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第4部 調査結果の分析

第1章 青少年をめぐる状況の変化
−1995年と2000年、両調査の比較分析から−

横浜国立大学教育人間科学部教授 渡部 真


要旨


本章では,1995年に実施された第1回目の調査と,2000年に実施された,今回の第2回目調査の結果を比較して,青少年をめぐる状況の変化を考察した。変化の少ない項目が多かったが,なかには大きな変化を示す項目もあった。「勉強がよくわからない,嫌いな先生がいると答える小中学生がやや増えていること」「小学校から大学まですべての学校段階を通じて,家での勉強時間が大きく減ってきていること」「青少年と家族の接触度が高まってきていること」「親の教育意識が自主性重視から厳しいしつけや訓練重視に少し動いたこと」「性差を重視しない子育てを志向する親が増えたこと」などが特徴的である。


1 はじめに

本章では,青少年をめぐる状況の変化を考える。方法としては,1995年の第1回調査と今回,2000年に実施された第2回調査で聞かれた同じ質問の結果を比較分析する。考察する領域は「学校生活」「勉強時間」「進路希望」「家庭生活」「団体加入」「人間関係」「親の教育観」である。


2 学校生活をめぐる問題について

ここでは,学校生活や勉強,進路などの問題について11の項目を検討してみたい。


(1) 学校生活の楽しさの推移

表4-1-1は,学校がとても楽しいと答えた小学生(4年生から6年生,以下すべて同じ)と中学生の状況を,前回と今回に分けて見たものである。小学生,中学生とも学校がとても楽しいと答えた者は,全体の3分の1強であり,小中に大きな差はない。前回と今回の比較で見ると,中学生で3ポイント数値の下がっているのがわかる。小学生はほとんど変化がない。


表4-1-1 学校生活の楽しさの推移(%)  <CSVデータ>

  とても楽しい小学生(4〜6年生〉 中学生
1995年 38.5 37.6
2000年 37.8 34.8

(2) 学校への満足度の推移

表4-1-2は,高校生や大学生に,学校生活への満足度を聞いた結果を検討したものである。表4-1-1で小中学生に聞いた学校生活の楽しさとほぼ同じものと考えてよい。高校生の学校生活への満足度は,ほとんど変化がないが,短大・高専・専門学校,それに大学・大学院は4.5ポイントづつ満足度が上昇していることがわかる。どの学校段階でも満足していると答える者が約3割と横並びになっていることも特徴的である。


表4-1-2 学校生活への満足度(満足であると答えた人の割合)(学校段階別・%))  <CSVデータ>

  高校 短大・高専・専門学校 大学・大学院 その他
1995年 30.1 26.0 24.6 12.5
2000年 29.9 31.3 29.0 40.0

(3) 小学生が学校で困ることや嫌なことの推移

表4-1-3は,小学生が学校で困ることや嫌なことについて聞いた結果をまとめたものである。「特に嫌なことはない」と答えた小学生は,5年前より5ポイントほど減った。半数弱の児童がなんらかの困ることや嫌なことをかかえているということになる。

今回の調査で最も多かった悩みは「運動がにがて」の13.2%であり,これは5年前とほぼ同じ数値である。増えた項目としては「勉強がよくわからない」をあげることができる。4ポイントの増加である。「嫌いな先生がいる」もやや増えている。逆に大きく減った項目はない。

総じて,小学生の困ること,嫌なことは勉強や成績のことも含めて,対学校,対教師のことが多く,逆に,いじめ,友だちが出来ない,つきあいがつらいなど,交友関係についての悩みは少なくなっている。児童同士の問題よりも,学校,教師に対する不満が高いのである。また「運動がにがて」と答えた小学生が1割を越えており,いじめで悩む児童の5倍以上に達する。いじめは教育問題として取り上げられることがしばしばあるが,運動については問題として取り上げられたことが,ほとんどない。検討を要する課題といえるであろう。


