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ユースアドバイザー養成プログラム |
第6章 | 地域におけるユースアドバイザー研修の実施 |
第2節 地域におけるユースアドバイザー研修の実施 |
表6−3,表6−4及び表6−5に示す三つの研修内容(案)は,若者支援ネットワークの核となる調整機関及びネットワークを構成する各相談・支援機関の相談員並びに青少年育成関係のボランティアの別に,ユースアドバイザーの研修・養成プログラムから優先的に実施すべき項目を抽出したものである。
調整機関のユースアドバイザーに特に求められる役割は,査定,支援計画の作成,ネットワークの総合調整及び人材育成などであり,これらを中心に項目を抽出している。
なお,調整機関のユースアドバイザーの役割の一つである人材育成については,本書におけるプログラムの項目としては取り上げていないものの,人材育成の方法の一つである研修の企画・実施に関しては,「2 地域におけるユースアドバイザー研修実施計画(案)」及び「3 参考資料(指導要領及び指導案)」が参考になると思われる。
特に求められる役割 | 役割を果たすために必要な素養 | 研修内容(案) (計60時間) |
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1 査定と支援計画の作成(1)相談の総合的な窓口 (2)査定によるニーズの把握 (3)対象者のニーズに合った具体的な支援計画の企画・立案 |
・「就労・仕事」,「福祉」,「医療」及び「教育・訓練」の四つの専門性があること。 ・若者の特性,若者をめぐる状況・諸問題等に関する知識があること。 ・心理学(臨床心理学を含む。),社会学,教育学,医学,福祉,育児等に関する知識 ・経験があること。 ・査定ができ,それぞれの個人の状態に応じた支援計画を作成・評価できること。 |
4(1)エ ・ オ 4(2)ア〜ク 4(3)ア〜エ 4(11) |
2 総合調整と人材育成(1)他の相談・支援機関のスーパーバイザー (2)若者支援ネットワークの核となり,地域における支援機関相互の調整 (3)アドバイザー会議の開催 (4)専門性を有する相談員相互の議論・情報交換の場を提供 (5)支援対象者と相談員のマッチングの判断 |
・人材育成に関する知識・経験があること。 ・幅広い相談・支援機関に関する所掌事務,関係法令等に関する知識があること。 ・地域の社会資源を活用したネットワークの構築と運営ができること。 ・全体的な視点から,総合的に判断できること。 |
1(1)〜(7) 2(1)ア〜ク 2(2)ア・イ・エ・ク・ケ 3「「さまざまな社会資源」のねらい」 3(1)ア〜ク 3(2)ア〜カ 4(4)オ 4(9)ア〜カ |
各相談・支援機関のユースアドバイザーに特に求められる役割は,対象者の理解や継続的な支援の実施,アウトリーチ(訪問支援)等が挙げられていることから,コンプレックスニーズ,アウトリーチ(訪問支援)などであり,これらを中心に項目を抽出している。
特に求められる役割 | 役割を果たすために必要な素養 | 研修内容(案)(計60時間) |
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1 継続的な支援の実施(1)困難を抱える若者に対する自立までの継続的支援 (2)若者の動機づけ (3)就業などの意欲を失わせないような支え |
・コンプレックスニーズに関する知識があること。 ・各種のカウンセリング技法を習得していること。 ・動機づけ面接に関する知識・経験があること。 ・中長期的な視点から,個人の状態に応じた支援計画を評価 ・修正できること。・キャリア教育に関する知識があること。 |
2(1)ア〜ウ・キ・ク 2(2)ア〜ケ 4「「支援の実施」のねらい」 4(1)ア・イ・オ 4(3)エ 4(4)ア〜オ 4(5)ア・イ 4(6)ア〜ウ・コ 4(7)ア〜エ 4(8)ア |
2 若者支援ネットワークの活用(1)支援対象者にとって適切な相談・支援機関や相談員を紹介 (2)紹介先の相談員との綿密な情報共有 (3)ユースアドバイザー会議における情報交換や連携 |
・地域の相談 ・支援機関についての具体的なサービス内容や担当者に関する情報を有し,どの機関に誰を紹介すればよいかを的確に判断できること。 ・若者を適切な相談 ・支援機関に紹介するための個々のケース理解に関する知識があること。 ・ケースマネジメントができること。 ・関係機関の連絡調整を行えること。 |
1(1)〜(7) 3(1)イ・エ・キ・ク 3(2)ア〜オ 4(9)エ・オ・カ |
3 アウトリーチ(訪問支援)(1)若者のいる場所に自ら出向き,支援の必要な若者に接触 (2)可能であれば面接または電話等により,特定の対象者に対して積極的な接触を検討 |
・アウトリーチ(訪問支援)実施に必要な知識 ・技能があること。 ・地域の実状や若者文化等に関する知識があること。 |
4(10)ア〜キ 4(11) |
地域の実状として,支援が必要な状態にあるにもかかわらず,自らは相談に訪れなかったり,相談窓口に関する情報が届いていなかったりすることが少なくないことが指摘されている。このため若者支援ネットワークによる支援の拡充及び底上げを図るには,自ら相談に来ない対象者やその保護者の発見など地域に根ざした活動が必要とされており,たとえば青少年育成関係のボランティアが若者支援やアウトリーチ(訪問支援)に関する知識を身に付け,若者支援ネットワークの中で活動を進めていくことが望まれる。
青少年育成関係のボランティアを対象とした研修は,制度の概要やアウトリーチ(訪問支援)に関する内容を中心に抽出している。
特に求められる役割 | 役割を果たすために必要な素養 | 研修内容(案)(計20時間) |
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1 地域に根ざした情報収集(1)地域の中の潜在的な対象者の発見(アウトリーチ(訪問支援)のための情報収集) (2)相談・支援のための各種社会資源の活用 |
・アウトリーチ(訪問支援)に関する基礎的知識があること。 ・地域の実状や若者文化等に関する知識があること。 ・地域の相談・支援機関についての具体的なサービス内容や担当者に関する情報を有すること。 |
1(1)〜(7) 2(1)ア〜ウ・キ 2(2)ア・イ・エ・ク 3(2)ア 4(2)キ 4(7)ア 4(9)エ・オ・カ 4(10)ア〜カ 4(11) |
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