第1章 各国政府の有害情報に対する規制の現状(方針、規則、適用例等)

概要

<アメリカ>

アメリカにおける現実的な方策としては、法規制においては原則のみを提示するにとどまり、実務上は、政府が民間企業や業界団体などと協力することで、民間主導の自主規制を促すという形態が取られている。また、州レベルで法規制を設け、対応している。

児童ポルノに係る行為を規制連邦法は2003年の児童ポルノ禁止法(通称Protect法)によって、実在しない未成年者を描写したものまでを規制対象とする。

放送に関しては、2008年12月に、保護者が子どもに見せたくないテレビ番組やコンテンツをブロックできる技術の提供状況を調査するよう連邦通信委員会に指示できるChild Safe Viewing Actが成立した。

興行については36州が児童エンタテイメント法を設けて青少年を子役として雇う際の規制を定めている。

通信・インターネットに関しては、連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)の指導のもと、各オンライン企業や非営利団体が自主的に、レイティングシステムやフィルタリング技術を開発、導入、宣伝し、保護者の教育、啓発を行っている状況である。これはアメリカにおいては、違法有害情報の削除を義務づける法律がないからである。連邦法によって、インターネット上において違法または有害と分類される情報はごく一部であり、違法コンテンツについては児童ポルノまたは著作権侵害のどちらかである。

ゲームについては、米国のいくつかの州では、暴力的な描写を含むテレビゲームが17歳未満の子どもに販売されているという状況を改善するため、販売に関する規制を法制化しているところがある。しかしながら、表現の自由との関係で施行されることが難しい。

<イギリス>

イギリスでは、1959年わいせつ出版物法及び1964年わいせつ出版物法によって、「わいせつな(obscene)」表現物を規制している。

イギリスにおいて、違法有害情報への削除等の対応を義務付ける法令は存在しないが、青少年保護を目的に制定された既存の法律をもとに、これらの原則がインターネット上でも遵守されるよう、政府や民間が取り組みを行っている。イギリスにはレイティングやゾーニングなど、青少年のインターネット利用を制限する法律はない。基本的には業界の自主規制で情報の改善を図り、それで不十分な場合には法規制を採用するという方針を政府は示している。

イギリスには以前より独自のレイティングシステムがあり、近年は汎欧州ゲーム情報(PEGI:Pan European Game Information)と全英映像等級審査機構(BBFC:British Board of Filum Calssification)レイティングとの共存状態が続いていたが、2012 年7月 30 日に導入された新規制「ビデオ記録(ラベリング)規制 2012 年(The Video Recordings (Labelling) Regulations 2012)」により、複数のレイティングが共存していた状況に終止符が打たれ、すべてのビデオゲームにPEGIレイティングのみが表示されることとなった。

2013年7月、キャメロン首相はコンピュータやスマートフォンなどからインターネットに接続する際、初期設定でアダルトサイトへのアクセスを制限する計画を発表し、これに民間企業は対応策を公表した。この一連の動きの中で、イギリス警察庁長官は2013年12月、アメリカと共同でタスクフォースを立ち上げ、児童ポルノ対策に積極的に乗り出すと発表した。

児童ポルノ対策については、内務省所管のChild Exploitation and Online Protection (CEOP)が児童ポルノ対策を実施している。この機関は官民の協力によってできている組織であり、児童ポルノに関しては、被害者を保護することと、容疑者を特定して警察に通報することを任務としている。

<ドイツ>

ドイツでは 2003 年に青少年保護法制の大幅な改正が行われ、コンピュータゲームとインターネットに関する規制が大幅に強化され、青少年メディア保護の向上に向けた法的整備がなされた(2008年10月31日に最終改正)。2003年4月1日、従来の連邦法であった「青少年に有害な文書の頒布に関する法律」と「公共の場所における青少年保護法」を整理・統合した青少年保護法が成立した。さらには青少年メディア保護州際協定も同日施行された。

ドイツでは、現在、フィルタリングについての法的な義務は課されていない。また、携帯電話はドイツではまだ新しい分野であり、法的な議論は進んでいない。しかし、青少年メディア保護州際協定は、携帯電話事業に青少年保護の観点を取り入れるよう、取組を強化していく意向である。

児童ポルノについては刑法による規制が行われている。2008年7月に施行された青少年保護法を改正するための第一次法律(Erstes Gesetz zur Anderung des Jugendschutzgesetzes vom 24. Juni 2008 (BGBl. I S. 1075)では、映画ソフト、ゲームソフトの年齢表示を具体的に規定(ラベルの大きさなど)するよう示されている。なお、「青少年に極めて有害なメディア」の定義を拡大し、「全編を支配する自己目的的な残酷な暴力描写」が加わった。有害なメディアの例示に、「暴力描写を自己目的としているもの及び自力制裁を勧めているもの」も加わっている。

青少年保護法第14条第2項の規定に従って表示を付された映画、映画プログラム及びゲームプログラムについては、予告又は宣伝に際して、青少年を損なう内容に注意を引くことは許されず、かつ青少年を損なう方法で広告又は宣伝を行ってはならない。また、青少年を直接対象とした広告の放送は禁止されている。