平成26年度青少年問題調査研究会(第2回)講演録

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日時:
平成26年8月4日(月)14:00~
場所:
中央合同庁舎第4号館 共用108会議室
講師:
愛知県豊田市立保見中学校 教諭 伊木 ロドリゴ 氏
特定NPO法人青少年自立援助センター 定住外国人子弟支援事業部 事業実施責任者 田中 宝紀 氏
テーマ:
外国人の子供・若者支援セミナー~現場の若手実務家に聞く~

内閣府子ども若者・子育て施策総合推進室


  • 司会 皆さん、こんにちは。お暑い中、本日は「平成26年度第2回青少年問題調査研究会」にこんなにたくさんの方にお越しになっていただき、誠にありがとうございました。

    今回は外国人の子供・若者支援セミナーと題しまして、若手で現場の実践をしていただいている方に、外国人の現状であるとか、若者に対する支援の実情について、お話を伺いたいと思います。

    今日は、愛知県豊田市立保見中学校教諭の伊木ロドリゴ先生、特定非営利活動法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部の責任者である田中宝紀先生、2名の先生を講師としてお招きいたしました。

    今日の流れとしましては、まず最初に伊木先生からのお話、田中先生からのお話をいただきまして、一旦御休憩の時間を挟みまして、その後、会場の皆さんから先生方に御質問であるとか、御意見、フリーにディスカッションさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

    それでは、早速ではありますが、愛知県豊田市立保見中学校教諭、伊木ロドリゴ先生にお話をお伺いしたいと思います。伊木先生、よろしくお願いします。

  • 伊木氏 皆さん、こんにちは。

    早速なんですが、この中でポルトガル語を話せる方はいらっしゃいますでしょうか。いらっしゃるんですね。ありがとうございます。

    それでは、ちょっとだけポルトガル語を皆さんにお教えしますので、耳で覚えてください。ランゲージは見せませんので、お願いします。皆さん、続いて言ってくださいね。

    「こんにちは」、ボア・タルジ(Boa tarde)。自分の名前いきます。ソウ・ロドリゴ。皆さん、「こんにちは」は何と言うか覚えていますか。(ボア・タルジ)。「この後によろしくお願いします」を意味する、ムイト・プラゼール(Muito prazer)。

    通してやりますので、お願いします。立ってください。ボア・タルジ(ボア・タルジ)。ソウ・ロドリゴ(ソウ・名前)。皆さん笑っていますけれども、これは難しいです。ムイト・プラゼール(ムイト・プラゼール)。最後に握手をしてください。OKですか。もういけますか。今からやりますけれども、いいですか。

    もう一回だけいきましょう。ボア・タルジ(ボア・タルジ)。ソウ・名前(ソウ・名前)。ムイト・プラゼール(ムイト・プラゼール)。OKですか。

    それでは、今から皆さんに立ってもらいますので、やったら、もう一度、席についてください。うそをつかないでくださいね。それでは、用意、始め。(各自ポルトガル語で挨拶等をする)。

    そろそろよろしいでしょうか。皆さん、順にいきたいと思います。(指名された出席者よりポルトガル語で挨拶)。

    それでは、男性の方にいきましょうか。こちらのテーブルの黒いシャツの方、お願いします。始めてください。ボア・タルジ(ボア・タルジ)。ソウ・タカシ(ソウ・ロドリゴ)。ムイト・プラゼール(ムイト・プラゼール)。拍手をお願いします。

    皆さん、今日の私の話の最後にもう一回これを確認したら、覚えているでしょうか。

    今、やっている中で、何となくつづりが気になったり、発音が気になってしまった人はいますか。いますね。ありがとうございます。聞いたとおりにやれば、通じるんです。皆さんは英語をやったときに、G・O・O・Dと書くから、「グッドモーニング」と言ってしまうだけであって、先生が言っている”good morning”をまねすれば、そちらのほうが通じることがあるんです。なので、聞いたとおりに言ってみることがすごく大事で、つづりばかり気にしても、しようがありません。

    ポルトガル語で、ボア・タルジと実際に書くことは、皆さんは多分一生ないと思います。多分ないんです。ただ、ブラジル人の人に会って、初めて挨拶をして、よろしくと言うことは、きっとあると思います。なので、そうやって全部にこだわって、つづりというよりも、耳で覚えてしまったものは、それで覚えてしまったほうが、よほど役に立つこともあります。

    今日は言葉に関して述べていきますので、お願いします。

    ブラジルからの先生というタイトルをつけました。

    こちらが、自分が教員になって1年後にもらった年賀状です。読みます。去年は私にとって最高の年でした。なぜかというと、伊木ロドリゴというすばらしい人に出会えたからです。先生のおかげで、とてもいい思い出がいっぱいです。本当にありがとう。先生は私にとっての一番の先生で、一番の友達です。これからも頑張ってという年賀状をいただきました。こちらはブラジルと中国と日本にルーツを持つ生徒が書いてくれた年賀状です。1年目は結構つらかったんですけれども、この年賀状のおかげで、今までやってこられたんだと思っています。

    自分がおしえている豊田市立保見中学校には、3分の1の外国籍の生徒がいます。全校生徒は315名です。そのうち、100人程度が外国籍です。

    こちらは3年前に担任をしたクラスですけれども、ここにはブラジルやペルーやフィリピンの子がいます。

    皆さん、ちょっと日本語能力を試したいと思います。四角にある言葉は何でしょうか。私の何とかは、何とかの内定をもらい、現在、何とかで何とかをしている。

    それでは、聞きたいと思います。この列の一番最後の男性の方、お願いします。私の何とかはの「何とか」に入るのは何でしょうか。(私の父は)ありがとうございます。座ってください。私の父は(自動車会社の内定をもらい)、現在(豊田市で)、(会社員をしています。)

    それでは、皆さん、いきたいと思います。私の弟です。私の弟は食品メーカーの内定をもらい、現在、大阪でセールスマンをしています。皆さん、外れましたね。

    ですが、私の何とかはの時点で、皆さんは多分家族の人がくるだろうということがわかったと思います。その次に内定をもらいとあるおかげで、皆さんはここに会社名がくるのではないかということが、想像できたと思います。そして、現在どこどこで、助詞の「で」があるので、皆さんはここに場所がくるだろうということが、わかるかと思います。最後に「している」なので、仕事の内容だろうということがわかったと思います。

    これを見た外国人の生徒は、何がくるかさっぱりわからないんです。あそこに内定をもらいという言葉があっても、まず内定の字が読めない。読めても、何でここでもらうんだという形で、違うところに疑問を持ってしまうんです。

    英語は異なります。単語ごとに分かれています。日本語は辞書で調べたくても、ある程度知識がなければ、調べられません。先ほどの日本語の場合だと、単語がどこで切れるのかがわからないんです。「わた」で切れるのか、「し」で切れるのか、「の」で切れるのかということで、まずどこで調べていいのかわからないんです。漢字にすれば、皆さんは漢字辞典で調べればいいと思うかもしれませんが、漢字辞典では、書き順とか、画数がわからないと調べられません。なので、手も足も出ないんです。

    日常生活で使っている生活言語と、学校の授業で使われている学習言語が違うんです。大きなギャップがあります。

    皆さんにクイズをしますので、答えてもらいます。意見が同じことを何と言うんでしょうか。ちょっと聞いてみます。この列の皆さんに答えてもらいますので、お願いします。

    意見が同じことを何と言いますか。ここだけ出しますね。こういう形です。同化です。

    学年が同じ。(同級生)同級生です。

    働き始めた年が同じ。(同期)同期です。

    次に年齢が同じ(同い年)ありがとうございます。同い年です。

    最後はここに入る同じです。これは数学の計算式です。こちらとこちらが同じことは、片仮名で何と言うんでしょうか。(イコール)そうです。イコールです。図形と図形が同じ。

