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青少年の暴力観と非行に関する研究調査の概要

平成12年5月
総務庁青少年対策本部


I 調査実施の概要

1 調査の目的

 昨今の青少年非行の特徴として、刑法犯少年の補導人員が増加しているほか、凶悪粗暴な犯罪の増加が目立っている。また、日ごろは問題行動の見受けられない青少年が、突然、対教師暴力や犯罪を行うという突然型非行も目立ってきている。本研究調査は、このような青少年の意識から引き起こされる暴力に関する問題行動を、青少年を取り巻く様々な側面から調査・分析をすることにより、今後の非行対策及び青少年に関する諸施策の基礎的な資料を得ることを目的として、財団法人矯正協会附属中央研究所に委託して実施した。


2 調査対象者

 (1) 一般少年( 2,089名)

全国5都県(秋田、東京、兵庫、鳥取、宮崎)の公立中学校・高等学校計20校(各都県中学校・高等学校各2校)に在籍する中学校1〜3年生( 998名)及び高等学校1〜3年生( 1,091名)

 (2) 非行少年( 1,403名)

全国53の少年鑑別所に在所している20歳未満の少年(暴力非行少年:746名、その他非行少年:657名)


3 調査項目

 (1) 一般少年

(ア)家庭生活 (イ)学校生活 (ウ)人間関係等 (エ)共感性・暴力観等

 (2) 非行少年

(ア)家庭生活 (イ)学校生活 (ウ)人間関係等 (エ)共感性・暴力観等 (オ)犯罪名


4 調査時期

 (1) 一般少年

平成11年9月

 (2) 非行少年

平成11年9月〜11月


5 調査方法

 (1) 一般少年

調査票を用いた集団自記式調査

 (2) 非行少年

調査票を用いた個別自記式調査



II 調査結果の概要

 一般少年(中学生及び高校生)と非行少年(暴力非行少年及びその他非行少年)の暴力観等についての全体的な傾向をまとめると次のとおりである。なお、この資料において暴力非行少年とするものは、粗暴犯(恐喝、暴行、傷害、暴力行為)と凶悪犯(強盗、放火、殺人)のうち、放火犯を除いた少年である。


1 暴力経験(注1)について

(1) 直接的な対人暴力を振るった経験は、暴力非行少年が一般少年、その他非行少年に比較して多くなっている。

ア 家庭内暴力について、「親をなぐったりする」に対し「したことがある」と回答した男子は、非行少年、特に暴力非行少年(16.8%)に多いが、一般少年でも「したことはないが思ったことはある」とする回答は中学生で29.9%、高校生で33.1%と多くなっている。

イ 校内暴力について、「先生に暴力を振るう」に対し「したことがある」と回答した男子は、暴力非行少年(19.0%)、その他非行少年(10.4%)、一般少年では中学生(0.6%)、高校生(0.5%)の順であるが、一般少年でも「したことはないが思ったことがある」とする回答は中学生で15.4%、高校生で27.3%となっている。

ウ 「友達に暴力を振るう」に対し「したことがある」と回答した男子は、暴力非行少年(40.6%)、その他非行少年(28.2%)、中学生(20.8%)、高校生(14.7%)となっている。

エ 無関係な人に対する暴力は、「むかついて見知らぬ人をなぐった」を例にとると、男子では暴力非行少年(24.2%)、その他非行少年(8.9%)、中学生(1.4%)、高校生(1.1%)となっている

(2) 自殺企図や自傷など自分に向けた暴力は、一般少年、非行少年とも女子が多くなっている。

(3) イジメに関して、非行少年は被害・加害とも一般少年より多くなっており、イジメに対する態度では、一般少年は傍観者的態度を取るものが多く、非行少年は止めようとしたり自分も加わったりと良くも悪くも自分からイジメに関与していることがうかがえる。


2 暴力観(注2)について

(1) 暴力観について、一般少年は暴力がはびこるのは世の中の風潮や大人のせいだとする傾向がみられ、他方、暴力非行少年は暴力を振るうのはそれなりの理由があるからだとして暴力を正当化しようとする考え方が強くなっている。


3 暴力観とその背景

(1) 家庭生活

ア 男子は、非行少年の方が一般少年よりも支えを家庭に求める傾向が強く、自分の家庭を望ましい状態と回答するものが多くなっている。

イ 非行少年の男女に共通する問題は、家事の手伝いをしないこと、小さい時に親から暴力を振るわれた経験があることである。

ウ 一般少年とその他の非行少年では暴力の矛先は家庭に向かい、暴力非行少年では学校に矛先が向かう傾向がある。

(2) 学校生活

ア 学校生活に対して積極的な参加意欲を持たない者は、校内暴力行為等を実行したり、やりたいと思ったりすることが多くなっており、特に学校生活に何も興味がないと回答した群は他のグループよりも高い暴力行為経験率を示している。

イ 学校生活に対する参加意欲とイジメの加害経験の関係では、一般少年では参加意欲を示さない者ほど、イジメに加害者として加わっている傾向がある。しかし、暴力非行少年では、参加意欲を示している者でもイジメに加わる者が少なくない。


