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子ども・若者支援地域協議会体制整備モデル事業
第4章 本事業の実施内容・成果と課題
  4−3.平成21年度モデル事業における課題  

4−3.平成21年度モデル事業における課題

1.連携体制の整備における課題

本モデル事業は、関連機関の連携体制整備に取組み、地域協議会につなげていくことを主たる目的としているため、ここでは地域協議会設立に向けた課題についてとりまとめた。

(1)地域における若者支援に関する社会資源・若者の状況把握

ア.地域における若者支援に関する社会資源の把握

(ア) 支援関連機関の顔は見えるようになったが、それぞれの機関の具体的な事業内容、得意分野・不得意分野等の役割・機能分担に必要な詳細情報までは把握できていない

地域にある若者支援に関する社会資源(ここでは支援関連機関)に関して、モデル事業実施15地域全てにおいて相互に顔の見える関係は構築できてきたが、それぞれの機関の具体的かつ詳細な事業内容、支援における得意分野・不得意分野等の、地域における関連機関同士の役割・機能分担を図っていく際に必要な情報まで詳細に把握できている地域は、現時点では一部の地域に留まっている。

(イ) モデル事業で形成されているネットワークに参加していない機関又は個人として活動する支援者にとっては関連機関の全体像が見えづらくなっている

地域にある若者支援に関する社会資源(ここでは支援関連機関)に関して、地方企画委員会、ユースアドバイザー定例会議、ユースアドバイザー要請講習会に参加している機関の間ではネットワークが形成され、顔の見える関係が構築されているが、若者支援は実施しているが事業の中核ではないなどの理由でネットワークそのものには参加していない機関や、個人として活動しているためネットワークに参加する機会がなかった支援者にとっては、支援関連機関の全体像が見えづらくなっている。

ただし、支援関連機関のリストを作成し広域的に配布することで直接的にネットワークに参加していない機関又は個人に対する情報共有を図っている地域も出てきている。

イ.地域における若者の抱える問題把握

(ア) ネットワーク参加機関及び所属支援員の個人的な情報源に基づく把握に留まっている

地域の若者が抱える問題状況をネットワークとして把握する際、ネットワーク参加機関および所属支援員が普段の支援活動の過程で得た情報を会議等の場で共有する場合が多い。このため把握できる情報は支援員個人が、現場又は周辺の関係者から入手した情報に限定されるという課題がある。

地域における若者が抱える問題の全体像を把握する取組と、個別的かつ詳細な情報を把握する取組は分けて考える必要があるが、個別的かつ詳細な情報を属人的なルートで把握するに留まっている地域がある。

ただし、アンケートやヒアリングを実施することで全体像を把握する取組を行う動きもある。

(イ) 問題を把握している若者の年齢層や問題分野が限定的である地域がある

地域の若者が抱える問題状況について、義務教育課程に属する若者に限定した問題状況の把握など年齢層が限定されている地域や、非行系の若者に関する問題状況の把握など問題分野が限定されている地域がある。

ただし、若者の年齢層や問題分野横断的に関連機関による会議、アンケート、ヒアリング等を通じて状況を把握する動きもある。

(ウ) 中学校卒業者、高校・大学中途退学者及び卒業者などの所属機関がない若者の問題把握が不十分

中学校卒業者、高校・大学中途退学者などの所属機関がない若者は、学校の担任や生徒指導担当者から問題状況を把握するだけでは十分な情報は得られないため、学校経由以外のルートを開拓しなければならないが、十分には開拓できていない地域がある。このため、協議会設置の必要性を定量的把握できず、予算確保が難しいと指摘する声もあった。

ただし、一部の地域では民生委員やNPOと連携して所属機関のない若者の問題状況を把握する取組を開始している。

(2) 協議会のあり方の検討における課題

ア.設置単位・構成範囲の検討

(ア) 単独設置が困難な場合

人口規模が小さく、包括的かつ継続的な若者支援に必要な関連機関が地域内に揃っていない地域においては、地域単独での協議会設置が困難な場合がある。そのような場合、広域での連携や県による設置などが求められるが、設置に向けた交渉を単独の市町村が他の市町村や県に向けて行う場合、交渉に時間がかかる地域もある。

イ.調整機関、指定支援機関、子ども若者相談センターの検討

(ア) 若者に関する問題分野横断的な機関を調整機関として位置付けられていない場合

本事業では、中核機関は教育関連機関、雇用関連機関、福祉関連機関、矯正・更生保護関連機関などが担ってきたが、地域によっては若者の抱える問題分野の中でも限定的な分野のみを扱う(例えば就労支援のみを扱うなど)機関が中核機関として位置付けられている場合がある。本事業の取組成果を踏まえて協議会設立につなげていくためには、本事業での中核機関がそのまま調整機関として位置付けられると、限定的な分野のみを扱う機関では分野横断的な調整・コーディネートを期待される調整機関としての役割を十分に果たすことが難しい可能性がある。