    それでは、後ろのテーブルの眼鏡の方、どうぞ。もっとレベル高いところにいきましたね。ごめんなさい、私は等しいにしたんです。

    種類が同じ、動物の種類が同じ。女性の方、お願いします。(同種ですか)いいですね。私は同類にしたんです。

    今の日本語は、こちらも正解だし、皆さんが言ったことでも間違えないです。同じという漢字の意味がわかれば、何となくこういう使い方をすれば、この漢字を見ただけで、何となく類が同じなんだということがわかるんです。

    私は中学に入って、初めて漢字を勉強し始めたんですが、漢字が全てだと思っています。平仮名と片仮名はもちろんできなければいけないですが、漢字ができないと勉強できません。振り仮名をつけてもらえる小学校、中学校は、今、多いんですが、高校に行くと、そんなことはありません。そんな甘い世界ではないので、中学校年代では、特に漢字に力を入れてあげるといいと、私は思っています。

    皆さん、東京オリンピックが2020年に開かれます。皆さん、この人の言葉を一斉に言いましょう。(おもてなし)ありがとうございます。おもてなしです。おもてなしとは何でしょうか。聞いてみましょう。皆さんは、本当に外国人に優しくするんですか。皆さん、おもてなしをするんですか。誰がするんでしょうか。おもてなしとは何でしょうか。聞いてみましょう。

    この列の一番最後の眼鏡の男性の方、お願いします。(おもてなしは、人に親切に対応すること)どうでしょうか。拍手をお願いします。

    皆さん、オリンピックを見に来た、困っている外国人の方を助けますか。大丈夫ですか。皆さん、普段困っている外国籍の人を助けていますか。イングリッシュ・ノーと言っていませんか。助けていますか。

    皆さんに耳の痛い話をします。

    これは私が日本に来たときの写真なんですが、弟のアンドレーといいます。今はこんなかわいい顔はしていません。とてもいい加減です。後で出てきます。

    今までの数字を紹介します。1番、10歳で日本に来ました。小学校3年生のときにブラジルを出てきたんですが、日本は年齢で学年が決まるんです。なので、日本ではいきなり4年生の9月から始めました。

    今から1カ月というのは、自分の人気が続いた期間です。学校に入ったら、外国人は自分と弟しかいなくて、みんなが集まってきて、外人だと言って、ほっぺたを触るんです。一緒だと言っているんです。まるで宇宙人を見るかのような感じだと思います。17年前です。1カ月ぐらいはみんなが集まってきて、すごい人気があったんですけれども、時間が経つと、しゃべってもつまらないとなって、みんな離れてしまったんです。

    2年間かけて、日本語の基礎を学びました。2年ぐらい経つと、小学生なら、ある程度ぺらぺらになるんです。ただ、ここで問題が起きて、お前、日本語ぺらぺらなのに、勉強ができない、ばかだ、お前は勉強していないだろうと言われ始めるんです。日本がわからないと言うと、わかっているのではないかと言われてしまうんです。だから、日本語をしゃべれても、勉強ができることとは、全くわけが違うんです。

    4番の10ページというのは、自分が中学のときに書いてきた漢字のページ数です。1日10ページ程度書いていました。

    お薦めの勉強法をざっと紹介しますので、皆さん、よかったら使ってください。漢字の熟語10個を覚えるときに、振り仮名を書きます。次のページに書いた10種類の漢字、10種類の熟語の振り仮名を書いておくんです。勉強した後に、後ろのページで、自分でテストをするんです。テストの後にまた違う漢字を勉強し始めるわけです。それを始める前に、次のページに振り仮名を振っていくと、自分で毎回テストができるんです。

    自分の担任の先生は国語の担当で、毎週月曜日に漢字のテストをしていました。満点をとると、黒板の端に名前を書いてくれたんです。小さいときのロドリゴは、名前を書いてもらうたびに、勉強していました。すごく単純ですけれども、書いてもらえば、ロドリゴすごいねとなるのが、自分の目的であったんです。すごく小さいことですけれども、ねぎらってもらいました。

    5番の1教科というのは、この中で、日本語を指導されている方が何人かいらっしゃると伺っていますが、やっている方はどのぐらいいますか。日本語指導とか、直接現場で教えている方は、どれぐらいいますか。ありがとうございます。

    1教科でもできると、全然違うんです。全部できないとなると、お前は全部できない、ばかだとなるんですけれども、1教科でも得意とすると、違うと感じています。私は英語を頑張りました。

    6番、先ほど聞いたんですけれども、東京でも外国人特別選抜というものがあります。幾つかの学校であるそうなんですが、愛知県でもそうです。来日してから3年以内であれば、外国人特別選抜を受けられると聞いていまして、4年目になると、もう受けられないというルールだそうですが、4年かけて、本当に日本語がわかって、勉強がわかるかというと、そんなことはないと思います。私の例でいうと、私の場合、5年かかりました。5年ぐらい経った時点で、漢字もわかってきて、勉強も何とかついていけるようになったんです。だから、この3年というのは、何を基準に決めているのか、正直、疑問を感じています。

    また、来日して3カ月の子と5年の子を比べたときに、絶対に5年のほうが有利なんです。私の勝手な意見なんですが、3年未満の子と5年未満の子は、別の枠をつくってあげてもいいのではないかと思っています。

    7番の7カ月なんですが、高校1年生のときに7カ月間入院しました。白血病になったんです。見えますか。髪の毛が抜けています。あと、顔がぱんぱんになりました。

    ちょっとクイズをします。イエスの方は挙手をお願いします。ノーなら、手を上げないでください。

    ニュースを信じますか。ちょっと考えたいんです。ニュースを信じる人、手を上げてください。どちらかといえばです。他の人は信じないんですね。そう言われると、不安になる。ありがとうございます。

    私は来日する前、ここに住んでいました。見えますか。どうでしょうか。私のブラジルの家です。すごいですか。すごいと思う人、手を挙げてください。ありがとうございます。

    今のはうそです。こんな家に住んでいないです。住んでいたら、日本に来ていません。ここから出たくないです。これは、今朝、ネットからとった写真です。私がこれを1人で建てたと言ったら、信じますね。こいつはすごいとなりますね。

    皆さん、ニュースは全て本当でしょうか。あそこは、みんなの気を引くために、入れているニュースではないでしょうか。男の子が犬にかまれても、ニュースにはなりません。ですが、ある小学生の男の子が、犬にがぶりついているというものであれば、多分ニュースになります。要するに番組をつくっている多くの人たちは、みんなの目を引くもの、みんながすごいと思うものをテレビに入れるんです。

    関連しますが、これが私の住んでいた家なんです。私は真ん中です。ちょっと暗くてごめんなさい。家はすごくシンプルでした。父親と私と弟でここの草取りをして、私たちのトヨタスタジアムをつくったんです。ここでサッカーをしていました。

    もう一つあります。ブラジルは危ないですか。皆さん、ブラジルに行くとなったら、恐いと思うかどうか、考えてください。

    ブラジルは、危ないところもあります。ファヴェーラというところが、リオデジャネイロにあります。スラム街です。発泡スチロールとか、段ボールでつくったような家に住んでいる人もいます。こういう状態です。見にくいと思うんですが、これは全部家です。一昔前は、ここで麻薬の売買とか、スラム街同士の戦争も行われていたそうです。

    私の出身はサンパウロです。サンパウロには、こういうものがあります。これはサンパウロの美術館です。サンパウロの夜景です。そして、これはサンパウロの中心街になります。

    サンパウロにも、すりとか、そういう人がたくさんいます。だから、ブラジルでは、日本でよく見られる、後ろのポケットに財布に入れているような人はいません。お前はあほかということになります。ここでは考えられないんです。財布で席をとっている人が、たまに日本にはいます。考えられません。

    答えを言います。ブラジルは、危ないところは危ないし、危なくないところは危なくないし、皆さんが油断してしまったら、危ないかもしれません。ただ、あそこには行かないほうがいいというオーラがぷんぷん出ていますので、そこに行かなければいいんです。ブラジルへぜひ遊びに行ってください。きれいです。

    外国人生徒が成功するために、私が考えていることです。先行条件です。先行条件というのは、要するにその子との関係を作っておくということです。生徒という形で書いたんですが、大人でも一緒です。関係を作っておくと、後々いろんなことが起きても、ある程度解決ができて、そんなに問題がないのではないかと考えています。

