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ユースアドバイザー養成プログラム
第5章 支援の実施
  第2節 インテークと状況把握  

3 インテークの目的

インテークには基本的に三つの側面がある。もちろん面接一つひとつの場面では,この三つの側面のうちいずれかにポイントがおかれるが,インテークでは,この三つの側面をひとまとめにして理解しようと努めることが必要である。

(1)言語的情報

インテークで相談者から聞き取る内容は,基本的情報として,以後支援策を考えていくための大切な資料となるため,要約ないしは逐語で記録しておく。メモを取る際には,話された内容のメモを取ってもいいかどうか,相談者に事前に確認しておく。またインテーク中に相談者が記録をとられることを気にしているようであれば,話を聞く方にウェイトを置き,終わった後で忘れないうちに書くという配慮も必要である。

(2)非言語的情報

話の中で相談者に関する情報収集が一番大きな目的ではあるが,それ以外にもインテーカーが押さえておかなければいけないことがある。それは,相談者に関する非言語的な情報,つまり,視覚,臭覚,触感を用いて観察した情報である。相談者の洋服,髪型,目線,態度,表情,声の調子,話し方,身振りなどに関して,インテーカーの第一印象を記録しておくことは必要である。

ア 身なり

<例>髪を数日洗っていなかったり,季節感のない洋服を着ていたり,現代の若者とはかけ離れた髪型をしているなどがある場合⇒身なりに無頓着⇒その原因は何か?抱えるどう問題と連携しているかなどの問題提起につながる。

イ 字の書き方

<例>自分の名前だけを非常に小さく書く場合⇒自己肯定感が非常に低い可能性があるのでは?(もあるという)という仮定につながる。

また筆力,スピード,書き方(携帯で一つひとつ漢字を確認しながら書いている等)も観察対象となる。

ウ 歩き方,椅子の座り方

<例>おどおどと歩き,面接室を注意深く眺め回し,インテーカーを疑うような目で見ながら座る場合⇒疑い深いのではないだろうか⇒その要因は何かという問題提起につながる。

エ 話し方

<例>涙を流しながら,簡単に情報だけ求めている⇒その要求の背後の問題状況がやっかいなものではないか⇒インテーカーはじっくりと話を聴く必要があると仮定できる。

(3)関係性作り

相談者から情報を得る,そして相談者の人間像を知るべく観察を行うことに加えて,インテークは,インテーカーと相談者との関係性作りの大切な1歩でもある。そのためには,少しでも不安を取り除き,相談者が比較的ちゃんと話せたと思い,そしてこのインテーカーであれば,安心して今後の相談もお願いできると感じてもらうことが必要となってくる。話している際に,インテーカーが落ち着いて辛抱強く,共感的な態度で傾聴するという姿勢は,不安の強い相談者には,特に大事である。また,自分が理解されていると実感させるようなコメントも相談者の信頼感を増す。

例えば,次に挙げる二つの例を見比べてみよう。

<悪い例>

(インテーク開始前)

緊張な面持ちで相談者が面接室のドアを開けて入る。

インテーカー:どうぞ,そちらにお座りください。

相談者:はい。

インテーカー:これからインテークを始めます(お話をおうかがいします。)。

今日は,どうしてここにいらっしゃいましたか?

(インテーク終了後)

インテーカー:これでインテークは終わります。

お疲れ様でした。

相談者:・・・ありがとうございました。

<良い例>

(インテーク開始前)

緊張な面持ちで相談者が面接室のドアを開けて入る。

インテーカー:こんにちは。どうぞそちらにお座りください(笑顔で)。

相談者A:はい。

インテーカー:今日はここに来る際に場所はすぐ分かりましたか?

相談者A:はい,大丈夫でした。(椅子に座る。)

インテーカー:良かったです。それでは,これから今,Aさんが悩まれていることについてなど

聴かせていただきます。私の名前は,○○と申します。今日はよろしくお願いいたします。

相談者A:よろしくお願いいたします。

(インテーク終了10分前)

インテーカー:まもなく終わらなければなりません。何か今日のことや今後のことでお聴きし

たいことはありますか?

相談者A:はい,大丈夫です。(相談者が聴ける時間を作る。)

インテーカー:今日は,色々とお話を聴かせていただき,ありがとうございました。今後

のことを一緒に考えていきましょう。

相談者A:はい,よろしくお願いいたします。

この二つの例を見比べた場合,「良い例」の方では,来所した際に,簡単な雑談から始めることで相談者の緊張を和らげ,またインテーカーが自己紹介,これから行うことを簡単に説明すること等によって,相談者の不安をなくすような気遣いをしている。また終わる際にも,突然終わるのではなく,終わることを予告していたり,また最後に,「一緒に」というキーワードを使うことで共感・理解の態度を持ってインテークを終わらせている。インテーカーと相談者としての距離感を保ちつつインテーカーから相談者に歩み寄ることが,関係づくりには最も欠かせない要素である。

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