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第2部 ドイツ(3)

(注)
「ドイツ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査(HTML版)」は、テンプレートの仕様により、
ドイツ語の は A、B、U、Oと表記されている。

第三章 青少年のインターネット利用環境に関しての行政・事業者・学校・家庭・民間機関の対策と啓発の取組

1. 青少年保護の為のインターネット上の技術的対応策、各機関の取組概要(ペアレンタルコントロール、フィルタリング、レイティング、ラベリング・ゾーニング等)

(1)ペアレンタルコントロール

 ペアレンタルコントロールについては、OS内、ゲーム機、YouTube内などに機能が搭載されている。あるいはペアレンタルコントロール用のソフトウェアも販売されている。ドイツでは、ペアレンタルコントロールについての標準、規制などは現在のところ設けられていない。ペアレンタルコントロールの重要性や技術的な方法についての情報を親に与える機関として、欧州委員会の運営するポータルサイトKlicksafe、ドイツ連邦・各州の青少年保護担当省が運営するJugendschutz.netなどがある。各州のメディア統括局でも親に対するインターネットリテラシーに関する勉強会などを主催し、その中でペアレンタルコントロールに関する情報提供を行っている。

(2)フィルタリング

 第二章でも取り上げたように、フィルタリングは2003年テレメディアにおける「成長を妨げる提供物(entwicklungsbeeintrachtigenden Angeboten)」に該当するコンテンツの閲覧に対して導入され、家庭内で子供の年齢に合ったウェブサイトを選択的に表示することを可能とした(青少年メディア保護州際協定11条)。2016年の青少年メディア保護州際協定の改正以降、青少年メディア保護委員会は自主規制機関とともにフィルタリングソフトの適正に関する要求仕様を決め、自主規制機関がフィルタリングソフトの適性判定を行っている。フィルタリングソフトに求められる技術的な要求事項とは、以下のようなものである。なお、これらの要求事項はまだ暫定的なものであり、現状に合わせて変更も可能である。

  • レイティング(Alterstufen)に応じて区別されたアクセスを可能とすること。
  • インターネット上の提供物に付記された年齢制限表示(Alterskennzeichnungen)を識別し読み取れること。
  • 「成長を妨げる提供物(entwicklungsbeeintrachtigenden Angeboten)」を認識できること。
  • 認識の技術に標準化されたものを採用していること。(例えば拡張子age.xml / age-de.xml)
  • ユーザーが使いやすく、自主的に使えること。

自主規制機関が認めたフィルタリングソフトとしてJusProg、児童向けにはKinderServerがある。

(3)レイティング

  1. 映像、テレメディアのレイティング

     映画、DVD、Blu-Rays、VHS、映画トレーラーの媒体については映画経済中央組織(Spitzenorganisation der Filmwirtschaft : SPIO)内に設置された映画ビジネス自主規制協会(Freiwillige Selbstkontrolle der Filmwirtschaft: FSK)がレイティング審査にあたる。SPIOは、ドイツの映画・テレビ・ビデオ業界連盟20組織が加盟する計1100社を代表する事業者団体である。映画ビジネス自主規制協会のレイティング審査を受ける法的な義務はないが、この年齢認証がない商品はSPIOに加盟する業界連盟内で公開できないことになっている。よって、映画ビジネス自主規制協会によるレイティングなくドイツで映画興行、映像の商品化を行うことは実質的に不可能である。

     映画ビジネス自主規制協会は、戦後の1949年、国家社会主義(ナチス)に関するプロパガンダ的内容の映画を審査する目的で設立された。その後、青少年保護法の発効に伴い映画の年齢認証を実施するようになった。1985年からは映像に関わるその他の媒体(ビデオなど)についても対象を拡張している。さらに2011年9月からは、青少年メディア保護委員会がFSK.onlineをテレメディア(ウェブコンテンツ)分野の自主規制機関として認可した。

     FSK.onlineの法的根拠は、青少年メディア保護州際協定にある。テレメディアについては映像と異なり、レイティングを受けていないことがウェブサイト公開の制限につながることはない。ただFSK.onlineに加盟しレイティングの審査を受けることにより、当局からの直接の違反追及などを免れることができるという利点がある。

     テレメディアの審査基準は、「FSK.onlineの審査基準書(Kriterien fur die Prufung von FSK.onine)」57としてまとめられている。この審査基準書の内容は青少年メディア保護州際協定に準拠し、成長を妨げる提供物の定義、判定基準となる要素(暴力や性的描写)、公開が禁止される内容(人権侵害、ポルノ、児童ポルノ、政治プロパガンダ、暴力描写)などが規定されている。

