C 青少年行政の総合的推進

1 基本的考え方
 現行の青少年行政は、多数の関係省庁が教育、福祉、保護等の各分野を分担して推進しており、また、直接青少年を対象としていない行政分野についても今後社会情勢の変化により、青少年育成との関係がより深まっていくことが想定される。このため、これらの施策が総合的に推進されるよう、各種連絡会議の開催等により、調整を図っているところである。
 その一方で、関係省庁による施策が多種多様にわたっていることが、国民から見て分かりにくいことや、各分野間の調整力や各施策の総合的推進力が不十分であることが指摘されており、青少年行政の総合的な推進方策の更なる充実が求められている。
 また、来年1月6日からの中央省庁等改革による体制の変更を踏まえた新たな推進方策の検討を行う必要がある。中央省庁等改革により、内閣の重要政策に関する事務を助け、政府全体の見地から管理することがふさわしい行政事務の円滑な遂行を図ることを任務とする内閣府が設置されることとなっている。これにより、青少年行政については、新しく編成された関係省庁が青少年に関する各分野の施策を分担し、内閣府が、青少年の健全な育成に関する事項の企画・立案及び総合調整等を担当することとなる(43ページ<中央省庁等改革後の青少年行政の分担のイメージ>参照)。
 このため、「青少年育成(対策)推進要綱」(総務事務次官を長とし関係省庁の局長クラスにより構成される「青少年対策推進会議」の申合せ)がこれまでの青少年行政全般において果たしてきた役割を踏まえながら、行政が青少年を健全に育成するための環境の整備を着実に行えるよう、青少年育成の基本理念及び青少年行政の基本方針の下に各施策を体系的に整理し、青少年行政の総合的推進及び国民へのより分かりやすい施策の提示を行っていく必要がある。

2 青少年プランの策定
 上記の青少年行政の総合的推進及び国民へのより分かりやすい施策の提示のため、内閣府が中心となって、関係省庁により推進される施策の体系的な整理を行い、青少年プラン(仮称)を策定する必要がある。
 その策定に当たっては、プランの実効性を確保するため、国民の意見を取り入れる形での策定・改定の方法、国の施策と地方公共団体の施策との連携の方法、新しい政策評価システムを取り入れた事後評価の方法等について検討する必要がある。
 また、盛り込むべき施策については、具体的な目標に沿った明確な内容のものとする必要があるとともに、計画期間内に特に力を入れて取り組むべきものを明確にするという観点が重要である。また、幅広い年齢層を含む「青少年」施策については、必要があれば発達段階に応じた特定の施策を盛り込むという観点も必要である。
 本研究会においては、青少年育成の基本理念、青少年育成の目標、国の青少年行政の基本方針等の青少年プラン(仮称)に盛り込む要素となり得る項目について議論を行い、それに伴って例示的に関係省庁により推進されるべき具体的施策について意見を出し合った。この結果を、別紙の「青少年プラン(仮称)に盛り込む要素(素案)」としてまとめている。今後、関係各方面の意見を踏まえながら、この素案を基に青少年プラン(仮称)の構成・内容について十分な検討が行われることが期待される。
 なお、すでに多くの地方公共団体において地域の特性に応じた青少年育成に関するプランが策定され(事例紹介1・2参照)、施策の計画的実施に大きな役割を果たしているところである。国の青少年プラン(仮称)策定後は、両者が相まって、青少年政策がより一層実効性のあるものとなっていくことが期待される。

<中央省庁等改革後の青少年行政の分担のイメージ>

事例紹介1 東京都の青少年育成に関するプラン
 平成12年8月に、都民一人ひとりの行動指針及びそれをサポートする行政の施策を明らかにし、「心の東京革命」を推進するため、「心の東京革命行動プラン」を策定した。
心の東京革命行動プラン
17ページの「東京都におけるユースワーカーの養成」の事例紹介において、「心の東京革命行動プラン」についての関連記述あり。
 次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任をもって正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取組である「心の東京革命」を推進するために策定したものであり、家庭、学校、地域及び社会全体それぞれの行動主体の取組や東京都の取組について具体的な行動を盛り込んでいる。
<行動主体の取組>
<東京都の取組>
 東京都は、各行動主体が進める取組対し、次の3つの側面からサポートし、公立学校においては心の教育の推進を図っていく。

