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平成25年度青少年問題調査研究会
第2回 講演録

日時:平成25年7月22日(月)14:00~16:00
場所:中央合同庁舎4号館 共用1202会議室
講師:(株)電通 ビジネス・クリエーション局 西井 美保子 氏
テーマ:「若者変調のワケ~平成生まれ、平成育ち~」

内閣府子ども若者・子育て施策総合推進室


  • 司会 本日は、株式会社電通ビジネス・クリエーション局の西井美保子様をお招きしております。まず、90分ほどの御講演をいただいた後、質疑応答・意見交換の時間とさせていただきたいと思います。
    それでは、早速ですが、御講演をお願いしたいと思います。タイトルは「若者変調のワケ~平成生まれ、平成育ち~」です。
    西井様、よろしくお願いいたします。
  • 西井氏 改めまして、株式会社電通の西井美保子と申します。よろしくお願いいたします。
    後ほどちょっと御紹介させていただきますけれども、私は、電通で若者研究として、電通若者研究部というプロジェクトを立ち上げまして、2010年から始まって3年間活動してまいりました。若者研究に関しては、電通は長くて、古くは2006年から始まっております。その中でプロジェクトとして、社内用の組織として再編成し直しまして、2010年にプロジェクトを開始したというのが経緯になっております。
    今回は青少年というお題をいただいておりますけれども、若者と一言で言ってもすごく幅広くて、皆さんが想像されるターゲットと全然違うと思います。例えば中学生を想起される方もいれば、20代後半の方までも想起されるような方もいる。30代までを含められる方もいらっしゃると思うんですが、本日、対象として挙げさせていただきたいのは、高校生から20代の若者、20代の社会人までを対象にしてお話させていただきたいと思います。
    中心としてお話させていただきたいのは、タイトルにもあるように、平成生まれ、平成育ちというところでいうと、今、25歳以下の方々で、高校生までを対象にお話させていただきたいと思います。
    今回のお話は、若者変調のワケということで、平成生まれ、平成育ちの人たちの意識をひも解いて見ていきたいと思います。
    初めに「ワカモン」という我々のプロジェクトチームの御紹介をさせていただいた上で、若者変異のトピックスということで、電通の中にはd-campという、毎年12~69歳までの幅広い年代の調査を実施しております。1996年から実施しておりまして、そこから今回は10年変化ということで、2002年と2012年の経年変化から、若者変異のトピックスを見ていきたいと思います。
    2つ目は、若者は何で変化してきたのかというところを、彼らの育ってきた背景について御紹介させていただいて、そんな若者とどういうふうにコミュニケーションをしていったらいいんだろうかという点についても、お話をさせて頂きたいと思います。
    まず最初に「ワカモン」の御紹介です。冒頭に御紹介させていただきましたけれども、電通若者研究部というもので、2010年から立ち上げて、実施させていただいております。
    主な活動の内容に関しては、基本的に高校生・大学生を中心に、20代、社会人6年目、29歳までを対象にしてインサイトの蓄積をしていっております。
    調査を実施しているだけではなくて、それをもとにしてプログラム化していくということで、例えば、左側は、我々が今年4月に大学生のサークルを立ち上げて実施しております。大学生を対象としたマーケティング会社というのは、全国にいろいろありまして、個人にアプローチするマーケティング手法というのは、古くからある手法なんですけれども、我々が考えたのは、大学生の団体は、団体数がすごくふえている一方で、団体を管理していくようなツールだったり、マーケティング手法というのは、あまり開発されていないんです。なので、サークルだったり、ゼミへアプローチする手法として、SNSを通じた「Circle APP」というものをつくりました。全くプロモーションを実施していないんですけれども、3か月が経過した現在で約700団体、6,000名に登録していただいていて、上は北海道から九州まで網羅しているところです。我々は広告会社なので、クライアント様のニーズに合わせて団体を切り出して、プロモーションしていくようなツールに今しております。
    右側はジブンと社会をつなぐ教室ということで、広告のやり方で就職活動をやってみたという本を、我々のプロジェクトチームのメンバーが宣伝会議から出させていただきまして、その本の内容から、ジブンと社会をつなぐ教室という、就職活動の支援パッケージをつくって販売しております。
    今年は東洋大学さんと一緒に就職活動支援のプログラムを、東洋大学の中で実施させていただいています。マーケティングの戦略を最適化したり、若者に受ける商品開発をしたり、コンテンツ開発をしたいみたいなことから、若者に届くメディアを効率的に活用したり、実際にプロジェクトを一緒にやりたいという御要望もあって、若者をターゲットにしたビジネス上の多岐にわたるお悩みごとを、我々はソリューションメニューとして御用意して実施しております。
    冒頭で若者と申し上げましたけれども、「若者」についてよく寄せられる意見なんですが、「今、何が楽しいのか」とか、「我々の時代と何が違うのか」とか、「何を伝えたら消費してくれるのか」とか、「何であんなにやる気がないのか」とか、「すごくおとなしい」とか、「何であんなに草食なのか」みたいなことをクライアント様はよく言われていたり、「どうやってコミュニケーションしたらいいのか」とか、「そもそも若者はどんな人なのか」というところが見えない、見えにくくなっているというのが、今の若者に対する大人からの印象だと思います。
    昔からずっと若者はすごく変な存在で、古くは80年代の竹の子族だったりとか、女の子でいうとオヤジギャルみたいなものが出てきたり、90年代でいうとコギャルとか、社会問題になりましたけれども援助交際とか、そのように若者はいつでも変だったとは思うんです。しかし、今の若者がなぜこんなに変わってきていると言われるのかというと、やはりデバイスの変化、ソーシャルエリアなどでつながれる枠が広がってきているということで、若者はすごく見えにくくなっているというのが、大人たちの中であるのではないかと思います。そうした中、若者の中で何が変わってきたのかということを、今回、御紹介したいと思います。
    実際に「10代、20代の若者とは?」というところを見ていただくと、今の高校生は1994年から1997年生まれの人たちです。このころに起こっていたことなどを振り返って、後で御紹介させていただきたいと思いますが、2013年4月にやった我々の調査の中で、お小遣いなどの自由に使える金額を見てみますと、今の高校生の1カ月に自由に使えるお金というのは、平均で1万970円です。一番使えるお金のボリュームというのは、5,000円が平均にはなっているんですが、押しなべて平均にしてしまうと1万970円です。1カ月の外食費が2,995円。さらに、この10年で大きく変わってきた部分として挙げられるのが、1カ月のスマホ・携帯代です。平均5,261円になります。
    ここを大学生と比較して見ていただきたいんですが、大学生は1990年から1994年生まれで、1カ月に自由に使える金額というのが平均で3万6,513円なので、大学生になると約3.5倍も使える金額が増加する。1カ月の外食費ですが、やはり交流する機会がふえるので、必然的に外食費がふえます。平均で9,266円。