  2. (オンライン)ゲームのレイティング

     ドイツではコンピューターゲームの販売に際して、レイティング表示をすることを法的に義務付けており、その審査にはソフトウェア事前審査機構(Unterhaltungssoftware Selbstkontrolle: USK)があたる。同審査機構は、ゲーム開発者、制作者、ドイツ国内の販売者らによる事業者団体「ドイツゲーム事業者連盟(Verband der deutschen Games-Branche e.V.)」が運営するレイティング機関であり、1994年に設置された。現在、ドイツゲーム事業者連盟には40社が加盟している。ソフトウェア事前審査機構はレイティングを発行するための事前審査、レイティング申請手続き、審査の評価基準を提供する。レイティングの決定は青少年保護の専門家と上級州青少年当局(die obersten Landesjugendbehorden)の代表者からなる審査委員会(Prufgremium)が行う。

     その審査は、以下のような手順で進められる。発売予定のコンピューターゲームは技術的な点検と審査申請書類の確認を行う。ソフトウェア事前審査機構の審査者はゲームを最後まで行い、ゲーム進行を全て保存し、USKガイドラインに沿って審査を進め、中立的な立場から報告書にまとめる。ソフトウェア事前審査機構は、報告書とともに審査申請を審査委員会(Prufgremium)に提出する。USK自身もその審査員も年齢判定をすることはない。審査委員会は、4名の青少年保護専門家と最高州青少年当局(OLJB)の1名の代表者から構成される。USK委員会は、50名の青少年保護専門家を任命している。

     レイティングの評価基準は、青少年保護法を遵守する形で作られており、ソフトウェア事前審査機構内の14名の各業界の専門家(教会、青少年保護の各連盟、研究者、連邦と州と青少年保護管轄省)による諮問委員会(Beirat)で決定される。年間2000件の発売前のタイトルが審査されている。

     2014年からは、国際年齢評価連合(International Age Rating Coalition, IARC)58による国際レイティングの相互参照を採用している。国際年齢評価連合とは、オンラインゲームの各国で異なるレイティング基準の相互参照を目的として、各国のレイティング機関により設立された国際組織である。オンラインゲームは制作の当事国だけでなく世界中に配信されるケースが多く、各国で評価基準が異なるレイティングの取得は煩雑なプロセスであった。IARCは独自のレイティング評価プロセスを設置しており、コンテンツに含まれる要素をアンケート形式で回答し、自動的に各国での適正なレイティングを生成する。

     IARC評価の立案に関わったのは、北米およびカナダのエンターテイメントソフトウェアレイティング委員会(Entertainment Software Rating Board: ESRB)、EUの汎欧州ゲーム情報(Pan European Game Information: PEGI)59、ドイツのソフトウェア事前審査機構(USK)、オーストラリアの等級審査委員会(Australian classification Board: ACB)など各国のゲームレイティングで中心的な役割を果たす機関である。

(4)ラベリング・ゾーニング

  1. ドイツ標準のラベリング拡張子age-xml/age-de.xml

     ドイツでは、国内のラベリング体系として、年齢制限ラベル「age-xml/age-de.xml」が標準化された。xmlファイル内にそのウェブサイトの年齢制限に関する情報(0歳、6歳、12歳、16歳、18歳)が書かれている。ソフトウェア側はそれを読み取り、ユーザー側で設定した子供の年齢と比較し、表示するかどうかを判断している。この拡張子を認識できることは、青少年メディア保護委員会が認めるフィルタリングソフトの要求事項となっている。

     フィルターリストの登録は、いわゆるスパイダー(もしくは、クローラ)と呼ばれる自動的プログラムにより行われる。つまり、特定のワードの繰り返しなどを識別し適正年齢を判断し、JusProgのフィルターリストに登録していく。自動判定ができないものについては、人の手で判定を行なっている。この場合、ネットエイジェント(Netagent)と呼ばれる養成された資格者が判定作業にあたる。協会ではできるだけ多くのサイトに対して分類作業を行い、現在JusProg では100万サイトの閲覧が可能となっている。

  2. Strong

     ウェブサイトの提供者は自らの運営するウェブサイトの内容が、各年齢の児童、青少年に対して発育を妨げる要素を含んでいないことについて責任を持つ。これに該当する場合、該当する年齢層にある児童や青少年が不適切なコンテンツを見ることがないように配慮する必要がある。特に16歳以上、18歳以上のみの閲覧を可能にする技術的なゾーニングについて、以下の2つの方法がとられている。