    1番、先生の期待と支援です。学級担任はもちろんですが、他の教科の先生も、その子の言うこと、その子の行動を、外国人だからしようがないと諦めるのではなくて、期待をしてあげて、必要な支援を与えてあげることが必要だと思います。特別扱いをしてしまうと、だめです。私は外国人だからしようがないと、本人も諦めてしまうので、特別扱いはしない。ちょっとしたサポートはするけれども、日本人と同じ扱いをしてくれるといいと思います。

    2番、仲間の理解と支援です。担任の先生とか、大人だけが理解しても、しようがありません。一緒にやっている仲間たちが理解してあげることが、とても大事です。そして、頑張れば、夢ができる、夢がかなうということを見せてあげることです。日本語を頑張ったね、よくできるねと言ってあげると、やはり喜びます。私がよく使っている手です。

    今度は大人です。保護者です。同じく先行条件です。私は4月当初に全ての家庭に電話をして、今年度、1年間よろしくお願いしますと挨拶をしたんです。その1週間後に、宿題が出ていないことで、注意の電話を入れたところ、お母さんから、先生、済みませんという形で、お母さんも嫌な気持ちではなく、受け入れてくれました。なので、そういういい関係を作っていくということは、すごく大事だと思います。

    大人の我々は、頭が固くて、なかなか変わりません。ですが子供というのは、すぐに変わるものだと思っています。親を変える前に、子供を変えてあげるといいと思います。親から苦情が来る家庭というのは、基本的には生徒がこの学級や担任に満足していないんです。子供が親に向かって、うちの担任はマジうざいとか、うちの学級はマジつまらないと言ってしまうために、親もこの先生はだめなんだ、この学級はだめなんだという目で見られてしまうんです。だから、まず生徒の心をつかんでおけば、モンスターペアレントという言葉も存在しなかったのではないかと思っています。

    2番、問題が起きたら、すぐに相談をするといいと思います。親に相談するといいと思います。そして、文化、背景を知ることです。これは外国人に限りません。ここは片親しかいない、この子はいろんな学校を転々を引っ越しているから、なかなか友達ができないんだという背景を知ってあげると、アプローチの仕方が変わるのではないかと思います。

    外国人の特別な問題点です。

    1番、教育制度に無関心で、無知な親と思われがちです。調べればわかるということを、よくうちの学校の先生も口にしてしまうことがあるんですが、どこで調べればいいのかわからないんです。調べたところで、日本語でしか書かれていないために、意味がわからなかったり、文字で書かれた説明というのは、結構わかりづらいんです。

    こんな場に来て、こんなことは議論になりませんが、法律というのは、わかりづらくないですか。誰が読んでわかるのかというものがあって、回りくどく、難しく書いてあるんです。ぱんぱんと書けばいいことを、わざと難しく書いているのではないかと思うぐらい、大変わかりづらいんです。これは外国人に限らず、日本人の方も、見た瞬間に目がちかちかするようなサイズで書かれるので、読まずに、何となくわかった気でいたら、そんなことはない、書いてあると言われてしまって、何もできなくなるんです。だから、無関心なわけではないんですが、やはりわからないんです。無知なんです。

    2番、外国人の子供は、家では一人ぼっちなんです。日本人の子供たちは、家に帰れば、親の勉強のサポートを受けることができますが、外国人の子は親の助けがもらえません。親も日本語がわからないんです。親はブラジルで他の国で教育を受けているために、日本の勉強がわからないんです。だから、サポートのしようがありません。だから、本人1人でやることになってしまうんです。学校で教えたことが全てです。ニュースにしても、日本の文化にしても、アニメ、漫画にしても、全ての文化は学校で得たものしか、彼らはわからないんです。そして、中途半端です。親にも自分の思いを伝えられない子が、どんどん増えています。

    今から見ることは、私の勝手な思いですので、嫌でしたら、耳をふさいでください。

    1番、日本はまだ思いやりがないと思っています。足りないと思っています。電車に乗っていると、席を譲る人がすごく少ないと思います。

    今でも日本は毎年3万人の自殺者が出ています。今、いじめ、いじめと言われているんですが、私もいじめられていました。なぜ私は自殺しないのかというと、私のそばで支えてくれる家族がいたり、いじめられている中でも話を聞いてくれる友達がいたり、誰かが助けてくれたんです。

    30代、40代の男性が多いそうなんですが、会社でだめだと思い込んでしまって、自殺してしまう方が多いそうです。これは自分の妻であったり、子供たちに事情を説明せずに、ただ自分の思い込みで、仕事を失ったから、私はダメ人間だと思ってしまって、なかなか心が開けない。大人になってから、心を開けというのは難しいです。だから、小さいときから、親には何でも言えるし、友達にも何でも言えるし、誰か相談する人がいるんだ、誰が助けてくれるんだという思いが足りないのではないかと思います。

    ブラジル人は、皆さんお金がないんです。ですが、募金活動や献血をします。皆さん、献血をしたことはありますか。名古屋駅では、いつも献血の応募を掛けていますが、やっている人はほとんどいないんです。これができる国になっていくといいのではないかと思います。

    2番です。つい人目を気にしてしまって、行動ができなくなってしまうんです。これをやったら、みんなはどう思うのか。だから、自分の心を置いておいて、まず人からどう思われるのかということばかりが中心になってしまって、結局、行動しなくなるんです。本当に自分が幸せになるためには、何が大事なんだろうか。俺はこれをやりたいんだ、これをやってみよう。うまくいかなかったら、何とかそれをカバーしよう、挽回しようという形で考えられるといいのではないか。当然変なことをしてはいけないんですけれども、自分のやりたいことに1回目を向けることは、大事ではないかと思います。

    最後です。形式と建前です。今日、このようなすてきな会議に招待いただきまして、すごくうれしいんです。愛知県からわざわざ招待していただいて、すごくうれしかったです。せっかく皆さんに来ていただいて、自分もこんな機会を得られたので、ぜひ言っておきたいんです。こういう形式で、内閣府さんもやろうということで、誘っていただきました。私の話だけではなくて、田中宝紀さんの話も聞いて、何かできることがあるのではないか。何かアクションしようという形で、何かが変わるとうれしいと思います。私もそのために来たつもりでおりますので、ぜひ何かにつながればいいと思っています。

    ブラジルは、形式とか、建前を気にしない文化なので、お前は何を語っているのかと思われるかもしれませんが、形式とか建前を気にしないことで、逆にこれをやったらいいのではないか、よし、やってみようということになるんです。うまくいかなかったら、なぜうまくいかなかったのかと、次の手を打つんです。

    今、自分が学校に勤めていて、一番心苦しいのは、これをやろうと思っていても、なかなかそれを実行にできないんです。それをやって失敗したら、どうなるのか、責任をとれるのかと、まず上が言ってしまうんです。やってもいいけれども、お前がやって、できなかったら、まずいのではないか、この学校はやって、あの学校がやらなかったら、まずいのではないか。それでは、やらないほうがいいのかという疑問を持ってしまうんです。アクションしないと、何も変わらないのではないかと、正直、思っています。企画をして、これだったらどうだろうかということを、早く実行に移せるような手だてを打てると、いろんな面で、もっと日本はよくなるのではないかと思います。

    映像を流します。こちらは、うちの学校に通う生徒たちです。わかりますか。外国人がめちゃくちゃいるんです。

    (ビデオ上映)

    映像はここで終わります。

    今日は、いろいろ言わせていただきました。

    今は中学2年生の担任をしていて、子供たちに、お前らは夢があるかと聞くと、夢がないんだという生徒がすごく多くて、すごく寂しいと思います。大人の我々が、保護者の皆さんが、大人になることはすごく楽しい、仕事は楽しいという姿を見せてやってほしいと思います。保護者がいつも疲れて、しんどそうな顔で帰ってくると、そこに対して、生徒たちも、何だ、仕事をすることはつまらない、うちの親は大学を出ても、結局、仕事が終わった後、しんどそうな顔をしている。大学に行って勉強をするのは何のためなのかという発想を持ってしまっても、しようがないということを、自分は仕事をしながら思います。