    注目していただきたいのは、1カ月のスマホ・携帯代です。平均で5,986円なんですが、高校生が5,200円代なので、そんなに変わらないとお気づきの方もいらっしゃると思います。実際にヒアリングしてみると、スマホの有料課金、例えばゲームだったりとか、LINEでいうスタンプだったりとか、デジタルでの有料課金というのは、大学生・高校生はほとんどしない傾向になっています。実際に聞いてみると、データでも3割程度しか有料課金を利用しておらず、している人でも上限でいうと、500円程度しか利用していないということで、スマホ・携帯の使い方というのは、大学生でも高校生でもあまり変わらない傾向になると思います。
    社会人になると、そこが大きく変わってきていて、23歳から29歳、社会人1年目から6年目の方々ですが、1984年から1990年生まれ、私は1986年生まれなので、27歳なんですけれども、ここに含まれます。
    先ほど御説明しませんでしたけれども、1カ月に自由に使える金額とは、光熱費や住居費などの必要経費を抜いた可処分所得でエンタメとか外食費に使えるお金になりますが、平均で6万8,131円、1カ月の外食費というのは、平均で1万4,426円、1カ月のスマホ・携帯代というのが8,247円ということで、高校生・大学生と大きく違ってくるのが、この通信費の部分です。小さな金額で、ハードルなく購入できているというのが、20代になると大きく変わってきます。なので、iTunesで音楽を買うとか、ゲームを有料課金している層というのは、20代の社会人になってからが対象になってくると思います。
    続いて、ワカモン変異トピックスということで、d-camp10年変化から見るトピックスについて幾つか御紹介させていただきたいと思います。
    1つ目です。詳しくはお手元の資料を見ていただければと思いますが、若者は「流行が気になる、服装の流行に関する意識・行動」の部分で、男女ともすごく下がっています。2002年から2012年にかけて34.4%から19.1%にまで下がっております。また、「流行などの情報は知らなくても気にならない、知らなくてもいい」という人が、この10年で20%近く上昇しました。なので、若者といえば、流行大好きだとか、流行を追いかけるものだという既成概念は当てはまらなくて、世間が決めた流行に対する感度はすごく下がってきています。今の若者は、アンテナを張っていなくても平気な体質に、今、変わってきていると思います。
    実際にヒアリングをしてみても、みんなの持っているものは気になるけれども、テレビとか、雑誌で言われている流行というのは、実際には気にならないという発言もよく聞かれるので、自分の周りの流行と世間が決めた流行の乖離が、今、かなり進んでいるのではないかと思います。
    また、好きな言葉というデータも採っているんですが、挙がってきているのは「協調性」という言葉です。5%近く上昇して、10年間で32.3%から37.6%に上昇しています。
    一方で、「個性」という言葉が下がっています。52.3%から42.8%ということで、一応42%以上あるので、全く必要ないものだとは思われていないと思うんですけれども、ただし、この10年で、自分の個性や意見というのが、全体と違うトーンで悪目立ちする。2007年の流行語大賞で、「KY(ケーワイ)」という言葉を覚えていらっしゃいますでしょうか。KY、空気を読めない存在という言葉が、今では当たり前になってきているというところで、その中で、悪目立ちすることを避けたい意思が強まっているんだと思われます。そうした背景の中で、先ほどの世間の流行を気にしないということが出てきたと思うんですけれども、流行に関しては鈍感でいいんですけれども、一方で自分の周りには敏感になっているという傾向が見受けられます。なので、みんなの共通話題があって、その中での個性や自己主張が、共通話題や共通素材があってこそ、成り立っているものになってきていると思います。「自分と考え方が違うと不安」という意識が、スコアとしては上昇し、「意見はぶつけ合うべきだ」という部分が下がってきている。自分の周りとのコミュニケーションだったり、グループの中では悪目立ちしたくないというのが、意識としては上がってきていると言えると思います。
    同じように好きな言葉で、「上昇志向」という言葉が下がってきていて、「平凡」の割合が上がってきております。「自分磨きのためのスキルアップ、専門職としてのキャリアアップをしたい」というのが24%から17.6%、「勉強し直してより良い仕事に移りたい」というところも29.2%から16.3%と10%以上ダウンしているところを見ていると、自分磨きのためのスキルアップとか、成り上がり、以前、漫画では成り上がり文化みたいなことが取り立たされていたとは思うんですけれども、その中での意欲というのは、男性を中心に減退しております。4人に1人は平凡でよいという、周囲と協調できるように、プラスでもマイナスでもない平均点を目指すようなポジションを志望しているというのが、今の若者になると思います。
    買い物意識を見ていただくと、好きな言葉は「合理的」が上がってきています。2002年から2012年にかけて16.9%から22.5%。自分のよりどころという項目では「預貯金、保険、年金」というのが9.7%から16.2%に上がっております。「気に入ったものは多少高くても買う」という割合が低下しているということで、利便性とか合理性を考えて買い物をしたい、賢くスマートな買い物をしたいという若者の買い物意識というのは、今よく言われてきておりますけれども、男性は特に多機能とか詰め替えができるなどの利便性を評価するようになってきている。また、女性は決められた金額以上の商品に対しての食指が動きにくくなっているということで、利便性だったり、合理性を考えて買い物をしたいというのが、今の若者の変調になっていると思います。
    そこで、どんなところにお金をかけているのかということを見てみると、自分のよりどころは「趣味・娯楽」というのが、この10年ですごく上がりました。48.0%から62.8%、20%以上も上がりました。趣味・娯楽にお金を費やす、自分の意識の中心に据える人がふえているのです。
    また、よりどころになっているのが「趣味を通じての友人」で、28.8%から34.1%、特に男性の部分で見ていただくと、29.5%から40.8%と、以前はここに「恋愛」だったりとか、「配偶者」が挙がってきていたんですけれども、今、そこの部分に「趣味を通じての友人」というのが上がってきているのです。
    女性に関していうと、仕事の内容よりも、自分の時間がとれるかどうかというところを重視しているということで、合理的な一方で、趣味は大切にしたくて、有限であるお金や時間の使い方のメリハリというのが、すごく明確になってきていると思います。
    その中で、「エコ」というところを見ていきたいと思います。マイバックの利用者を見ていただくと、この10年間で8.7%から32.9%と、マイ買い物袋を持っている人たちが3人に1人います。簡易包装に賛成という人も、この10年ですごく上昇しています。
    しかしヒアリングをしてみると、「本格的なエコ」についての親和性は実は低く、ファッション感覚で良いことをしたいという意識がエコの根底にあると思われます。なので、浅く広く浸透しているということで、「比較的簡単に実現可能なエコ」の意識が上がってきているのです。
    これはエコだけではなくて、いろんな分野でもハードルを下げて、浅く広く広がるといった、例えばオタク文化もそうなんですけれども、以前のオタクは、狭くディープにといった文脈だったものが、ライトなオタクというのが広がって、浅く広く浸透したと言われる文化になりました。
    ファッション感覚でオタクだったりとか、ファッション感覚でエコというような、浅く広くするような文脈に乗せてあげることによって、若者の間で広がりをみせていく上での一つのポイントになるものだと思われます。