    (a)方法1 </strong>を導入し表示の時間制限を設ける。

    </strong>をプログラミングし、「16歳以上が閲覧できるコンテンツを22時から6時までしかアクセスができない」また「18歳以上が閲覧できるコンテンツを23時から6時までしかアクセスができない」と設定しなければならない。

    (b)方法2 </strong>を導入した個人認証

    身分証明証のID番号による年齢確認(PersoCheck)は、これに属する。FSK.online は、加入者に対して無料で「PersoCheckモジュール」提供している。加入者以外でも有料でモジュールを購入することができる。仮に映画ビジネス自主規制協会とソフトウェア事前審査機構で表示された複数のコンテンツがある場合、ラベリングは最も高い方に合わせる。例えば、ウェブサイトそのものが12歳以上、そこで流れる映画の予告編が16歳以上であれば、全体の年齢制限を16歳以上とすべきである。また、このような映画ビジネス自主規制協会の審査を受けていないウェブサイトについては、青少年問題の専門家(Jugendschutzbeauftragter60)などに相談する。映画ビジネス自主規制協会は、青少年問題の専門家の役割を引き受け、当局の前触れのない介入などの危険を最小限にすることができる。

2. 青少年の情報リテラシー向上のための活動

(1)連邦レベルでの取組

 児童・青少年のインターネットリテラシー育成は、連邦家族省の重要な政策項目の一つである。児童・青少年への急速なデジタルメディアの広がりにより、児童・青少年にも高いメディア能力が求められるようになってきた。メディアリテラシーとは、年齢に応じて自ら節度と責任あるメディアとの向き合い方ができる能力であり、メディアをあるときは批判的、あるときは創造的に利用することを可能とする能力と定義される。また、メディアコンテンツを評価し消費することで起こりうる結果を判断できることをいう。連邦家族省では、児童・青少年に対するメディアリテラシー育成を政策の重要課題に挙げ、以下のような政策プログラムを展開する。

  1. 国家プログラム「メディアとともに健全な成長(Gutes Aufwachsen mit Medien)」

     主に教師、親に対しての情報提供、教師、学校のソーシャルワーカーなどを連帯し、メディア教育のプログラムを組織するためのネットワーク化を支援する。61民間の財団「デジタルチャンス財団(Stiftung DigitalenChancen)」に事務局を設置 されている。

  2. 「見なさい!あなたの子供がメディアで何をしているかを(Schau Hin! Was Dein Kind mit Medien macht)」

     「見なさい!あなたの子供がメディアで何をしているかを(Schau Hin! Was Dein Kind mit Medien macht)」は、親向けに児童のメディアリテラシー育成のための情報を集めたプラットフォームである。ただしここで対象となる児童の年齢は3歳から12歳であるため、厳密には青少年を対象としたものではない。62

  3. Blinde Kuhとwww.wir-machen-kinderseiten.de

     子供に適切なインターネットコンテンツを継続的に提供するため、子供用検索エンジンBlinde Kuhと、子供用サイトの製作者向けポータル「www.子供用サイト作ります.de www.wir-machen-kinderseiten.de」をザイテンシュタルク協会(Seitenstark e.V)とともに開発。

(2)州レベルでの取組

 州メディア監督機関は、インターネットリテラシー推進のためにInternet ABC協会、Klicksafeなどの活動を支援する。2年おきに「メディアリテラシー報告書(Medienkompetenzbericht)」のなかでメディア統括局、各州のメディア監督機関の活動報告を行う。

 また、各州のメディア監督機関も独自のインターネットリテラシーへの活動を数多く行っている。例えば、ノルトライン・ヴェストファーレン州のメディア監督機関であるLfm(Landesanstalt fur Medien Nordrhein-Westfalen)では、クラスの一部の生徒らをメディアスカウト(Medienscouts)と呼ばれるエキスパートに養成に養成している。メディアスカウトとは、ソーシャルコミュニティーズ、スマートフォン、メディア関連の相談を他の生徒から受け、生徒同士で啓発活動を進めるプロジェクトである。同プロジェクトは2012年に発足し、これまでに2,300人のメディアスカウトを養成し、さらにスカウトを指導する教師1300人を養成した。またLfmの組織する「イニシアチブ親+メディア(Initiative Eltern+Medien) 」は幼稚園、学校、その他公共組織にて無料の保護者会を開き、インターネットリテラシーについて啓発の場を提供する。2007年には、述べ14万人の親が5,400の講座を受講しデジタルメディアのリスクと長所について学んでいる。

3. 学習の機会への取組

(1)各州の取組状況

 ドイツでは2016年12月に州文化大臣会議(KMK)にて学校教育におけるインターネットの活用とリテラシー教育に関する「デジタル世界の教育(Bildung in der digitalen Welt)」63大綱が発表された。この中でインターネットリテラシーの教育は隔離された一つの教科としてではなく、全教科にデジタル環境を利用することで育んでいくという基本方針が決められた。