表4-1-3 小学生(4-6年生)が学校で困ることや嫌なことの推移
(あてはまるものすべてを選ぶ)(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
勉強がよくわからない 8.9 12.5
成績がなかなか上がらない 8.4 8.9
運動がにがて 13.7 13.2
きらいな先生がいる 7.6 10.0
友だちにいじめられる 2.6 2.6
仲のよい友だちがいない 1.7 1.3
クラスの他の子とのつきあいがつらい 項目なし 2.7
学校の規則がきびしすぎる 2.8 2.7
クラブ活動や部活動がつまらない 4.3 2.5
その他 0.3 0.7
特にいやなことはない 61.0 56.4

(4) 中学生が学校で困ることや嫌なことの推移

表4-1-4は,中学生が学校で困ることや嫌なことの推移をまとめたものである。小学生に比べると,悩んでいることや嫌なことが多くなっていることがわかる。最も困っている人が多いのは,「成績がなかなか上がらない」の24.3%である。ついで「きらいな先生がいる」「勉強がよくわからない」「学校の規則がきびしすぎる」「運動がにがて」の順になる。小学生の時と同様,勉強や対学校,対教師に関する悩みが上位を占めている。逆に,いじめをはじめとする友人関係にまつわる悩みはどれも5%以下にしかならない。前回調査との比較で見ると,「きらいな先生がいる」が5ポイント,「勉強がよくわからない」が3ポイント,増えており,逆に「特にいやなことはない」が4ポイント減っている。小学生同様,中学生も学校や教師に改善してもらいたいと考えている事項が多く,また,その傾向が1995年当時よりもより強まってきているとまとめることができる。


表4-1-4 中学生が学校で困ることや嫌なことの推移
(あてはまるものすべてを選ぶ)(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
勉強がよくわからない 13.3 16.1
成績がなかなか上がらない 22.8 24.3
運動がにがて 9.6 10.0
きらいな先生がいる 11.6 16.8
友だちにいじめられる 1.2 0.5
仲のよい友だちがいない 0.8 1.5
クラスの他の子とのつきあいがつらい 項目なし 3.4
学校の規則がきびしすぎる 8.8 11.1
クラブ活動や部活動がつまらない 3.8 5.4
その他 0.5 0.3
特にいやなことはない 49.6 45.3

(5) 15-17歳の青少年が,学校について不満なことの推移

表4-1-5は,15-17歳の青少年が,学校生活に関して不満なことの推移を見たものである。最も多かった不満は「学校の規則のこと」の28.0%であり,ついで「授業のやり方」や「先生のこと」「自分の成績のこと」「施設や設備のこと」の順になる。「友だちのこと」が6.3%にしかならないのに対して,「先生のこと」の21.1%は,かなり高率であるといえる。「特に不満はない」と答える青少年は34.8%である。

前回の調査と比較してみると,いくつかの項目で数値が上昇している。特に,「先生のこと」が8ポイント,「授業の内容ややり方等」が6ポイント増えているのが目につく。「特に不満はない」が,逆に4ポイント減っている。総じて,この年齢層の学校への不満は大きくなってきているとまとめることができる。


表4-1-5 15-17歳の青少年が,学校生活に関して不満なことの推移
(あてはまるものすべてを選ぶ)(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
施設や設備のこと 13.6 13.1
友だちのこと 3.7 6.3
先生のこと 13.4 21.1
授業の内容ややり方等 15.3 21.3
部活動,クラブ活動等 6.3 5.4
学校の規則のこと 29.3 28.0
自分の成績のこと 17.9 18.7
自分の学校の評判に関すること 5.4 5.0
その他 0.2 1.1
特に不満はない 38.3 34.8

