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ユースアドバイザー養成プログラム
第5章 支援の実施
  第10節 アウトリーチ(訪問支援)の方法〜ひきこもり,不登校等を中心に〜  

4 医師による往診・訪問

ユースアドバイザーが自ら訪問するよりも,何らかの方法で精神科医師による訪問・往診をアレンジする方が良い場合もあると思われる。精神病圏の病態が想定されたり,医療機関につなげることが優先される場合などは,医療機関からの往診や保健所嘱託医による訪問が有効なことがあるので,往診に取り組んでいる医療機関,保健所・保健福祉事務所,市町村などの精神科嘱託医に協力を求められるようなネットワークを持っていると心強い。

楢林 40) は,青年期のひきこもりケースのうち,家族相談が中心となっており,かつ問題が重いと想定される場合には,精神科医療機関から積極的に往診することを推奨し,その理由として以下のような点を指摘している。

<1>診断的な確認を行うことができること。

<2>家族によって語られた本人のイメージと直接出会ったときの治療者のイメージとの差異を確認できること,すなわち家族の問題のとらえ方を把握できること。同時に,"家の空気"を肌で感じる機会が得られること。

<3>できるだけ本人との会話を試みることによって,本人の通院に結びつける可能性を探ることができること。仮に,通院に直ちに結びつかなくても,往診面接の継続の可能性が生まれること。家族も加わった訪問家族セッションとすることも可能であること。

<4>仮に本人の受診に結びつかなくても,家族が相談に行っている治療者がどのような人物であるかを本人に知っておいてもらうことができること,そのことによって,家族の言動の背後にどこかに治療者の存在を感じ取ってもらうことが期待でき,家族と本人との会話の中に,治療者もコンテクストとして紛れ込める可能性があること。

<5>治療者が一度でも本人と出会っていることで,仮にその後家族のみの通院が続いたとしても,治療者が本人を知っているという安心感を家族が持つことができること。

<6>さらに,一度でも本人を診察しておけば,以後の診療が保険診療可能となること。

40) 楢林理一郎・狩野力八郎・近藤直司編,2000,「「ひきこもり」を抱える家族への援助」,『青年のひきこもり』,pp151-160,岩崎学術出版社
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