序章 各国の青少年保護の基本的な考え方

1.アメリカ

(1) 青少年の定義

基本的に合衆国法典では、18歳未満が未成年者とみなされている。しかしながら、一部16歳未満を対象とした規定もある。また、州別の規定では連邦法と異なるケースがある。たとえばテキサス州では、未成年者は、学校を卒業するまでの18歳未満とされている。ただし法規によっては、16歳以下を未成年者としている場合もある。また、調査を行う機関によって定義は異なる。インターネット関連調査を行う機関のPew Internet & American Life Projectでは、12~17歳をティーンズ、18~29歳をヤング・アダルトと呼び、総称して青少年(Adlescent、Juvinile、Youngster、Youth)としている1

(2) 青少年保護の基本的な考え方と背景

アメリカにおいては歴史的に、憲法上「言論の自由」の立場が取られていることから、直接的に政府がコンテンツを制作することを規制したり、情報そのものに対する規制を行ったりすることについては、非常に消極的な対応となっている。仮にこれらを厳しく規制する合衆国連邦法や州法が制定されたとしても、民間などからの訴訟を受け、法律そのものが違憲として廃案になるなどの行動が取られてきた。そのため、現在、アメリカには、インターネット配信に関する基本法は存在しない。過去にオンラインコンテンツ等を規制する法案や法律はいくつかあったが、憲法修正第一条の言論・出版における表現の自由に反するという理由等により、成立まで至らないか、または成立しても、その後、フリースピーチ(Free Speech)やアメリカ市民自由連合(American Civil Liberties Union)などの憲法修正第1条擁護団体や企業等から訴訟を受け、最高裁で違憲判決を受けて廃案になるなどしてきた。

2.イギリス

(1) 青少年の定義

イギリスにおける「青少年(teen、young adult、youth 等)」の定義としては、未成年者で7歳から18 歳頃までの世代とされるものと、12~25 歳を青少年(teen 又はadolescent)とする定義があるが、その年齢定義は統一されておらず曖昧である2。全英児童虐待防止協会(The National Society for Prevention of Cluelty to Children:NSPCC)による定義では、18 歳未満を「子ども」であるとしている。1978 年児童保護法(The Protection of Children Act 1978)第7条第6項によれば、同法第7条第8項に定義された擬似写真(pseudo-photograph)が与える印象としての子ども(child)は16 歳未満であるが、2003 年性犯罪法(The Sexual Offences Act 2003)第45 条第2項により、18 歳未満に改正された。

(2) 青少年保護の基本的な考え方と背景

イギリスにおいて、違法有害情報への削除等の対応を義務付ける法令は存在しない。青少年保護を目的に制定された既存の法律をもとに、これらの原則が遵守されるよう、政府や民間が取り組みを行っている。

3.ドイツ

(1) 青少年の定義

青少年保護法第1条第1項及び青少年メディア保護州間協定第3条第1項によると、「児童(Kind)」を 14 歳未満、「少年(Jugendlicher)」を 14 歳以上18 歳未満としている。「青少年(Jugend)」という語は定義されていないが、これらの法規において児童及び少年を総称して18歳未満の者と表している3

(2) 青少年保護の基本的な考え方と背景

従来型のメディア規制の変遷を振り返ると、2003 年以前の青少年保護法制は、「青少年に有害な文書の頒布に関する法律(GjS: Gesetz über die Verbreitung jugendgefährdender Schriften und Medieninhalte)」が重要な役割を果たしてきた。この法律と共に連邦法である1985年制定の「公共の場所における青少年保護法(JÖSchG :Gesetz zum Schutz der Jugend in der Öffentlichkeit)」(2001年に改正)が、映画館における上映の際の年齢指定などを規制してきた。映画が未成年者にとって有害なものかどうかの判断は、映画自主規制機関(FSK:Freiwillige Selbstkontrolle der Filmwirtschaft)が行っている。その他の放送は州の所管にあたり、「放送州際協定(RStV:Rundfunkstaatsvertrag)」が、放送内容の規制と時間帯規制を行っている。1993年には FSK をモデルに、テレビにおける青少年保護のための自主規制機関(FSF:Freiwillige Selbstkontrolle Fernsehen)が設立された。