    疲れることはあっても、やりたくてやっているのではないかと思います。嫌だったら、辞めればいい、違うことをやってみようという、めちゃくちゃ客観的なブラジル人のお父さんの考え方でもあるんですけれども、自分は何をして幸せなのか、家族のために働くことが幸せではないか。だったら、笑顔で帰らなければいけない。私はまだ結婚もしていないし、子供もいないんですが、自分に子供ができて、家族ができたら、決してしんどそうな顔で帰ってはだめだということを父親に教わりました。奥さん、息子は、あなたを見て、仕事をしているお父さんは嫌そうだ、家に帰ってきても、まだ引きずっているんだという姿を見てしまいます。そうではなくて、みんなのためにやっているのは、お父さんの意思という姿を見せないといけないということを教わりました。

    先ほどのあれですが、自分が生きている中で、家族の大黒柱であるお父さんであったり、お母さんであったりが、楽しそうに生きることが、子供たちが生きることに喜びを感じたり、明るく生きることにつながるのではないかと思っています。

    今日、勝手な話、硬い話もしましたが、私はサッカーが大好きで、カラオケが大好きで、ボウリングやビリヤードも大好きです。普段はサッカーをしています。木曜日はフットサルを毎週しています。好きな食べ物は焼き肉です。硬い話をいたしましたが、私もいろんな遊びをしながら、楽しく生きるようにしています。

    この後、田中宝紀さんが外国人の貧困という話をしてくれますので、いろんなことを参考にしていただけるといいと思います。

    今日は、いかがでしたか。本当にありがとうございました。(拍手)

  • 司会 伊木先生、大変ありがとうございました。

    それでは、引き続きまして、特定非営利活動法人青少年自立援助センターの定住外国人子弟支援事業部の責任者である、田中宝紀先生からお話を伺いたいと思います。外国にルーツを持つ子供たちの活動支援というテーマで、お話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

  • 田中氏 皆さん、ボア・タルジ。ソウ・タナカ。ムイト・プラゼール。今、生まれて初めてポルトガル語を話しました。

    私はフィリピン語を話します。フィリピン語を話せる方はいらっしゃいますか。いらっしゃらないですね。それでは、せっかくなので、皆さんにフィリピン語を覚えて帰っていただきたいと思います。

    今日は、外国にルーツを持つ子供の課題と支援ということで、お話させていただきます。

    今日は、こんなに専門家の方がいらっしゃるとは思っていなかったので既に現場を御存じの方には、新しい話はないんです。私は2009年から外国にルーツを持つ子供たちの支援をさせていただいているんですけれども、その中で、5~6年ぐらい彼らと関わっていて、余り変化がない。もちろんその年のトレンドはあるんです。今年はこういう子が多い、今年はいっぱい来ているとか、現場では起きているんですけれども、課題という点では、余り変化がないんです。それはいい意味ではなくて、私たち現場の支援者が効果的なことをできていない、あるいは社会変革を起こすような何かをしてこられなかったという力不足の結果としての変化のなさなのではないかと思っています。なので、私と普段コミュニケーションをとってくださっている方が、また田中は同じようなことを言っているというお話になってしまうかもしれません。ただ、今日は、経済的な課題にフォーカスをしながら、進めたいと思います。

    外国人の方の貧困について、これだということを言えるような論拠になるデータは、余りないんです。私が知る限りは、きちんとした調査をされていなくて、経済的な課題についてデータはないですかと相談をさせていただいたところ、ある方から御紹介いただいた論文がありまして、岡山大学大学院社会文化科学研究科のものです。2005年度のオーダーメイド集計の国勢調査から、外国人の教育等について、考察をした論文を御紹介いただきまして、そういうデータを提示しつつ、まずは私どもが現場で積み上げてきた数値のお話をしたいと思います。

    数値といっても、私たちは研究者ではないので、正確な何らかのデータというよりは、現場の実感値を証明するため、現場でとれた生のデータ・数値と思っていただきたいんですけれども、それを提示させていただくことで、少しでも外国につながりを持つお子さんたち、あるいは御家庭の困難さを共有させていただけたらと思います。そして、伊木さんが最後の方におっしゃったように、形式等を取り払って、これからの社会変革の波が生まれるような、小さなきっかけになったら、とてもうれしいと思います。

    私どもは青少年自立援助センターというNPO法人でして、1999年からNPO法人化をして活動をしているんですけれども、もともとのメインの事業は、困難を有する若者の自立支援になります。

    2010年度から私が責任者を務めております、定住外国人子弟支援事業部が発足しまして、文部科学省から委託を受けまして、定住外国人の子供の就学支援事業、いわゆる虹の架け橋教室を実施しております。現在は、それ以外に、自主事業として、学習支援の事業等を行っています。教育支援事業で、不就学、不登校のお子さんの主に就学・復学のサポートをしていく架け橋事業の他に、放課後支援や土曜日の支援、高校進学の支援、自主事業を有料で展開しています。

    それ以外に、今年度から、もともと自立支援が本業の団体ですので、そういった蓄積を生かして、自立就労の支援事業を行っています。自立や就労に必要な語学学習を自主事業で行っていく他、就労支援として、厚生労働省さんから認定を受けて行っています、地域若者サポートステーションとコラボレーションという形で、日本人向けの自立支援の枠組みの中に、定住外国人の方も参加できるように、窓口を広げていこうということを実質的な取り組みとして始めています。

    皆さん御存じだと思うんですが、私たちが支援対象として扱っているお子さんというのは、外国にルーツを持つ子供と呼んでいます。外国籍のお子さんもそうなんですが、日本国籍で外国人の保護者がいるお子さん、今まで1人ぐらいしかいないんですが、無国籍のお子さん、これも1人ぐらいしかいなかったんですけれども、日本人でありながら、外国出身の保護者とともに暮らしているというお子さんなどがいます。

    外国人登録者数には、日本国籍のお子さんは入ってこないんですけれども、2011年の外国人登録者数を年齢別で見てみますと、義務教育段階、0~14歳が18万人、最近、若者の定義の年齢がばらついていて、15~39歳という枠もあるんですが、今日は15~34歳で切りまして、若者が88万人と出ています。あわせて、100万人ぐらいの外国人の子供・若者というカテゴリーの方々が日本に暮らしています。

    この中には、日本国籍のお子さんは入っていないんですけれども、先ほど御紹介をした岡山大学さんのデータで、こんなものが出ていました。親元で暮らす6.9%、179万人は外国人の親と暮らしているというデータです。これはちょっと衝撃的です。割とインパクトがあります。外国人登録人者人口には反映されない、例えば日本人のお子さんとフィリピン人のお母さんを持つようなお子さんの数も、国勢調査からカウントされています。

    ちなみに、外国人の親御さんと暮らしている、いたという方はいらっしゃいますか。いらっしゃらないですね。実は私はそうなんです。

    私の周辺で声をかけると、在日の方などを入れると、6%ぐらいいるという感じです。これは55歳未満の父あるいは母と同居する子なので、子供とは限らないんです。20歳以上でも、55歳未満の保護者の方と同居をしていれば、ここの数値に入ってくるということで、外国にルーツを持つ子供・若者の定義というか、年齢の幅は、もしかしたら、超えてカウントをされているのかもしれませんが、2005年でこのぐらいいるというところです。

    私どもの教室なんですけれども、今年度は東京の福生市という西の外れ、ここから1時間ちょっとぐらいのところに、教室を1カ所設けています。これは教育支援、主に文科省さんの虹の架け橋教室等を実施しているところです。支援エリアは、周辺市町村をかなり広めて、東京の西多摩、西側のエリアだけでなく、県を越えて埼玉県ですとか、神奈川県からもお子さんがいらっしゃいます。

