

関連機関による相談事例の共有を通じて専門性を高める一方、メディア、企業等と合同広報キャンペーンを展開し、健全なインターネット・スマートフォンの使用習慣を定着させようとしている。地域インターネット依存対応センターを拡充し、高リスク群対象の国立青少年インターネット・ドリーム村の運営規模も拡大した。3歳~9歳児のためのスマートフォン依存度の診断尺度を新たに開発し、乳幼児の依存症を防ぐために活用している319。以前は映像物等級委員会がゲームの審議も行っていた。2006年4月改定のゲーム産業振興に関する法律に基づき、同年10月にゲーム専門管理機関として設立され、13年5月の同法改正に伴い12月にゲーム管理委員会として再出発した。

(4)韓国:関連記事

本文では、公的資料を中心に調査結果を記載したが、ここでは参考までに、それに関する記事及び本調査に関連した国内の状況を示す記事を掲載する。

ア 報道資料「2016年インターネット依存症実態調査結果」320

この調査は、韓国インターネット利用者全般の依存実態を調査したものであり、本文でも言及したが、参考までにその調査結果に関する記事を掲載する。


「スマホ依存症、全体として微増(+1.6ポイント)、青少年微減(-1ポイント)」

未来創造科学部(チェ・ヤンフィ長官)及び韓国情報化振興院は3歳以上69歳以下のインターネット(スマートフォン)利用者1万世帯(24,386人)を対象に、世帯訪問、対人面接調査により実施した「2016年インターネット(スマートフォン)依存症実態調査」の結果を発表した。全体のスマートフォン依存症リスク群(高リスク群+潜在リスク群)は、17.8%(7,426人)で、対前年(16.2%)比1.6ポイント上昇したが、増加傾向は鈍化した。年齢別に見ると、青少年(10歳~19歳)は30.6%(1,649人)で、前年(31.6%)より1.0ポイント減少した。他方、幼年(3歳~9歳)は17.9%(591人)、成人(20歳~59歳)は16.1%(4,826人)で、前年比でそれぞれ12.4%(+5.5ポイント)、13.5%(+2.6ポイント)増加した。今回初めて調査した60代の依存リスク群は11.7%(360人)であった。

◎家族構成では1人世帯の高リスク群が3.3%で最も高く、3人以上の世帯の潜在的なリスク群が高いことが明らかになった。スマートフォン依存症リスクに関し、親子間の相関性を分析した結果、親が依存症リスク群の場合、幼児童がリスク群に属す比率が23.5%、青少年が属す比率が36%と高くなることが判明した。

◎スマートフォンの主な利用コンテンツは、メッセンジャーが最も多く(94.5%)、ゲーム(81.3%)、ウェブサーフィン(73.7%)、SNS(65.0%)の順であるが、副作用が懸念されるコンテンツは、ゲームが最も高く(35.4%)、次いでメッセンジャー(24.0%)、ウェブサーフィン(21.1%)の順であった。

◎最新技術のVR/ARの利用度を調査した結果、全体の利用率は8.7%で、VR等の利用経験率(15.0%)においては、スマートフォン高リスク群が潜在リスク群(9.6%)ならびに一般ユーザー群(8.4%)に比べて高く、VR/AR等の利用志向は全体で65.6%、潜在的リスク群の利用志向(66.6%)が最も高かった。

◎依存症リスク群を対象に初めて実施したスマートフォンの純機能に関する調査結果は、知識能力の強化(56.1%)、家族・友人関係の緊密化(54.7%)、社会参加や貢献活動を行う(44.7%)との回答が多く、純機能に対する評価も比較的高かった。

未来部は今回の調査結果を反映して、2017年インターネット・スマートフォンの正しい使い方推進計画を策定し、2月末に発表する予定である(概要、以下のとおり)。

主な推進計画の内容としては、年齢別の依存症リスク予防のために最適なコンテンツやプログラムを開発・普及して「スマート休み文化運動本部」を中心に民間の自主的な予防活動を活性化する等、インターネット(スマートフォン)の正しい使い方実践運動を全国的に普及させる予定である。

〇幼児童の場合、幼稚園・児童の家を対象に動画、予防体操、歌等を活用したスマートフォンの正しい使い方を育む生活規則指導を優先的に実施。

〇青少年については学校現場を対象にトーク・コンサート、スマート・チャレンジ・ゴールドベル等、体験型のプログラムを運用し(40回)、青少年ICT作成・進路さがし教育課程を開発して運用する予定である。また、

〇家庭で子女がデジタル機器を使う習慣を指導するよう保護者のための教育プログラムを拡大(2万~3万)し、相談センター(全国18か所)を通じて専門的な相談を継続的にサポートする、としている。

〇成人・60歳代の場合、スマートフォン依存症の予防方法、正しい使い方及び生活習慣の改善、安全な利用(歩行・運転等)のヒント等、高齢層の目線に合った実践教育を実施する予定である。