(6) 小学4-6年生の勉強時間の推移

表4-1-6は,小学4-6年生の家での勉強時間の推移をまとめたものである。総じて,勉強時間の減少を指摘することができる。特に,「ほとんどしていない」が5ポイント,「30分ぐらい」も5ポイント増えており,「ほとんどしていない」「30分ぐらい」で,全体の54.4%を占めるまでに至っている。逆に「2時間くらい」の減少がやはり5ポイントと大きくなっている。2時間以上家で勉強する小学生は,5年前の22.6%から16.2%まで減ってきているのである。


表4-1-6 小学4-6年生の勉強時間の推移(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
ほとんどしていない 11.7 16.4
30分ぐらい 32.9 38.0
1時間くらい 32.6 29.4
2時間くらい 14.8 9.8
3時間くらい 5.5 4.1
4時間くらい 1.5 1.5
5時間以上 0.8 0.8

(7) 中学生の勉強時間の推移

表4-1-7は,中学生の勉強時間の推移を検討したものである。中学生の場合も小学生同様「ほとんどしていない」「30分くらい」が増えている。特に,「ほとんどしていない」は7ポイントも増えている。逆に,「3時間くらい」4ポイント,「4時間くらい」が3ポイント減っている。3時間以上勉強する中学生は21.0%から13.5%まで減ってしまった。総じて,中学生の勉強時間も大きく減少してきているとまとめることができる。


表4-1-7 中学生の勉強時間の推移(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
ほとんどしていない 13.1 19.9
30分ぐらい 14.2 18.1
1時間くらい 24.6 23.3
2時間くらい 27.1 25.3
3時間くらい 14.7 10.3
4時間くらい 4.8 2.2
5時間以上 1.5 1.0

(8) 高校生の勉強時間の推移

表4-1-8は,高校生の勉強時間の推移を検討したものである。高校生の場合も小中学生同様,家での勉強時間が減ってきている。特に,「ほとんどしていない」が39.7%で9ポイントも増えている。「30分くらい」も13.1%と3ポイント増えており,「ほとんどしていない」「30分くらい」をあわせると52.8%と半数をこえる。1995年が40.5%であるので,勉強しない層がかなり増えてきているとまとめることができる。逆に2時間以上,家で勉強する高校生は34.8%から23.4%と11ポイントも減ってきている。


表4-1-8 高校生の勉強時間の推移(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
ほとんどしていない 30.8 39.7
30分ぐらい 9.7 13.1
1時間くらい 24.2 23.8
2時間くらい 18.2 11.5
3時間くらい 8.5 7.4
4時間くらい 4.6 2.7
5時間以上 3.5 1.8

(9) 大学生・大学院生の勉強時間の推移

表4-1-9は,大学生・大学院生の勉強時間の推移をまとめたものである。最もめだつのは「ほとんどしていない」の増加であり,38.5%から47.5%と9ポイントも増えている。逆に「1時間くらい」が26.3%から19.3%と7ポイント減っている。3時間以上勉強する大学生・大学院生は11.7%から8.0%まで減ってきている。


表4-1-9 大学生・大学院生の勉強時間の推移(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
ほとんどしていない 38.5 47.5
30分ぐらい 10.1 12.2
1時間くらい 26.3 19.3
2時間くらい 11.2 12.6
3時間くらい 6.7 4.6
4時間くらい 2.8 1.3
5時間以上 2.2 2.1

(10) 四年制大学・大学院までの進学希望者の割合の推移

表4-1-10は,どこの学校段階まで進学を希望するかを聞いた結果のうち,4年制大学・大学院と答えた者の推移をまとめたものである。表からもわかるように,1995年は,小中高,どの学校段階も45%程度の者が大学・大学院への進学を望んでいた。それが,2000年は高校生の進学希望者の割合が48.3%と4ポイント高くなり,逆に小学生が37.2%と6ポイント低くなっている。中学生は変化がない。結局,2000年は,小中高で大学・大学院希望の比率が大きく異なるという結果になった。