    私どもでは、成人の方も含めて、これまで支援をしてきたのが、2009年の任意団体の時点からカウントして、459人いるんです。ただ、意識をしてデータをとってこなかったので、共通の項目をデータとして提示できる数ということで、295という総数のうちの内訳を今回用意させていただきました。これは2010年からのものです。

    これまでに支援してきたお子さんたちで、フィリピン国籍を持っているお子さんが30%ちょっとです。次いで多いのが、日本国籍を保有しているお子さんで、22%強です。それから、中国籍のお子さんの他に、ネパール、ペルー、最近はバングラデシュ、ほとんどいなかったんですけれども、今年になって、何人かブラジル国籍のお子さんがいます。東京の西側のほうは、日系人、ペルー人の方が、集住はしていないんですけれども、いらっしゃるということです。

    年間で何となくカウントすると、100人ちょっとぐらいの支援をしていまして、これも定義が難しいところなんですけれども、就学・復学につないでいるのは85%ぐらい、高校進学もうちの教室を経ると97%ぐらいとなっています。これを実現するために各市町村の教育委員会さんですとか、担当課さん、もちろんお子さんが在籍している、あるいはこれから在籍することになる小中学校さんですとか、スクールソーシャルワーカーさん等々と連携を行って、支援をしています。

    外国につながりを持っているお子さんの現状なんですが、今日は困難さを共有するということで、あえてかなり困難な部分をピックアップとして、皆さんにお話をさせていただきます。そうではないお子さんも中にはたくさんいらっしゃるんですけれども、多かれ少なかれ外国につながりを持っているお子さんというのは、こういった課題を持ちやすい、あるいは持った経験があるということで、お話をさせていただきます。

    言葉の面でいうと、伊木先生からもお話が出ていましたけれども、学習機会あるいは学習支援機会が不足しているがゆえに、あるいはそうではないことが要因かもしれませんが、日本語の力が不十分で、生活言語と呼ばれる日常会話はできるようになるけれども、学習言語と呼ばれる抽象的・概念的な部分の思考を司る言語は、なかなか伸びていかないということがあります。

    それと同時に、VTRの中にも出ていましたが、母語を伸ばすことが難しいというお子さんがいらっしゃいます。中には母語喪失といって、自分の親が話す言葉がわからなくなってしまう、親は日本語ができないというケースも存在します。

    最近、もっと厳しいと思っているのは、外国人の親御さんがネイティブではない日本語で子育てをしたケースです。そうしたケースですと、もちろん親御さんの母語は全くしゃべれない。ネイティブではない日本語、かなり中途半端な日本語で育ってきているので、お子さん自身の日本語の伸びも悪いという、意思疎通ができるような言語を何も持っていないというケースも幾つか出ています。母語喪失ケースの場合、保護者との会話が成立しないということで、親を尊敬できなくなったりとか、何で日本語がわからないのかとか、何で自分のわからない言葉でしゃべりかけてくるのかという形で、親への尊敬の念を持ちづらいとか、自分が少し母語がわかるようなケースですと、通訳にならなくてはいけなかったり、親子関係に影響するような事例を幾つか見てきています。

    現在、言葉という点でいうと、法的に出ている統計は、日本語指導が必要な外国人児童・生徒数というものと、日本語指導が必要な日本国籍の児童・生徒です。現在、外国籍のお子さんで2万2,000人、日本国籍のお子さんで6,100人いると言われています。ただし、現場の先生、あるいは恐らく自治体さんで判断基準を持っている場合もあるかとは思うんですが、私が知る東京の西側では、判断基準が全くなくて、現場の先生がこの子は日本語ができていない、あるいはもう日本語はいいのではないかと判断をする、しないで、ここにカウントされる、されないということが、出てきてしまうと思っています。生活言語はできているけれども、学習言語ができていないというお子さんを、日本語指導が必要であると捉えるのであれば、この数値は氷山の一角にすぎないと考えています。

    それ以外に、教育の点でいきますと、学校内でのサポート機会も非常に少ない状況です。ただ、今年度から、日本語の教育が小中学校内において、特別な教育課程として設定されたこともありまして、今後、義務教育内での日本語教育の機会というのは、ふえていくのではないかと思っているんですが、それも自治体さんによって、大分温度差があります。日本語のサポートあるいは通訳等のサポートがあるというのは、都内でいうと、ゼロから百二十数時間ぐらいの幅があるんです。私たちが活動している福生市のすぐ近くにも、0時間という自治体があります。そうした自治体にたまたまやってきてしまったお子さんというのは、何の支援も得られないまま、学校で放置されているという状況が起きている。その結果として、学習についていけなくなったり、あるいは肌の色などの見た目によっていじめを受けている、またはいじられている、と感じることでドロップアウトしていくお子さんたちも多く見てきています。

    例えば国に帰れとか、あるいは肌の色が濃いようなお子さんですと、くさいとか、そういうことを言われたりということは、子供たちから聞いています。子供自身からも、日本の学校は、言葉もわからないし、何をするのかわからないから、恐くて行けないということで、来日後、1年半ぐらい、自宅にこもっていたというお子さんも知っております。いろんな要因があるかと思うんですけれども、日本生まれ、日本育ち、日本国籍の日本人のお子さんに比べると、いじめ、不登校出現率というのは、高いのではないかということを、実感として持っているところです。

    進学機会についても、自治体によって異なりますが、特に高校受験のハードルがあると思います。東京都の場合はかなり限られている。限られているがゆえに、望まない進路選択をせざるを得なかったお子さんたちが、中退という結果になってしまうということが、多くあると思います。

    今、ここにデータを出しましたが、うちの教室の利用者295名のうち、27%が中学不登校状態、5%が進路未決定のまま中学を卒業した状態で、高校を再受験したいということで、私たちの教室に入所しています。進路未決定で中学を卒業してしまうというのは、日本人のお子さんであれば余り考えられません。ただ、今までに16人がそういうことで、うちの教室にサポートを求めています。

    それから、最近、多いと感じているのは、特別支援に既に在籍をしているお子さんです。あるいは特別支援にこれから学校がそのお子さんを行かせたい、保護者を何とか説得して、特別支援に入ってもらいたいと考えているお子さんが23名います。実際に接してみて、特別支援の領域にあるというお子さんもいますが、恐らく本人が困り感のポイントが、学校現場できちんと捉えられていないがゆえに、特別支援の領域と見られてしまっているんだろうというお子さんも、中には少なくないのではないかと考えています。

    続いて、高校進学率なんですけれども、これも正確な統計をどこで得たらいいのかということなんですが、外国籍のお子さんについては、是川夕先生という方がデータを出していらっしゃいます。韓国、朝鮮の在日の方が多いところは、高校進学率も日本人とほぼ変わりません。漢字圏の方、あるいは私立という選択肢が経済的にとれるであろう欧米中心のお子さんについては、高校進学率は80%以上となっていますが、フィリピンやブラジル出身のお子さんについては、ここでは59.7%、42.2%という数値が出ています。

    どうですか。愛知では、この数値はもう少し高いですか。自治体さんによっては、進学率が90%以上のところもあって、受け入れの窓口をどれだけ開くかということで、大きく変わってくると思っていますが、ここの数値は、東京都にいる私としては、こんなものだという実感に近い数値になっています。

    それでは、教室の子供たちはどうかといいますと、中途退学率を見てみますと、うちで高校進学を支援したお子さんで、95人中、今、高校に在籍している、あるいは高校を卒業したというお子さんは92%います。それ以外の18%は中途退学しています。1人だけ全日制から中退してしまった子がいるんですけれども、それ以外は全員定時制への進学です。

    ちなみに、中退の理由を可能な限り本人たちに聞いてみたところ、学業不振あるいは就労したい、とにかくお金が必要だという経済的な理由でドロップアウトした子が14%で、妊娠・出産、未婚のまま母になった子供たちが4%いました。送り出した側としては、こんなに辞めてしまうのか、残念だと思うところなんですが、昼間に行きたかったのに定時にしか行けなかったということですとか、本人が日本で高校に行くというのは、どういうことだろうということをしっかり情報を得ない、あるいは考える時間がないまま、周りから高校に行けと言われて、仕方なく行ったというケースは、中退につながりやすいと思っています。

