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ユースアドバイザー養成プログラム
第2章 制度の概要及び業務の内容
  第3節 若者支援における諸機関が連携した支援体制の重要性  

2 イギリスの子ども改革

2001年に開始したイギリスのコネクションズ・サービスも,当初から関係諸機関のパートナーシップという形態を特徴とし,青少年・若者に関係する諸機関をコネクションズ・パートナーシップという傘の下に結合するという体制を作った。複合的困難を持つ若者に対しては関係機関が協働する(マルチ・エージェント)という手法をとってきた。

その後,イギリスではコネクションズも含む子どもサービスの大改革が展開した。2003年に政府が提出した文書「すべての子どもの問題(Every Child Matters)」とその翌年に制定された「児童法2004」が改革の根拠になっている。この改革のきっかけとなったのは,2002年に起こった6歳の女児ビクトリア・クリンビーの虐待による死亡事故で,多くの専門機関が関与していたにもかかわらず,未然に防止できなかった原因は分野間の縦割り体制にあるという反省からであった。したがって,子どもサービス(対象は0歳から19歳,問題を抱えているケースに関しては24歳)を地方自治体の責任の下で横に結合し直すことに改革の主眼は置かれた。コネクションズはその一環として位置づけ直されている。予算配分の権限も地方自治体が有している。学校,労働,福祉,保健医療,住宅などの包括的なサービスシステムを構築し,子どもの福祉の実現に地方自治体が責任を持つ体制を構築するという改革である。この改革は子どもサービスの新しいモデルとして国際的に注目されている。

セクション横断的な働き方をするためには,スタッフが各セクションの境界線を越えて活動できるようになる必要がある。そのためには,効果的なコミュニケーションが容易にできる体制を作る必要がある。そこでさまざまなサービス部門出身の管理職と現場スタッフが,施設を共用して学際的チームで共同作業をすることが推奨されている。それができない場合は,少なくとも対象となる子どもや家族のニーズに対応できる一貫したサービスを提供できるように,「仮想チーム」を組織して機能させ,チームでのサポートができるスタッフを育成しようとしている。また,統合的なサービスを提供するために,最初の接点として活動し,子どもや家族が連続性のある一貫した共同サービスを受けられるようにするために,指導的専門家(リード・プロフェショナル)を置く。この役割は固定したものではなく,対象者のニーズによって誰がこの役割を果たすかはその都度決める。

これまでの慣習では,専門分野ごとの「うち」意識が強く,うちを越えて他の機関と協働することは極めて困難であった。このような「文化」を払拭することなしには,効果的な分野横断的作業は進まない。スタッフの育成・訓練では,意識改革が強調されている。変革を進めるために国の職業基準や職業資格を再検討することも予定されている。また,分野横断的チームの共同作業やその後の継続的支援のために,対象者の情報を共有することになっている(情報共有体制)。それに先立って,支援者が対象者の身元を正確に把握し,支援サービスの履歴を把握することができるように,データベースまたは指標システムの国家標準を制定する作業が進んでいる。

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