表4-1-10 四年制大学・大学院までの進学希望者の割合の推移(%)
(学校段階別)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
小学校4-6年生 43.3 37.2
中学生 45.8 45.1
高校生 44.6 48.3

(11) 勉強が得意な者の推移

表4-1-11は,自分は勉強が得意だと考える者の推移をまとめたものである。小学生,中学生については大きな変化がないが,高校生が9.3%から13.2%と4ポイント増えているのが特徴的である。勉強時間は減っても,大学進学希望者は増えているし,勉強についての苦手意識をもつ者も多くなっていないというのが,現在の高校生である。


表4-1-11 勉強がとくいな者の割合(%)の推移
(学校段階別,「とてもとくい」+「とくいなほう」)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
小学校4-6年生 19.9 19.7
中学生 14.7 15.3
高校生 9.3 13.2

3 家族関係をめぐる実態と意識

ここでは,家族関係をめぐる実態と意識について3つの項目を検討してみたい。


(1) 父親とよく話をする者の推移

表4-1-12は,父親とよく話をする者の割合を,年齢段階別にまとめたものである。

父親とよく話をする者は小学生が78.8%と最も多く,22-24歳が63.0%と最も少ない。年齢上昇とともに,よく話をする者は,少しづつ減っていく。

1995年と2000年を比較すると,どの年齢層でも父親と話をする者が数ポイントづつ増えていることがわかる。


表4-1-12 父親とよく話をする者の推移(%,年齢段階別)
(「話す方だ」+「非常によく話す方だ」)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
小学4-6年生 76.6 78.8
中学生 69.0 72.3
15-17歳 64.3 66.7
18-21歳 61.8 64.7
22-24歳 58.8 63.0

(2) 母親とよく話をする者の推移

表4-1-13は,母親とよく話をする者の割合を,年齢段階別にまとめたものである。父親と比べると,母親とよく話をする青少年は大変多いことが,表から見て取れる。高校生段階まで,90%以上の者が,母親とよく話をすると答えている。18歳以上でも85%以上の人がよく話をしている。1995年と2000年を比較すると,父親の場合と同じように,よく話をする層が増えている。特に中学生が,90.5%から94.6%と4ポイント増えているのがめだっている。


表4-1-13 母親とよく話をする者の推移(%,年齢段階別)
(「話す方だ」+「非常によく話す方だ」)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
小学4-6年生 93.5 95.6
中学生 90.5 94.6
15-17歳 87.6 90.8
18-21歳 86.9 88.1
22-24歳 87.0 86.3

(3) 家庭での生活がとても楽しいと答えた者の推移

表4-1-14は,年齢段階別に,家庭での生活がとても楽しいと答えた者の推移をまとめたものである。どの年齢段階でも,とても楽しいと答えた者の割合が高くなっているのが特徴的で,小学生では52.0%と50%をこえた。高校生以上で家庭での生活がとても楽しいと答えるのは,どの年齢段階でも20%台になっている。


表4-1-14 家族での生活がとても楽しいと答えた者の推移
(%,年齢段階別)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
小学4-6年生 49.4 52.0
中学生 34.3 35.9
15-17歳 25.1 27.3
18-21歳 18.4 22.2
22-24歳 22.1 24.7

4 団体加入と人間関係

ここでは,小中学生の団体加入と人間関係について4つの項目を検討してみたい。


(1) 小学4〜6年生の団体加入状況の推移

表4-1-15は,小学生の団体加入状況の推移についてまとめたものである。小学生の加入が多い団体は「子ども会」と「スポーツ関係の団体」であるが,1995年から2000年にかけて,「子ども会」への参加が減り,「スポーツ団体」への加入が増えているのが特徴的である。「子ども会」は8ポイントも減っている。文化関係の団体や青少年団体その他の団体に加入している小学生は,1995年,2000年とも,きわめてすくなく,3つあわせても6.3%にしかならない。団体に加入していない小学生は30%台であるが,5年間で2ポイントほど増えている。