    全国的に中退率をとったデータというのは、私は知らないんですが、外国出身のお子さんの中退率をカウントされているようなところはありますか。恐らくないです。高校の進学支援というのは、大分進んできたと思うんですけれども、中途退学に陥りやすい存在であると現場では感じているので、中退予防という点からも、できれば、義務教育以降も支援が必要である、あるいは中途退学をしてしまった後、どういうふうにサポートしていくのかということを考える必要があると思っています。

    私たちは、主に就学・復学支援をしているんですけれども、発見から出口までを1つの支援と捉えていまして、特に発見のアウトリーチの部分、誘導の部分を支援の対象の段階にして、かなり力を入れて実施しています。

    特に教室がある福生市というのは、外国人人口が4%ぐらいありまして、割と集住していると言えるんですが、その周辺の地域はそうでもなくて、どちらかというと、散在地域になっていて、山の中などもあるので、そういったリソースにつながりづらいというお子さんが多いんですけれども、虹の架け橋教室を受託し始めて、送迎車、いわゆるスクールバスを導入することができるようになったので、散在エリアから子供たちをかき集めて、福生の教室に連れてきて、日本語を勉強してもらうという活動ができるようになって、大分効果的な支援につながっているのではないかと思っています。今は教室があるというだけではなくて、どうやって教室に来てもらうか、どうやって教室を居場所として認識してもらって、定着してもらい、そこで頑張って勉強してもらうかということを常に意識しながら、進んでいます。

    多文化コーディネーター、日本語学習の支援者、教科学習の支援者が三位一体となりまして、子供たちを最終的には高校進学、あるいは小中学校の就学・復学に導いていきます。そこから勉強は無理だとか、家庭の事情でどうしても働かなくてはいけない、あるいは高校を目指していたんだけれども、入ってみたらやはり違ったというお子さんたちについては、今、教育事業の出口の先として、就労支援を行っています。

    外国にルーツを持つ子供・若者の家庭生活を経済的な面から見てみたいと思うんですが、皆さん御存じだと思うんですけれども、日本への定住・永住の志向が強くなっています。一時多かったような出稼ぎというのは、私たちの現場ではほとんど見られなくなっていて、これからどこか別の国、あるいは母国に帰る予定がありますかと入所時の面談で聞くと、97%がこれからずっと日本に住むつもりだと答えます。私たちもその家庭、親御さんとともに、お子さんのこれからの日本で生き続ける、成長して、日本で活躍していくことを前提にサポートをしています。

    私たちの現場で特に多いと感じるのは、外国人のシングルマザーです。特にフィリピン系の方というのは、一人親として頑張ってお子さんを育てているケースが多いんですが、安定した仕事に就けないことがあって、経済的に困窮している御家庭が多いと感じています。親御さんが何とか工場の夜勤の仕事を見つけて、夜、一人親の親御さんが働きに出てしまう。そうすると、13~14歳ぐらいの中学生のお兄ちゃん・お姉ちゃんは、小学校1~2年生ぐらいの弟・妹の子育てをしているというケースを見ることもあります。

    それから、栄養状態が悪い、食事に乱れが目立つというお子さんも、ここ1年ぐらい、ぽつぽつ目立つようになっていると、現場では感じています。

    外国にルーツを持つ子供の保護者の就業状況のデータなんですけれども、これは一人親の御家庭ではなくて、お父さんもお母さんもそろっている御家庭です。下のほうにあります、東南アジア出身のお母さんと日本人の父親を持つお子さんの半数以上が、日本人のお父さんがブルーカラーとデータで出ています。なおかつ、外国人の母親が専業主婦、またブルーカラーであるような家庭で育つという調査結果でした。東アジア、日本人の主婦の場合は、ホワイトカラー就業率が高まります。ここは皆さんが現場で見ている状況と近いのではないかと思います。

    この調査の時点、2000年には、PH、フィリピンのお母さんは2%未満だったんですけれども、この後の2005年の調査では、9.4%に急増しているということでした。失業率も外国人世帯の母親、母子世帯の母親の失業率はフィリピンで10.7%、タイで13.2%、ブラジル3.7%等と、フィリピン、タイの順で厳しいというのも、現場の実感と符合するようなところだと思っています。

    生活保護を国籍別に見ると、在日の方々、韓国または朝鮮というのが一番多いんですが、続いて、中国、あるいはフィリピンとなっています。特にフィリピン人の生活保護受給世帯の方というのは、母子が79%を占めています。

    下の右側の図、国籍別の生活保護受給母子世帯を見ても、フィリピンが断トツで44%と多く、その後、韓国または朝鮮で27%、次いで中国の母子世帯の生活保護受給率が10%となっています。

    うちの教室でも一人親世帯が29%いて、そのほとんどがフィリピンのお母さんです。主に日本人の義理の父親と生活している御家庭も13%あります。これも義理のお父さんが日本人で、お母さんがフィリピン人というケースがほとんどになっています。比較的中国人のお子さん、フィリピン人のお子さん、ネパール人のお子さんは、両親とともに生活をしているケースが多いです。

    私たちが支援をしてきた中で、生活保護受給世帯のお子さんは7%、生活困窮と推測される世帯、これは実際に家庭訪問をしたり、子供あるいは親御さんからの自己申告、ヒアリングに基づいて、恐らく経済的に厳しいのではないかと推測ができる部分が25%います。実際に所得の調査をしたことはないので、それ以外は、生活ができないほどではない御家庭と分けています。

    続いて、外国にルーツを持つ子供の心と体ということで、非自発的来日、家庭内言語状況、非行ですとか、犯罪、10代での妊娠などのリスクが高いという3項目に分けています。

    非自発的来日というのは、呼び寄せと呼ばれる状況のことをあらわしています。外国人の親御さんが先に日本に来ていて、日本での生活基盤が安定した、あるいは子供の教育の節目で日本で一緒に暮らすために、外国に残してきた子供を日本に呼び寄せると定義をしています。在籍生徒のうち、57%はこの呼び寄せでの来日になります。非自発的な来日ということで、納得して日本に来られるお子さんがどれぐらいいるのかはわからないんですけれども、最初は喜んでいないお子さんが多いという印象があります。どちらかというと、不満を持っている、ひどければ怒っているお子さんが、呼び寄せられたお子さんの中では多いといます。

    特に10代での来日ケースを扱うことが多くて、今までは1年に1回ぐらいしか会わなかったような親に呼ばれて、会ったこともない日本人の義理のお父さんと暮らすというのは、結構きついそうだという状況の子供たちも多くいます。

    例えば10代の前半で来日しても、中学校に入るには日本語能力が不十分、あるいは日本語ができるようになってから来てねと、学校に安易に押し出されてしまうケースもあれば、出身国で義務教育を終えた段階でやってきて、高校進学を日本でしたいというお子さんもいます。ただ、10代で来日すると、どうしても思春期の難しい時期に入ることもあって、離れて暮らしていた保護者との関係の再構築ですとか、義理の父親との関係ですとか、あるいは自らのアイデンティティーの揺れという部分とどう向き合っていくか、それをどうやって支えていくかという難しさを支援の中で感じています。

    ちなみに、最近は、頑張って家出をするお子さんがいて、この間、夏休みに入る前に家出したお子さんは、青森まで行っていました。すごくないですか。来日1年ちょっとぐらいで、青森まで1人で家出をしていまして、無事に見つかってよかったと思いました。そんなに逃げたかったのかと、現場では、彼の苦しさを思い知るようなエピソードになっています。

    こうした10代のお子さんたちについても、支援の不在ということで、支援対象として、彼らの人生にかかわっていくという流れは、今のところ、余り強くないと感じています。特に義務教育年齢を外れてしまった場合、その御家庭が福祉の対象でなければ、支援機関ですとか、社会的な支援から見えなくなりやすいという存在だと感じています。