【未来創造科学部(現科学技術情報通信部)情報活用サポートチーム2017年1月23日付】


イ 学校でも家でもスマートフォン戦争321

次の記事は、スマートフォンをめぐる青少年の置かれた状況の実態と、彼らを見守る保護者のジレンマを女性家族部の調査を踏まえて如実に伝えている。


中学2年生の女子Yもスマートフォン(以下「スマホ」)のせいでしきりに大声を発している。目を開けるやいなや寝床から出る前に、スマホを手に取る。寝る直前まで利用し、目を覚ますと、またすぐ利用するのが常態化している。まずチェックするのはFacebookだ。新しい投稿がないか確認し、あれば読む。こうしていれば友人関係で疎外されない。

Yにとって、SNSはなくてはならないコミュニケーション手段である。友人との会話はもちろん、口げんかもSNSのほうが楽だ。会って顔を見ながら話すよりおもしろいし、表現の領域も広い。週に3回以上やり取りするSNSの友人は20人以上いて、オフラインの友人より多い。一度も会っていないオンラインの友人もかなりいる。彼らと話していると時間が経つのも忘れてしまうので、1日の平均スマホ使用時間は4時間を超える。親とじっくり話し合って、1日2時間以上になったら「1週間スマホ押収」を約束したが、それを守るのが難しい。

「スマホが家庭崩壊の主犯」とも言われるくらい、学校はもちろん、自宅でもスマホをめぐって延々と続く戦争がある。子供にスマホを持たせたらスマホ押収戦争のない家はないだろう。スマホを持つ子供がいる家に「スマホのために親子戦争ですか」と尋ねると、十中八九は「もう、話もしたくありません」と反応する。

生徒にスマホを持たせる親の立場は複雑だ。デジタル機器中毒の副作用に伴う俗説を知っているとはいえ買わないわけにはいかない。理由は2つある。1つはスマホの純機能を無視しにくく、もう1つは「自分の子供にだけ買い与えないのは難しい」からだ。時代も変化し、検索も実力と言われる。教室でのフリップラーニング(Flipped Learning)が推奨される第4次産業革命の時代だ。情報と知識は事前にインターネット検索で調べ、授業中はそれを基にした議論と質疑応答を行うことが勧められている。

子供世代は「デジタルネイティブ」、親世代は「デジタル移民」と呼ばれる。入植者がネイティブを完全に理解することは難しい。文字より映像が楽で、直接対話よりSNSの会話を楽しみ、ニュースを検索するにもYouTubeを先に開いて見るデジタルネイティブ世代には、スマホはツールというよりも、文化そのもののようだ。デジタル入植者の視点から、スマホ使用をやみくもに制限することが妥当だろうかという疑問すら生じる。

こうして、デジタル移民世代がスマホの使用制限に曖昧な立場を示している間に、スマホ中毒はどんどん低年齢化している。関連学界では、スマホ中毒の代わりに過依存(依存症)という用語を使用する。中毒という言葉の否定的な語感による。女性家族部の「2017年インターネット・スマートフォン診断調査」322によると、スマホ依存症の低年齢化が進行し、スマホを常用する子供がますます増えている。

全国11,578校の小学4年生、中学1年生、高校1年生1,413,725人を対象に行われたこの調査によると、135,181人がスマートフォン依存症リスク群とされた。10人に1人がスマホ中毒という統計だ。119,016人が注意ユーザー群で、16,165人が危険ユーザー群だった。前者はセルフコントロールが困難で要注意レベルであり、後者は日常生活において深刻な障害を経験し禁断症状を示す、専門機関の支援を要するレベルである。スマホ中毒の生徒の実数はこれよりはるかに多いと見られる。今回の調査方法が実際の使用時間ではなく、オンラインの自己診断に基づくもので、実際の使用時間と症状を低めに記載した可能性が高いからである。

この調査結果を見ると、2つの現象が目立つ。1つはスマホ中毒年齢の低年齢化であり、他の1つは女子生徒のスマートフォンリスク群が顕著に増加していることだ。2015年に83,570人だったリスク群は、17年に入って58,837人になり、30%程度減少している。これは喜ばしいことながら、小学生リスク群の数を見ると、様相が違ってくる。小学生リスク群が増え、その幅も大きい。15年に16,735人だった小学校4年生のリスク群は、17年に26,871人となり、2年の間に60%も増えている。

また、女子生徒は学年が高くなるほど、男子に比べてリスク群が急増する。小学校において男子の半分程度のリスク群だったが(男子17,498人、女子9,373人)、中学校で女子のリスク群が男子のそれを逆転し、高校になると女子リスク群が男子リスク群より約50%多い(男子23,888人、女子34,949人)。スマホを利用したギャンブルも問題だ。スマホを使ってギャンブルゲーム、スポーツベッティング(賭け)等に容易にアクセスできる環境が整い、青少年ギャンブルの問題が深刻な社会問題化している。韓国ギャンブル問題管理センターの調査「2015年青少年ギャンブル問題の実態調査」によると、過去3か月の間に射幸性ゲームを経験したという回答が24.2%に達した。その56%はスマホを介して行われている。オンラインギャンブル自体も問題ながら、2次犯罪の増加がより深刻だ。 15年に133件だったオンライン2次犯罪は16年に347件となり、3倍近く急増している。

【週刊朝鮮 2017年8月28日付】



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