    食を見ていただきますと、「今後、食生活を充実させていきたい」という人たちが広がっている一方で、「手料理のメニューのレパートリーをふやしたい」という人は下がっております。何が上がっているかというと、「インスタントスープ、無洗米、冷凍食品、買ってきた惣菜」の利用意向が上がってきていて、食へのこだわりは充実させたいけれども、手間とか愛情を込めて作ることよりも、簡便性を重視するようになってきています。なので、調理への興味がすごく薄くなってきていて、こういったところは女性が働くようになったとか、忙しくなったというところが推察されると思います。なので、一言でいうと、手間をかけるよりも、オシャレで簡単に取り入れられるという傾向が、食の世界で今起きているのではないかと思います。
    実際に『料理通信』の編集長にヒアリングをしたときにも、手間をかけてメニューの御紹介をするよりも、簡単に10品つくれるとか、30分で何品つくれるというような、時間の中でのレパートリーを紹介すると、すごく読者に受けるという意見もございまして、「簡単かつ時間をうまく使うことできる」というフレームが、今受け入れられるのではないかと思います。
    よく言われている若者のお酒離れの部分ですが、実際に数字にしてみると、すごくわかりやすくて、ビール、発泡酒、ワイン、低アルコール、カクテル、酎ハイは、軒並みダウンしております。唯一梅酒が横ばいというか、若干上がっているだけで、ほかの過去3カ月の購入率を見ていただくと、ビールはダウンですし、発泡酒も20代では取り入れられていない。一方で、何が上がっているかというと、ソフトドリンク。その中でも、炭酸飲料が上がってきております。
    ここの部分で言えるのが、晴れの日のビールだったり、お疲れ様のビールが炭酸飲料に置き換わったということです。そのようにアルコールでなくていいということで、アルコールを飲むシーンが激減しています。その結果、アルコール類の大多数で購入率が減少し、代わって炭酸飲料の購入が増えているのです。
    実際に「飲み会は好きか」というスコアと、「アルコールは好きか」というスコアを比べてみると、飲み会は好きだけれども、アルコールは好きではないというデータがあります。今、飲み会の回数は、圧倒的に高く上がってきていて、コミュニケーションの場としての飲み会は好きなんですけれども、そこで飲むのはウーロン茶でいいでしょうとか、ジンジャーエールでいいでしょうという意識が上がってきているということで、みんなが同じものを飲まなくてもいいという意識が前提として大きく広がっている傾向にあります。
    では、なぜこのような変調が起こってきたのかということを、成長背景からひも解いて見ていきたいと思います。
    彼らは3つの大きな波の中で育ってきたと言われています。1つ目は「継続する不況」、2つ目は「人口減少と教育の変化」、3つ目が一番大きく変わったポイントだと思うのですが、「情報環境の変化」です。
    1つ目、継続する不況の部分を見ていきたいと思います。年表になるんですが、細かい字なので、お手元の資料を見ていただきたいと思います。棒グラフが名目GDPになっております。折れ線グラフが日経平均株価の推移になっております。一番下の部分で、灰色の部分が昭和、ブルーの部分に平成と書かせていただいておりますけれども、先ほども御紹介したように、大学生以上になってくると、浪人生はおりますけれども、ほぼ全員が平成生まれ、平成育ちなので、バブルを知らない世代です。
    実際にこれを見ていただくと、大きな経済危機、91年のバブル経済の崩壊意向、ITバブルの崩壊、2008年のリーマンショックというところで、さまざまな経済危機を体験してきた世代になります。今の20代前半以下に関しては、ここの3つをもろに受けて、実際に就職戦線でもすごく苦労してきた世代になっているので、不況生まれで、デフレ育ちの世代になります。つまり、好景気を知らずに育ってきた世代なのです。意識としても、「物は安くて当たり前」、「情報はただで手に入る」というのが意識としてあって、例えば単に安かろう悪かろうみたいな意識は全く彼らには当てはまらない、「安くていいものを手に入れたい」という意識が強いのです。
    私は全国行脚というものをやっておりまして、北は青森の女の子たちから、南は福岡の女の子たちまで、グループインタビューを各都道府県でさせていただいている中で、よく出てくるのは、もちろん高いものがいいというのはわかっているんだけれども、安くていいものを見つけたときの興奮が一番楽しいという意見もよく聞かれます。安くていいものが手に入る環境になっているというのが、経済環境の変化からも、意識として植えつけられているのではないかと思います。
    そんな不況の中で生きてきている彼らの将来を見ていただくと、「自分の将来は不安ですか」と聞くと、8割以上が「自分の将来は不安だ」と答えます。「とても不安だ」という人たちも4割を超えてきています。
    これは高校生・大学生の調査になりますけれども、「何が不安ですか」と聞くと、高校生・大学生に共通して言えるのは、1位に「将来の就職」というのが挙がってきています。2位に「将来のお金」、次に「恋愛」が挙がってきていて、将来不安というのはどんどん高まっている。特に、目の前にある目先の不安よりも、一歩先の未来を見据えていないと不安というのが、彼らの中に植えつけられているのではないかと思います。
    実際に高校生へヒアリングをしても、大学へ求めることとして、学校でやりたいことが実現できるというのは一定層にはいるんですけれども、大多数の人たちは、就職の支援があるかどうかとか、就職率はいいかどうかとか、キャリアセンターの支援があるかどうかということを求めています。もちろん文科省の方々がやられている調査でも出てきていると思うんですけれども、現場では特にそこが急務になってきていて、実際に大学の方々とプロジェクトをやらせていただいている中でも、キャリアセンターの支援がどうあるべきかというところは、すごく課題になってきていると言っておりました。
    受験よりも就職が不安になってきている高校生の中で、一足飛びにキャリア教育だったりとか、やりたいことを見据えて将来をつくっていきましょうということよりも、一歩先に私たちはどうなるのかということが不安として高まっているので、その不安をぬぐってあげるような情報だったり、教育が求められていると思います。なので、求める将来像というのは、自分のあるべき姿を理想として持つよりも、「今、レールの中で間違わないこと」、「隣の友達と大きくは違わないこと」みたいな意識がすごく上がってきています。
    お金の使い方ということで、調査結果を分析させていただいた中で、切り出して見ていったところ、2006年から2011年の5年間で、親の世代の消費支出が月額で1万2,000円も減少しています。つまり、それは子どもたちのお小遣いにも影響するということにつながります。そして彼らは、その他にも、親がリストラされた、友達の親がリストラにあった、離婚したといった現実を目の当たりにして育ってきているのです。間違ってはいけないという意識や、先ほどの不安が高まっているという状況は、こういった親の影響もあると思います。
    また、貯蓄残高ゼロ世帯の推移ということで、これは前年に調査したものです。1980年代、1987年のバブル以前のころは、貯蓄残高ゼロというのが3.3%だった。それが2011年は28.6%と3世帯に1つの世帯が貯蓄残高ゼロの世帯となっています。むしろマイナスもふえています。我々の調査でも、貯蓄よりも負債のほうが高いというのが、今の30代の現状としてある中で、子どもが産めないとか、今、子どもを産んだら教育費が困るという意見もDINKSの調査などで出てきています。そこで子どもを持つときに、教育費がどれだけかかってくるかということを試算している30代の方々も出てきているので、そういう現状が、少子化などに影響してきているのだと思います。