(1)都民や民間団体の行動への支援
(2)環境整備
(3)機運づくり

事例紹介2 川崎市の青少年育成に関するプラン
平成12年3月に、青少年育成のための理念と展望を明らかにするとともに、青少年施策の基本的な方向性を示すため、平成22年を目標年次とする「共に生き共に育つ川崎(まち)をめざして〜「生きる力」「創造性豊かな心」「共感する心」を育てる〜(川崎市青少年プラン)」を策定した。
共に生き共に育つ川崎(まち)をめざして〜「生きる力」「創造性豊かな心」「共感する心」を育てる〜(川崎市青少年プラン)
 平成11年11月の第20期川崎市青少年問題協議会の意見具申「共に生き共に育つ川崎(まち)をめざして〜(仮称)川崎市青少年プランの策定にあたって〜」を踏まえると共に、市政の総合的指針や関連する他の計画との整合性を図りつつ策定したものであり、青少年に関わるすべての行政施策に対する指針であると同時に、青少年自身をも含め、すべての市民への提案としての性格を有しているものである。
<青少年施策の課題>
(ア) 子どもの権利条約の理念を尊重するとともに、子どもの権利がより多くの子どもたちに保障されるよう、積極的に取り組む必要があります。
(イ) 子どもの発達にとって遊びは重要であり、安全で自由な遊び場の拡充を図る必要があります。
(ウ) 中・高校生が活動のできる居場所づくりを検討する必要があります。
(エ) 青少年が豊な人間性を育むために、青少年活動の情報提供を行い、社会活動への参加の支援を行う必要があります。
(オ) 家庭・学校・地域における共育力の向上を図る必要があります。
(カ) 青少年自身が気軽に相談できる場づくりと相談機関によるネットワークづくりを図る必要があります。
<青少年施策の視点>
(ア) 「共生」「共育」の考え方を基本とします。
(イ) 「子どもの権利条約」の理念を尊重します。
(ウ) 青少年を権利の主体として位置づけるとともに、個人の「個」、集団の「個」を大切にします。
(エ) 現代の青少年問題を、大人社会のあり方も含めてとらえます。
(オ) 青少年の成長する場を、過程、学校、地域等、多様に考えます。
<施策の体系>


( 別 紙 )

青少年プラン(仮称)に盛り込む要素(素案)

基本的考え方

(1)青少年育成の基本理念

<青少年自身の育ち方や社会における位置づけの観点>
  青少年が、心身ともにすこやかに成育し、現在又は将来の生活に張り合いを持ち、社会との関わりを自覚し、他者への理解及び協調に努めつつ、自主的・自律的個人としての自己を向上させていけるようにする

<青少年育成に対して社会の構成員が担う役割の観点>
  青少年育成に対して、大人、行政、その他各種団体などの社会の構成員が、自らの役割及び責任を自覚しつつ一体となって取り組んでいく

(2)青少年育成の目標

 国民、行政その他社会の構成員は、青少年育成の基本理念に基づき、以下の(ア)〜(ウ)に総合的かつ計画的に取り組む
 (ア)少年を取り巻く社会環境の整備
 (イ)青少年行政に関連する制度の整備及びその適切な運用
 (ウ)大人を含めた国民一人一人、企業等における意識の変革又は醸成

(3)国の青少年行政の基本方針

 国は、青少年育成の基本理念にのっとり、発達段階に応じた身体的及び精神的特性に配慮しつつ、国民、関係団体等との連携を密にしながら、各施策を推進していく

具体的施策

関係省庁により推進されるべき具体的施策は、今後、体系的に整理していく必要があり、現段階では、例示的なものである。

青少年が健全に育つための環境づくり
地域コミュニティの形成と活性化の支援 
社会参加活動等の推進 
自然体験・社会体験等の体験活動の推進 
地域で総合的に青少年育成に関わる新たな専門家の養成 
育児、しつけ等に対する支援の充実 
地域住民と学校の連携の推進実 
企業の青少年育成への関わりの推進

青少年を非行等から守る環境づくり
薬物乱用対策の推進 
非行防止のための啓発活動の推進 
いじめ・暴力行為問題への対策の推進 
関係機関の連携強化の推進 
児童虐待問題への対応の推進 
被害少年の保護対策の推進 
有害環境対策の推進

自己実現を可能とする多様な選択肢のある社会への転換
 
企業における多様で柔軟な雇用システムへの転換の促進 
公的資格試験における学歴・年齢に係る要件の廃止の検討 
個々の児童生徒に応じた柔軟な学校教育の推進 
教員の社会的資質・能力の向上

その他

計画の実施の確保等

(1)定期的な実施状況の把握(フォローアップ)、新たな政策評価の手法の活用等により、計画の円滑かつ確実な実施を確保する。
(2)青少年白書により、青少年政策の実施状況等に関する情報を国民へ分かりやすく提供する。
(3)関係省庁においては、内外の情報収集を行い、公開に努める。
(4)地方公共団体においては、地域の特性に応じた計画の策定及びその積極的な実施に努める。

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