表4-1-15 小学生4-6年生の団体加入状況の推移(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
子ども会 51.1 44.6
スポーツ関係の団体 25.7 29.4
文化関係の団体 1.6 1.9
青少年団体(ボーイスカウトなど) 1.9 2.2
その他の団体 0.8 2.2
団体に入っていない 32.2 34.3

(2) 中学生の団体加入状況の推移

表4-1-16は,中学生の団体加入状況の推移を検討したものである。表を見ると,中学生の団体加入率は大変に低いことがわかる。81.3%の中学生が団体に加入していない。ただ,それでも1995年の84.7%よりは,3ポイントほど減っている。中学生の加入が一番多いのはスポーツ関係の団体の8.9%であり,1995年の5.2%にくらべると,4ポイント増えている。子ども会への参加者は6.3%とやや減っており,他の団体への参加者は,両年ともきわめて少ない。


表4-1-16 中学生の団体加入状況の推移(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
子ども会 7.7 6.3
スポーツ関係の団体 5.2 8.9
文化関係の団体 1.0 1.4
青少年団体(ボーイスカウトなど) 1.3 1.8
その他の団体 0.5 1.6
団体に入っていない 84.7 81.3

(3) 小学生が休日に一緒に過ごすことの多い相手の推移

表4-1-17は,小学生が休日に一緒に過ごすことの多い相手の推移をまとめたものである。1995年と2000年の間に大きな変化は認められないが,父親,母親,兄弟,祖父母など家族と一緒に過ごす小学生が増え,その分,学校や近所の友だちと一緒に過ごす小学生が減っていることを指摘できる。

特に母親は,57.1%から66.8%と10ポイントも増えている。また,一人で過ごすことが多いと答える小学生が4.7%から1.5%にまで減っていることも目につく。


表4-1-17 小学生が休日に一緒に過ごすことの多い相手の推移(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
父親 43.8 45.7
母親 57.1 66.8
兄弟 55.9 60.6
祖父,祖母 15.6 18.4
学校の友だち 46.3 39.4
近所の友だち 25.3 22.0
団体・グループなどの仲間 9.1 8.8
仲のよい異性の友だち 3.1 3.7
一人で過ごすことが多い 4.7 1.5
その他の人 0.8 1.0

(4) 中学生が休日に一緒に過ごすことの多い相手の推移

表4-1-18は,中学生が休日に一緒に過ごすことの多い相手の推移をまとめたものである。小学生とくらべると親,兄弟など家族と過ごす者の割合は減っている。しかし,ここでも1995年にくらべると,家族と一緒にいる者の割合は増えている。友だちと一緒にいる中学生は,小学生の場合と違い,増えても減ってもいない。

中学生で最も大きな特徴は,「一人で過ごすことが多い」が16.2%から5.5%と11ポイントも減ったことである。「団体・グループの仲間」は11.7%と3ポイント増えている。


表4-1-18 中学生が休日に一緒に過ごすことの多い相手の推移(%)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
父親 24.5 28.1
母親 37.3 43.3
兄弟 34.7 37.9
祖父,祖母 7.4 10.0
学校の友だち 60.2 60.3
近所の友だち 13.9 13.3
団体・グループなどの仲間 8.8 11.7
仲のよい異性の友だち 6.0 7.3
一人で過ごすことが多い 16.2 5.5
その他の人 0.4 0.4

5 親から見た親子関係や教育観の推移

ここでは,親から見た親子関係や教育観の推移を2つの質問から検討してみたい。

2,3,4では青少年に質問した項目の結果を検討したが,ここでは,父親や母親に質問した項目の結果について考察する。


(1) 子どもの気持ちをよくわかっていると思う親の割合の推移

表4-1-19は,小中学生をもつ親に,子どもの気持ちをわかっていると思うか聞いた結果をまとめたものである。2000年の調査では,「とてもよくわかっている」が14.1%,「よくわかっている」が60.7%と,合わせて74.8%にものぼる。「とてもよくわかっている」は,1995年の9.6%から5ポイント増えていることになる。「全然わからない」は,両年とも0.3%ときわめて少ない。