    そんな中で、家族関係はどうなってきているのかということをひも解いて見たいと思います。1946年以降の戦後の時代というのは、祖父母との同居が基本です。親が戦前世代なので、親との関係自体が命令関係だったり、それに服従することが当たり前な時代だったと思います。
    次に1974年以降の世代から核家族化の兆しが見受けられ、親は団塊世代になります。この時代の子どもは、親から頑張れば何とかなると言われて育ってきているので、戦前世代の親との関係性というのが、以前とは違った形で出てきています。実際にこのころから、30代後半の方々、団塊のジュニアの方々は、友達親子の出現ということで、このころからお母さんやお父さんとの関係というのが、徐々に変わっていきます。
    90年代に入りますと基本的に核家族が定番になってきていて、親がバブル世代、戦前世代の親子関係だった縦関係から横の関係の時代になってきていると言われています。特に、お母さんと娘の関係がすごく近くなってきている。
    「母娘消費」というのが注目されていて、娘と美容院に一緒に行くというのが半数、娘と洋服を買いに行くというお母さんが85%というデータが示されております。これはどういうことかというと、お母さんの中に「ずっと女の子でいたい」とか、「ずっと女性でいたい」という意識がすごく高まっていて、バブル世代の女性というか、バブル世代のお母さんにヒアリングをしたところ、ずっと綺麗でいたくて、美容にかける金額が月8万円とか10万円の方々もいらっしゃったりしています。ずっと女性でいるという意識の中から、お母さんから娘に歩み寄るという関係、娘が持っている情報とか、娘が持っている美容の情報とか、ファッションの情報を共有して、例えば洋服を共有するとか、遊びに行く場所を共有するという消費がすごく高まっています。
    実際に高校生の調査の中でも、お母さんのことをファーストネームで呼ぶようなスコアが4人に1人挙がってきていて、高校生に聞いてみると、携帯の中にイクコちゃんという名前が入っていて、お母さんの登録もイクコちゃんというファーストネーム、私でいうと、西井美保子の美保子ちゃんと入っていて、呼び合っているというのが、実際にヒアリングの中でも出てきていました。なので、親子の関係が「服従・垂直」の関係から、「相談・並行」の関係になっているというのが、珍しいことでなくて、何でも相談するし、相談している内容も、恋愛関係も赤裸々に話していることがヒアリングの中でも出てきていて、受験とか学校の話だけではなくて、すごくプライベートな話までさらけ出す関係に、今、なってきていると思います。
    2つ目、人口減少と教育の変化の部分を見ていきたいと思います。
    これは15歳から34歳の人口数と、総人口に対しての15歳から34歳の人口比率です。折れ線グラフは比率になっています。御存じの方が多いと思うんですけれども、15歳から34歳の人口というのは、2000年に比べて2割近く減少してきております。総人口に占める比率というのが、27%から22%に低下しておりまして、5%低下しているというのは、かなり大きなインパクトだと思います。
    ただ、一方で、2011年の大学生の数は289万人と、1990年の頃に比べて70万人増加しているということで、大学全入時代と言われて久しいと思うんですけれども、実際に高校生にヒアリングをしていても、大学には絶対に入れるが、その中で、どこに入るかが重要なのであるみたいなことを言っていて、生まれたときから同級生との競争率というのはそもそも低かったという世代であると言えると思います。なので、競争するという文脈の中で育ってきていないというのが、人口の中でも言えます。
    また、教育制度の変遷の中でも、一言で言ってみると、40歳の方々は偏差値教育で詰め込み教育だった時代から、30代前後の方が個性化教育を受けてきて、その中でゆとり教育に変化していき、2008年の第7次の学習指導要領改訂でゆとり教育が終わっていく。今の高校生・大学生辺りは、ゆとり教育と脱ゆとり教育の狭間で、教育制度の過渡期を経験していると思うんですが、競争よりも協調を重んじる教育で育ってきたということで、競い合わないというのが、デフォルト設定になっている。男女間でもフラットに教育を受けてきているというのが、如実にあらわれていると思います。
    後ほどちょっと御紹介しますけれども、女子会の市場規模というのが34億円と言われています。女子同士で集まるとか、男子同士で集まるというような、特に恋愛というフレームとしては競争だと思うんですけれども、競争の舞台に上がらない若者がすごくふえているのは、こういった協調という教育で育ってきたからだと思います。
    先ほどの恋愛の話ですけれども、異性と交際していない人が、男性で61%、女性で50%ということで、男子を見ていただくと、草食男子という言葉が流行語大賞にノミネートしたのが2010年です。常用語のような形で草食男子は使われていますけれども、20代から30代の未婚の男性の調査の中で、自分は草食系だという自覚を持っている人が6割近くいます。また、恋愛で相手からのアプローチを待つというのも6割を超えております。女性のアプローチ待ちは75%、どちらかと言えば、女性はアプローチを待つ側だと思うんですけれども、男性でもアプローチ待ちになっているということで、なかなか恋愛関係に発展しないというのが、今の彼らの恋愛環境になってきていると思います。
    一方で、女子はどうかというところを見ていただくと、2009年に「森ガール」がブームになりました。森ガールを御存じでしょうか。元々の意味は、森にいそうな格好をしている女の子、ふわふわしたような、レースをいっぱい使ったりとか、帽子をかぶったりとか、スニーカーをはいたりするようなファッションのことを指していた言葉ですが、今はそれが進んで、ファッションだけではなくて、森ガールとか山ガールとか、本格的に山に行ったりとか、森に行ったりするような女の子たちの消費も注目されて、「○○ガール」というのが、今、ブームになっております。
    また、『Sex and the City』は御存じでしょうか。『Sex and the City』というアメリカのTVドラマで、映画化もされましたが、2008年にそれが上陸して、そこから女子会がブームになりました。4人の女性が、金曜の夜にシャンパンを飲むというシーンがすごくヒットした映画になるんですけれども、そこから女子会がブームになって、2010年に女子会というものが流行語大賞にノミネートされておりました。実際、以前は金曜の夜に合コンをしないOLさんは世間の目にさらされていたと、雑誌の編集の方などもおっしゃっていたんですけれども、今でいうと、女子同士のときに着るファッションだったりとか、同性の目線を意識したファッションがすごくヒットしているのです。
    実際にスコアで見ていただくと、「普段誰の目を気にして行動するか」という質問の中で、異性の友人、恋人・好きな人を押さえて、圧倒的に「同性の友人を気にして行動する」というのが、今の若い女の子の意識になってきているということで、異性のモテを意識していた異性モテというキーワードから、今は「全方位ウケ」になっています。もちろん異性モテを気にする人もいらっしゃるんですけれども、それよりも、360度、女の子の目線も気にするし、男の方の目線も気になるというところで、男女差がボーダレスになった中で、異性とつるむよりも、気楽な同性と集まるような傾向になってきていると思います。
    最後に情報環境の変化ということで、ここが大きく変わってきた一番のポイントだと思います。
