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ユースアドバイザー養成プログラム
第5章 支援の実施
  第7節 家族支援  

6 現場の実践例(あすくるの「家庭」支援)

(1)家族支援事例:高校生

ア  支援開始当初の状況:経済的に困窮した家庭であり,行政の福祉部門,保護司と連携して支援した。

   中学時代から少年が保護者を極端に嫌っており,双方の話を聴き親子関係の改善を図った。

   高校進学後に事件を起こして少年院に入り,通信・面会により関係を継続した。

イ  連携:出身中学校,高等学校,行政,家庭裁判所,保護観察所,保護司,警察

ウ  支援内容:少年への就職支援,親子関係の改善,家庭への経済的支援と保護者への就職支援

エ  支援の役割分担:家庭が抱えている問題が多く,関係機関が情報を共有し連携しながら役割を分担して支援した。

   あすくる=少年への就職支援と親子関係改善。行政の福祉部門=家庭への経済的支援と保護者への就職支援。保護司=少年,保護者からの相談に対応。

オ  少年への支援:少年院退院前から通信と面会によって少年と就職の相談をした。希望職種,本人の適性,勤務地を考慮して面接を受けられる企業を探し,退院直後に面接ができるように準備した。

   企業とは事前に打合せをして,面接日を少年院退院翌日に設定した。少年院退院後,時間を置かずに就労することが,少年の立ち直りのためには必須と言っていいほど重要なことだからである。幸い少年は採用された。

   少年が就職した後は電話により仕事上の悩みごとや困っていることがないか尋ねるなどして,少年が安定した気持ちで働けるように支援した。企業の担当者と連携して,少年の様子を聴き,職場での人間関係などに目配りしていただいた。少年は自分に合った仕事だと言って頑張って働いていた。

カ  保護者・家庭への支援:親子関係改善のために家庭訪問し,保護者と面談。少年本人の言葉から,保護者が仕事をすることが親子関係改善の糸口になると考えられたので,保護者にそのことを話すとともに,行政の福祉部門がハローワークと連携して保護者への就職支援をした。保護司は少年と保護者の双方からの相談を受け,保護者の就職や家族関係改善のための話などをした。

   保護者は行政が進めた就職支援にも乗り気ではなく,就職への意欲が見られなかった。少年は仕事から帰ると働いていない親を見ることになり,そのことが耐えられず,時間の経過とともに,ますます親子関係が悪化した。少年の仕事への意欲も減少し,欠勤することが増えた。

   保護者が無職の間は,少年の就労継続のためにも親子関係改善のためにも,少年が家から独立して生活することが望ましいと考えられた。少年本人,保護者,関係機関と相談して少年の独立の手立てを考えた。しかし,独立がかなわないまま,少年は退職した。

   保護者の就職が少年の精神的安定と就労意欲には必要であると考えられるため,保護者への就職支援を継続する。

キ  結果・考察:少年の成長を支えるべき保護者が,その力を発揮できるような支援が必要である。良好な家庭環境が少年の健全な成長を促すということを考えると,少年とともに保護者・家庭への支援も同時に継続する必要がある。さもなければ親子関係の改善も少年の成長も望めない。

   経済的に困窮し,複雑な問題も抱えた家庭には,関係機関が連携してそれぞれの特徴・得意分野をいかして家族全体を継続的に支援する必要がある。


 草津市立少年センター・あすくる草津支援コーディネーター 佐野正明
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