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ユースアドバイザー養成プログラム
第5章 支援の実施
  第12節 アウトリーチ(訪問支援)に係る現場の実践例  

1 現場の実践例(あだち若者サポートステーションの実践から)

現在,あだち若者サポートステーションで行っている生活保護世帯へのアウトリーチ事業の主だった事例(1)及び(2)と,稀ではあるが今後顕在化してくるであろう事例(3),(4)及び(5)を報告する。

(1)「サポートステーションへのリファー(紹介)から定着⇒就労した事例」(訪問回数1回)

● 母(うつ病と膠原病(こうげんびょう))と本人(男性18歳)の二人世帯。本人は母に対してDVを繰り返している。本人はバンドをやっており,就労との両立困難のため未就労。サポステへ誘導し,特にセミナー等に参加するわけではなく,スタッフとの雑談や相談として利用。そのストレスが母に向けられ入院。

● その後なかなか就労せず,サポステにてケースワーカー(以下「CW」という。)を含め三者面談で若者自立塾への入塾を促すも,拒否。生活保護費打切り等の駆け引きもあり,就労開始。保護廃止となる。

(2)「サポートステーションへのリファーから定着⇒就学した事例」(訪問回数3回)

● 父(無職。怒りやすく攻撃的で子どもに包丁を投げつける。過干渉など)と,本人(男18歳)と弟の3人世帯。高校入学当初より不登校。出席日数不足から留年確定で本人は定時制への編入を希望していたが,通いきれる見込みが立たず。サポステ誘導を人目を気にして拒んだが,誘導成功し定着。人馴れが支援目標となる。

● 高校を退学し,通信制高校への編入を勧めるが,父が手続を行えずサポート。入学後,サポステにてレポート作成支援。

(3)「発達障害及び精神疾患が根底にあるひきこもり事例への臨床心理士との訪問事例」(訪問回数11回)

● 世帯は,母子家庭で姉2人と本人(男17歳)の4人世帯。母はうつ病にて通院中で,訪問サポートを敬遠。そのため事前に福祉事務所にて母,CWとの三者面談を行う。本人は小1の頃より不登校。歴任のCWが一度も本人を確認できていない。

● 初回訪問時は,緊張しつつも席に着く。虫歯治療が必要だが外出困難のため治療を受けられず,歯科医を探し紹介。顔を上げて外を歩けないが完治。

● 簡単なテストで自分の苗字が書けなかった。学習障害の可能性が高まる。CWとの顔合わせコーディネート。見立てを明確にするために臨床心理士を同行し訪問。心療内科での診断を提案し,母は承諾する。現在心療内科にて障害者認定に向け支援継続中。

(4)「家庭訪問からダイレクトに若者自立塾へのリファー事例」(訪問回数2回)

● DVの父から逃げ,母(精神困憊状態)と妹2人,本人(男18歳)の4人世帯。本人は保護観察中で,仲間に会うことを恐れて外出できず,母,妹へのDVを繰り返している。これ以上の同居が困難のため,世帯分離を目的に若者自立塾を促し入塾。

● 基礎生活習慣の改善から,初期的には復学を目的とした学習支援を行う。本人希望の定時制高校への復学動機が薄く,就労支援に切り替え,半年間の利用後に就労。

● 訪問回数2回。自立塾利用期間半年。最終結果は就職。

(5)「家庭訪問からダイレクトに保健師等医療機関へのリファー事例」(訪問回数3回)

● 母と本人(男17歳)の2人世帯。本人は帽子を目深に被り,緊張で体を強張らせ正座していた。母が帽子を取ろうとするとパニックに陥り,取り乱す。

● 不明瞭に質問の意図とは食い違う回答を繰り返す。精神疾患の疑いが濃厚であるが,母と本人共に病識なく医療機関にもつながらず。

● その後,動きがないため福祉事務所でCWを交えて三者面談を行い,家に迎えに行く形でサポステへ誘導。移動中も帽子を目深に被り,前を見ない。サポステでも顔が上げられず来所者の数を確認できないほど。母もショックを受け,息子の状態を理解。医療へのリファーが決まる。

表5−10 18年度委託ケース実績表
新規支援依頼数 53名(14名は訪問につながらず中止)
訪問に結びついた人数 39名
延べ訪問回数 78回(延べ稼動スタッフ数約150名,平均訪問回数一人当たり1.45回)
サポステに誘導できた人数 24名(延べ来所数は309回,一人平均12.0回)
サポステ以外での接見 10名(延べ接見回数は16回,喫茶店での面談や就労・就学関連施設
への同行見学など)
若者自立塾の入塾者数 入塾5名(就労4名・就学1名)
就学した人数 全日制   計5名 28名
(約71.8%)
定時制 2名
単位制 3名
通信制  
就労した人数 23名
支援継続しているケース 18名
表5−11 19年度委託ケース実績表
新規支援依頼数 26名(6名は訪問日程調整中,4名は訪問につながらず中止)
訪問に結びついた人数 13名 計18名
外部機関情報提供によって
支援に結びついた人数
13名
延べ訪問回数 13回(延べ稼動スタッフ数約20名)
サポステに誘導できた人数 12名(述べ来所数は57回,一人平均4.0回)
サポステ以外での接見 4回(主にハローワークや就労支援機関への動向見学など)
若者自立塾の入塾者数 入塾1名(現在,就労に向けて入塾中)
就学した人数 全日制   計0名 2名
(約12.5%)
定時制  
単位制  
通信制  
就労した人数 2名
支援継続しているケース 16名

※平成18年9月〜平成20年1月までのデータに基づく。


 NPO法人青少年自立援助センター
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