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本編 > 第2章 > 第3節 若者支援における諸機関が連携した支援体制の重要性
ユースアドバイザー養成プログラム
第2章 制度の概要及び業務の内容
  第3節 若者支援における諸機関が連携した支援体制の重要性  

複雑な困難を抱えた若者の場合,一支援機関では効果が上がらず,専門諸機関の連携体制が必要である。特に支援機関に足を運ばないようなニート状態の若者の発見と支援には,このことが特に必要なことと思われる。その点で,海外の取組から学ぶことがある。ここではイギリスのコネクションズ・サービスとオーストラリアのユースパスウェイを挙げてみる。なお,この二つの概要は後半にある。

1 ユースパスウェイ・プログラム

オーストラリアでは,地域関係機関の連携によって,リスクのある若者を早期に発見し,サポートを開始するユースパスウェイというプログラムが2006年に開始された。この事業が開始されるに先立って,リスクを抱え学校や就業の困難を抱える若者に関する検討が国の諮問委員会で行われ,2000年には「将来の道のり」と題する答申が出ている。グローバル化と技術革新がめざましい勢いで進む社会で,低学歴,貧困,障がい,精神疾患などの理由からドロップアウトする若者が増加している現状を懸念し,縦割りで専門分化した体制では,複合的なリスクを持つ若者に対して効果を発揮することはできないと,新たな体制を作ることを提案したのである。そこで提案された新しい仕組みへの期待は,後述するイギリスのコネクションズに求められものと非常に似通っている。

諮問委員会の検討作業を経て2006年に取組が始まったユースパスウェイ・プログラムは,学校をドロップアウトしそうな13歳から19歳の青少年を関係機関が協力して早期に発見し,それぞれのニーズに合った支援を継続していく仕組みである。彼らの抱えている諸困難を一緒になって乗り越え,若者が復学,職業訓練,就労,あるいは各種の社会参加活動へと確実な道筋を取り戻すことを狙いとしている。対象年齢人口に応じて,区域割りされ,民間セクター(多くは非営利団体)が国からの受託で活動をしている。たとえばある民間セクターでは,担当するソーシャルワーカーが毎月担当地区内の学校の教師たちと会合を開き,種々の理由からつまずきドロップアウトしそうな生徒を積極的に引き受け,それぞれの状況に応じた支援を,関係機関と連携して進めている。

若者のつまずきは学卒後に始まるとは限らない。その芽は学校段階で始まっていることが少なくない。したがって早期に問題を発見し,適切な見立てによるサポートを開始するほど効果は上がる。そこで,学校段階で特にリスクの高い生徒を,教師とユースパスウェイのソーシャルワーカーが協力して発見し,継続的にサポートを続け,学校を出る際には地域の各種の資源に確実につなげるという方法をとっている。早期に学校を去る者が最も不利な状況に置かれがちだからである。

オーストラリアに限らず,多くの先進国がニートになりそうなリスクのある青少年を,学校その他の諸機関と連携して,できるだけ早く発見し,情報提供,相談,支援,再教育や職業訓練を経て自立に至るまでの,長期継続的なサポートの仕組みを持ち始めている。

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