4 まとめ

(1) 暴力非行少年は、その他非行少年や一般少年に比べて、先生や見知らぬ人に対する暴力を振るう者が多いが、家庭内暴力ではその他の非行少年と差はなく、動物や花などに対する「弱者イジメ」は一般少年とも差はなかった。これらから、暴力非行少年は社会的場面で直接的な対人暴力を振るう傾向が強いことがうかがえる。

(2) 暴力非行少年は、暴力を正当化しようとする考え方が他の群に比して強いことがうかがえる。

(3) 一般少年は暴力的な行動を直接表出することは少ないが、攻撃のエネルギーとなり得る不満感を抱く者が相当数存在することがうかがえる。

(4) 全体的な意識の特徴として、「事なかれ」的な生活態度が支配的になっている。特に一般少年において顕著で、なるべく抵抗が少なく、人と衝突するのを避けて対人関係を築く傾向にある。その結果として、実際にいじめを見たり聞いたりしても、なるべく自分が関与するのを避けるという黙認傾向が強くなっていることがうかがえる。


注1 暴力経験に関して

(1) 直接身体に暴力を加えるだけでなく、反抗や心理的な暴力行為も含む。

(2) 暴力経験の態様については回答の傾向から、

ア 対学校暴力:先生に暴力・反抗、授業妨害など、
イ 対家庭暴力:親に反抗、親を殴る、家庭の器物破損など、
ウ 衝動的暴力又は対象拡散(いらいら感の発散):社会場面で見知らぬ人に対し直接的な攻撃をする、タバコの火などで自分の体を傷つける、「おやじ狩り」など、
エ 弱者イジメ:友達を無視、友達に暴力、動物をイジメる、公園の花などを踏みつけるなど、

  の態様を抽出した。

注2 暴力観尺度について

暴力肯定尺度  得点が高いほど暴力を肯定する傾向が高い。暴力観14項目の質問の平均得点で構成している。さらに、暴力を肯定する意識の在り方について、回答の傾向から主成分分析により以下の尺度を抽出した。
(1)正当化  「相手がけがをしなければ、暴力について周りがいろいろ言う必要はない」 、「人から暴力を振るわれるのは、その人が相手を怒らせるようなことをしているからだ」、「友達がやられた仕返しのためのけんかなら、仲間に加わるのは当然だ」、「表に出ない暴力は、多かれ少なかれみんな経験している」、「悪い者をやっつけるためなら、ルールを破るのもしかたがない」など
(2)大人不信  「暴力がはびこるのは、大人がだらしないからだ」、「親や先生が暴力を振るうから、子どもがまねをする」など
(3)あきらめ  「いじめられている人をかばうと、自分もやられるかもしれないから、 知らんぷりをするのはしかたがない」、「今の社会では、強い者が弱い者を押さえつける仕組みになっていて、どうやってもいじめはなくならない」、「世の中はどうせ変わらない」など

主な調査項目ごとの結果は次のとおりである。

1 家庭生活

 小さいときに親から暴力を振るわれた

 小さいときに親から暴力を振るわれた経験について、「そうだ」と「だいたいそうだ」を合計した『肯定』の回答は、中学生、高校生よりも暴力非行少年に大幅に高くなっている。

「小さいときに親から暴力を振るわれた」の調査結果図

2 学校生活

(1) 気軽に相談できる先生

 あなたが通っている学校に気軽に相談ができる先生が存在する割合は、非行少年は半数以上が「いる」と答えているのに対し、一般少年は非行少年に比して20ポイント近く低くなっている。

「気軽に相談できる先生」の調査結果図


(2) 体罰を振るう先生

 あなたが通っている学校に体罰を振るう先生が存在する割合は、女子ではそれほど大きな差は見られないものの、男子では暴力非行少年の半数以上が「いる」と回答している。

「体罰を振るう先生」の調査結果図


3 人間関係

(1) あなたの気持ちを分かってくれる人

 あなたの気持ちを分かってくれる人については、性別や暴力非行の有無にかかわらず、各層において母や同性の友人が高くなっている。一般少年男子では、中学生11.7%、高校生16.7%が「だれもいない」を選択している。


あなたの気持ちを分かってくれる人

「あなたの気持ちを分かってくれる人(男子)」の調査結果図「あなたの気持ちを分かってくれる人(女子)」の調査結果図


(2) 心を打ち明けてなんでも話せる人

心を打ち明けてなんでも話せる人については、一般少年男子の約2割が「だれもいない」と回答している。


心を打ち明けてなんでも話せる人

「心を打ち明けてなんでも話せる人(男子)」の調査結果図「心を打ち明けてなんでも話せる人(女子)」の調査結果図


(3) 気に食わないことがあるとすぐに暴力を振るう人

気に食わないことがあるとすぐに暴力を振るう人が周囲に存在する割合は、とりわけ女子において一般少年と非行少年の間で差が見られる。

「気に食わないことがあるとすぐに暴力を振るう人」の調査結果図


4 問題行動といじめ

(1) 親をなぐったりする

親に対する暴力経験については、暴力非行少年において16%を超えている。「したことはないが思ったことはある」では、一般少年においても男子は3割前後、女子は2割強となっている。