 これに対して、各州での現在のインターネットリテラシー教育の実施状況は非常に多様である。大綱にもっとも近い取組を行っているのはブレーメン州である。教育省スポークスマンのClaudia Bogedan氏は、デジタル世界の取組を「読み書き計算に続く第4の能力」と位置付け、全教科でのデジタル端末機器導入を検討している。同氏は、スマートフォンの授業中の利用を最初に提唱した政治家でもある。

 反対に、メクレンブルク・フォアポンメル州は、現在インターネットリテラシーを一つの教科として扱っている。まだ実験段階にあるが、選抜した11校を対象に「情報・メディア学」という教科を導入している。今後の目標は、7学年以上(13歳以上)で週一回のプログラミングとインターネットリテラシーを科目として設けることである。同州の教育大臣Birgit Hesse氏は、「授業は新メディアの技術的要素と、新しいメディアの取り扱い方を教授するものである」とし、技術とリテラシーの両者は切っても切り離せない関係にあると考えている。

 次に、インターネットに特化せず全般的なメディア学の授業を計画する州としてブランデンブルクが挙げられる。同州では、「基本カリキュラム、メディア教育(Basiscaruculum Mediakunde)」1年生から10年生までに設置する予定である。しかし、対象は本からスマートフォンまでと広範囲である。ベルリン州は家庭でのリテラシー教育が基本であるという姿勢をとっており、学校内でのインターネットリテラシー学習については現段階でどのような形式においても実施されていない。学校教育スポークスマンを務めるSandra Scheeres 議員は、「家庭で子供達のインターネット利用を野放しにする親達に学校でのインターネットリテラシーの教育を求める資格はない」と警告している。このように州の間でもインターネットリテラシーについて統一的な実践が行われていない状況である。

(2)学習時のインターネット利用状況(家庭、学校にて)

 上記の「デジタル世界の教育(Bildung in der digitalen Welt)」における基本方針で、インターネットリテラシーの向上のため、家庭あるいは教育現場でデジタル端末機器を利用することはその前提と考えられている。

  1. 家庭学習において

     JIMによる調査(2017)の調査結果では勉強、宿題に関しての家庭でのインターネット、デジタル端末機器利用状況と、学校での利用実態とにまだ大きな乖離があることがわかった。

     まず、インターネットを利用するかどうかとは関係なく、ドイツの12歳から18歳までの青少年が月曜日から金曜日までの1週間に学校での課題や家庭学習に費やす時間は、平均97分間である。年齢別では、12歳から13歳が97分、14歳から15歳が86分、16歳から17歳が98分、18歳から19歳が121分と長くなっていく。ちなみに日本のような塾通いは一般的ではなく、学校の課題を解くことが主な家庭学習の内容である。習い事や家庭教師をつけることは、各家庭に応じて実施されている。

     このうち、学校の課題にインターネットを利用している時間は、平均45分となっている。つまり、家庭学習のおよそ半分の時間はインターネットを使って行っていることになる。もちろん、年齢に比例して長くなる傾向があり、12歳から13歳が35分、14歳から15歳が40分、16歳から17歳が47分、18歳から19歳が65分となっている。

  2. 学校内において

     学校内でのインターネットの利用は、未だ限定的である。「家庭での宿題にインターネットをどの頻度で使用するか」との問いに対して、毎日利用すると答えた生徒が13%であったのに対して、授業で毎日使用すると答えた生徒は7%であった。家庭での宿題にインターネットを週に複数回利用すると答えた生徒は30%を超えるが、学校では20%程度となる。家庭学習において、週に一度程度インターネットを利用すると回答した生徒は63%であるが、学校では42%となる。つまり、家庭学習においてインターネットに触れる機会の方が、授業内よりも多いという傾向が現れた。この状況をグラフ化したものが以下である。

     校内のデジタル環境の整備もこれからである状況下、学習時のインターネットの利用は現在のところ家庭での学習時が大きな割合を占める。

    【インターネット機器の学校での利用頻度(2017年)】図G3-1

    出典: JIM2017
    単位: パーセント

4. コンテンツ制作者・運営者および通信事業者における、青少年に対するガイドラインの内容と現状及び課題

 FSMではインターネットに関する様々なサービスの分野別に行動規範を制定している。例えば、2009年3月には、当時の大手プロバイダーとSNS事業者のVZnetネットワーク社、Lokalisten社とwer-kennt-wen社とともに行動規範を作成した。この行動規範に基づいて、加盟企業は技術的な対策により第三者による青少年へのサイバーハラスメントから守り、未成年、親、教育者に対するインターネットの危険に関する啓発と安全対策について指示を与えることを義務付けられている。