    10代の後半に来ていれば違うんですけれども、前半、半ばぐらいに来ていると、働いた経験ですとか、就労のためのスキルを母国で積み上げることができません。それに比べ、日本の労働ですとか、雇用環境、あるいは社会全体に関する知識がないということも、自立就労にとっては、大きな妨げになっている、あるいは大きなハードルになっていると感じています。

    こうした存在が、現場としては増えている、あるいは多いと感じているにもかかわらず、自立就労をしっかりサポートしていく場ですとか、機会は、まだまだ限定的だと思っています。就労というのは、介護の資格を取らせるとか、何かの業種に就くための支援ではなくて、働くこと全般に対する支援だと、就労支援業界では捉えています。すなわち、朝起きる、夜寝る、きちんと外に出て人とコミュニケーションをとって、報告、連絡、相談ができるような基本的なスキルを身につけていきましょうというのが、就労支援です。働く前の段階から支えていくという場が、外国にルーツを持つ若者にも必要なのではないかと思っています。

    昨年度から、こうした支援スキームで、外国にルーツを持つ若者の自立と就労支援を手探りながら、始めています。最初に、発見、誘導からということで、アウトリーチ、支援対象者を発見する、あるいは中退してしまった元教育支援事業の卒業生たちを、中退したという情報を得たら、こちらに引っ張ってくるということをやっています。あるいは相談を受けたり、家庭訪問をしながら、必要に応じて語学の研修をさせています。

    日本語が全くできない方については、日本語の習得の講座、ある程度日本語の会話ができている方については、仕事の日本語コミュニケーションという講座、それ以上の会話もできるという方については、履歴書を書いたり、面接の準備をするような、就活準備のための日本語の講座を開いています。さらに語学はある程度自信があるという状況、あるいは語学スキルがなくても、働く準備ができたという段階で、就労支援を行っています。いわゆる働くためのスキルトレーニングは、セミナーやワークショップなどを実施しながら、身につけていっています。必要に応じて、下のほうにあります、生活の基礎訓練を積む機会を提供したり、カウンセラーによるキャリアカウンセリングなどを行いながら、自立、就労に導いていこうというスキームになっています。

    こうした流れは1つの事例でしかないんですけれども、外国にルーツを持つ子供・若者というのは、今後、日本の中で、定住、活躍、成長していく人材だと思います。彼らが日本社会で本当に活躍するためには、実態の把握はもちろんのこと、割合的に高いと思うんですが、一人親家庭・困窮家庭への支援、外国にルーツを持つ子供の学習・支援機会を確保することと、支援者の専門性の向上、就労・自立支援機会の確保という取り組みが大事だと思っています。

    今後どんどん子供たちは成長していますので、教育というカテゴリーから就労と自立というカテゴリーへの支援の接合というのは、とても重要になってくると思います。特に義務教育が終わってしまった段階で、高校に投げ出されて、そこから落ちてしまった。そこで分断されて、就労支援の入り口にたどり着くことができないような、ニート状態の外国にルーツを持つ若者がいっぱいいるのではないかと思っています。なので、文科省の方、厚労省の方には、ぜひその辺りをお考えいただきまして、教育と就労・自立というものを、外国にルーツを持つ子供たちのためにも、どうやって捉えていくかということを御検討いただければと思います。

    何でもかんでも外国人向けに何かをつくればいいかというと、私はそうは思っていなくて、サポートステーションでの実践もそうなんですが、今、行われている、あるいは今後実施される政策に、外国につながっている方々のアクセスをどうやって確保していくかという視点が、今、一番求められていることなのではないかと思っています。もちろん語学のハードルというのは、それぞれあるとは思うんですけれども、それ以外のことで、外国人だから特別にこうしなければいけないということは、実はそれほど多くはないと考えています。なので、一人親家庭への支援も、既に行われている日本人向けの部分に、外国出身の方をいかに組み込んでいくかという対応が、現実的に一番いいのではないかと思っています。やさしい日本語なども、ツールとして役に立っていくと思います。

    大分長くなってしまいましたが、以上で私の終わりにさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

    (休憩)

【質疑応答等】

  • 質問者1 今日は本当にためになるお話をありがとうございました。あっという間の時間で、勉強になりました。楽しかったです。

    質問は何点かあります。

    今日お話を聞いていますと、外国人の方が多いコミュニティーが地域によってあると思います。それに伴って、先生方のような人材であったり、社会的資源、いろんな施設だったり、相談する機関があるんですが、例を挙げるとすれば、そういった社会資源もない、海外の方も自分の町などにほとんどいないという場合は、孤立してしまう確率もあります。親類縁者などがサポートしてくれるのであれば、別なんですが、そういった方々をサポートすることが必要だと思いました。

    それと、こういった体系だった教育から就労、就労へのマッチングも大事なんですが、その後の伴走支援、ここに書いてあったように、その後、サポートしていくことが大事だと思います。仕事だけではなくて、生活全般です。先ほど先生方がおっしゃったんですが、仕事を含めた生活全般を見守っていけるということで、アウトリーチをされています。そういったところで、潜在的なニーズがコミュニティーにあると思いますし、もちろんこういった支援につながってくる方に対して、いろんなことをするということともに、どうやって潜在的なニーズを発掘して、困っている人たちが、日本の社会の中で、活躍したり、夢を持って生きていけるように支援していくか。それについて、今後どうしていくか、もしあったら、教えていただきたいと思います。

    もう一点、言語につきましても、ポルトガル語、フィリピン語など、在日外国人の法整備によって、もちろん教えてくれる先生がいるんですが、例えば余り聞いたことのないような言葉、チェコ・スロバキア語とか、そういったものがあった場合、そういった方のニーズを満たすために、今後、取り組みとか、人材の育成とか、そういった面で考えていることがあったら、教えてください。

    どうもありがとうございました。

  • 田中氏 散在地域、外国人がぱらぱらいるんだけれども、学校に1人いるか、いないかという地域をどうするかというのは、非常に大きな課題です。集住地域よりも、散在地域のほうがニーズは高いし、より困難な状況にある方が多いと思っています。

    私が持っている散在地域に対する1つの解としては、昨年度に東京都から新しい公共を受託しまして、東京都の清瀬市の周辺5市の皆さんと協議会をつくって、外国人の子供たちを5市共同でサポートしようという試みを行ってきました。

    行政の担当者の方と地域のボランティアの方、私たちのNPOの外国人のコミュニティーのキーパーソンになる方に入っていただいて、例えば隣に東久留米という市があるんですけれども、東久留米の子が清瀬でサービスを受ける。清瀬の子供が、買い物のついでに、隣の東村山のサービスを受けるということを、実験的にできるようにしたり、それぞれの市にある日本語ボランティアの方々と、1人の子供の情報を共有することで、その子がどこに行っても、支援をしたりすることができるということに取り組んできました。1つの市単体では対応し切れない、あるいは予算的・人件的に制約があるときに、幾つかの市が広域で集まって何かをするというのは、1つ形としてあり得るのではないかと思います。

    例えばこれは可能なのかどうかわからないですけれども、自治体に対して、3分の1補助が出る事業があったとして、3つの自治体が集まれば、3分の3になるという考え方が成立するのであれば、自分たちの懐を痛めずに、基本の何かができる可能性があると思います。あるいは200万円は出せないけれども、20万円だったら出せるところが10カ所集まれば、同じようなものができる。そうすると、規模のメリットができると思います。

    それと、最近、インターネットにいろんなリソースが落ちています。文科省さんでもかすたねっとという非常にすばらしい、外国人の児童・生徒をサポートするための検索サイトを開設していて、かなり活用させていただいているんですけれども、そういったものを学校の先生方に周知することで、ある程度、進められることもあると思います。

    それから、アウトリーチのときに、潜在的なケースをどう活用するかということなんですけれども、今、一番活用できていると考えているのは、どうやって支援対象者にリーチするかということで、最初の情報が一番飲み込みやすいということで、外国人ネットワーク情報の口コミ情報で、うちのことを知ってという人が結構いらっしゃいます。

    それ以外には、相手が子供・若者だったりするので、FacebookとLINEを活用して、情報を発信するように努めています。これは当事者が拾ってくれるメリットがあると、最近、思っています。