    1980年から振り返って見てみたいんですけれども、1980年代の情報の価値というのは、「オシャレで西洋的で上流の文化を教えてくれるもの」でした。その意味で、テレビや雑誌においては西洋の文化を特集し、そのラグジュアリーな価値を情報として伝えていた。
    それがバブル崩壊後の1990年代のころから、1995年のWindows95発売、1999年のiモードのサービス開始、そこから日本のガラパゴス携帯と言われている二つ折り携帯が女子高生を中心にどんどん広がっていって、2008年のiPhone3Gが発売されて、今、スマホになってきています。
    そうした環境の変化もあって1990年代以降の情報というのは、「今すぐに手に入るもの」に価値が変化していきました。ファストでありながら、自分に合うものを選ぶ、自分に合うようなものを選んでいけるというのが取り入れるべき情報になってきた。自分の友人同士で共有するためのネタというのが、情報としての価値になってきていると思います。
    つまり、西洋的なイメージだとか、高級感のあるものというざっくりしたイメージよりも、それは直接私にどういうふうに役立つのかとか、その情報は私にとってどういう結果をもたらしてくれるのかという価値基準で情報が選ばれており、上から目線の与えられる情報ではなくて、自分で手に入れた情報というのを重んじるようになってきているのです。
    そんな中で、どういうデバイスの変化が起こっているかというと、今年4月に我々で実施した全国調査になるんですが、高校生のスマートフォンの利用というのは、女子で7割を超えています。大学生でいうと、女子で8割を超えている。つまり、スマートフォンを使っているのが当然で、プラットホームになりつつあると思います。
    そんな中で、スマートフォンが推し進めた意識の部分だと思うんですが、自分が所属している友人や知人のグループの数で今何グループありますかと聞くと、2010年のころまでは、ずっと4グループだったんです。2006年から毎年データを採っていたんですけれども、それが2012年は平均で2グループふえて、6グループになりました。これを読み解いていくと、やはりSNSの影響が大きくありまして、以前ですと、前略プロフィールというSNSがありました。御存じでしょうか。前略プロフィールというものを高校生は使っていて、その次に出てきたのがmixi、その後に出てきたのがfacebook、Twitter、LINEという幾つかのSNSです。今、それらが乱立している状態にありますが、以前だと、高校生はその前略プロフィールだけを使っていればみんなとつながれたのですが、今はTwitter、facebook、LINE、全てのSNSを使い分けてコミュニケーションをしていて、グループのコミュニケーションがすごくふえているようです。
    ヒアリングの中でも、LINEのグループトークの数というのは、友達の欄に見えるような形になっているんですけれども、平均で32.6個もあります。32.6個のグループトークに参加していて、もちろん常にアクティブではないものも含まれているんですが、その中でアクティブに使われているものは平均で6個ぐらいで、所属しているグループ数と比例しているということが分かってきました。LINEだったり、Twitter、facebookでやりとりしているグループ、オンラインとオフラインでコミュニケーションしているグループというのは、ほぼ一致しているということです。
    その中で、やりとりされるコミュニケーションですが、より短文化している傾向にあります。以前はメールですごく長文を送り合って、すぐに返事を返すみたいなことがコミュニケーションの大もとにありましたが、今はLINEに代表されるようにチャットのような形で短文化され、言葉も使わずスタンプといった絵文字のみのやりとり、写真だったりをやりとりしているということで、非言語化も進んでいるといわれています。実際にスタンプだけで50回ぐらいやりとりするとか、友達同士でスタンプで1日50回やりとりしているという子もいて、そこでは絵の中で読み解く力というのがすごくある一方で、言葉をつくっていくとか、言葉を読むという力はすごく下がってきているのではないかと思います。
    先ほどのfacebook、Twitter、LINEですけれども、細かくは後ほどお手元資料を見ていただければと思うんですが、彼らが言う、みんながこう言っているからとか、みんなが持っているからという、この「みんな」というのは、弊社が言うのも何なんですけれども、世間が決めたとか、世間が言っているとか、テレビが言っていることとか、雑誌が言っていることではなくて、自分たちが直接つながっている約100人のことを指して言っています。
    facebookですが、女子高生、男子高生、女子大生、男子大生のスコアがあります。例えば女子高生を見ていただくと、facebookの友人の登録数というのは平均で117人です。去年やったスコアから30人以上ふえていて、全体でも大体100人前後にまで広がってきていると思います。Twitterに関していうと、フォロー数が約161人、フォロワー数が約154人。LINEでいうと、友達の登録数は94人、グループトーク数は26個。男子のほうが、若干グループトーク数は多い傾向になっています。
    押しなべて見ていただくと、他と比べTwitterのフォロー・フォロワーの人数が若干高く上がっています。Twitterは比較的匿名性が高いので、全く友達でない人ともつながっている傾向にあり、これはTwitterのサービス上の影響だと考えられます。facebookやLINEを見ていただくと、100人程度です。携帯アドレスの登録数を聞いてみると、平均100人程度というのが出てくるので、LINEとかfacebookというのは、自分の携帯に入っている人たちとニアリーイコールの関係で、関係性を保っている人たちとfacebookやLINEでつながっているという傾向になると思います。
    facebookだけとか、LINEだけとか、Twitterだけという人もいる一方で、多いのはfacebook、LINE、Twitterを使い分けている人たちです。各SNSで何をやっているかというと、例えばfacebookでは、バーベキューをやったとか、どこどこに旅行を行ったというような、自分の充実した生活の一部分を写真投稿して、「いいね」をつけてもらうということをやりながら、Twitterでは「疲れた」とか、「今、電車待ちなう」とか、どうでもいい「構ってちゃん投稿」と言われているようなものをやりとりし合い、LINEでは自分のリアルな友達同士で、伝えたいことだったり、連絡事項とか、気持ちのやりとりをやっているというのが、傾向としてはあると思います。
    これもすごくおもしろかったんですが、Twitterに投稿して、それに対する返信ツイート(リツイートも含む)が1時間以内にされなかったら、消してしまうという人がすごく出てきています。これは高校生にすごく多い傾向です。先ほど言ったように「構ってちゃん投稿」なので、誰にも構われないでスルーされた投稿に関しては、痛い投稿になってしまうんです。だから、痛い自分を演出したくないから、消してしまう。残したくない、記録したくない。Twitterでも、facebookでも、「いいね」がつかなかったものは消してしまうということが、見える化したことによっての彼らのコミュニケーションになる。以前だと、mixiで一度書いた投稿を消すことが痛い行動だと言われていた中で、今はそれができるようなったというのが、今の若者の変化、変異だと思います。
    情報環境の変化で、サービスの中でも大きく変わってきていて、例えば1991年生まれの今の社会人2~3年目の若者が10歳だったころにWikipediaのサイトがオープンして、14歳のころに食べログというサービスが開始されます。そして17歳のころにiPhoneが発売されました。このサービスの共通項は、「答えはそこにアクセスすればわかってしまう」ということです。誰々さんに聞くよりも、先にGoogleに聞いてみようとか、Wikipediaに聞いてみようという、先に聞ける相手が人ではなくて、デバイスを通したサービスに変わってきている。