 さらに、FSMは2007年から携帯プロバイダー各社(Debitel, E-Plus, Mobilcom, O2, Talkline, T-Mobile und Vodafone) とともに自己義務宣言書(Selbstverpflichtungserklarung)を制定している。この中で、共通番号(22988)で無償の青少年保護ホットラインを設置すること、携帯電話の契約時に、青少年保護上重要な事項について親に情報を提供すること、企業の情報を青少年保護のためにさらに最適化すること等を採択している。また、FSMはドイツのチャット事業社(Knuddels, Lycos Europe, RTL interactive und Super RTL)とともに2007年11月に自主的な行動規範を制定している。この行動規範の中で、チャットの司会者が必ずいること、警告や無視の機能を備えること、Bad-Word-Listの作成とチャット利用者の年齢認証等を行うことを謳っている。

 2005年2月より、ドイツの主要な検索エンジンを運営する企業(Google、IAC Search & Media、MSN Deutschland、Searchteq GmbH、 T-Online、Yahoo Deutschland)とFSM傘下の検索エンジンの自己規制団体を設立し、行動規範を策定している。検索エンジンの運営企業は、以下の対策を自らに義務付けることに合意している。

  • 検索エンジンの機能について情報を与え啓発すること。
  • 検索結果についての透明性の確保。例えば、広告などについてはその表示を行う。
  • 有害情報から青少年を保護するための技術的ツールの導入。
  • 利用者データの最小化の原則の徹底。
  • 青少年保護の強化(特に、青少年有害コンテンツからの保護)。
  • 青少年有害メディア審査会のリストにあるコンテンツについて、インターネットアドレスを表示しない(いわゆる「青少年有害メディア審査会モジュール」)。

また、FSK.onlineは自主規制団体として、インターネット上の青少年保護に関してウェブサイトの運営者、制作者に向けたガイドラインをまとめている64

 ウェブサイト運営者は、全てのコンテンツ(文書、写真、動画、ゲーム、UGC等)に及び、その各構成要素について特定の年齢層に属する児童、青少年に対して、コンテンツが成長発達を妨げるものであるか否かの判断を行い、仮に該当する場合は、そのウェブサイトの情報を児童、青少年が目にすることがないよう配慮する責任を負う。こうした責任は、運営者自身が発信する全てのコンテンツ、例えばYoutubeのチャンネルを使用した動画、フェイスブックのプロフィール、ツイッターアカウントから、さらにはスマートフォン、iPadなどのタブレット機器のアプリやQRコードを介した情報にも及ぶ。

 16歳、18歳以上のコンテンツについて法律上の義務を満たすために、運営者は以下の技術的対応を行う必要がある(青少年メディア保護州際協定5条13、4項)。

  • 認知されたフィルタリングソフトウェア向けに、ウェブサイトに</strong>のプログラムを加えること。
  • </strong>で表示の時間制限を設ける。16歳以上のコンテンツについては22時から6時まで、18歳以上のコンテンツでは23時から6時までの間でアクセス可能とする。
  • </strong>でアクセス制限を設ける。例えば、身分証明証のID番号による年齢確認機能を設ける。

 さらに、連邦青少年有害メディア審査会のリストBあるいはD以外の有害メディアコンテンツ(例えば、ポルノグラフィー等)については、アクセス制限のシステムを運営者が設置した上で、成人のみアクセス可能としなければならない(青少年メディア保護州際協定4条2項)。青少年に有害な広告についても、特定のユーザーのみ閲覧可能としなければならない。絶対に許可されない有害コンテンツ(青少年メディア保護州際協定4条1項)については、インターネット上で公開されてはならない(第二章1.(3)参照)。これらのガイドラインを運営者は自己のコンテンツ上で実施する必要がある。

 その上で、FSK.onlineに加入するメリットは特にウェブサイトの運営者がコンテンツについて一種の保険を得ることができる点である。例えば、前触れのない当局からの取り締まり、秩序違反などの心配がなくなるということである。また、これ以外にも、以下のような利点がある。

  • FSK.onlineから法律を遵守したウェブサイトの構成、内容について継続的なアドバイスを受けることができる。
  • FSK.online加入者のウェブサイトには品質保証マークが与えられる。これにより青少年保護の規則に適合したサイトであることをPRできる。
  • FSK.onlineでは苦情相談所を設けている。加入者についてはFSK.onlineが全面的な窓口となって問題解決にあたってもらえる。