    それから、少数言語については、うちの教室の中にもいます。ネパール人のお子さんで、ネパール語は苦手、ネパール語が第一言語ではなくて、民族語のネワール語が第一言語ですというお子さんがいて、ネワール語は、ネパール人でも話せる人が余りいないという状況がありました。そういうときには、1日も早く日本語の理解を進めるということと、極力理解できるような言語の文章を拾ってくるとか、そういうことで対応しています。その仕組みの中で、易しくした日本語で物事が進んでいって、易しい日本語をレベルとしては基本にしています。そこまでたどり着いてもらうという支援を行っています。

  • 伊木氏 自治体でやっているような活動には、余り詳しくないんですが、昨日、名古屋で進路ガイダンスの講師をさせていただきましたので、そこのやり方を紹介します。

    名古屋市の国際センター、国際交流協会などの協力を得て、名古屋市内の全ての学校に進路ガイダンスを行いますというチラシを全ての生徒に配布して、生徒とその保護者を交えての進路ガイダンスを行いました。必要な言語に応じて、国際センターが、ネット上にこんな通訳が必要なんですが、できる方はいますかという形で募集をかけて、フィリピンの言葉の通訳、英語通訳、スペイン語通訳、ポルトガル語、中国語という形で、通訳の方を総勢12名集めてやりました。こういう形で、各テーブルに通訳を1人ずつ配置して、そこに国の方が集まって、通訳してもらうという形で行いました。

    2年前の豊田市の国際交流協会も、こういう形で進路ガイダンスを行っていまして、終わった後に講師の先生との懇談会という形で、聞きたいことがあれば、何でも聞きに行きましょうという形で、やっていました。そういう形でやれば、ある程度、どの言語が必要なのかということは把握できるし、無駄がないというか、必要な言語の方に直接来てもらうという形で、やることができると思います。愛知県でできたので、他の地域でも、こういった形をとってやることはできるのではないかと思います。

    3年前には、宇都宮大学でも、こういう形で進路ガイダンスをしていましたので、こういうやり方もいいのではないかと思います。

    豊田市では、3年前ぐらいに、大人向けの生活ガイダンスという形で、必要な通訳を募集しました。それも生徒を通してやれば、ほとんどの家庭にそういう情報がいきます。ネット上だと、誰が見るのかわからないし、あることもわからないので、うまいこと子供を使って、親に伝わるような形でやれば、行き渡るのではないかと思いますので、もしよければ、御参考にしてください。

    以上です。

  • 司会 ありがとうございました。

    それでは、時間の関係もありますが、もう一人ぐらいはできると思ったりするんですけれども、いかがですか。どうぞ。

  • 質問者2 私は、今、定時制の高校で、外国人の子供たちの実践の支援をしております。実際に定時に来る子供たちというのは、今、おっしゃられたとおり、大体中学ぐらいに来日しているので、日本語教育の関係で、定時に来たという人が大部分です。中学と違いまして、高校というのは、ある程度テストで点を取らないと卒業できないものですから、例えばその高校で日本史が必修になっておりますと、日本史でも点を取らなければならなくなる。そうすると、ただでさえ、非漢字圏の子などは、漢字が大変なのに、日本史というのは、中大兄皇子ですとか、中臣鎌足とか、そういう人名がいろいろ出てきてしまう。

    あるいは国語になりますと、古典・漢文があります。子供たちは『源氏物語』を読めなくても、私は日本社会で十分に生きていけると思います。でも、その子供たちは、単位を取らなければいけないという観点から、『源氏物語』ですとか『平家物語』も読まなければいけないという状況なんです。

    ロドリゴ先生も多分そういう勉強をされたと思うんですが、実際に高校のとき、そういう勉強をされるのは、どういうお気持ちでやっていたのか、聞きたいと思います。

  • 伊木氏 私は日本史がすごく苦手です。人名も正直読めなくて、何とか事件と書かれても、事件の名前もわからなくて、場所もわからなくてという形で、すごく大変でした。私の高校は、日本史か世界史という形で選択ができたので、私は世界史を選んで、何とか乗り切りました。

    私は漢文と古文が得意で、センター試験は満点を取ったんです。漢文はルールを覚えれば、逆に中学からやっている教科よりも楽だったんです。高校スタートというものがあって、高校の初っ端から、先生にお前は頑張らないと日本ではやっていけないと言われて、しかられてやっていたんですけれども、公式さえ覚えれば大丈夫という形で、一生懸命覚えたんですが、私のベースにあるのは、漢字ができたということがすごく大きかったんです。中学の段階で漢字をしっかりやらされていたので、そんなに苦労はしなかったと思います。漢字一つ一つの意味をしっかり覚えたのが大きいです。この読み方だということだけではなくて、この漢字はこういうときに使うんだということがわかれば、幾ら漢文で読み方が変わっても、この漢字はこういう意味なんだということがよくわかると思います。

    どんな気持ちかと言われると、私は漫画などで何となく内容を理解するという形で、意外とおもしろがってできました。高校の最初からであれば、漢字をしっかり勉強させてやれば、漢文、古文だけではなくて、他の教科にも生きると思います。漢字をしっかりやらせてあげれば、大学受験をするときにも生かせると思うので、まず漢字の力を持たせてあげればいいと思います。

    答えにならなくて、ごめんなさい。

  • 司会 ありがとうございました。

    それでは、お時間の関係で、質問は以上にさせていただきたいと思います。

    2名の先生、ありがとうございました。

    最後に会場の参加者に一言メッセージなどがあれば、お一人ずつお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

    伊木先生から、何かメッセージがあれば、お願いします。

  • 伊木氏 皆さん、今日は、お忙しい中、来ていただいて、ありがとうございました。平日で年休を取っていらしたのか、それとも家族休暇を取っていらしたのか、わかりませんが、関心を持っていただいて、来てくれているんだということで、とても感謝しております。

    私の力や皆さんの力は、めちゃくちゃ大きい力はないのかもしれませんが、まずここに来て、ちょっとでも変えたいという気持ちを持っていただいて、それぞれが活躍されている場所で、自分の意見を持って言っていただければ、何かが変わると信じていますので、ぜひとも田中先生や私の話を聞いたことで、何か変えていただければうれしいと思います。

    私みたいに、外国人のみんなが日本で頑張ろう、日本が大好きで、変えたいと思うかどうかはわかりません。でも、10人の中の1人、100人の中の1人でも変えたいと思えば、その力は限りなく大きいものになっていくと思いますので、それを信じていただいて、何らかの行動を起こしていただけたらうれしいです。

    今日は本当にありがとうございました。(拍手)

  • 司会 田中先生、お願いいたします。
  • 田中氏 最近、テレビで外国人の方の出演がすごく増えて、やたら外国人に日本をどう思うかみたいな番組が増えたと思ったら、外国人の労働者をこれからどんどん活用していこうという波が押し寄せてきて、あれよあれよという間に、介護の方、看護の方、家事の方などを外から入れ込もうという動きが、すごい勢いでやってきていると思います。外から新しく来る外国人の方に向けて、今、そういう議論がなされていて、おもてなしも含めて、いわゆるWin-Winのような形での受け入れが推進できるとは思うんですが、今、日本国内で活用されていない外国人の方、あるいは働こうと思っている若い方が非常にたくさんいらっしゃいます。

    今後、外国の方に日本の活性化の一部を担っていただこうと考えているのであれば、まずは今いる外国人の方々の生活をどういうふうに支えていくのか、あるいは一緒に頑張っていただけるように、整備をするという視点を持っていただけたらと思っています。それが必要だと発信できるのは、外国につながるお子さんのことを学ぼうということを考えてくださる皆さんだと思っています。

    私も微力ながら、そういった動きの一翼を担えないかと思いますので、一緒に頑張っていきましょう。どうもありがとうございました。(拍手)

  • 司会 それでは、以上をもちまして、第2回の研究会はこれで終了させていただきます。皆さん、御出席いただきまして、ありがとうございました。

以上