    例えば誘い文句なども、どこどこへ行こうから、食べログで3.5以上あるからここへ行ってみようというような、正解意識がすごく高まってきていると思います。なので、右側のグラフを見ていただくと、そのジャンルで正解だと思うものを買いがちだというところは、買い物、購買行動の中でも、高校生・大学生に特に高くて、40代はここが逆に低い傾向になっております。ジャンルで正解だと思うものを買いがちなのはそうですし、おすすめなどの「セレクト済み」があるとありがたいというのは6割も出てきていて、40代だと4割以下、38%ぐらいなんですが、大きくセレクト済みされたものへの情報のありがたがり方というのは、今の若者の特徴になってきている。なので、判断基準というのが不確かな自分の意見、自分がこう思うという意見よりも、確かそうなみんなの意見だったり、みんなの総意を確かめた段階で、これはおもしろそうだから一緒に行かないかというような、ワンクッション置いた誘い文句が、今、広まっている思います。
    それではここで今までのお話の総括をしたいと思います。1つ目の「継続する不況」の若者のツボということで、一言でいうと、投資に対する手応えとか実感がほしいというのが、ツボとしては言える。先ほど見ていただいた変異な部分でいうと、流行よりも手堅く定番を知りたいとか、利便性や合理的なことを考えて買い物をしたいとか、食へのこだわりは手間よりも簡単でオシャレがいいというのが、有限な時間とか、有限なお金に対して、自分がこれに投資をしたんだから、手応えとか実感がほしいというのが、お金の意識からも、買い物の意識からも見えたと思います。
    2つ目、「人口減少と教育の変化」の中でいうと、競争ではなく協調、この一言だと思います。個性とか自己主張は共通素材があってこそです。もちろん個性とか自己主張自体のスコアが大きく変わったわけではないと思うんですが、共通素材があって、協調文化の中で、私はどうあるべきかとか、このキャラを取り入れるべきかというところを、周りの空気を読みながら取り入れているというのが、彼らの空気読みだと思いますし、平凡が一番とか、平均点を目指す傾向もデータから見えたと思います。
    3つ目は情報環境の変化です。関係性評価だったりとか、ネタ視点というのがすごく挙がってきていて、関係性評価というのはどういうことかというと、友達同士の見える化が進んで、その友達にひもづいて、どういうキャラクターがあるんだろうとか、その友達はどういう友達なんだろうというところが評価されるとか、その人はどういうネタを持ってこられるんだろうとか、情報環境の変化の中で、情報というのは友達同士で共有するネタだと申し上げましたけれども、どれだけおもしろいネタを持ってこられるかという、「ネタ視点」というのは、すごく進んだと思います。なので、ファッション感覚でいいことが浸透したのも、私はこんないいことをしているというアピールできる場が広がったというところ、その場づくりというのがSNSだったりとかスマートフォンなどで進んだんだと思います。
    これらの若者の気持ちのツボ、手応え・実感、協調、関係性評価&ネタ視点を総合して考えると、自分がこう思うとか、自分がおもしろいと思う自分探しから、今は「正解探し」をするようになってきていると思います。なので、主語が「I」から「We」へとなった。「私が」という主語よりも先に「私たちが」、もちろんそこに「私」も含まれるんですけれども、私たちがどう思うかというところを見せてあげることによって、コミュニケーションが闊達化されるというのが、彼らのコミュニケーションの前提だと思います。これが私たちの正解だというような、彼らを動かすコミュニケーションのヒントというのは、「私の正解」を見せるよりも、「私たちの正解」はどこにあるのかということを、コミュニケーションの中では見せていかなければ彼らには響かない、関係ないものに感じてしまうことがあると思います。
    拙い御説明になりましたけれども、若者のインサイトからコミュニケーションのポイントまで御紹介させていただきました。御清聴ありがとうございました。(拍手)

質疑応答

  • 質問者<1> 以前、オードリーの若林さんが、「オシャレわからない芸人」という企画でテレビに出ていて、オシャレの仕方がわからないと言っていて、BEAMSで服を買えばオシャレなのかと聞いていたんです。彼は30代だから、若者ではないと思うんですけれども、今の若者にとってブランディングとか、例えばBEAMSに行けば何とかなるという感覚は持ちづらいと思います。自分で正解を探すのも結構つらいと思うんですけれども、例えば今の若者をターゲットにブランディングを提案するときは、どんな感じで提言される形になりますか。
  • 西井氏 定番の中でどれがいいかを選びたい、定番の中で自分でポイントを選んでいくというのが今の若者の傾向なので、共通素材の中で個性を表現していくというのが、彼らの意識であるとすると、ランキングを参照するとか、セレクト済みがありがたいみたいな意識もあると思っています。
    ブランディングの中でよく御提案をするのは、みんなが持っているということを使いつつ、そこの中で自分が遊べる余白を残してあげるがポイントになると思います。なので、共通項の中でカラーのバリエーションがあるとか、組み合わせができるとか、カメラで言えば、同じ一眼レフの中で、この色とこの色を組み合わせて、100通りぐらいつくれるようなものですとか、自分で遊べるんだけれども、共通フォーマットは同じだというような仕様が、今の若者にヒットすると思います。
  • 質問者<2> 今日は基本的に若者の視点ということで、恋愛についても、異性モテから全方位ウケということで、少し変化があるというお話もあったんですけれども、例えば結婚観とか、子どもを持つことについての価値観の変化というのも、価値観の多様化ということで言われますが、実際その辺りはどうなのかということをすごく感じています。
    スライドの中に、将来の不安の中の1つに、結婚ができるかどうかみたいなところも挙がっていて、半分近くの人がそれを挙げていたかと思うんですが、そもそもしなくていいと思うのであれば不安は出てこないと思うので、やはり結婚をしたいという気持ちがあると思うんですね。そこで、結婚とか子どもを持つことについてのモチベーションというのは、どういうふうに今の若者は感じているのか。もし何か感じられることがあれば、教えていただけないでしょうか。
  • 西井氏 今、未婚プロジェクトというものもやっておりまして、その中でも、結婚したいとか、結婚に将来不安を覚える方は、今の20代、30代の未婚の方々よりも、10代のほうが圧倒的にふえていると思っていて、将来像を間違えたくない、レールから外れたくない願望がすごい上がっていると思います。ただ、結婚について面倒くさいとか、手間を感じているという事実もあります。恋愛に対してすごくポジティブかというとそうではなくて、恋愛とか結婚をすっ飛ばして子どもがほしいという言葉が、ヒアリングの中でも出てきたりしています。前は恋愛をすっ飛ばして結婚したいみたいな意識が高かったのが、今はそれもすっ飛ばして子どもを産んでしまいたいという意見も聞かれるので、ライフステージとして据えることがすごく難しいのではと思います。
    女性でいうと、結婚して、旦那さんがいて、子どもがいるという家庭環境自体が、10代などでいうと多様化されてきていて、シングルマザーの方も多いと思うんですけれども、家族フレームが崩壊しつつある中で、どう子どもを育てていくのか、家族を形成していくのかというHow toが見えにくくなっていると思うのです。高校生以下にとってのライフステージのあり方みたいなところは、多様化しているところを見せてあげることがすごく重要だと、個人的に感じている部分ではあります。