5. 事業者と民間の紛争の解決活動と実態

 事業者と民間の紛争に関して、インターネットプロバイダーの違法コンテンツの責任性をめぐる判例65がある。

 これは、2018年6月14日に下された判決で、検索エンジン運営者だけではなく、インターネットプロバイダーにも違法コンテンツを非表示とする義務があることが明らかにされた。

 ある映画ストリームサイトでの違法配信について、事業者側が適切な対応をとらなかったとして、映画作成者がインターネットプロバイダー大手のボーダフォン(Vodafone)社に対して裁判起こした。

 ミュンヘン上級裁判所(OLG)は、原告側の訴えを認める判決を出した。問題となったのは、kinox.toという映画ストリーミングサイトで様々な映画を無料で配信していた。ボーダフォン社は、これを阻止するためDNS設定を行い、顧客がkinox.toのアドレスを入力すると禁止ページにつながる設定を行っていた。しかし、この方法は比較的簡単に破られてしまう。

 この映画の配給権を持つConstantin-Filmverleih社は、kinox.toだけではなくボーダフォン社に対しても妨害権を訴えた。ボーダフォン社がこのような違法ウェブサイトを認めていることにより、自分達は被害を被ったというものである。同裁判所はこの訴えを認め、ボーダフォン社に恒久的な対策を指示した。

6. 青少年に対して危険性があるインターネット上の情報についての相談や苦情等の受け皿としての活動とその目標

 1999年、欧州委員会のCEF66 Telecom Programの枠組みの下、Safer Internet Centre (EU)67が27加盟国に設置されている。Safer Internet Centreは、子供、親、教員のインターネットリテラシー向上、およびインターネット上に潜むリスクについての関心を喚起し、さらにオンライン上での問題について児童と青少年に電話相談の機会を与えることを目的とした活動を行っている。また、ネットユーザーから寄せられた有害コンテンツについての苦情相談所もこの枠組みの支援を受けている。

 このプロジェクトは、こうした欧州市民の啓発とともに、すでに加盟国に点在する組織の連携もその目的とする。ドイツ国内でSafer Internet Centreの受け皿となっているのは、「Safer Internet DE連盟(Verbund Safer Internet DE)」に連盟する以下の機関である。

  1. Klicksafe.de68

     Klicksafeは、Safe Internet Programmsのドイツ国内向け活動拠点である。Klicksafeポータルサイトは、ラインラント・プファルツ州のメディア局であるLMK(Landeszentrale fur Medien und Kommunikation)とノルトライン・ヴェストファーレン州のメディア局であるLfM (Landesanstalt fur Medien Nordrhein-Westfalen)によって運営されている。

     同ポータルサイトでは児童・青少年だけではなく、親、教師に対しても様々なインターネットリテラシー向上のための実践的情報を提供する。親に対しては子供のインターネット利用に関するQ&A、役に立つリンクと各資料のダウンロード、推奨インターネットサイトやアプリ、フィルタリング商品に関する情報、ペアレンタルコントロールについての技術的な設定方法などについて最新の情報提供を行っている。特に、ダウンロード資料で面白いのは学校の定期的な保護者会(Elternabende)向けに作成された教材があることである。この教材は、コンピューターゲーム、インターネットと携帯電話、スマートフォン・アプリ・モバイル端末のインターネットの3つのカテゴリーに分かれており、保護者会で親たちが実践的に子供のインターネット利用に関する状況についての情報を入手し、危険からの保護対策について学べるようになっている。

     教員に対しては、「Klicksafeハンドブック青少年ユーザー向けノウハウ(Klicksafe-Handbuch ?Knowhow fur junge User“69)」を提供している。この中で、子供達のインターネット利用に関する状況、その危険などについて教員に情報を与え、それをインターネットリテラシーの授業中にいかに伝えていくかについての実践的アドバイスが盛り込まれている(例えば、授業内で生徒に回答させる課題など)。この教本は、教員たちが特に研修を受けなくとも、すぐに授業内で実践できるよう分かりやすい解説となっている。

  2. Nummergegenkummer.de70

     「悩みに関する相談番号(Nummer gegen Kummer)は同名の協会「Nummer gegen Kummer e.V.」が運営する児童、青少年、親を対象とした、全国最大規模の無料電話相談室であり、38年前から同協会に加盟する団体とともに全国100箇所以上で電話相談を受け付けている。延べ3,300名の電話アドバイザーが、日々約1250件寄せられる様々な青少年関連の相談に応じている。

     同協会は連邦家族省とドイツテレコム社からの助成を受け、2008年からは欧州委員会のSafe Internet Centreの一つとしてEU からも援助を受けるようになった。インターネット上の問題、サイバーいじめ、インターネット上の性的濫用、プライバシー保護についての相談についても受け付けている。