表4-1-19 子どもの気持ちをよくわかっていると思う親の割合の推移(%)
(対象は小4-6および中学生をもつ父母)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
とてもよくわかっている 9.6 14.1
よくわかっている 60.8 60.7
あまりわからない 28.9 24.7
全然わからない 0.3 0.3

(2) 子どもの育て方についての意見の推移

表4-1-20は,小中学生の子どもを持つ親に子育てについて質問した結果をまとめたものである。子どもに厳しい訓練やしつけが必要と考える親は,27.9%と6ポイント増えている。逆に,子どもの自発性を尊重すべきとする親は34.2%と6ポイント減っている。

性差を考慮した子育てをすべきという親は24.7%と11ポイント減っている。

また,厳しい父親,優しい母親という父母の役割分担を明確にすべきという意見に対しても,賛成者が16.1%と6ポイント減っている。


表4-1-20 子どもの育て方についての意見の推移(%)
(対象は小4-6および中学生をもつ父母,「そう思う」と答えた者の割合)  <CSVデータ>

  1995年 2000年
子どもを良くするには厳しい訓練やしつけが必要である 21.7 27.9
子どもの自発性をできるだけ尊重すれば子どもは健全に成長する 40.5 34.2
男の子は男らしく,女の子は女らしく育てるべきである 35.8 24.7
父親は子どもに厳しく,母親は子どもに優しく接することが,理想的である 21.8 16.1

6 まとめ

最後に得られた結果を,もう一度整理しておこう。


(1) 1995年と2000年,2度の調査の結果を検討してみたところ,青少年をめぐる状況に,さほど大きな変化はないことがわかった。1995年に得られた結果と同じような傾向が2000年の調査からも見られたのである。ただ,結果を詳細に検討してみると,いくつかの領域では新しい傾向が見てとれる。

(2) 学校生活の楽しさや満足度では,中学校で満足度がやや低下し,短大・高専・専門学校・大学・大学院などで上昇している。

(3) 学校で嫌なこと,困っていることを聞いたところ,小学校,中学校の両方で「勉強がよくわからない」「嫌いな先生がいる」が増えている。特に嫌なことはないと答える小中学生は,やや減っている。

(4) 15-17歳段階では,「先生のこと」「授業の内容ややり方等」で不満が増え,「特に不満はない」がやや減っている。

(5) 小学生から大学生まで家での勉強時間は大きく減ってきている。各学校段階で「ほとんどしていない」「30分ぐらい」が増えてきている。

(6) 高校生で大学へ進学したいと考える者が増えている。また,自分は勉強が得意と考える高校生も増えている。

(7) 父親や母親とよく話をする青少年は,ほとんどの年齢段階で増えている。家庭での生活がとても楽しいと答えた青少年も,すべての年齢段階で増えている。

(8) 小学生,中学生の団体加入状況を調べてみると,小中学生とも「スポーツ関係の団体」が増えており,「子ども会」が減っている。

(9) 小中学生が一緒に過ごすことの多い相手について検討したところ,家族と過ごす小中学生が増えていることがわかった。友人と過ごす者は,小学生で減り,中学生は横ばいとなっている。また,一人で過ごすことが多いと答える子どもが,小中学校ともに,大きく減っている。

(10) 子どもの気持ちをとてもよくわかっていると考える小中学生の親が増えている。

(11) 子どもには厳しい訓練やしつけが必要と答える親が増え,子どもの自発性を尊重すべきという親が減っている。

(12) 性差を重視した子育てが必要と考える親が少なくなってきている。

(13) 以上,見てきたように,いくつかの重要な点で変化が見られたのが,今回の調査結果で見逃せないポイントといえる。



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