  • 質問者<3> 2点お聞きしたいことがあります。
    1点目は、今日のお話は、高校生・大学生、20代が中心だったんですけれども、例えばその1つ前の世代、中学生とか、もっといえば小学生というのは、今日の話と似たような話であれば、どんな意識を持っているのかというところで、御知見があれば教えていただきたいというのが1つです。
    私は30代半ばなんですけれども、今日のお話よりは少し上の世代で、共感する部分と少し違う部分があったんですけれども、平成生まれ、平成育ちという意味では、中学生とか小学生も同じで、不況しか知らないとか、生育環境は同じだと思います。そのときに何か違いがあるのかということを感じます。
    2つ目は、かなり雑駁な御質問になってしまうんですが、我々はこういう若者が生き生きと望む生き方とか、働き方ができるように、どんなことをすべきかということを日々考えているわけなんですけれども、西井さんから御覧になって、今の若者が生き生きとした生き方ができるようにするためには、どんな環境づくりをしたり、どういう政策が望ましい、求められるとお考えでしょうか。
  • 西井氏 1点目ですが、次世代ということですね。中学生にピンポイントということではないんですけれども、小学生については、弊社の弊部の中で、次世代プロジェクトがございます。その中で、今回御説明させていただいた意識もありつつ、新しい目としては、もっと世界を見てみたいとか、「つながる」というものに対しての前向きな意見がすごい多いと思います。高校生・大学生、20代の社会人は、過渡期を経験してきているので、自分で道筋をつくってきた、切り開いてきた時代の世代だと思います。一方でそういう経緯を経てできたフレームをうまく使いこなしていくのが今の小学生・中学生で、彼らみたいな存在がこれからどんどんふえてくる、例えば小学生だけれどもiPadを巧みに使いこなしているとか、小学生だけれども世界とつながっているということがふえてくるんだと思います。
    あと、生き生きしていくというところで、個人的に考えているのは、想像力というのは2種類あると思うんですけれども、クリエーションとイマジネーションですね。クリエーションの部分が今の若者はすごく長けてきていて、一方で、イマジネーションのほうが低くなってきていると思います。先ほどのN次創作ではないですけれども、「0から1にする力」がすごく下がってきているということです。ですから、「0から1にする力」を伸ばしてあげること、それとクリエーションの部分ですが、「1から100にする力」をどれだけ伸ばしてあげるか、それを教育だったり、政策に生かしていかれると、すごくバランスのいい人間になるのではないかと思います。
  • 質問者<4> 私たち青少年担当では、Twitterを運営していまして、今、フォロワーが1,000人ちょっといます。ツイートの内容は主に、青少年担当で行っている仕事ですとか、子どもや若者に関する調査データなどになるんですけれども、より多くの若い人たちに見てもらえるように、つまりフォロワー数をふやしていく上で何かアドバイスなどがあれば、教えていただければと思います。
  • 西井氏 キャラクターをつけてあげることがすごく大事で、情報だけを羅列するようなやり方はすごく若者に届きにくくて、彼らの日常に沿ってあげるような発言だったりとか、内閣府のキャラクターはイメージがすごく硬い分、硬い部分からやわらかい部分までを表現してあげるような発言があるといいと思います。発言のやり方だったりとか、あり方みたいなところで、彼らの生活圏内に入ってあげることがポイントだと思っています。
    例えば、くまモンを御存じでしょうか。くまモンのfacebookページを見ていただくとわかるんですが、リアルにコンビニの1日店長をやってみましたみたいなことがあったり、なぜか熊本に関係ない、とある町に行ってみましたということなどの写真が投稿されて、身近な存在としてのキャラクターが、熊本と関係ないところからヒットしたキャラクターだと言われています。このキャラクターのつくり方みたいなこと、発信している側がどんな人なのかという、生身の人間観をつくってあげることがいいと思います。
    先ほどの生き生きしたという話にもつながるんですけれども、こういった情報の発信のされ方で、実際に青少年のデータを御紹介されていると思うんですが、彼らにとって、それを知ることにどういうメリットがあるのかということを提示してあげることもポイントだと思います。
    我々のプログラムで、ジブンと社会をつなぐ教室だったりとか、大学さんに対しての提案もしていますし、彼ら本人にもしている中で、その1つの授業が全10回なんですが、その一部で、若者はこう見られている、今、就職活動している学生はこういう状況でこういうふうに見られている、だから、面接官にはこう見られるんだというような、社会から見た自分はどういう自分なんだろうということを見ることの価値を伝えていくのも、すごく大事なポイントだと思っていて、世界から見た自分は、どう自分の人生に影響するのかというところを見せてあげると、すごく有意義なTwitterになると思います。例えばデータの切り出し方などは、データがありますではなくて、彼らに興味のある範囲というか、彼に役立つポイントをつくられていくといいと思いました。
  • 質問者<5> 今、文部科学大臣の発言で、教育再生ということで、夢がない、チャレンジ精神がない、家にこもりがち、留学希望の人が減っていると思うんですけれども、そういう表面的な減少を見ると、だからダメなんだと、恐らく私と同年齢以上ぐらいの人は思うのではないかと思います。
    いろんなデータが、この間の『子ども・若者白書』などにもありましたけれども、今の若い人は、「今、幸せだ」という人が、前よりも高くなっています。今が幸せだという人はかなりいるけれども、逆に将来が不安だと意識も高くなっている。西井さんから見て、こういうメンタリティーを持った若者が、あと5年、10年、15年経ったときにどう変わっていくのかという辺りは、どのように思われますか。私は飽きやすいタイプなので、今こういうことを経験した人は、10年ぐらい経つと飽きてしまって、どちらかというと、もう少し真面目なもの、深刻なもの、渋いものに価値を見出すように変わっていくという感じを持っています。
  • 西井氏 2つあって、1つは趣味の平均値をとると、平均で11個と出てくるんです。趣味が11個というと、どういうことかと思われる方もいると思うんですけれども、時間の使い方とか、お金の使い方というのは、恐らく変わらないと思っていて、エンターテイメントがこれだけ広がって、選ぶ選択肢もすごく広がっていくので、実際の中身は変わっていくと思うんですが、選び方とか基準というのは大きくは変わらないと思います。
    一方で、今を楽しむという傾向は、そんなに変わりないのではないかと個人的には思いますが、今後、5年、10年経ったときに、彼らが20代後半とか30代になったときには、働き方とか、所帯の持ち方などが大きく変わるのではないかと思っています。例えばシェアハウスなど、以前だと定着しないだろうと言われていたもの、7%~10%だったものが、今では20%以上の若者が経験している。なので、住み方とか、食べ方とか、衣食住の点でいうと、大きく影響していって、ライフステージのあり方が変わってくるのではないかと思います。単にお父さんがいて、お母さんがいて、子どもがいるということから、所帯みんなでシェアハウスをしているという住み方とか、そういったところに抵抗感なくトライできるような環境にはなってくると思うので、例えば帰属する意識みたいなところが変わると思います。