  3. Jugendschutz.net71

     Jugendschutz.netは、連邦家族省、各省の家族・青少年担当省、青少年メディア保護委員会が共同して運営する、インターネットにおける児童と青少年保護のための機関である。同機関は、青少年メディア保護州際協定に基づいたものである。Jugendschutz.netは苦情相談所を設置しており、寄せられた苦情内容を青少年メディア保護委員会内で審査する。コンテンツに有害性が認められた場合、Jugendschutz.netからその運営者に直接連絡をし、コンテンツの削除・変更を求める。悪質なケースには、苦情を青少年メディア保護委員会から連邦青少年メディア有害審査会に連絡し、リストに登録させる場合もある。

     児童と青少年のインターネットに対する姿勢を啓発するために様々な資料を公開する他、有害な情報についても対処するようになっている。また、この組織は苦情相談所の運営だけでは無く、児童ポルノが生成されるプロセスの調査にも力を入れている。このようなプロセスの分析から、児童ポルノの予防策として、どの段階で介入すれば良いのか等の方策についても検討している。

  4. インターネット苦情相談室(Internet-Beschwerdestelle.de72

     ドイツインターネット経済協会(Verband der deutschen Internet-Wirtschaft: eco)と自主規制団体FSMは共同で、違法・有害メディアに関する苦情を「インターネット苦情相談室(Internet-Beschwerde.de)」で受け付けている。インターネット経済協会は、青少年有害情報に照らして苦情内容を審査する。審査結果として違反が認められた場合、協会は違反会員に対して、指摘・勧告・懲戒・除名といった制裁を科すことができる。ただし、上記の処置が下される場合の判定基準などは設けられていない。

     一般からインターネット苦情相談室に寄せられた情報は、まず法律家の審査を受ける。情報が青少年メディア保護法またはその関連法に抵触している場合、インターネット苦情相談室は次のような措置をとる。コンテンツの提供者に対して直接内容の変更を求める、つまりホストプロバイダーにコンテンツの削除を依頼する。悪質なケースには、その苦情を青少年メディア保護委員会に情報を送る。ドイツ以外のサーバーが関与する違法コンテンツの場合、ecoとFSMはその情報をINHOPEホットラインに転送する。また同時に、連邦青少年有害メディア審査会にも伝える。連邦青少年有害メディア審査会が海外由来の有害メディアをリストに登録した場合、テレメディアで認証された自主規制機関にその情報を提供し、フィルタリングソフトウェア(例えば、Jusprog e.V.)の非表示リストに反映させる。

  5. 各苦情センターの連携について

     Jugendschutz.net、eco、FSMの組織は、それぞれINHOPE に加盟している。1カ国に3組織か゛加盟するケースは非常に稀である。上記の3組織はインターネット上の違法・有害情報対策について連邦刑事庁と定期的に会合を持つなど協力関係がある。また、連邦刑事庁と上記組織、そして青少年メディア保護委員会は協定を結んでおり、インターネットホットラインセンターの運営と苦情相談で通報を受けた情報をどのように連邦刑事庁に提供するかについて定めている。

7. その他(情報源に関する一覧・調査面談先一覧)

団体組織

連邦家族、高齢者、女性、青少年省 (Bundesministerium fur Familie, Senioren, Frauen und Jugend: BMFSFJ) https://www.bmfsfj.de
州メディア監督機関(Landesmedienanstalten) https://www.die-medienanstalten.de
連邦刑事庁(Bundeskriminalamt)https://www.bka.de/DE/Home/home_node.html
ヘッセン州検察庁https://staatsanwaltschaften.hessen.de/staatsanwaltschaften/gsta-frankfurt-am-main/aufgabengebiete/zentralstelle-zur-bekampfung-der-0
ドイツ南西部メディア教育学研究協会(Medienpadagogische Forschungsverbund Sudwest: mpfs)
http://www.mpfs.de/ueber-den-mpfs/
情報経済・テレコミュニケーション・ニューメディア連邦協会(Bundesverband Informationswirtschaft, Telekommunikation und neue Medien e.V.: Bitkom)
https://www.bitkom.org
Sinus 研究所https://www.sinus-institut.de
マルチメディアサービスプロバイダー自主規制協会(Freiwillige Selbstkontrolle Multimedia-Dienstanbieter e.V.: FSM) https://www.fsm.de/de
ドイツゲーム事業者連盟(Verband der deutschen Games-Branche e.V.)https://www.game.de
ソフトウェア事前審査機構(Freiwillige Selbstkontrolle Unterhaltungssoftware: USK)http://www.usk.de
映画経済中央組織 (Spitzenorganisation der Filmwirtschaft: SPIO) https://www.spio-fsk.de/?seitid=1&tid=1
映画ビジネス自主規制協会(Freiwillige Selbstkontrolle der Filmwirtschaft: FSK)
https://www.spio-fsk.de/?seitid=2&tid=2
デジタルチャンス財団 (Stiftung Digitalen Chancen)https://www.digitale-chancen.de
欧州連合https://europa.eu/european-union/index_en
悩みに関する相談番号協会 (Nummer gegen Kummer e.V.) https://www.nummergegenkummer.de
インターネット経済協会 (Verband der Internetwirtschaft e.V.: eco)https://www.eco.de
国際インターネットホットライン協会 (International Association of Internet Hotlines: INHOPE) http://www.inhope.org/gns/home.aspx

