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ユースアドバイザー養成プログラム
第5章 支援の実施
  第11節 非行等幅広い分野におけるアウトリーチ(訪問支援)の手法  

2 アウトリーチは孤立する若者の最後のセーフティネット

ニート,ひきこもり等の若者に対する公的支援は,年々拡充されてきた。臨床心理士,キャリア・コンサルタント,精神科医等,専門家の関与による支援レベルの向上など一定の成果は上がっているものの,結果として社会問題が改善されたとは言い難い。

この窮状の背景の一つとして,相談者の自発的な行動を前提とした「施設型」支援の限界が挙げられる。そもそも対人関係に不安等を抱えている若者にとって自ら施設に足を運ぶことは容易ではない。また,貧困,家庭崩壊,虐待など複合的に問題を抱える若者の支援においては,環境への直接的な働きかけが難しい「施設型」支援には限界がある。

こういった背景から公的支援の補完的な機能を担うアウトリーチの必要性は従前より指摘されてきた。しかしながらその支援手法としての困難性から多くの公的機関で敬遠されたため,民間非営利組織が先行する形で取組が進められる現状にある。その結果,公的支援としてのノウハウの蓄積・体系化は遅れ,地域によっては何ら専門的な指導・研修を受けることなく訪問活動が実施されたり,効果性の検証もないまま一部の民間組織に依存した施策を展開する自治体も存在する。

こういった現状を踏まえ,ユースアドバイザー(以下「援助者」という。)がアウトリーチに携わるためには,公的支援としての専門的水準を満たした新たなノウハウの獲得が求められ,その活動に期待されるのは,さまざまな困難を抱え社会的に孤立する子ども・若者に対して安全かつ確実にアプローチする,いわば「最後のセーフティネット」としての責任ある役割である。

本稿では,9割以上の改善率を収めている過去3,600件を超える家庭教師方式によるアウトリーチ,そしてさが若者サポートステーションを拠点に実施された「訪問支援モデルプログラム事業」,「いつでもどこでもサポートモデル事業」における約1,900回(平成22年1月末日現在)のアウトリーチ等,実践と調査・研究を通じて得られたノウハウを基にその在り方を考えたい。

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