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第5章 支援の実施
  第9節 個人情報の取扱い  

1 個人情報管理に関する法規

(1)国レベルの個人情報保護関係法

個人情報管理に関する法規としては,個人情報保護に関わる法令・条例がある。まず,どのような法令・条例があるかを見ることにする(といっても,関係する法令・条例の一部を見ることにとどめたい。)。それらは,国レベルのものと地方公共団体レベルのものに大別することができる。国レベルのものは,次のようになっている。

ア 個人情報の保護に関する法律

ヨーロッパでは,1970年代からデータ保護法が制定されるようになったので,日本では,それらのデータ保護法先進国よりも20年以上遅れて,2003(平成15)年5月23日にようやく参議院本会議で個人情報保護法(正式には「個人情報の保護に関する法律」)が可決成立した。これは,同年5月30日に「平成15年法律第57号」として公布された。その一部は,公布日の5月30日に施行された。全面施行されたのは,2005(平成17)年4月1日であった。メディアなどでは,もっぱらこの法律について報じている。

しかし,同じ日に成立し,同じ日に公布され,同じ日に施行された個人情報保護関係の法律は,ほかにもある。行政機関・独立行政法人等に関する個人情報保護法である。それらに関係する法律は四つであるので,個人情報保護法も含め,よく個人情報保護関係5法などと呼ばれている。それらの法律名は,次のイの(イ)に掲げるとおりである(参考までに法案提出から施行までの経過も記すことにする(ここでは,元号を用いる。)。)。

イ 個人情報保護関係5法

(ア)個人情報保護法

個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日公布・一部施行,法案−平成13年3月27日閣議決定,平成14年12月13日廃案,平成15年3月7日閣議決定,平成15年5月23日参議院本会議可決,平成15年5月30日公布・一部施行,平成17年4月1日全面施行)

(イ)行政機関等個人情報保護法

行政機関等に関する個人情報保護法として,次の法律が制定・公布された(平成15年5月30日公布,法案−平成14年3月15日閣議決定,平成14年12月13日廃案,平成15年3月7日閣議決定,平成15年5月23日参議院本会議可決,平成15年5月30日公布,平成17年4月1日施行)。

・行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「行政機関個人情報保護法」という。)

・独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「独立行政法人等個人情報保護法」という。)

・情報公開・個人情報保護審査会設置法

・行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

筆者は,高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会の座長として,1999年10月20日に,座長私案(「堀部私案」と呼ばれることもある。)を発表し,日本における個人情報保護システムのグランドデザインを明らかにするという役割を果たした。そのこともあって,個人情報保護法の運用・解釈については,よく質問を受ける。その例は枚挙に暇がないが,新聞でコメントした,そのいくつかの例については,後述することにする。

また,行政機関個人情報保護法の在り方についても検討に加わった。さらに,法案を審議した衆参両院の個人情報保護特別委員会で参考人として意見を述べた。

これらは個人情報保護制度と筆者がどのように関わってきたかを示すいくつかの例にすぎないが,このことからも明らかなように,個人情報を制度的にどのように保護すべきかについては,これまでにもさまざまな機会に論じてきた。

(2)地方公共団体レベルの個人情報保護

その一環として,地方公共団体における個人情報保護の制度化の提唱・実現の一翼をも担ってきた。地方公共団体における個人情報保護条例の制定団体は,2006(平成18)年4月現在,総務省調べで,100%に達した。2009(平成21)年4月では,都道府県47と市区町村1,800(783市,23区,802町,192村)で,制定団体数合計1,847となった。これは,2009年4月現在の地方公共団体数でもある。また,一部事務組合でも,個人情報保護条例を制定しているところがある。

(3)個人情報を取り扱う組織等による適用法の相違

以上は,日本における個人情報保護関係法の制定状況及び地方公共団体の個人情報保護条例の制定状況であるが,個人情報を取扱う組織等によって適用される法が異なることに注意しなければならない。ここでは,学校を例にして見ることにする。

少年補導センターは,通常,公立であるので,下記の「(エ)」の公立学校と同じく,関係地方公共団体の条例の適用を受ける。また,情報共有をするなどの場合に,相手方がどこかによって適用法が何になるかを知る必要がある。

ここでは,学校等の設置者を例として挙げるが,それは,次のようになる。

(ア)私立学校−個人情報保護法でいう個人情報取扱事業者として個人情報保護法

(イ)国立の教育機関−行政機関個人情報保護法

(ウ)国立大学法人の学校−独立行政法人等個人情報保護法

(エ)公立学校−各地方公共団体の個人情報保護条例−関係地方公共団体の条例

このように,学校等の場合には,その設置者によって適用法が異なるので,それぞれがどのようなものであるかを知らなければならない。

スペ−スが許すならば,それぞれの適用法の概要を見る必要があるが,それは不可能であるので,ここでは,個人情報保護法を中心に見ることにする。この法律の下で,文部科学省は,個人情報保護法第8条の規定に基づき「学校における生徒等に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成16年11月11日文部科学省告示第161号)(以下「文部科学省指針」という。)を定め,平成17年4月1日から適用することとした。また,同省は,その解説(平成17年1月,改訂平成18年2月1日)(以下「指針解説」という。)も出している。

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