雑誌・新聞

Handelsblatt紙オンライン版https://www.handelsblatt.com
Focus誌オンライン版https://www.focus.de
Spiegel誌オンライン版http://www.spiegel.de
Stern誌オンライン版https://www.stern.de
Berliner Zeitung紙オンライン版https://www.berliner-zeitung.de
Berliner Morgenpost紙オンライン版https://www.morgenpost.de
Tagesschau紙オンライン版https://www.tagesschau.de

研究資料

ドイツ南西部メディア教育学研究協会(Medienpadagogische Forschungsverbund Sudwest: mpfs) (2017)
「青少年、情報、マルチメディア。ドイツ12歳から19歳までのメディアとの付き合い方に関する基礎研究 (Jugend, Information, (Multi-)」 Media. Basisstudie zum Medienumgang 12- bis 19-Jahriger in Deutschland)」
ドイツ南西部メディア教育学研究協会(Medienpadagogische Forschungsverbund Sudwest: mpfs) (2017)
「児童、情報、マルチメディア。ドイツ12歳から19歳までのメディアとの付き合い方に関する基礎研究 (Kinder, Information, (Multi-) Media. Basisstudie zum Medienumgang 6- bis 13-Jahriger in Deutschland)」
情報経済・テレコミュニケーション・ニューメディア連邦協会(Bundesverband Informationswirtschaft, Telekommunikation und neue Medien e.V.:Bitkom) (2016)
「デジタル世界における児童と青少年 (Kinder und Jugend in der digitalen Welt)」
Marc Caimbach, Silke Borgstedt, Inga Borchard, Peter Martin Thomas Berthold Bodo Flaig (2016): 『2016年若者の動向は?(Wie ticken Jugendliche 2016?)』Sinus Institute. Springer Verlag. Berlin
弁護士に聞け(Frag einen Anwalt) https://www.frag-einen-anwalt.de
Jugendschutz.net 「年次報告書(2017)」https://www.jugendschutz.net/fileadmin/download/pdf/bericht2017.pdf
Jugendschutz.net 「年次報告書(2016)」https://www.jugendschutz.net/fileadmin/download/pdf/bericht2016.pdf
連邦議会資料 2018/07/24 http://dipbt.bundestag.de/dip21/btd/19/035/1903552.pdf
州文化大臣会議URL「デジタル世界におけるリテラシー(Bildung in der digitalen Welt)」
Klicksafeハンドブック青少年ユーザー向けノウハウ(Klicksafe-Handbuch Knowhow fur junge User“) https://www.klicksafe.de/service/schule-und-unterricht/lehrerhandbuch/

法律

ドイツ連邦共和国基本法 (Grundgesetz fur die Bundesrepublik Deutschland) https://www.gesetze-im-internet.de/gg/BJNR000010949.html
ドイツ青少年裁判法(Jugendgerichtsgesetz: JGG)https://www.gesetze-im-internet.de/jgg/__1.html
ドイツ社会法典(Sozialgesetzbuch) https://www.sozialgesetzbuch-sgb.de/sgbviii/8.html
ドイツ刑法典 (Strafgesetzbuch) https://www.gesetze-im-internet.de/stgb/
青少年保護法 (Jugendschutzgesetz) https://www.gesetze-im-internet.de/juschg/BJNR273000002.html
青少年メディア保護州際協定 (Jugendmedienschutz-Staatsvertrag: JMStV) https://www.fsm.de/sites/default/files/lesefassung_jmstv-2016.pdf
アクセス禁止法 (Zugangserschwerungsgesetz) https://www.buzer.de/gesetz/9193/index.htm
ネットワーク執行法 (Netzwerkdurchsetzungsgesetz) https://www.gesetze-im-internet.de/netzdg/


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