このため、協議会設置に向けた課題としては、地域が抱える問題を分野横断的に扱う機関が調整機関として位置づけられる必要がある。

一部の地域では、行政内に分散していた若者の支援を行う部局を統合し、部門横断的な組織を設置した上で、調整機関に位置付けるという取組を進めている。

(イ) 調整機関として位置付けたい機関のノウハウや実績が不足

調整機関には、若者支援体制整備において各関連機関間の連携をコーディネートし、地域全体での支援が行われるような仕組みを作ることが期待されている。このため、調整機関には、地域の若者の問題状況把握や各関連機関やその事業内容、得意分野や不得意分野に関する知識が必要である。また、関連機関から適切かつスピーディに情報を集約するためには、各関連機関からの信頼が寄せられている必要があり、それには一定の調整機関の実績も求められるである。

しかし、地域によっては、調整機関として期待される機関に関連機関のコーディネートを行い若者支援を推進してきた実績が少ないため、調整機関として位置付けるには力不足という場合がある。

ただし、実施地域の中でも、数年前から関連機関の連携のコーディネート機関としての実績とノウハウを蓄積することで、スムーズに調整機関として位置づけられている例がある。

(ウ) 指定支援機関に位置付けられる専門性を持った機関が地域にない場合

都市圏に立地する地域以外には、指定支援機関として位置付けることができる専門性の高いNPO法人等の機関がない場合が多い。そのような地域では、ケース検討やアウトリーチなどのマネジメントや支援の専門性を持って、関連機関の支援の質量の向上を牽引する機関を設置することが難しい。

ただし、一部の地域では地域若者ステーションなどを実施する民間機関を指定支援機関として位置付けることで、民間機関のノウハウを効果的に活用する取組を進めている。

(エ) 子ども若者総合相談センターの設置

協議会の設置を検討している地域においては、地域住民にとってワンストップの相談窓口である子供総合相談センターを設置することは必須であると認識し、設置を検討している。しかし、組織形態、人員、予算など、資源制約が厳しい環境下において、思うようにセンター設置に向けた検討が進んでいない地域もある。

一部の地域では設置当初から豊富な人員や予算を投入して大規模に発足させるのではなく、調整機関又は指定支援機関の一セクションとしてセンターを設置することから始めようとしている。

ウ.関係機関への呼びかけや巻き込み、連携体制の確立における課題

(ア) 既存の若者支援ネットワークとの相互の関係整理が必要な地域がある

本事業で構築しているネットワークとは別に若者支援に関するネットワークが存在する地域においては、既存のネットワークと機能補完できる点と、重複している点があり、整理が必要となっている。

一部の地域では既に既存のネットワークと本事業で構築したネットワークを統合し、地域協議会に移行させることを検討している。

(イ) 特に若者支援ノウハウが十分でない地域や支援の方向性が明確になっていない地域においては、関係機関の連携だけでなく、地域の有識者と連携することが必要

若者の抱える問題は、複合的な要因が絡み合い生じるものであるため、支援においてはそれに対応したノウハウが求められる。そのため、必要なノウハウを地域の関連機関だけでは十分に獲得できていない場合は、地域の若者支援に関する専門性的知識・ノウハウを持つ有識者と連携することが必要となっている。

一部の地域では、有識者のノウハウを活用して若者の問題状況の把握に努めるなどの取組が見られる。

(ウ) 若者支援を包括的かつ継続的に行うために必要な関係機関をネットワークに巻き込めていない

地域において若者支援体制整備を進めるに当たって、参加することが望まれる若者支援関連機関の参加が得られていない地域がある。要因としては、連携の必要性は理解できるけれども余裕が無いという場合や、そもそも連携の必要性について十分な認識が得られていない場合がある。

この課題に対して、先進地域は以下のような対応をしている。

(3) 協議会の運営

ア.協議会の構造(内容、開催場所等)決定及び運営

(ア) 協議会において設置する会議体の設計

協議会においてどのような会議体を設置し、それぞれの会議体の内容や会議体同士の相互関係などについて、うまく全体像が設計できていない地域がある。

ただし、一部の地域では、代表者会議、担当者会議、ケース検討会議という三層の連携単位を設け、それぞれの会議の役割や出席者なども詳細に設計することで取組の効果性を高めるなどの取組を開始している。

(イ) 協議会において設置する会議体の運営

協議会において設置される代表者会議や担当者会議において、どのよな議題を設定するのか、誰が司会進行をするのか、適切な進行ができるのかなど、運営面での不安を抱える地域がある。

ただし、一部の地域では、若者支援に関するノウハウや実績のあるNPO法人が会議の事務局を担うことでスムーズな運営を実現している。

イ.個人情報留意

(ア) 個人情報保護の仕組みの構築

個人情報共有に関する基本方針や保護のための仕組みやツールが作成されていない地域においては、ケース検討会議において個人情報が開示できないなどの困難が生じている。その場合は匿名での議論を行うなどの対応が行われているが、実際の支援に結び付ける段階で個人情報の受け渡しがうまくできない可能性がある。

ただし、一部の地域では、個人情報保護のガイドライン作成や関連機関間で取り交わす誓約書を作成することで個人情報の共有に関する仕組みを導入している。



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