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ユースアドバイザー養成プログラム
第4章 さまざまな社会資源─関係分野の制度,機関等の概要,関係機関の連携等─
  第2節 ネットワーキング  

8 現場の実践例(三重県における若者の就労支援のためのネットワークづくり)

三重県では,平成15年度に国等関係機関と連携し,若者の就職支援のためのワンストップサービスセンターである「おしごと広場みえ」を開設し,平成16年度からは,若者,企業それぞれのニーズ調査結果を反映させた若者のための就職支援講座である「就職しま専科」を開講し実施してきた。

これらの事業を実施する中で,一定期間無業の状態にある若者は,さまざまな課題を抱え,社会経験が不足していることが多く,職業相談,就職情報の提供,職業能力開発など従来の就職支援のみでは,就職に結びつかず,一人ひとりに応じた包括的な支援を継続的に実施していく必要があることが分かってきた。また,就労に悩みを抱え,世間体を気にしてどこに相談すべきか分からない若者やその家族に対しては,支援機関への早期の相談を促すため,同じ目線でアプローチしていくことが求められた。

そのため,行政単独よりも,県民に身近なNPOなど多様な主体が持つ資源を活用しながら,ネットワークをつくって包括的に支援していく必要があり,平成17年度に行政とNPOが連携して「若者就労支援研究会」を立ち上げた。続いて平成18年度には県の雇用担当部局が「若者就労支援のためのネットワークづくり」をテーマにNPOとの協働事業として提案の公募を行い,「若者就労支援研究会」に参加していたNPOによる事業提案が採択され,提案したNPOと県との協働事業が実施されてきた。現在は,「みえ若者就労支援ネットワーク(http://www.oshigoto.pref.mie.jp『おしごと三重』内のみえ若者就労支援ネットワークのページ参照)」と名を改め,メンバーは雇用(おしごと広場みえ,若者就業サポートステーション・みえ),教育(県教育委員会),福祉(こころの健康センター,自閉症・発達障害支援センター)等の行政機関と県内各地域のNPOの中間支援組織,社会福祉協議会,企業,学識経験者等で構成され,月1回程度,ネットワーク構成員による会議を開催している。

まずは構成員の間で若者就労支援の現状について共通の認識を持つことが必要ということで,専門家を招いての勉強会,県が実施した若年無業者に関する調査結果について説明を受けるなどの学習機会を持った。その後,専門機関で行っている支援の取組やそこでの課題なども共有しながら,県事業である「ニートサポート事業」で実施するイベント等の取組を企画し,実際に参画することにより,理解を深め,構成員のレベルアップを図った。これらの取組により,支援対象者の相互のリファー(紹介)や支援の連携がスムーズに行われるとともに,マスメディアの取材報道等により社会に対しても多様な主体が連携・協働して途切れのない支援に取り組んでいる姿勢を示すことができた。

このように,三重県内での若者就労支援のためのネットワーク構築における特徴は,県内に若者の就労支援を専門的に行っているNPOがないため,特定の団体・機関が先導するのではなく,専門機関どうしがネットワークを通じて顔の見える関係づくりをしながら,相互に緩やかな連携を図ってきたところにある。

今後の課題としては,

・現場でのトレーニングの場となる受入企業の参加が少数に止まっており,企業に対するアプローチの展開

・予防的視点を持って早期の段階で対応するため,高等学校と連携した中途退学者等への早期支援の仕組みの確立

などがあり,ネットワーク構成員が持つ資源を活用しながら,これらの課題に取り組んでいく。


  三重県生活・文化部勤労・雇用支援室主査 宇佐美真
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