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ユースアドバイザー養成プログラム
第4章 さまざまな社会資源─関係分野の制度,機関等の概要,関係機関の連携等─
  第2節 ネットワーキング  

5 ケース検討会,担当者レベルでの会合等の進め方

地域における若者の自立支援を行うときに,地域でのネットワークの形成は不可欠であり,ネットワークの中で他機関・多職種の関係者が協働して支援を行うためには,ケース検討会や担当者会議などのミーティングを有効に活用できるかがポイントになると思われる。多職種がそれぞれの専門性をいかしつつチームとなって協働することのメリット,またそのためにどのようなことにポイントを置いてミーティング運営を考えればよいかについて説明する。

(1)ミーティングの有効性

多機関・多職種の関係者がチームとなってケースに関わるとき,ミーティングは以下のようなメリットがあると思われる。

ア ネットワークの豊富な情報量

多人数での関わりの中で,個々のスタッフが得た情報の集約は豊富な情報量の確保につながり,支援が円滑に進む大きな力となる。情報の集約や共有の方法の工夫が課題となる。

イ 包括的アセスメントによる理解 

職種・経験の違いによる多面的な理解・解釈により,さまざまなケースの評価やケアプランが生じる。それらをうまくまとめるような形で包括的なアセスメントによるケースの理解が援助に有効に働く。

ウ ケースのさまざまなニーズへの対応 

1担当者での対応には限界があり,関係者全体で関わることにより対応できるニーズの幅は広くなる。さらに各職種の持ち味をいかしたケアを臨機応変に選択し,タイムリーに適当な援助を行うことも可能になる。

エ ケアプランへの責任の共有

ケアに対しての責任の共有と方向性の確認を常に行うことにより,関係性の構築がなされ,困難な課題にも取り組みやすくなる。

オ 燃え尽き(burn out)の防止

援助者1人での抱え込みを避け,責任や負担をチーム全体で分かち合うことにより,燃え尽きを防止する。

カ 専門家としての学び合い支え合う場

ミーティングは担当者同士のサポートシステムとして機能し,またケースを通しての専門技術の実践的な研修の場になる。

(2)ミーティングの構成について

地域支援において1番重要なミーティングは,当事者支援を中心課題とする実務担当者会議である。参加者は目的に応じて各専門分野から選定する。意見交換やプランの考案などをチームで共働し行うのに適した人数は5〜10人と思われる。当事者や家族の参加は,支援者側の意見がある程度一致した時点で支援についての確認や合意を目的に導入するのが望ましい。ミーティングには定例化したミーティングと緊急ミーティングの2種類があり,定例ミーティングは情報共有や定期評価・計画を中心にし,緊急ミーティングはタイムリーな問題に対する検討とプランの決定が目的となる場合が多い。時間は頻度にもよるが,担当者の負担や集中力も考慮すると1.5〜2時間程度が好ましい。日程の調整も大きなポイントとなる。ミーティングの成功は関係者の「参加」が前提であり,欠席が多くなったり参加者に負担がかかるような時間帯に会議を設定するのはマイナスになる。定期ミーティングの場合には,次回のミーティングの日程を会の最後に調整し,緊急ミーティングの場合には早めに連絡調整を行うことが必要である。

(3)ミーティングの進め方のコツ

ミーティングを円滑に進めるにはいくつかのポイントがあると考えられる。

ア 目的

ミーティングの目的の明確化は重要なポイントである。ミーティングの目的を事前に伝達し,各々がミーティング参加前に情報を集約し目的に対する意見などをまとめて参加をすることにより,短時間での会議を有効に運営できる。またミーティング開始時に今回のミーティング目的や到達目標をもう一度確認すると,発言が出やすくなり結論に結びつきやすい。

イ 雰囲気

話しやすい雰囲気作りが大切である。発言者は話の流れに沿った発言を心掛けることと同時に時間を意識し簡潔に行うこと,また聞く側の参加者は態度や言葉で発言者に対する共感や評価を伝えるようにする。また,発言の少ない参加者に対して発言を促したり,発言に対して丁寧に聞く姿勢を向けることも必要である。

ウ 役割

ミーティングだけでなくネットワーク全般に言えることであるが,強力なリーダーシップによる統制や誘導や参加者の一人に負担が集中し余裕がなくなることはチームワークを損ねる原因となり好ましくない。ミーティングの運営には司会・進行役は必要ではあるが,あくまでも会の進行を円滑に行うことに徹し,全体を客観的に見て支援の内容に対する助言が必要な場合には,第三者の助言者やスーパーバイザーを招いたほうがミーティング自体や援助者の関わりを振り返り,各々の成長を促すチャンスとなる。

エ 手順

ミーティングは1)ウォーミングアップ,2)事例提示の報告と内容に対する質疑応答,3)討論,4)結論の確認の流れで進行する。ウォーミングアップとしては今回の目的を互いに確認し,参加者の自己紹介で他の支援者の近況を確認する。事例提示は10分程度の時間で簡潔に情報提供を行い,質問は報告に関する確認事項にとどめる。討論ではアセスメントとプランニングの時間を分けて議論すると効率よく進められる。話の拡散を司会役がコントロールし,具体的な質問でアセスメントに結びつけ,現実的に実行可能な具体策を抽出していくようにする。最後に結論や未解決の課題は参加者全体で確認をし,ミーティングの内容記録を各自が持ち帰られるようにする。また,次回の日程調整も大事なポイントである。


  国立国際医療センター国府台病院精神科医師 佐竹直子
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