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ユースアドバイザー養成プログラム
第5章 支援の実施
  第2節 インテークと状況把握  

4 インテーカーとして心掛けること

(1)身だしなみ

インテーカーの身だしなみは,相談者にとっては,インテーカーがどういう人なのかを見る大きなポイントとなる。ラビアンの法則(アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した法則)によれば,人の行動が他人にどのような影響を及ぼすかというと,話の内容などの言語情報が7%,口調や話しの早さなどの聴覚情報が38%,見た目などの視覚情報が55%の割合であると言われている。たとえば,インテーカーが,髪型もボサボサで,だらしない身なりをしていれば,相談者は,この人はだらしない人でしっかりと支援してくれないのではないかと不安に感じてしまう。また相談者が若者である場合,固い印象を人に与えてしまうインテーカーが固いスーツを着ていれば,相談者の緊張を更に高めてしまう。インテーカーは,相談者から見た自分の印象を客観的に認識したうえで,相談者が話しやすいような雰囲気を持つような身なりを意識する必要がある。

(2)傾聴

自分や家族だけの力では解決できない問題や悩みを持つ相談者は,二重の不安を抱えて,インテークに来ると考えられる。一つは,抱えている問題からもたらされる不安である。そしてもう一つは,今抱えている問題についてしっかりと相談に乗ってくれるかどうかの不安である。一つめの不安は最終的に問題が解決されなければ全面的に解消されないかもしれない。しかし,相談者が悩みを聴きながら,問題の全容を明らかにすることや,とりあえず取組を考えていくといった支援をすることで緩和することができる。そのためにも二つめの不安がインテークの段階で取り除かれる必要がある。仕事の忙しさにまぎれて話を聞き流してしまったり,最初から相手を非難するような発言は,相手の不安を拡大させ,場合によっては支援の拒否につながることになる。相談者はインテークの段階で相談者の話を「共感」の姿勢で「傾聴」し,不安の軽減を行う。「共感」,「傾聴」することによって,相談者の問題解決意欲を高めるとともに,インテーカーと相談者の信頼関係(ラポール)を形成する第1歩となる。

(3)「共感」の程度

インテーカーは,相談者と信頼関係を築くために,「共感」の姿勢を持つことも大切であるが,これも単に「共感」すればよいということではない。あくまでも「共感」する目的は相談者に関心を持っているということを伝えて関係をつくるためである。「共感」して,急いで理解を絞り込んだり,安易に問題解決を請け負ってしまうことは感情移入を偏ったものとしやすいし,誤った理解を導きやすい。

最終的には,長期的に信頼関係を失ったり,相談者の依存をもたらす結果になることにもつながる。あくまでも客観的に相談者を見ながら,「ほどよい援助関係」を築くことを意識して相談者と接する必要がある。

(4)インテーカーの自己理解

「ほどよい援助関係」を保つためには,インテーカーは,相談者への理解と同時に,自分自身に対する理解を深めることも必要である。相談者だけでなく,インテーカーも感情を持つ人間である。自分の感情を無視して,相談者と接すると,無意識的に客観的,冷静的視点を見失い,間違った理解や判断につながることにもなる。それを避けるためには,インテーカーは相談者によって自分の感情に違いがあるということから目をそむけず,適切な距離感を持って話を聴けているか,特定の相談者,または相談に対して冷静な反応を持てているかなどを自分に問うことが大切である。自己理解を深め,客観的な視点を保つために,スーパーバイザーから,自分のインテークに対して客観的なアドバイスをもらうこともとても有効である。

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