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ユースアドバイザー養成プログラム
第5章 支援の実施
  第5節 生活支援  

5 現場の実践例(若者自立塾「キャリア・ビレッジ」の実践から)

厚生労働省の委託事業として取り組んでいる若者自立塾「キャリア・ビレッジ」では,週5日を運営日とし,表5−3のようなカリキュラムを運営の基本にしている。

表5−3 カリキュラム
  項目
6:00 起床・洗面
6:30 点呼,ラジオ体操,朝礼,班に分かれ清掃,朝食準備
7:15 朝食,片付け,身支度
8:30 労働体験へ
9:00〜12:00 労働体験
12:30〜14:00 帰着・昼食・自由時間
14:00〜15:30 資格取得学習(YESプログラム6領域)
15:30〜18:30 自由時間・資格取得学習(個別)
18:00〜19:30 班に分かれ風呂準備,夕食準備,
19:30〜20:00 夕食,終礼,片付け
20:00〜22:00 自由時間・入浴・資格取得学習(個別)
22:00〜23:00 日記記帳,就寝準備
23:00 消灯

当塾では生活自立支援を「生活訓練」と呼び,その狙いは以下のとおり。


(1)生活のリズムを確立し,訓練終了後の就労が可能な体力と根気を養い自己効力感を向上させる。

他塾と違い,午前中の労働体験を必須としている。入塾1〜2週間程度の期間でキャリア・コンサルティングのノウハウを活用して適性・能力を把握し,近隣の企業や商店での3時間程度の労働体験に出かける。塾外での労働体験では受入先に負担がかかると判断した者には塾内でトレーニングを施す。また午後からは資格取得学習を中心にしている。塾生用パソコンを6台設置し,個別の進度で学習できるよう環境を整えている。その取組具合に関しては各自の自主性を重視しつつ,最終的には卒塾までに一つは資格取得を果たすよう目標管理をしている。いずれも「継続」による積み上げが変化へとつながることを実感する経験であり,彼らの自己効力感の涵養に有効である。

(2)最低限必要な社会人らしさを身に付ける。

訓練終了後に,就労(進学)意欲のみが構築されたとしても,雇用側が受け入れたいと感じられる人物でなければ就労には結びつかない。そのため,塾を「職場」と見立て,共同生活のさまざまな場面を指導機会とし,彼らの経験不足を補うこととしている。挨拶を例に挙げれば,労働体験出発時の「行ってきます」,「行ってらっしゃい」,自由時間の外出時の「○○に行ってきます」,「ただいま戻りました」,共有スペース入退室時の「失礼します」,「失礼しました」,などである。入塾当初はスタッフのみがそれらの挨拶に言葉を返している状態だが,徐々に他の塾生にも反応するよう求めている。ほか,「報告」,「連絡」,「相談」の意識付け,いわゆる「5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)」の徹底,塾内生活分掌による責任感向上など,共同生活型という特性を最大限いかすことを心掛けている。

必然的に,支援に当たる側の資質として,支援者自身が上述の事柄をある程度高い水準で備えていなければならない。個々の事情を把握し理解は示しながらも,彼らが社会人として受け入れてもらえる人材たらんことを願い指導に当たれる支援者であることを,キャリア・ビレッジの理想としている。


 特定非営利活動法人ICDS理事長 深谷潤一
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