親をなぐったりする

「親をなぐったりする(男子)」の調査結果図「親をなぐったりする(女子)」の調査結果図


(2) 先生に暴力を振るう

先生に対する暴力経験については、暴力非行少年男子で2割近くになっている。「したことはないが思ったことはある」は中学生男子・女子、高校生女子で1割強、高校生男子で3割近くになっている。


先生に暴力を振るう

「先生に暴力を振るう(男子)」の調査結果図「先生に暴力を振るう(女子)」の調査結果図


(3) 友達に暴力を振るう

友達に対する暴力経験については、暴力非行少年で高くなっており、暴力非行少年男子は4割強、暴力非行少年女子では3割強の者が「したことがある」と回答している。一方の一般少年については、女子の経験率は低いものの、男子は中学生20.8%、高校生14.7%となっており、「したことはないが思ったことはある」も2割近くに上っている。


友達に暴力を振るう

「友達に暴力を振るう(男子)」の調査結果図「友達に暴力を振るう(女子)」の調査結果図


(4) 自殺しようとする

自殺しようとするについては、非行少年女子で高い比率となっている。また、一般少年女子についても、「したことがある」と「したことはないが思ったことはある」を合計すると、4人に1人以上の割合となる。


自殺しようとする

「自殺しようとする(男子)」の調査結果図「自殺しようとする(女子)」の調査結果図


(5) むかついて見知らぬ人をなぐる

むかついて見知らぬ人をなぐることについては、暴力非行少年の2割以上が「したことがある」と回答している。


むかついて見知らぬ人をなぐる

「むかついて見知らぬ人をなぐる(男子)」の調査結果図「むかついて見知らぬ人をなぐる(女子)」の調査結果図


(6) 自分もいじめられた

自分もいじめられた経験について、「よくあった」と「ときどきあった」を合計した『あった』では、高校生女子において48.1%と半数近くになっている。

「自分もいじめられた」の調査結果図


(7) いじめに加わった

いじめに加わった経験について、「よくあった」と「ときどきあった」を合計した『あった』は、全体的に男子の方が高くなっているものの、大きな差はない。特に、高校生男子と暴力非行少年男子においては5割を超え、その他の区分も4割前後の者がいじめに加わっている。

「いじめに加わった」の調査結果図


5 人生観・暴力観等

(1) いじめられている人をかばうと、自分もやられるかもしれないから、知らんぷりをするのは仕方がない

いじめに対する自己防衛を理由とした黙認傾向は一般少年で高くなっており、特に高校生では男子47.5%、女子48.8%と半数近くに及んでいる。

「いじめられている人をかばうと、自分もやられるかもしれないから、知らんぷりをするのは仕方がない」の調査結果図


(2) 人から暴力を振るわれるのは、その人が相手を怒らせるようなことをしているからだ

暴力を振るう原因の一端を振るわれる側にあるとする意見については、暴力非行少年男子59.1%、女子66.2%が肯定している。一般少年においては男子の肯定率が高くなっている。

「人から暴力を振るわれるのは、その人が相手を怒らせるようなことをしているからだ」の調査結果図


(3) 今の社会では、強い者が弱い者を押さえつける仕組みになっていて、どうやってもいじめはなくならない

強い者が弱い者を押さえつける仕組みなっているのでいじめはなくならないという意見に対する肯定率は、一般少年とその他非行少年女子において高くなっており、特に高校生では7割近くになっている。

「今の社会では、強い者が弱い者を押さえつける仕組みになっていて、どうやってもいじめはなくならない」の調査結果図


(4) 世の中はどうせ変わらない

世の中はどうせ変わらないという意見に対して、高校生の肯定率が高くなっており、高校生女子においては6割を超えている。

「世の中はどうせ変わらない」の調査結果図


(5) 友達がやられた仕返しのためのけんかなら、仲間に加わるのは当然だ

友達がやられた仕返しのためのけんかなら仲間に加わるのは当然だという意見について、非行少年の方が一般少年より肯定率が高くなっている。特に、暴力非行少年では、男子63.1%、女子54.4%が肯定している。全体的に男子の肯定率が高く、一般少年においても高校生男子は半数近くになっている。

「友達がやられた仕返しのためのけんかなら、仲間に加わるのは当然だ」の調査結果図


(6) 暴力がはびこるのは大人がだらしないからだ

暴力がはびこるのは大人がだらしないからだという意見を肯定しているのは一般少年が4割前後となっており、一方、非行少年は1割半ばから2割前後である。

「暴力がはびこるのは大人がだらしないからだ」の調査結果図


(7) 将来のために今の楽しみをがまんするのは、ばかげている

将来のために今の楽しみをがまんするのはばかげているという意見に対しては、一般少年において肯定する割合が高く、半数を超えている。

「将来のために今の楽しみをがまんするのは、ばかげている」の調査結果図




本件問い合わせ先
 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付
  青少年調査担当
 TEL(直通)03−3581−1191


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