  • 質問者<6> 御存じかと思いますけれども、高校生などでソーシャルメディアを使って、生活習慣が乱れてきているということが、データとしてもあるんですが、うまく情報を使う、逆にいうと、情報に振り回されないようにとか、ルールをつくってスマホを使うとか、生活習慣の乱れにつながらないように、そういったものを利用していくということを、中高生向けに何かできるものがあるかと考えているんですけれども、生活習慣に対する若者の意識は、どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
  • 西井氏 おっしゃるとおりで、生活習慣もかなり乱れてきていて、夜更かしする人ほど幸せ充実度が低いという相関性も出てきていると思うんですけれども、深夜までスマートフォンを使って、ずっとベッドの上で遊んでしまうケースもすごくふえていて、使用に関するルールづくりは、していくべきと思いつつも、どう線引きをしてくかが課題だと思われます。逆に御質問なんですけれども、それはどういうふうにルールづくりをされると御想定されているんですか。
  • 質問者<6> 今、まさにそこを部分について意見交換などをしているところなんですけれども、実際の中高生の声などをどんどんとっていきたいと思っておりまして、電通さんがされているような研究の中で、生活習慣に対する中高生の意識みたいな部分がどの程度あるのかとか、そういった部分はあるんでしょうか。
  • 西井氏 高校生と一言で言っても、結構いろんな人がいるということが実際にあって、我々がやっている調査で、クラスター分析みたいなことをやっている中でいうと、ある一定層はすごく真面目で、習慣もきっちりしている。例えば体育会系女子みたいなものが出てくるんですけれども、そこは食生活もしっかりしたいし、自分の体の変調に対しては、すぐに対応したりという項目もあがってきたりするようなクラスターもいれば、女の子でいうと、ギャル系の女の子、不良系の女の子が7%ぐらいいるんですけれども、その子たちはかなり食生活も乱れていて、食生活と連動した形で帰宅時間がおそくなっていたりということも出ていて、デバイスとの相関性みたいなものが、そこにはある気がします。
    食事との連携だったり、早寝早起きみたいなところは、食事を定期的にしているかどうかというところに、すごく相関性がある気がします。我々の調査の中でいうと、飲食の実態みたいなところを、今、深堀しているんですけれども、不規則に食事をしているような高校生の人たちは、デバイスを長く使っていたり、友達とのコミュニケーションの量が多かったり、一方で、スマートフォンではないけれども、1人でパソコンをずっとやっているクラスターもいたりとか、政策をつくっていくときには、コミュニケーションのターゲットとして考えていく、想定されるターゲットを分けて考えられたほうが検討しやすいと思います。
  • 質問者<7> 数年前、18歳から選挙権を持たそうかということがニュースになったときに、200人ぐらいの学生に、18歳から選挙権を持ちたいと思う人、20歳からで十分だと思う人、20歳でも早いと思う人、3つぐらいに分けて、最初グループでディスカッションしてもらった上で、最後に18歳からの選挙権について今一度聞いてみると、20歳でも早過ぎると思うという人が一番多くて、18歳から選挙権をほしいという人はほとんどいませんでした。私は1950年代の生まれなんですけれども、私たちが高校のころや大学に入学したてのときは、選挙をさせてほしいという意見が、周りの友達で多かったような気がします。
    シングルマザーになりたいという、重い責任が伴うようなことを平気で願望しておきながら、でもそんな責任は負いたくない、そういった類の子たちがすごくふえているような気がして、どこからそういう価値観に変化してしまったんだろうと。
    若い人たちの気持ちというのは、ご講演にもあったように、せっかく「We」つまり「私たち」という気持ちで広がろう、連帯したいのに、何で選挙は嫌と言ってしまうのかと思います。
  • 西井氏 去年、NHKさんと共同で、大人意識調査というものをやらせていただきました。その中でいうと、自分は子どものままでいたいという意識がものすごく高くて、8割ぐらいに上りました。
    私は「ギャルラボ」というプロジェクトもやっていまして、女の子の意識の調査をしているんですけれども、ギャルを卒業しないで、30代、40代になってもギャルみたいな格好をしていたいという女の子もすごく多くて、このタイミングで○○から卒業しようというきっかけがなくなってきていると思います。子どものままのほうが楽だし、責任がない。なので、選挙権みたいなものは要らない、別に求めていないというのが、そこにあると思っています。
    先ほど経済不況のところでも御説明しましたが、リスクテークしたくないという中で、一方で、無責任発言ではないですけれども、何々したいという夢とか、なりたいビジョンに関しては、結構奇抜な発言が出てくるんですが、リスクテークしたくないから、実際にはしないんだけれどもというのが、恐らく彼らの本音なのではないかと思います。
    以前は早く子どもを卒業したいとか、大人になりたいというのが、憧れだったと思います。上のステージに上るということがあったんですが、上のステージに上がると責任感が要るとか、責任ばかり与えられてつらいだけではないかということが、恐らくネット社会の中で見える化してしまったり、ニュースなどでも取りあげられている状況で、このように上のステージについて可視化されてしまったことによって、子どもたちの不安があおられて、責任をとりたくないとか、子どものままでいたほうが楽だという意識に変化してきたと思います。
  • 質問者<8> 昔はネット社会というものがなく、一家のお父さんが分別の中心であって、お父さんが社会の窓で、お母さんは専業主婦で、子どもたちもその小さな社会で生きていて、お父さんが、夜帰ってきて、世の中はこういうことが起こっているとか、外の情報はお父さんから家庭の中に入ってきていたと思います。それが、小学生でも幼稚園児でもインターネットを見られるようになって、お父さんから社会の情報をもらわなくても、自分のほうがよほど知っていたり、自分のほうがスマホの使い方が上手だったりしています。
    女の子でも、お父さんが大好きだという子もいっぱいいますけれども、自分で選別したりするのが上手な子どもたちと、今のお父さんがわかり合っていくには、西井さんの御意見でいいんですけれども、どうしたらいいと思いますか。
  • 西井氏 大きな傾向としてではないんですけれども、私たちが普段接している高校生とか大学生の子たちは、比較的、親との関係が良好で、母親と恋愛の話もするし、父親とデートもする。この間、映画を2人で見に行きましたとか、コミュニケーションの点でいうと良好になってきている傾向があると思います。
    子どもは情報をもらう側だったのが、今では情報交換する関係になってきているので、今、おっしゃっていただいたように、親子のコミュニケーションの関係はすごく進んでいると思います。なので、以前の家族のあり方を善とするのであれば、今はダメということになると思うんですけれども、今の関係性というか、相談関係というのも、例えばお母さんと娘の消費が進んでいるとか、お父さんとのコミュニケーションが闊達になるから、そこに反抗期がなくて済むとか、いい側面もすごく出てきていると、個人的には思っております。
  • 司会 それでは、そろそろ時間となりましたので、以上をもちまして「青少年問題調査研究会」を終了いたします。
    西井様、本日は誠にありがとうございました。(拍手)

以上

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